SCP-3808

登録日: 2018/02/12 Mon 15:33:45
更新日:2024/02/09 Fri 22:51:13
所要時間:約 12 分で読めます




だぁからぁ! ここにベーコンチーズバーガーがあるだろ!? でもそんなことは重要じゃないんだよ!


SCP-3808は、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクト
オブジェクトクラスはEuclid。


画像出典:http://www.scp-wiki.net/scp-3808 ,by Communism will win,2018/02/11閲覧
この画像は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。

概要

SCP-3808は、北緯44°85'██"N、西経-98°22'██"の地上1.33m地点に位置するベーコンチーズバーガーである。
検索してみた所、サウスダコタ州ウェブスターの森か農業地帯あたりにあるようである。
原文中では森とあるのでここでも森として解説する。

…うん、なんとなく理解できたかも知れないけど、森のどまんなかに、ベーコンチーズバーガーが浮遊しているのである
しかもこれを仮に千切って移動させようとしたり別の場所に運んだりしてもすぐに元の位置に戻ってしまう。
しかも移動させようとすることに対して何らかの抵抗力が働くため、常人では2m動かすのが限界、重機を用いても4m程度しか動かせない。

さて、それだけでも十分アノマリー足り得るのだが、問題はここから。
このベーコンチーズバーガーを直接、あるいは改変が不十分な画像として目撃した人達は、
「はぁ?なんだこのベーコンチーズバーガー?なんで浮いてんの!?」となる。
まあそりゃそうだろと思うかも知れない。実際俺もそう思う。
だが、このベーコンチーズバーガーを見ている人は、例えば現地にいた場合は
ベーコンチーズバーガーがそこにあっても不思議ではないように、自分が認識する矛盾を修正しようと試み始める。
まず手でチーズバーガーを支えてみたり、下に台座を置いて「地上1.33m地点にベーコンチーズバーガーがある合理的な理由」を作り始める。
次に、場所が明らかにベーコンチーズバーガーの存在すべき場所ではないだだっ広い森なので、
多くの人はベーコンチーズバーガーがそこにあっても不思議ではないようなレストランを立ち上げようと言い出し始める。
なお、それが実際に行われることはなかったようだ。まあ採算採れないしね、しょうがないね。

さて、近くに支えるためのものを用意できずレストランの開業にも漕ぎ着けられなかった人達は、
「ベーコンチーズバーガーがそこに存在するに妥当な歴史と原因機構」の究明をしようとしはじめ、
ベーコンチーズバーガーが地上1.33m地点から動かないことを説明するための有益性のほぼない/全く無い科学論文を公表しようとする。
公表しようとする、とあるが、これは財団内でということなのだろうか?
否、後述の内容を見る限り一般誌にも公表しようとしている可能性もある。

このベーコンチーズバーガーの…もう視覚的な認識災害であることは分かっていただけると思うが、
この認識災害は文章を読んだ人にもある程度作用してしまう。
SCP-3808収容担当に割り当てられた職員たちは、ふつうであれば一般人に
この明らかにおかしなベーコンチーズバーガーが曝露されてしまうことを防ごうとするだろうが(そこに小屋でも立てとくとか)、
そうした常識的なプロトコルの実施を拒否しはじめ、ベーコンチーズバーガーを森の中に隠して遠隔監視するのは不合理であるとまで主張する。
不合理なのはどう考えてもベーコンチーズバーガーが浮いていることの方だが…。

結果として、なんとこのベーコンチーズバーガーを収容する特別収容プロトコルの改訂は15回もなされ、
財団職員及び一般人がこのベーコンチーズバーガーに曝露する危険度が許容不可能なレベルまで上昇
本末転倒とはこのことである。

記憶処理で影響を脱することは判明しているのは唯一の救いか。

収容プロトコルの制定

結局、財団は亡命している中国人芸術家の艾未未氏*1を収容コンサルタントとして起用。
艾氏は『SCP-3808がファストフード文化の普遍性および現代資本主義への“自然な”領域の組み込みに関する芸術的見解として解釈』されるように、
このベーコンチーズバーガーをモダンアートに組み込んで、「アート作品として」そこにベーコンチーズバーガーが存在する合理性を創りだした。
一部の職員は「そのプロトコルおかしくね」と語ったが、大多数はそれで満足したので、不満足な人に記憶処理を施して無事に収容した。
また画像も上記のようにガンガン改変したものを用意している。

そしてあとは写真を取らせないように見張る職員がおり、見た人になにか問われても「大丈夫だから」と解答させる。
また、もし仮に収容の異常性をの改訂を望む職員がいたら、職員IDだけが書かれた封筒にその提言を入れることになっている。

まあともかく、これで収容可能ということだ。めでたしめでたし。



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バージェロン博士、

あなたがこの完全に仮説的な質問について相談を求めたのは正しい事だった。

あなたが述べたようなミーム特性を有するアノマリーが、(あなたは繰り返しそんなものは存在しないと請け合ってくれたので)もしも仮に存在するとすれば、二重盲検式の指示を受けているエージェントが2組必要になるだろう — 彼らは問題のSCPに関する情報を受け取らず、またSCPについて知ることを許されている職員は他のチームについて何も知らない。

第一チームは、このシナリオの場合、収容プロトコルを変更しようとする職員を誘い寄せるための蜜壺だ。職員が接触するための“収容連絡員”を設け、(当然のことだが)その連絡員の目には職員名以外の情報が触れないように取り計らう。連絡員はこの情報を独立した機動部隊に転送し、機動部隊は影響された職員を追跡して事前処方された記憶処理薬を投与する。

第二チームはアノマリーに曝露した民間人への対処だ。彼らを何処か、曝露後の民間人が全員通る場所(必要ならば複数ヶ所)に駐留させて、警備員以外で通り過ぎる全ての者に標準的なコンピュータ及び脳内情報の消去をするように伝えておけばいい。認災チームはこの手の訓練を受けているから偶発的曝露を心配する必要は無い。

勿論、これは全て公式のSCPファイルには記載されていない。あくまで架空のプロトコルに過ぎないからね。

まだ質問があれば私まで連絡を、
グラフ博士



…とまあ、3000番台のオブジェクトが上記のシンプルな記事で終わることはまあないよね。
同じ3000番台でもオタマトーンディルドみたいなシンプルなオブジェクトもあるとは言え。

財団のバージェロン博士は、同僚か上司にあたるであろうグラフ博士に、「仮説的な」として質問をしている。
そしてその中で、バージェロン博士はミーマチックなアノマリーが仮に存在したとしたらどういう対応をすればいいかと尋ね、
それにグラフ博士が回答したメールか何かが記事の最後に付いている。

さて、上のベーコンチーズバーガーの記事を一回読みなおしてほしい。
ベーコンチーズバーガーには、ミーム特性について一切言及されていない。
また、あとで記事本文を見ていただきたいが、タグにも「ミーム」なんかはない。
であるならば、なぜ関係なさそうなこの記事にミーム特性の話が出てくるのか?

いくつかの仮説を立ててみよう。

仮説① 実はミーム特性を有するベーコンチーズバーガーだよ

そもそも実物ならばともかく、写真の浮いてるチーズバーガーを見て認識災害が起きるというのは異常である。
また、文章でも少ないとは言えそのベーコンチーズバーガーの異常性に影響されるというのも困った話だ。

そして、ベーコンチーズバーガーが空中に浮いていることに異様な執着を(そんなもん見慣れてそうな職員ですら)見せ、
あげく論文にそれを提出しようとするのだから、一種のミーム特性が実際にはあったとしてもおかしくはない。

そして、「文章に影響される」という特性上、文章に正直なそのままを書けば書くほど危険になる可能性がある。

仮説② 実は特別収容プロトコルに嘘、ないし秘密があるよ

特別収容プロトコルは良く、「編集済」や「データ削除済」があってはいけないとされる。
これは、プロトコルは実際に行う手順であるから、それが不明なのは問題だという考えである。

…だが、SCP-3133SCP-2317のように、
「実行してもらう人には一部しか教えていないよ」という特別収容プロトコルも存在する。
その人がやる仕事はそれだけなので、他のことは一切言及しない、というわけだ。

グラフ博士の手紙を読む限り、職員には二重盲検のために2つのグループを用意させようと書かれている。
二重盲検というのは、特に医学の試験(治験など)で、実験しているものの効果を、対象者も観察者も知らない状態で行うというものである。
これらの実験では、実際に分析する人はまたさらに別にいるということになる。

今回の場合、ベーコンチーズバーガーの異常性を知らないけどそれを守っている存在がいるわけである。
他にも、起きる認識災害を知らないが、とりあえず通りかかった人に記憶処理をするグループについても言及されている。
これらはいずれも公式のプロトコル上ではぼかされている。
「ベーコンチーズバーガーの存在を知ること自体が異常性のトリガー」ということが推察される状況であるため、
実は担当者とされる人もベーコンチーズバーガーを知らない可能性があり、
おそらくは「封筒受け取っても開けないでね」と言われたりしているんだろう。

仮説③ そもそも「空中に浮くベーコンチーズバーガー」なんてないよ

報告書において一番重要なのはなんであろうか?オブジェクトの詳しい説明?
外宇宙にいる我々にとってはそうだろう。しかしである。
はっきり言って「知るだけでアウト」みたいなものが存在する財団世界で、
オブジェクト自体の説明はむしろ控えられていることが想定される。編集済とかいっぱいあるしね。

そういう世界なので、実際には特別収容プロトコルだけあればいいはずなのである。
「空中に浮くベーコンチーズバーガー」は実際には存在せず、別のオブジェクトの収容を行う上でのカバーストーリーとして
空中に浮くベーコンチーズバーガーなるものを創りだしたのだろう。

仮説④ 上述みたいなことを考えさせるための思わせぶりな手紙だよ

とまあいろいろ考えてみたものの、実際には本当にただ単に
「認識災害ベクターを持つだけの一般的なベーコンチーズバーガーが空中に浮いてる」だけのよくあるものの可能性もある。
あまりに普通すぎるのでたるんだりしないようにって手紙をあえてつけてるみたいな。

ただこの仮説は一番あり得ないと思われる。
そもそも手紙自体にアクセス権限が必要という時点でたるみそうな一般職員が見れるものではないわけで、
そんなところにわざわざダミーの手紙をつける意味が考えにくい。

一番可能性があると思われるのは③であろう。
このベーコンチーズバーガー、文章で読むだけでも多少影響される、と報告書では書かれている。
ならば実物を何らかの方法(添付写真)などで見てもそうだろう。
だから以下のような改変しまくった画像を添付してある、と書かれている。


画像出典:http://www.scp-wiki.net/scp-3808 ,by Communism will win,2018/02/11閲覧
この画像は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。
…冷静に考えてみよう。
あえてわざわざこんなサイケデリックな改変をするくらいなら載せなきゃいいんじゃね?
森のなかにベーコンチーズバーガーが浮遊している。
その状況を受け入れられるかはともかく、情景だけなら別に思い浮かべることは容易であろう。
であるにも関わらず、あえてわざわざ画像を改変してまで添付している。
これは存在を強く意識付けるため、もっといえば「カバーストーリーに説得力を持たせるため」と考えられないだろうか?

余談

グラフ博士はDi Molte VociSCP-2357にも登場している。
作者はこのベーコンチーズバーガーと同じくCommunism Will Win氏。

SCP-3808 - Bacon Cheeseburger That Demands Justification(正当化を要求するベーコンチーズバーガー)




CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-3808 - Bacon Cheeseburger That Demands Justification
by Communism Will Win
http://scp-wiki.net/scp-3808
http://ja.scp-wiki.net/scp-3808

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最終更新:2024年02月09日 22:51
添付ファイル

*1 アイ・ウェイウェイ。外宇宙でも実在の人物で、度々中国当局に妨害や拘禁を受けている。ちなみにこのオブジェクトの執筆者がCommunism Will Win氏なのだが何の皮肉なんだこれは?