リボ払い

登録日:2017/09/12 Tue 19:27:45
更新日:2025/02/20 Thu 12:59:33
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リボ払い」とは、正式には「リボルビング払い」と言い、消費者金融やクレジットカードの返済方法の一方式で、毎月決まった金額を返済していく方式。
この項目では、クレジットカードの決済におけるリボ払いについて記述する。


目次


概要

クレジットカードで代金を決済するときに、一括払い・分割払いと並んで提示されることの多い支払い方式。
一番目に付くところで大々的に宣伝されていることが多い。
分割払いと違うのは、分割払いは個別の支払に対して請求金額が計算されることに対して、リボ払いは全ての支払いをまとめた上で請求金額が計算される点。

……と言っても分かりづらいと思うので、クレジットカードで《5万円のカーナビ+1万円の寿司》を買った時の、その他の支払い方法とリボ払いの具体的な例を挙げてみよう。
どちらも利子は年利15%として月1.25%の利子とし、リボ払いの利子計算は毎月の支払残高から算出する契約(元金方式)とする。

  • 分割払い
カーナビを5回分割支払で購入し、その後1万円の寿司を一括払いで購入したとする。
寿司を買ってもカーナビの支払契約には一切関係なく、寿司と合計して最初の1か月の請求額は2万円+カーナビの分割金利手数料125円である。
翌月からはカーナビの代金+利息の10,125円の支払だけになり、それを残り4か月の合計5か月で完済する。
途中でBlu-rayを買おうが定期券を買おうが、このカーナビの月10,125円の支払い金額や期間は変わらず、支出総額は60,750円となる。

  • リボ払い
一方、リボ払いは個々のクレジットの利用に支払い方法を決めず、利用した分すべて総額に組み入れ、返済方法は総額に対して決める。
カーナビと寿司の例で考えると、月1万円支払のリボ払い契約として、5万円のカーナビを買うと総額5万の月1万+利息の支払の5か月間支払いになる。
その後1万円の寿司を買うと利用総額は6万円になるが、月々の支払額は1万円のまま変わらないため完済までおよそ6か月かかることになる。
この間の利子は毎月の利用残高が基準として、初月は60,000円の利息750円となり、翌月は50,000円の利子625円。
そこから500、375、250、125となっていき、支出総額は62,000円となる。
途中でアニメグッズやらゲームやら漫画などを買っていくと、更に支払期間と支出総額は増えていく。

※実際の契約内容とは異なる部分があるのでご注意ください。


種類

  • 定額方式
契約などの段階で設定した、一定の金額を毎月返済する。

  • 定率方式
毎月の締め日時点での支払残高に対する一定の割合を、その月の返済額にする。

  • 残高スライド方式
定額・定率方式と組み合わされる方式。支払残高が多くなるほど段階的に返済額が増えていく。

更に定額・定率・残高スライドはそれぞれ以下の方式に分かれる。
  • 元利方式
毎月の支払額の中に利子を含めるもの。言い換えれば「毎月の支払額-利子」が元金の返済に当てられる。
支払金額が定額となるので一見シンプルに見えるかもしれないが、支払総額はむしろ分かりづらくなる。
利子の分も考慮して支払うために支払い期間がより長くなる傾向にあり、当然利子もその分高くつきやすい。

  • 元金方式
毎月の支払額とは別に利子を支払うもの。定額方式でも残高によって利子分が一定にならないため、完全な定額にはならない。
その代わり、設定してある定額分の返済はきちんと進むので、元利方式と比べれば残高は毎月着実に減っていく。
例えば定額方式で毎月1万円の返済、未払い残高が5万円で利子が15%だとした場合、
初月の支払金額は17,500円で、2か月目は16,000円、3か月目は14,500円……という具合に未払い残高が減っていけば、それに応じて利子も減っていく。
逆に途中で未払い残高が増える(カードを利用して決済した)と利子分が増える。
元利方式とどちらが安くなるかは、ケースバイケースとしか言えない。


問題点

  • カード利用額が増えても毎月の支払額が変わらないため、知らず知らずに無駄遣いをしてしまいやすい
  • 使用金額が増えると返済期間が延び、利息負担が激増する
  • 利子は劇的に増えやすいのに支払総額がわかりにくく、利息の多さが実感しづらい
  • 全ての支払いを自動的にリボ払いにする「自動リボ払い」制度が横行している

リボ払いは、カード会社からしてみれば個別の決済において一括・分割を指定するよりも多くの利息を取れるので非常にメリットが大きい。
更に定期的に利用すると支払いが終わらないので、他の支払いより継続して利息を取れやすいこともポイント。
カード会社が高めのポイント還元率などの特典を用意してリボ払いを強く推奨してくるのは、こういう事情があるからだ。
2024年末現在で違法ではないので、リボ払いを推奨しているからといって悪徳会社というわけではないが、契約内容に注意しよう。

キャンペーンなどに釣られたり、営業電話などを断り切れずに「自動リボ払い」にしてしまったりするケースもあり得る。
また、契約の書類はキチンと確認して、自動リボ払いの項目を必ず確かめてから契約すること。
あまりないと思われるが、タチの悪い場合は半自動的にリボ払いにされることもありうるので、リボ払いなんてしないと決めている人も注意しよう。


長所

利用者からすると、まともな長所はないと言ってもよい。

「分割払いではなく実質的には借金しているだけ」と解釈するのが妥当という意見も強いほどである。
もっとも、クレジットカードを使用すること自体「信用取引」である時点で借金しているも同然なのだが……。

前提として、前述したように分割払いの方が利息が安い場合がほとんど。
分割払いは2回払いまでなら利息がつかないことが多いため、その場合更に出費額に差が開くことになる。
本来ならば、一括払いが出来る収入を得てから買うなり、貯金してから買うなりする方がベストなのは言うまでもない。
ただし、全ての支払い残高から利息を算出するという性質上、決まった日数や月数ごとに細かく利息計算するので、契約内容と支払い内容によっては分割払いよりも利息が少なくなる場合もあり得る。
もっとも、そうなるケースは極めて限定的である上に、何かを追加購入するとひっくりかえりがちなので、玄人であっても勧め難い。

最大分割(会社によるが多くて36回が主流)でも1回分を直ぐには払えないからリボで、という場合もあるかもしれない。
しかし、その場合最大分割しても1回分を払えないような金額+利息の商品を買うという行動のリスクを冷静に考えるべきだろう。
また、そこまでの額になるとローンの方がマシなことも多く、パソコンなどの高額な商品はローンの金利を販売店側が負担してくれる場合もあり、その場合(リボ払いや3回以上の分割よりも)総額は少なくなることが多い。
そこで審査に落ちるようなら、見通しが甘いか破綻しているということなのだから。

言ってしまえば、「毎月の支出額が一定になるので家計管理が楽になる」……というのが唯一のメリットなのだが、これは問題点と直結している。
リボ払いで支払額を固定しないと困るほど収入or管理能力がない人間は、必然的にリボ払いのドツボにハマる確率が極めて高いのである。
リボ払いを有効活用出来る人ほどそもそもリボ払いを頼らなくなり、ドツボにハマるほどギリギリの経済環境の人は必要以上に高額な手数料で少ない収入をさらに搾り取られて、困窮状態から抜け出せなくなるもっと悪い状況に陥ってしまう。
使うべき人間に最もオススメできないのだから、メリットがメリットにならない。

しかし、裏を返せばリボ払いを行う人間とはそのリスクを承知した上でも今すぐ金や商品が欲しいほどに切羽詰まっているか、他人に頼まないと金の管理が低かったり情報に疎い人間かのどちらかであり、普通の方法で金を貸すと貸し倒れてしまうリスクが高い人である。
リボ払いとはそんな人でも安定して返済出来るように貸せるシステムであり、「返済能力が低くても何とかなるだろう」と思えるハイリスクな融資をしている以上、その手間とリスクが金利として反映されるのは当たり前なのだ。
……それはそれとして、うまく営業できれば普通の返済方法より手数料が稼げるので、リボ払いしなくていい人にも積極的に勧めるのは、営業マンの心理というものである。

直接の長所ではないが、積極的に使ってもらうためにカード会社が多大なポイントサービスを付与していることも結構多い。
もちろん普通にリボ払いしているのでは、利息がポイントを上回るため得することは絶対にないが、返済額をできるだけ多く設定し、なおかつ1か月の利用額を返済額の範疇に収めることで、「ポイントだけ受け取りつつ利息は最小限に抑える」という荒業もないことはない。
とはいえ、カードとしての利用枠が非常に小さくなるため、「クレジットカードとしての利便性」を明らかに犠牲にしたやり方になるので、「そこまでするか?」という疑問も大いにあるのだが……。


海外では

さて、ここまで読んで「なんで分割払いがあるのにリボなんてものがあるのか」と疑問に思うだろう。
理由は至ってシンプル。そもそも国際的には、クレジットカードの支払い方法とはリボか一括かの2択が当たり前であり、分割払いやボーナス払いといった、「ここまでリボにするぐらいなら…」と言ってるものは日本独自の仕組みなのである。
やたらリボを推すCM広告が積極的だから勘違いし易いが、実は順序が逆なのだ。

実際、クレジットカードを使う場合「一括とリボはできるけど分割払いは不可」という店のパターンは多くが、キャッシングの返済に至っては日本でも一括とリボ2択である。
よって海外では分割払いは基本的に使えない。「リボとか役に立たねえじゃん」と思ったそこの貴方、もし海外旅行や出張の予定がある場合は、普段は分割払いで済ませていても海外ではリボを使わないとなると一括しか選択肢がない。
勿論一括で済ませるに越したことはないが、リボの限度額を設定しないまま海外渡航をするのは注意が必要になる。


もし利用してしまったら

リボ払いを利用した場合は、出来る限り一括返済や支払額の増額を利用して早めに返済してしまおう。
一括~数回の返済で返済してしまえば、基本的にはリボ払いでも任意の支払日の一括返済や月々の支払額の一時増額を受け付けている事が多く、中には利用明細に上がった時点で返済できる会社もある。
こうしなければ悪質な企業として苦情が多数寄せられることが予想されるためだが、無い場合もあるかもしれないので注意。

やむを得ず使用する場合は、リボ払いで支払う物を限定して、何でもかんでもリボ払いにしないようにすること。
そして返済が終わるまでは、なるべく新たなリボ払いを増やさないようにすることが重要である。

また、カードを契約する時は「自動リボ払い」の項目を必ずチェックすること。

あまりにも支払総額が膨れ上がり、返済が困難になった場合は「債務整理」という選択肢もある。広告でよく見かける減額手段でもある。
どの債務整理を行うかは、弁護士などと相談して行うことになるが、いずれにしても借金を減額することが可能。
ただし、借金を0にすることは出来ず、一定期間クレジットカードやローンなどが利用出来なくなるといったデメリットもある。
借金 のページも参照してほしい。


創作において

小説家になろうで連載されている小説、『貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収~用済みとパーティー追放された俺は、可愛いサポート妖精と一緒に取り立てた魔力を運用して最強を目指す。~』という、タイトルが全てを物語っている作品がある。

「魔力を貸し出す」能力を持った主人公が、返済を渋った挙句パーティから追放したパーティメンバーに対し「リボ払いで」返済を迫るという内容であるのだが、
主人公の相棒の悪知恵により、「常に魔力を空っぽになるまで徴収されているのに、利子が多すぎて元本が一向に返済されていない」状態に陥ってしまう。
勿論、これで黙っている元パーティメンバーではなく、魔力空っぽの状態で、潤沢な魔力をもった主人公の抹殺を目論む…という感じの作品になっている。
リボ払いの意味を履き違えてないかとか、そもそも「魔力を貸す」以外の能力を持っていない奴が仲間に魔力を返せと迫るのはおかしくないかとか*1、主人公が魔力を貸す以外の能力を持ってない上に戦闘を手伝おうともしないから回復手段を手に入れた以上追放は妥当じゃないかとか、色々ツッコミ所あるのは内緒*2


その他

近年では軽率にリボ払いを選択し借金が減らなくなった人の失敗談も広まっており、「仕組みはよく知らないが危険らしい」といった認識を持つ人も多くなっている。
そのためかカード会社によってはリボ払いを「定額払い」等の別名に言い換えて宣伝を行っている例もあるので、利用する前によくサービスの内容を確認しておくべきだろう。

リボルビング(英語: revolving)は「回転する」という意味で、アニヲタにはお馴染みの回転式拳銃(リボルバー)と語源が同じである。
ネーミングした側は毎回一定の弾(金)が発射(返済)されるというイメージからこの名前をつけたかもしれないのだが、その実態は借金を延々とリロードし続ける羽目になるし、下手をこけば鉛玉をぶち込まれる可能性もあるので本当に近寄るべきでは無い。



追記・修正は、毎月の支払額と未払い残高をきちんと把握した上でお願いします。

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最終更新:2025年02月20日 12:59

*1 返済の義務が生じる能力という設定なので仕方がないが、例えば魔法使いで言えば「今まで撃った魔法の魔力を返せ」と言っているようなものだろう。

*2 パーティメンバーも回復手段を手に入れた途端に今まで頼っていた主人公を罵倒し、あまつさえ暴力でもって追放したので心情的にはもっともな復讐ではあるが。