ラミロア(逆転裁判)

登録日:2016/07/04 (月) 17:22:47
更新日:2024/12/10 Tue 16:58:54
所要時間:約 6 分で読めます






“光”がなくても、“音”の世界で、
わたくしは幸せに生きています。


逆転裁判シリーズ』の登場人物。


ボルジニアで活動する女性歌手。初登場時の年齢は40歳。
星座が描かれた青いローブに身を包み、口元を紫のベールで隠している、ミステリアスな雰囲気を漂わせている人物。
「バラードの女神」と賞賛されるほどの美しい声と歌唱力を持っている。その声は牙琉響也からも「あなたの声はまさに芸術です」と賞されるほどである。
専用BGMは「音の風景画家」。

以前はボルジニアのレストランで歌っていたようだが、音楽プロデューサーにその才能を見込まれて「ラミロア」として歌手デビューを果たす。
彼女の名前の「ラミロア」はボルジニア語で「女神」という意味を持っていて、プロデューサーが考えたこの名前を彼女自身は「過ぎた名前」だと謙遜している。
現在は世界で最も注目されている“音の芸術家”としてその名が知れ渡っており、世界を旅してその時に見た風景を音楽にして届けている事から「音の絵の具の風景画家」とも呼ばれている。
ちなみに彼女のキャッチフレーズである「バラードの女神」は、マネージャーのローメイン・レタスが考えたもの。
彼女のパートナーのマキ・トバーユは「盲目のピアニスト」として知られており、彼女がイメージした歌詞に合わせた美しい演奏をする事から彼女からの信頼も厚く、共に世界各地を渡り歩いている。
「音の絵の具の風景画家」として活躍していたそんな折、3ヶ月ほど前にたまたま海外出張でボルジニアに来ていた牙琉検事がその歌声に聞き惚れ、「是非一緒に日本のステージに立ってもらいたい」との申し出を受けてガリューウエーブのライブのゲスト出演者として招かれた。

実は少しだけではあるが日本語を話す事が出来る。
普段は通訳も兼ねているレタスを通して会話を行っているが、そうしていた理由は「そのほうが謎めいていてウケがいいから」とレタスに言われていたためであり、「みだりに他国の言語を話さない」という契約もあり今まで話せないふりをしていたようである。
彼女自身ボルジニア出身ではないようなのだが、実は歌姫としてデビューする以前の記憶がなく、日本語を話せる理由や本名すら思い出せないらしい。


逆転裁判4』の第3話「逆転のセレナード」で初登場。
前述のとおり、ガリューウエーブのライブのゲスト出演者として来日していたが、その公演の最中にレタスが射殺される事件が発生。容疑者としてマキが逮捕されてしまう。
しかし、レタスが撃たれた現場に駆けつけた王泥喜法介が、レタスが事切れる寸前に「目‥‥撃者‥‥‥‥め。めが‥‥み‥‥との言葉を聞いていた事から、バラードの“女神”である彼女の話を聞く必要があると考えた彼に証言を求められる。
法廷に出廷し事件当時の事を証言するが、王泥喜の目論見とは裏腹に当初は「何も目撃していない」と証言。だが事件当時現場に入っていた事を立証され、それで動揺した事で思わず出た癖を見抜かれた事で徐々に証言にほころびが生じてくる。
そして審理が進むうちに彼女とマキに関する大きな秘密が明らかとなり、終盤で“真犯人”の名前を口に出した事で法廷は大騒ぎとなってしまい、審理は中断を余儀なくされる事に‥‥


以下ネタバレ

















世間的にはマキの目は不自由で、ラミロアが彼の手を引いて導いているのだとされていたが実はそれは真逆であり、本当は彼女の目は不自由で、目が見えるマキによって彼女のほうが導かれていたのだった。
記憶を失う以前から目が見えなくなっていたようで、その事情を知らないプロデューサーの提案で宣伝文句を変えた事で世界中を騙す結果となってしまったらしい。
ちなみに彼女の話によれば「五感の1つくらい使えなくても事は足りる」らしく、そのおかげで聴覚は研ぎ澄まされ、一度聞いた人の声は忘れず、足音だけで人を聞き分けられるようになったのだとか。

なお、被害者のレタスの最後の言葉「め。めが‥‥み‥‥」は、「目撃者はいるが、その証人は目が見えないと言おうとしていたのだと推測されている。
この衝撃的な事実が発覚した後、例の“真犯人”発言によって審理は中断するのだが、ライブ会場に戻っていた時に何者かに突然襲われてしまう。
身の危険を感じた彼女は咄嗟にステージにあったコントラバスのケースの中に隠れるも、直前に殴られた事もあってその中で意識を失ってしまう。
その後は王泥喜によって助け出されて引田クリニックに担ぎ込まれ、何とか意識を取り戻す。
そして事件を捜査する王泥喜のためにマキの通訳を引き受け、法廷でもマキと一緒に証言台に立って通訳を行った。

第2回法廷ではマキに関する秘密が次々と明らかになり、結果的にマキは完全なシロとは言い切れなかったのだが、「罪は償わなければならない」とこの辛い事実を受け止め、真実を導き出した王泥喜にお礼を言う。イリュージョンのトリック解明の時には(事情があるとはいえ)王泥喜に少し意地悪な態度を取っていたが気にするな。
どうやら法廷で奮起する王泥喜を見て勇気が湧いたらしく、これを機に目の手術を受けようと決めたらしい。
そしてその目に光が戻った暁には王泥喜たちの「絵」を描くと約束し、また王泥喜たちと会える事を願いながら去っていった。


逆転裁判6』の第2話「逆転マジックショー」では、登場こそしないものの成歩堂みぬきのマジックショー開催を祝い、彼女に花束を贈っていた。
また、『逆転裁判5』の第3話「逆転学園」で登場したステージ衣装は、彼女が着ていたものにそっくりであった。
恐らくライブで歌う曲がラミロアが作曲した「恋するギターのセレナード」であったため、それに合わせて用意したものと思われる。
ちなみにこの「恋するギターのセレナード」は王泥喜のお気に入りとなっていて、『5』から彼の携帯電話の着信音に設定されていた。


追記・修正は、恋するギターのセレナードを聴きながらお願いします。

























以下、重要なネタバレ


私の正体に、あなたは気がついていたのでしょう?


彼女の本名は「或真敷優海(あるまじき ゆうみ)」。鬼才の大魔術師と謳われた或真敷天斎の一人娘であり、かつては或真敷一座の花形であるザックバランと共にステージに立ち、マジシャンとして活躍していた。
ザックの娘である成歩堂みぬきの実母であるが、実は王泥喜法介(以下法介)の実母でもある。
法介が普段から左腕にはめている腕輪は元々は彼女のもので、第4話「逆転を継ぐ者」のあるシーンで同じ腕輪を右腕にはめている事が確認できる。

23年ほど前に、旅芸人だった王泥喜奏介と共演した事がきっかけで知り合い、後に結婚。
この結婚を期に一座を離れ、息子の法介を出産するのだが、クライン王国を訪れていた時に奏介と法介が女王暗殺事件に巻き込まれ、その際の火災*1によって奏介が他界してしまう。
当時彼女は奏介たちと別行動をとっていたために偶然にも難を逃れていたが、女王暗殺事件に2人が巻き込まれ命を落としたと思い込み、失意のまま日本に帰国して一座に戻った。

それから数年が経過した後にザックと結婚し、娘のみぬきを出産。
今度こそ幸せが訪れると思われたが、早撃ちショーのリハーサル中に起きた事故で負傷。
何とか一命は取り留めるが、その後遺症として視力と記憶を失ってしまう。
その後はザックたちの前から忽然と姿を消し、足取りも掴めず行方不明扱いとなっていた。
なお、この事故は一座によって堅く隠蔽されていたため、世間では彼女は事故で死亡したものとされていた。

行方不明となった後、流れ着いたボルジニアのレストランで歌手として生活する。
そこでスカウトされた事でラミロアとしてデビューを果たし、今に至るのだった。

それから10年ほどの月日が流れ、法介と約20年ぶりの再会を果たす。
まさか牙琉検事との出会いがこのようなミラクルを引き起こすことになろうとは思いもしなかっただろう。
しかし、法介は生き別れた当時は赤子だったために母親の顔が分からず*2、優海は記憶を失い別人として生きており、さらに2人を関連づける腕輪が見えなかった*3こともあり、お互いが親子だと気づけなかった。

成歩堂龍一の勧めで目の手術を受け、そして彼の要請で第4話の裁判員裁判に裁判員として参加。
この裁判は或真敷一座の闇が深く関わっていたので、判決を決める頃には完全に優海の記憶を取り戻す。
裁判が終了した後は、この出来すぎた展開に思わず「これもあなたの計画のうちだったの?」と成歩堂を勘ぐっていたが、「考えすぎですよ」とはぐらかされていた。

成歩堂と会っていた時に「記憶を取り戻した事があなたにとって幸せだったかどうか‥‥」と心配されるもそれは彼の取り越し苦労に終わり、いつの日か法介とみぬきに本当の事を話すと誓い、それまでは彼らの事を見守ってくれるようにと成歩堂に頼む。
そして『4』のエンディングでは、あの2人を想いながらこれからも歌い続けていくつもりだと晴れやかな笑顔で語っていた。


逆転裁判6』には、姿は見せないもののエンディングで成歩堂と再会しており、法介の育ての親であるドゥルク・サードマディが入手した奏介の写真のコピーを見て「懐かしい‥‥」と涙ぐんでいた。
そしてそろそろ真実を2人に明らかにする頃かもしれないと語り、頃合を見て2人と再会しようと決意を固めていた。


追記・修正は、光と記憶を取り戻した後でお願いします。

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最終更新:2024年12月10日 16:58

*1 正確には犯人に頭部を殴打された事が致命傷となっている

*2 法介は過去にテレビで或真敷一座を見たことがあると話しているが、その時点で既に優海はいなくなっていた。

*3 法介の腕輪は視力を失っていたため、優海の腕輪は服の袖に隠れていたため。