スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL

登録日:2010/04/29(木) 03:14:27
更新日:2025/05/19 Mon 22:13:34
所要時間:約 7 分で読めます





迫力の異世界バトル!

魔装機神ついに登場!!


1996年にバンプレストより発売されたスーパーファミコン用シミュレーションロールプレイングゲーム。


あらすじ
地球の内部にある地底世界ラ・ギアス。

そこで最大勢力を誇るラングラン王国では、10年以内に魔神によってもたらされる世界の滅びが予言され、それに対抗するために人の持つ精神エネルギー「プラーナ」によって動く人型兵器「魔装機」を開発する。

しかし、魔装機を動かすにはラ・ギアス人より地上人の方が向いていることが判明し、ラングラン王は地上人召喚計画を実行される。これは地上人がラ・ギアス人に比べて感情の波が激しく、より高いプラーナを持つ事に起因している。

この計画によって召喚された地上人の中に、後に魔装機神サイバスターの操者となるマサキ・アンドーの姿があった……




【概要】

スーパーロボット大戦シリーズ常連の魔装機神題材の単独ゲーム。
版権作品は全く登場しない。

しかし婉曲ながらゲーム内でも『スーパーロボット大戦EX』における戦乱に触れており、『EX』未プレイでは取っつきにくい展開を内包する。
当時の受け止められ方はあくまでスパロボ旧シリーズ(第2次第4次/F・F完結編)の外伝作品で、実際に独立シリーズ化を果たしたと言えるのは後述の2012年『魔装機神Ⅱ』の発売によってである。

開発はこれまでのスパロボと同じくウィンキーソフト。

本作はこれまでのスパロボとは大きく異なっており、以下の点で大きな変更が加えられている。


  • グラフィックの一新
戦闘アニメはリアル頭身になっている。
またキャラは河野さち子がリデザイン。
表情が変わるようになっており、その数も非常に多い。あまりにも多いのでOGでも魔装キャラは新規カットがほとんど必要ないほど。

  • クォータービュー&立体的なマップ
真上からではなく斜め視点に。
高低差が付けられ、高いほど有利になる。
空中や水中の概念はなく、どの機体も陸上or水上になる。

  • 方向補正
ユニットには正面、側面、背面の3つの方向があり、背面>側面>正面の順に威力や命中率や回避率が上がる。
そのためできるだけ背面を狙うのがおすすめだが、ZOCがあるのでそう簡単には背面を狙えない。
また敵も背面を狙ってくるのでそれに合わせた陣形が求められる。

  • 精霊補正
機体には風、炎、水、大地に分けられる精霊があり、


風→地
↑ ↓
炎←水

な具合にすくみが生じる。
また聖位、高位、低位なランクもある。
上記の斜めや無属性の機体には補正は生じない。

  • ランクアップシステム
機体をフル改造すると精霊のランクが上がり、ステータスに補正が加えられる。
また特定の武器をフル改造すると別の武器に変化する。
ただし改造したてでは威力が微妙なものや、消費や必要気力が多くなることもあるので注意。

  • プラーナ補正
操者のプラーナによって機体や武器に修正が加えられる。
プラーナを消費する武器を使うと補正が減ってしまう。
ただしそこまで気にするほどでもない。


ストーリーは第1部と第2部に分かれており、1部と2部の間に第3次〜第4次の話が入る時系列になっている(おおまかなあらすじは第2部の最初で語られる)

本作はSFCの性能を限界まで引き出しているんじゃないかと思えるほどの完成度を誇っている。
特にここまでの表情の変化やトドメ演出の充実などはその後数年は本家スパロボでもできなかったほどである。
そのため店によっては中古でもそれなりの値段がついていることが多い。

また本作はBGMも秀逸であり、機会があればサントラも聞いてもらいたい。


【主な登場人物】

(なお作中では名字と名前の間は・ではなく=で表記される)
声はMAP兵器使用時のみ


◆マサキ・アンドー(CV.緑川光
主人公。
言わずとしれたサイバスターの操者。
当初はそこまで世界の命運には興味がなかったが、サイバスターの操者として成長していく。
テロによって両親を失っておりテロリストを嫌っている。
ファミリアはおなじみのシロとクロ。

テュッティ・ノールバック(CV.井上喜久子
マサキがラ・ギアスで初めて会った優しいフィンランド人のお姉さん。
水の魔装機神ガッデスの操者に選ばれる。
両親と兄を殺人鬼に目前で殺された過去を持つ。
ファミリアはのフレキとゲリ。

ホワン・ヤンロン(CV.井上和彦
炎の魔装機神グランヴェールを操縦する中国人の元体育教師。
堅物な性格でファミリアである黒豹のランシャオと交代して延々と続く説教を必殺技として持つ。

◆リカルド・シルベイラ
これまでの作品で存在だけは語られていた大地の魔装機神ザムジードの初代操者。
メキシコ空軍のパイロットで陽気なラテン男。
テュッティに惚れており何かとアプローチをかけるが…。

フェイルロード・グラン・ビルセイア
ラングラン王国の第一王位継承者で魔装機計画の実質上のリーダー。
真面目で落ち着いた人物。
人々からの信頼も厚い好人物だが……

◆ゼオルート・ザン・ゼノサキス
こちらもこれまでの作品で存在だけは語られていた剣皇と呼ばれるラングランの剣術師範。
落ち着いた人物ながらかなりの実力者だが、娘のプレシアによくたしなめられるだらしないお父さん。
だが滅茶苦茶強い。

◆ルオゾール・ゾラン・ロイエル
破壊神ヴォルクルスに仕える魔神官。
元祖ワカメ。

シュウ・シラカワ(CV.子安武人
毎度お馴染みシラカワ博士。
マサキが地上で会ったグランゾンに乗る怪しい男。
ラ・ギアスでも度々姿を見せるが本心をなかなか見せない怪しい男。

サフィーネ・ゼオラ・ヴォルクルス
シュウの部下のいろんな意味で危ないお姉さん。
ヴォルクルスの信者だが、第2部では離反した後なので本来の姓であるグレイスに戻っている。

ウェンディ・ラスム・イクナート
ラングランの魔装機の設計に携わる優秀な錬金学師のお姉さん。
なんやかんやでマサキに惚れており、なんやかんやでファーストキスを奪った人。

プレシア・ゼノサキス
直前作でいつか兄より目立ってやると息巻いていたゼオルートの一人娘のナイスロリ。
マサキがなんやかんやでゼオルートの養子になったことで義妹になったりする。うらやましすぎるぞコンチクショウ。
第二章で彼女を戦力として認めるか認めないかでルートが大きく変わるが、認めた場合は必殺技を覚えず戦力外になるという酷い罠がある。
なお、既にEXで戦力として扱ったはず*1のプレシアの参戦をマサキが拒否する理由はまず間違いなく「第4次でリューネのせいでプレシアが誘拐される事件があった」事なのだが、
その説明が全くないため知らないと分かりづらいだろう。

◆ルビッカ・ハッキネン
傭兵としてラングランの対抗国のシュテドニアス軍に参加する男。
テュッティの家族を殺した殺人鬼でいろんな意味で危ない人。

◆ラセツ・ノバステ
シュテドニアス軍の将軍。
第1部ではクロノクルなマスクをしている。
彼の野望がラ・ギアスに大きな戦乱を呼ぶことになる。

リューネ・ゾルダーク(CV.日高奈留美)
第2部より登場するヴァルシオーネRのパイロット。
もともとはインスペクター事件でロンド・ベルに参加したが、マサキに惚れておりなんやかんやでラ・ギアスまでついてきてしまった。

ミオ・サスガ(CV.かないみか
第2部より登場するなんやかんやで死んだリカルドに代わってザムジードの操者に選ばれた女子高生。
マイペースでお笑いを追求する少女。
ファミリアはカモノハシのジュン、チョーサク、三波春夫……ではなくショージ。

◆ロドニー・ジェスハ
シュテドニアス軍の将軍でラセツとは対立しているトロイア訛り(関西弁)なおっさん。
ひょっとこ仮面ではない。断じて。

ひょっとこ仮面
一人を除いて正体バレバレの謎の助っ人

◆ゼツ・ラアス・ブラギオ
もう一つの大国バゴニアで魔装機の開発をしている危ない基地外博士。
元はラングラン人だが、人間をモルモット程度にしか考えない危険な性格から追放された。

◆サーヴァ=ヴォルクルス
ラ・ギアスで信奉されている3柱の神の一つの破壊神。
唯一存在が確認されている神であり、各地に分身が眠っている。



【備考】

元々はスパロボが『第4次』を最後に終了する予定で、その後はこの魔装機神をシリーズ展開していく予定だったらしい。そのため本作では話こそ綺麗に終わっているものの、放置されている伏線もちらほら見受けられる。
結局スパロボは『第4次』以降も続くことになり、本作発売後に魔装機神2の制作も開始されていたらしいのだが、『F』の開発難航の余波を受けて早々に開発中止となってしまった。

その後開発を請け負っていたウィンキーソフトがスパロボの開発から離れることになってしまい、独自設定で制作されたバンプレスト路線のアニメ版『魔装機神サイバスター』や『真・魔装機神』、開発中止になった魔装機神2をベースにしたウィンキー路線の『聖霊機ライブレード』に分かれてしまい、ウィンキーがコナミ下請け状態になったこともあり、リメイクや続編制作は絶望視されていた。

スパロボ本編では『α』や『α外伝』で他のアニメ作品と同様に設定をアレンジして登場させていたが、アニメ版『魔装機神サイバスター』の対比として、元々の設定に忠実な魔装機神を残すため、南極での出来事を接点に別作品のオリジナルキャラと組み合わせてOGシリーズを展開することを決定。GBA版OG1開発当時は魔装機神のリメイク予定もなかったため、魔装機神序盤のストーリーを描くマサキ編の構想もあったのだが、容量不足で魔装機神のユニットを用意できないため没になってしまった。

それからはウィンキーソフトが加わった形で魔装機神復活の機会を探る期間が続き、14年後の2010年になってウィンキー開発によるスーパーロボット大戦OGサーガとしてシリーズが再開されることになった。この際にOGシリーズが魔装機神リメイクへの布石だったことが明かされることになる。

DSで発売後、PSPで続編の魔装機神Ⅱが2012年1月12日に発売。
初回限定生産版にはPSPに移植された本作もセットで付いてお得だが数に限りがある。
このPSP版LOEはDS版と基本は同じで戦闘演出もDS版と変わらないが、フルボイスになっていたり、ウィーゾルやノルスなど一部のユニットが時系列に合わせて旧型に変更されているマニア向けな代物。
ソフト版はこの初回限定版しかないが魔装機神Ⅲ発売に合わせてダウンロード販売された。移植にしては割高感は否めないが。

SFC『魔装機神』は概要通りスパロボ旧シリーズの一部であったのに対し、OGサーガとなったリメイク版以降はOGシリーズに連なり、ざっくり言えば並行世界の体である。
『EX』で描かれた戦乱は、版権題材をOG系(バンナム題材)に換えて『第2次OG』前半でリメイクされており、ラ・ギアス視点に限れば概ね似通った歴史をたどる。
また時系列的には『ダークプリズン』が『EX』と同時期で、『ムーンデュエラーズ』が『F』以降の話となっている。
それぞれの作中時間経過がかみ合わない(ラ・ギアス側の時間の流れが遅い)のは、ラ・ギアス全域に特殊な結界が展開されたため。

余談だが、リメイク版以降、味方機が撃墜されるごとに、敵撃墜時に得られる資金が加算されるという隠し要素が組み込まれ
以後最終作のFまでこの仕様が存在する(ゲームクリア時に撃墜カウントがリセットされるので、周回時には恩恵が消える)


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最終更新:2025年05月19日 22:13

*1 これについては説明がある。