擬宝珠檸檬

登録日:2017/06/17 Sat 14:39:20
更新日:2025/10/03 Fri 11:46:00
所要時間:約 3 分で読めるのじゃ




カンキチ!


擬宝珠檸檬(ぎぼしれもん)とは、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に登場するキャラクターの1人。
主人公、両津勘吉の親戚にして、葛飾署で働く婦警の1人である擬宝珠纏である。
登場当初は纏の家族の一員といった扱いであったが、いつしか作品を引っ張るヒロインの1人と言っていい立ち位置となる。



概要

実家は神田に店を構える老舗の寿司屋「超神田寿司」を営んでいる。
家族構成は祖母、父、母、兄(現在料理修行中)、姉、妹となっている。
擬宝珠家共通の特徴として両津家とは父方の血縁関係にあり(勘吉の祖父・勘兵衛と、檸檬の祖母・夏春都が兄妹)、檸檬と勘吉には又従兄妹(またいとこ)の関係にある*1
また、両津の弟である金次郎が中川の遠縁にあたる女性と結婚したため、中川とも遠縁である。
祖母の影響で時代劇が大好きであり、「~のじゃ」「~じゃのう」という口調で話す。アニメも類似の理由で『おじゃる丸』が好き。
いつも持っているクマのぬいぐるみは兄からのプレゼントであり、ラッキーと名付けて大切にしている。

年齢は幼稚園児相当だが、そうとは思えぬほど落ち着いており、かなりのしっかり者である。
登場当初はクールで表情に乏しい無愛想な子供だったが、両津と接するうちに年相応の子供らしい表情を見せるようになった。

寿司屋の娘に産まれたからか、はたまた両津家の血筋なのか、幼稚園児離れした能力を持っている。

特に凄いのは「神の舌」と呼ばれるほどの優れた味覚。
一口食べるだけ、食べなくとも見たり嗅いだりするだけで材料や調理法は勿論の事、料理人の精神状態*2まで把握してしまう等、最早超能力といっていいレベルであり、その際は周囲を重い緊張感に包み込む。
婦警達の弁当比べの審査員を任された際は誰もが1位だと思った麗子の弁当を「食材だけなら1番」としつつも、調理法の粗を指摘するなど見た目にも騙されることはなく、当然店で買った弁当を弁当箱に詰め替える程度の誤魔化しなど通用しない。
その為店では祖母・夏春都に次ぐ発言力を持ち、味見を一手に引き受けているのだが、逆に言えば店全体が檸檬の能力に頼りきり依存し過ぎており、何らかの事情で味見をしなくなる(それこそ病欠しただけでも)とまともに店の営業が成り立たなくなってしまうほど。
両津がこれを指して本来の板前たちを「態々来てくれた方に対して味で商売をする立場なのに、(本来は従業員ですらない)檸檬に商業的にも依存していていいのか?」として批判したことも。

好き嫌いは基本的に無いが、擬宝珠家ではまず食卓に並ばない*3かつパサパサした食感の食パンは苦手*4で、一時期これを克服しようとした時期もあったが、
171-1や193-1を見る限り(後者は厳密にはパンケーキだが)克服できなかった模様。
ただし、カツサンドの様にパサパサ感のなくなるものであれば(ミルク込みとはいえ)何とか食べられる模様。
また、163-9によればパン程ではないが人参も苦手であり、
両津を始めとした料理人は檸檬の弁当に入れるべく人参の味をごまかす等色々と試行錯誤をしていた(先述の理由から、見てわからなくても檸檬は口にした際に気づいてしまう)*5

他にも将棋が得意なほか*6、文才もある*7等、正に完璧超人である。
登場初期はやはりというか「自分の名前を漢字で書けない」描写もあったが、これも後に漢字でフルネームを書いているエピソードが登場しているため克服した様子*8

忘れがちだが、彼女はほんの3、4年前までは赤ん坊だったのである。そう考えると恐ろしい…

他にも、妹の蜜柑が産まれる直前までちゃんとお姉ちゃんできるか不安がったり、アニメ版ではそもそも檸檬が蜜柑の名付け親だったり(正確には両津がふざけたり、男性陣がなかなか決められなかったりを経て夏春都が複数候補を出したうえで檸檬が決定)*9
がつけなかったり*10、連日の味見で体重が増えた際に滅茶苦茶な体重の増加計算をして絶望する*11
前述したパン嫌い矯正の際に両津が「給食のパンを残すとどうなるかであることないこと吹き込む」策をとったところ本気で怖がる*12などと、子供らしい一面も持つ。先述した偏食についても、パンについては蜜柑のしつけの場(と言っても単に食事の際に「大きくなるためになんでも食べようね」と語りかける程度のもの)に同席したことで克服している。
人前では絶対泣かないらしいが、ある事件で…*13

両津との関係

両津が纏と知り合った後、色々あって超神田寿司で彼が働くことになったのがきっかけで知り合う。
前述の通り当時は表情が乏しく、両津に対しても素っ気ない態度をとっていたが、接していくうちに徐々に打ち解けていった。
今では両津の事を実の親の様に慕っており、彼といるときは無邪気な笑顔を見せるようになった。
何気に計画失敗して皆から総スカンされてる両津にも手を差し伸べてくれる希少なキャラ。

両津の方も満更ではないようで、元来の子供好きもあってか、最早「親バカ」と言ってもいいレベルにまで彼女をかなり可愛がっている。
どれぐらいのレベルかというと、彼女に危機が迫ろうものなら、たとえ警官をクビになろうとも、たとえ目の前に大金が手に入るチャンスがあろうとも、全てをかなぐり捨てて彼女のために尽くす行動に出るほどである。

話によっては檸檬を駅に置いていったまま発車した際、時速200km以上で走行する新幹線から飛び降りて線路を転げ回ってから立ち上がり、対向の新幹線(こちらも全速走行)に飛び乗ってまでも迎えに戻る程。

檸檬も檸檬で彼に甘えっぱなしという訳ではなく、彼が悪いことをすればちゃんと叱る等正に名コンビである。
頭ごなしに怒鳴りつける大原部長とは異なり、檸檬は落ち着いた口調で叱る為、両津も普段の破天荒ぶりはなりを潜め大人しくなり、相当落ち込んでしまう。*14

それでも基本的には両津の事が大好きであり、アニメで纏にそれを言及された時には、

みんな、カンキチの悪いところばかり見ているから、本当のカンキチの良さがわからないのじゃ…

と返しており、彼の欠点を理解しつつも、長所もちゃんと褒めていた*15*16
また「カンキチは見た目も言動も(中国の神話に出てくる)鐘馗様に似ている」とも評したことがあるが、これも武闘派かつ(よく言えば)野趣溢れる容姿の両津をよく捉えた発言と言える*17
(大原部長達も彼の良いところは理解しつつも、大抵は欠点の方が目立つと否定している)

ある意味、「両津勘吉」という人間の内面に最も入り込んだ人物ではないだろうか。

アニメでの活躍

経緯は違えど、最初は素っ気なかったが徐々に両津に懐くのは原作と同じ。
アニメという事で子供らしさが全面的に出されており、小象や白いクジラ等動物好きなキャラ付けがなされている。
また、TVスペシャルでの出番も比較的多い。

電極+に惚れられるエピソードでは「好きな男性のタイプは?」と聞かれた際に、「カンキチみたいな人」と答えたことで*18、彼にショックを与えた。

時代劇好きという事もあり、本物の忍者であるボルボ西郷の祖父に会いに行ったこともある。

また、原作と異なりよく泣き、初登場回でも纏が警察に入って初めての給料で買ってくれた靴を履けなくなり母に捨てられてしまった事で大泣きしている。
(その後、靴は三平の自転車を犠牲にゴミ処理場にカチ込んだ両津の手で何とか取り戻すことができた。)

余談

誕生日は12月11日だが、これは作者と同じである。

中の人は2003年の舞台版でも同役を演じていた。




カンキチ、追記、修正とは何じゃ?

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最終更新:2025年10月03日 11:46

*1 このあたりは「両さんが家庭を持つようになるが、そのうえで纏と結婚しないように」というメタ的な理由もあり、実際に両津や超神田寿司メンバーがこのことに気づいたのはメンバーが登場してしばらく経ってからであった。一応法的には結婚できるため、実質的には「ふたりが明確に恋愛感情を持たないように」であろう

*2 「人気店との差別化を意識するあまり味に迷いが出た」と指摘された。

*3 この時に夏春都が「102年生きてきて朝食がパンになったのは初めて」と述べているため、確実に檸檬は米飯の朝食しか経験していないと判断できる

*4 133-6「好き・キライ・レモンの巻」

*5 実際に「刻んでハンバーグや練り物の類に入れる」を試した際には両津たち弁当担当者が「これに人参が入っている」と指摘を受けている。この時はさすがの両さんも呆れた様子に作画されていた

*6 作中でも結構な指し手であるはずの両津を相手に「玉将と歩のみの十枚落ち」「取った駒は使用しない」という物凄いハンデで勝利している。また幼稚園児向けの大会で優勝した描写もある

*7 両津名義で『ケータイ小説大賞』に応募して「入選」を果たし、しかも大ヒットを飛ばした。

*8 163-4『自己分析の巻』。マインドマップそのものもキチンと書いており、両津の物(多趣味・多芸から書くことが多すぎたため、用紙複数枚を貼り合わせたうえで書いた)と合わせてとはいえ、上手く書けなかった大原部長が一度本気でやり直そうとする一因になったほど

*9 原作では公募であったためのアレンジと思われる。

*10 嘘をつくと必ず目を逸らす。

*11 といっても増えたのは2kgで単なる成長の範囲内であり、体重の方も1年に10kg増加の単純計算かつ身長が伸びることを全く計算に入れていない等。

*12 最もこの際両津は「給食を残したら逆さ磔にされる」「学校には(残された)食パンの幽霊がいる」など、かなりやりすぎな内容を口にしており、この時点での檸檬が給食のパンからいろいろ連想して怯えるのも当然と言える

*13 123-2「檸檬が泣いた日…の巻」

*14 その様子は部長ですら両津に同情するほどの落ち込みっぷりであった

*15 ある意味、原作の58-10や155-2の描写に対するアンチテーゼかもしれない。それらのお話ではそれぞれ、両津の悪人格にして悪霊である「金欲マン」が出たり、短気や怠慢な人格が大量に出たりしており、いずれも「面倒見が良くて行動力や社交性のある」善良な人格の両津は召喚されなかった。ただ後者のお話では、短気な人格を取り除くと腰の低い人格が増え、大原部長曰く「短気を直せばいい奴」ともされている。

*16 上記の檸檬の言葉には実際に(それこそ檸檬以上に両津の悪い所を見てきた)纏も「そうかもしれないね」と納得するほどだったが、メタ的に言えば檸檬は子供故に両津の金儲け等の失敗による被害を直接受けたことがない故の言葉でもあると思われる

*17 鐘馗は「最初のエピソードからして、病気にする悪い小鬼をつまみ上げて食べてしまい簡単に撃破。それ以外のお話でも原則的に悪い鬼と戦い善き者を守る、ジャンプで言えば某煉獄さんのような役どころ」などの点から病気から守る神様にしてある意味では戦神とするのが一般的であり、また原則的に髭もじゃの大男に描かれることが多い

*18 別のエピソードでは「カンキチのお嫁さんになってもいい」という旨の発言もしている。