新京成電鉄

登録日:2017/09/05 Tue 12:49:02
更新日:2025/04/04 Fri 18:17:02
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新京成電鉄とは、かつて千葉県内に存在した鉄道事業者である。
本項では同社が運営していた、松戸~京成津田沼間を結ぶ新京成線(現:京成松戸線)についても解説する。

概要

その名の通り、京成グループの一員であった。
運賃も激安で初乗りは170円、松戸から習志野まで全線乗り通しても280円。このため短距離客が多く長距離客が少ないという特徴を持ち、運行しているのは各駅停車のみ。
また、分水嶺に沿って走っているのでカーブは多いが、橋は強いて言えば総武本線の交差地点と新鎌ケ谷周辺の連続高架区間であり、トンネルや河川に架かる橋は無い。

しかし、なぜ運賃が安くカーブが多いのか。
実はこの路線、かつて陸軍の訓練用に作られた路線であることが大きな理由である。
日清戦争が終わって間もない頃、陸軍に「鉄道連隊」という部隊が発足した。
この時代の鉄道は今とは比較できないほど重要な交通機関であり、戦争時に敵地の鉄道を押さえるための部隊が必要だったのだ。
その鉄道連隊の本拠は千葉の少し北・作草部に置かれ、津田沼(習志野)から四街道まで総武線に沿うように演習線が作られ、さらに津田沼から北にも演習線が伸ばされた。津田沼から千葉までは「習志野線」、作草部から四街道までは「下志津線」、そして津田沼から松戸までは「松戸線」と呼ばれていた。なお、この頃から住民サービスとして無賃で乗客を載せていたという。
1945年に日本は敗戦、同時に陸軍が果たす役目も終わった。総武線と並行していた習志野線と下志津線はそのまま廃線になり、国鉄の施設になったり土地が再利用されたりしたが、鉄道空白地帯にあった松戸線は払い下げが決定。西武鉄道と京成電鉄が争った結果、京成が権利を勝ち取り、今以上にあったカーブを減らす改良をして開業させた。

後述するように先進技術の導入については京成電鉄より早く、自社のマスコットである「しんちゃん」「けいちゃん」は1996年に登場と、あのパンダよりも10年以上早い。また「うさのしん」「かめのしん」というキャラクターも存在した。

近年では「笑神様は突然に」の企画でマツコ・デラックスに車両基地のトラバーサーを動かさせてあげたり、船橋のキャラクター・ふなっしー誕生5周年を祝い「ふなっしートレイン」を運行したりと数々の企画を打ち出している。
そんな意味でも先進的な会社だった。

2022年9月に京成電鉄の完全子会社となったが、その1年後に2025年3月をもって京成電鉄へ吸収合併されることが発表。
2024年6月に路線名が連隊時代以来となる「京成松戸線」になることが決定した。
ダイヤと運賃については現行のものを継続する(千葉線からの加算運賃も継続)。

そして2025年4月1日、新京成電鉄は京成電鉄に合併され78年の歴史に幕を下ろし、関東地方では唯一存在した準大手私鉄が消滅した。
マスコットであるしんちゃん・けいちゃんはツバメ故、空に旅立っていったことも明らかにされている。


新京成線(→京成松戸線)

路線記号はSL。松戸を起点としてSL01~SL24が振り分けられていた。
日中は10分で電車が来る他、京成千葉線に乗り入れている。
朝夕は千葉線内までは行かないものの、さらに高頻度(最短4分半)で電車が来る。ただし、単線区間となっている新津田沼~京成津田沼間は朝ラッシュ時でも9分間隔でしか運転できず、ダイヤ上のネックとなっている。

なお、現在行っている京成千葉線との乗り入れは開業後の一時期もやっていた。このほか、まだ京成高砂まで来ていない頃の北総線が北初富駅から乗り入れていたこともあった。
ちなみに京成千葉線とは新京成の片乗り入れとなっており、新京成線に京成の車両は入線しなかった。

京成合併後、路線記号は京成と同じKSに変更され、駅番号は新津田沼起点でKS66〜KS88が振り分けられている。

車両

当初は京成のお古を貰っていたものの、800系を皮切りに自社設計車両を導入するようになったが、2000年代以降は京成グループと共通設計車両を導入している。
先進技術の導入については京成よりも早いことが多く、2013年には全在籍車両のVVVF化を達成した。
形式は「末広がりで縁起が良い」および京成・北総・都営・京急との車両協定から全て8から始まっている。

塗装はキャンディピンクのツートンカラー→茶色とベージュピンクと白に変遷している。
なお、京成合併後は塗装変更が予定されている。

8800形以降は8両編成も登場したが、現在は全形式6両で運行されている。

現有車両

  • 80000形
新京成の最新鋭車両。
京成3100形と(ほぼ)同一設計である。
ただ、駆動装置がWN方式になっている(3100形はTD駆動)、VVVFはフルSiC-MOSFET(3100形はハイブリッドSiC-IGBT)など、いくつかの違いがある。
新京成消滅とともに増備を終了し、今後は京成本線に導入される新3200形が置き換えを担う予定。
  • N800形
京成千原線直通と、旧型の800形や8000形の置き換えのために投入された車両。
京成の3000形とほぼ同一設計だが、窓回りがブラックアウトされているのが特徴。
  • 8900形
新京成初のステンレス車。
京成3700形をベースとしているが、窓割りなど独自仕様も多い。
車内の情報装置は駅名表示に加え、時計も搭載しているなどハイスペックなもの。
日本の鉄道車両ではいち早くシングルアームパンタグラフを採用。
後年VVVFの制御プログラム更新により、GTOインバータ車ながら純電気ブレーキに対応した。一体何がどうなってるんだ。
  • 8800形
新京成初のVVVF車で、同社の最大勢力。
そして関東の鉄道線では東急9000系と並ぶ本格的♂VVVF車でもある。
運転台には関東では珍しい横軸ツインレバー式*1のマスコンを採用している。
こちらも後年に純電気ブレーキに対応した。
ちなみに新京成時代の自動放送の声は三浦七緒子だった。魔装機神サイバスターサフィーネ・グレイスなんかと同じだぞ。

過去の車両

  • 8000形
本格的な自社設計車で、正面非貫通の前面デザインから「タヌキ」の愛称がある。新塗装がグロかった
鋼製車体だが、基本設計は京成3500形に準じたもの。
当初は抵抗制御または界磁チョッパ制御だったが、後年にはVVVF化改造を施されたものも存在した。
2021年11月1日に引退。
現在は先頭車のカットモデルがくぬぎ山の車庫に保存されている。
  • 800形
新京成初の完全新製車。
新京成オリジナルの車両はそれ以前にもあったが、これらは親会社である京成の車両からの発生品を流用しており、部品単位まで「完全オリジナル」は800形が最初である。
上述のN800形と区別するため(旧)800形と呼ばれることもある。
2010年7月に引退。


駅一覧

駅番号 駅名 所在地 乗り換え
KS88 松戸 松戸市 JR常磐線
KS87 上本郷
KS86 松戸新田
KS85 みのり台
KS84 八柱 JR武蔵野線(新八柱駅)
KS83 常盤平
KS82 五香
KS81 元山
KS80 くぬぎ山 鎌ケ谷市
KS79 初富
KS78 新鎌ヶ谷 東武野田線・北総線
KS77 北初富
KS76 鎌ヶ谷大仏
KS75 二和向台 船橋市
KS74 三咲
KS73 滝不動
KS72 高根公団
KS71 高根木戸
KS70 北習志野 東葉高速線
KS69 習志野
KS68 薬園台
KS67 前原
KS66 新津田沼 習志野市 JR総武線快速各駅停車(津田沼駅)
KS26 京成津田沼 京成本線
京成千葉線千葉中央まで直通運転


追記・修正は京成パンダに支配された松戸線のディスプレイを見ながらお願いします。


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最終更新:2025年04月04日 18:17

*1 ブレーキとマスコンを同時に扱えるため出発時の衝動を軽減することが可能で、関西の事業者で導入例が多い。