ハンサム★スーツ

登録日:2017/05/08 Mon 12:57:13
更新日:2024/12/13 Fri 21:53:19
所要時間:約 5 分で読めます








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スーパードリーム・エンタテインメント



『ハンサム★スーツ』とは、2008年1月25日に発売された小説、およびそれを原作とする映画。
外伝となるテレビドラマや漫画版が存在するが、ここでは小説と映画版について解説する。




【概要】

原作小説、及び映画版の脚本を担当したのは『SMAP×SMAP』『いきなり!黄金伝説』『ほこ×たて』『クイズ雑学王』などの構成を担当していた放送作家の鈴木おさむ。
監督は本作が初監督作であり、後に『貞子3D』や実写版『ヒロイン失格』『賭ケグルイ』『ぐらんぶる』『東京リベンジャーズ』シリーズなどを手掛ける英勉。
主題歌は渡辺美里の「My Revolution」。

ちなみに小説版は通常の縦書きではなく、横書き形式での小説である。

映画版はBlu-ray/DVDが発売されている他、Amazonプライム・ビデオで配信されているので、見てみてはどうだろうか。


【あらすじ】

外見も動作もブサイクの極みにいた男・大木琢郎は33年の人生でまともな恋人がいた事がなかった。
ある日、母から受け継いだ定食屋「こころ屋」を切り盛りしていたところ、美人の女性・星野寛子がバイト募集を見てやってきた。
寛子は美人で働き者というだけではなく、琢郎のブサイクな外見で嫌がる事がない優しい女性だった。
そんな女性に惚れない男などいるはずもなく、琢郎は寛子に告白をした。
寛子は一瞬驚いたものの琢郎にこう聞き返した。

「私のどこが好きなのか」……と。

上手い返しの出来ない琢郎はとにかく何か言おうとして、外見だけを褒め返したのだが、それが寛子にはショックなことで、次の日に店を辞めてしまった。

その失恋のショックを癒すべく、琢郎は知人の結婚式のスーツを買おうと以前チラシをもらっていた「紳士服のパーフェクトスーツ」(映画版では洋服の青山)に足を運ぶ。
そこでモニター用として渡された「ハンサムスーツ」は着るとハンサムになれる驚くべきスーツであった。

スーツを着用した琢郎は「光山杏仁」と名乗り、芸能界デビュー。
ブサイクとハンサムの歴然とした「差」を実感しつつ、瞬く間にスター街道を走る事になる……。

【登場人物】

  • 大木琢郎
演:塚地武雅

本作の主人公。33歳。愛称は「ブタロウ」
これまでまともな彼女がいた事がなく、一度だけ恋人が出来て童貞を喪失できたものの、彼女は金目当ての詐欺師だった。
外見も動作も声もブサイクの一言に尽きる男であり、癖の強い関西弁、デブ、考え事をすると鼻をほじる、寒いギャグ等を持ち合わせている。
そのせいでフラれる事101回、その内告白するだけで相手に泣かれる事52回、夜間にストーカーに間違われて警察に厄介になる事25回、町中でくしゃみでもしようものならパンデミックが起きたかのように女性が逃げ惑う。
母から受け継いだ定食屋「こころ屋」の店主をしており、小説ではイタメシ屋、映画版ではイタリアで修行を積んだ実績もあり、料理の腕は一流。
そのため開店前から行列が出来るなど地元では大人気店ではあるが、弁当を100円で売ったり、食い逃げを許したりと売り上げを無視した経営をしているため儲かってはいない。
そういう人情家な所が外見を重視しない人間、主に同性のオッサン達から好かれている。
ブタロウの由来はデブというのもあるが、「琢」が「豚」という字に似ているため。小説版での琢郎と豚とのエピソードは切ない。

  • 光山杏仁
演:谷原章介

琢郎がハンサムスーツを着た時の姿。180㎝越えの長身で甘い声のハンサム。
名前の由来は「『光』のように輝き、『山』のように堂々として、『杏仁』豆腐のように甘くて優しい」から。
外見はハンサムとしか言えないほどのハンサムな男で、バスの中で女性と密着しても相手に嫌悪されず、街を歩けば女性は見惚れ、店で店員を呼べば速攻でやって来てくれる。
この辺りのモテモテ具合は映画版ではもの凄く誇張されており、少女漫画によく出てくる学園のアイドルって実際にいればこんな感じなんだなぁ……と思わせる。
その容姿とハンサムゆえの周りの勝手な解釈、琢郎本来の人柄のおかげでモデルとして大成功を収めるが……

  • 星野寛子
演:北川景子

本作のヒロイン。栗毛をしたクォーターであり、大学時代にミスコンで優勝したほどの美人。
小学時代には好きな子にはいじめたくなる男心のせいで男子にいじめられて、中学生時代には美人というだけで女子にいじめられていた。
中学時代のいじめは正義感が強い男子によって助けられたが、その男子と相思相愛になった時にバスの中でゲロを吐いたせいで、その男子に愛想を尽かされてしまった。
大学時代には趣味の合う男性と初めて恋人になり、セックスする間柄になったものの、その事に喜ぶ寛子とは対照的に、
その男が美人の女が自分の恋人というブランドにだけ興味のあるクズ男で、読者モデルの恋人が出来たから寛子は捨てられてしまった。
これらの経験から男は自分の外見だけに興味があって、寛子の内面や行動にさほど興味がない事に気付いてしまう。
小学時代にこころ屋に来た事があり、その時に琢郎の人柄を知った事でバイトを始めた。
そのバイト中に琢郎の人柄に惹かれていたが、告白された際に琢郎も自分の容姿にしか興味がない事を知って逃げ出してしまう。

  • 橋野本江
演:大島美幸

本作のもう一人のヒロイン。演じた大島氏は原作者の奥さん。
ぶっちゃけブサイクな女性であり、顔も悪けりゃ太ってもいる。北関東訛りがかなり強烈。
寛子の代わりとして雇われる事になったが、外見審査で他の従業員に止めた方がいいと言われる始末。
しかしながら外見はともかく、内面は素晴らしい女性で、バイトを始めて即座に仕事に適応したり、琢郎に気遣いをしてくれる。
そんな本江に寛子を引きずっていた琢郎は徐々に惹かれ始めていく。

  • 來香
演:佐田真由美

芸能事務所「ザウルス」所属のトップモデル。表紙を飾れば売り上げは通常の2倍になるらしい。
映画版ではモデル業界に遊び気分でやって来た杏仁に叱責するオリジナルシーンがある。
モデルの命ともいえる笑顔を見せないクールビューティーとして世間に知られ、何故笑顔を見せないのかは芸能界のタブーとされる。
本人曰く「自分の笑顔が好きじゃないから」とのことだが、実はデビュー直後にカメラマンから「笑顔は似合わない」と言われ、事実笑顔を封印したら売れ出したという過去がある
そんなわけで自分の笑顔に自信を失っているが、杏仁の寒いギャグによって笑顔を取り戻し、彼に恋心を抱くようになる。

  • 神山修三
演:伊武雅刀

ザウルスの社長で、來香と杏仁をスカウトした業界で一番勢いのある人物。
見た目は派手なおじさんで、やたらと芝居がかったオーバーなリアクションをするが、人を見る目は本物。

  • ヨネさん
演:ブラザー・トム

こころ屋でアルバイトをしている男性。
若い頃はミュージシャンを目指して博多から上京、琢郎の母の時代からバイトをしているが、一切芽が出ない。
41歳になった今も諦めずレコード会社に音楽を送っている。

  • 狭間真介
演:池内博之

琢郎の親友で、造船所の社長。容姿は強面だが、明るく前向きな好青年。足が不自由で、移動には車椅子を使用している。障害者の自分でも差別しない琢郎とは深い絆で結ばれている。

  • 谷内久恵
演:本上まなみ

真介のフィアンセ。真介とはラブラブで、琢郎にも好意的な数少ない女性。実は來香とは親友。

  • 大沢勇気
演:山本裕典

女性が男装したかのような中性的な用紙を持つ、人気男性モデル。
「抱きしめたくなる男。でもそのうち抱きしめられている」と書かれたエッセイもある。
杏仁を素人と馬鹿にするが、人気を得ていく彼に嫉妬し、弱みを握ろうとする。

  • 夏木理央
キャバクラ嬢で、琢郎の初めての彼女。
なんでもデブ専らしく、琢郎が好みのタイプだといい、酒のお勢いもあってホテルに連れ込んだ肉食系。
しかし実はキャバクラで知り合った男性にマルチ商法を持ちかける詐欺師であり、現在は刑務所の中。

  • 白木
演:中条きよし
琢郎がスーツを買いに出かけた紳士服店の店長。一見するとはダンディなナイスミドルだが、実はハンサムスーツを着ており、その正体はハゲたさえない風貌のおっさん(琢郎曰く「インゲンマメ」)。


【用語】

  • ハンサムスーツ
原作では「紳士服のパーフェクトスーツ」、映画版では「洋服の青山」が開発したハンサムになれるスーツ。
見た目は可愛らしい顔をした白い着ぐるみだが、これを着て掃除機で圧縮する事により、容姿・身長が登録されていたハンサムになれる。また、喉元に声を変える機能も備わっている。

国から予算を貰って開発しているスーツであり、本来は事故で怪我を負った人のフォローや、要人が姿を隠すために使う事が想定されている。
開発が最終段階になった事で一般人にモニターさせるために、選ばれた人にお湯に弱い試着型をプレゼントしている。

ちなみにこれを着ても戸籍類は着る前の人のものしかないため、「芸能界デビューとかどうやったんだ?」というツッコミが入る事もあるが、
前述した通り国が認知している関係で、スーツを渡して名前を決めた時点で服屋の方で戸籍を作っているため、問題はない。




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最終更新:2024年12月13日 21:53