デジタルカードゲーム(DCG)

登録日:2017/07/30 Sun 02:29:09
更新日:2024/01/04 Thu 00:11:02
所要時間:約 10 分で読めます




デジタルカードゲーム(DCG)とは、コンピュータやスマートデバイスの中でカードを用いてプレイするカードゲームである。
現実世界で紙のカードを用いてプレイするトレーディングカードゲーム(TCG)と区別するために呼ばれる。


●目次

概要

もともとソーシャルゲームの大半は「カードゲーム」を謳って制作されていることが多かったが(特に怪盗ロワイヤルとかモバマスのようなガラケー・スマホの移行の過渡期に出てきたもの)、
カードの持つテキストを活かして戦うというよりも、カードの持つ能力値を強化して戦うという、RPGに近いシステムが大多数を占めていた。
すなわち、これらはポピュラーなカードゲームたるTCGとは全く異なるゲームであった。
別にこれはソーシャルゲームが悪いわけではなく、単なるカードゲームの語義の取り違えなのだが。
一応この時期にもPCで遊べるカードゲームはいくつか存在したが、既存TCGのデジタル化やミニゲームに近いものが多かった。

しかしそれまで伸び悩んでいたカードバトルゲームがHearthstoneを広め役として人気になると、独自のルールで本格カードゲームを楽しめるビデオゲームというものが注目を集めるようになり、後に日本のShadowverseをはじめ多くの所謂「ハースフォロワー」が誕生。
デジタルカードゲーム(DCG)というジャンルがTCGから派生するに至った。多くにトレーディング要素が無いため、「T」を抜いてデジタルと足して「DCG」。
(トレーディングカードアーケードゲーム(TCAG)がアーケードではあるものの、紙も使うことからTを抜かないのと対照的である)
なお、英語圏ではTCAGとDCGをまとめてDCCG(Digital Collectible Card Game)またはOCCG(Online 〃)と呼称され、その他多くの言語でもこちらに準拠した名称となっている。

なお、『Magic Online』や『Magic: the Gathering Arena』、『遊戯王デュエルリンクス』や『遊戯王マスターデュエル』のような「既存のTCGのデジタル化」も、市場的にはDCGの一種である。
ただ話が膨らみすぎるため、以降は基本的にそれらについては除外して説明する。


デジタルカードゲームの特徴

まず、DCGもTCG同様にMagic the Gatheringからの影響が強く、そういったTCGの形を少なからず残したものがほとんどである。
更にソーシャルDCGの広め役*1ともいえる「Hearthstone」に大きく影響を受けたタイトルも多いのが特徴。
実際、世界中にそういう「ハースフォロワー」なDCGが溢れており、そうでないDCGの方が珍しい。
とはいえ安易な「ハースのパクリ」呼ばわり、否、そもそも安直にとりあえずなんでもパクリと見做す事自体、間違っても好ましい態度とは言えない。批評に際しては熟考を。

広義での『デジタルカードゲーム』

上記のように“ソーシャル型の”DCGの多くは「Hearthstone」を雛型としているのだが、
DCGを「デジタル機器を用いたデッキ構築型の対戦カードゲーム」とするならば、携帯ゲーム機のジャンルとしての歴史は長い。
カードバトルゲーム(CBG)と言えば聞き覚えのあるアニヲタもいなくはないだろう。
特にゲームボーイ版の「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」は遊戯王OCG以前に発売され、そのOCGの参考元にもなっている。
また、「カードヒーロー」はデジタルコンテンツということを活かしたシステムを有し、後のDCGの原型とも言える。
セガサターンで初登場した「カルドセプト」シリーズも長い歴史を持ち、何度も公式で全国大会が開催されてきた。

TCGとDCGの違い

DCGはTCGと違って、処理を全てプログラムに任せられるので、効果やルール絡みのトラブルは少ない。
また、TCGでは処理が難しい「ランダム効果*2」を自然に実現したり、ゲームを複雑化させてしまう「バフ/デバフ効果」(特に少数や割合を用いたり、乗算・除算を利用するもの)や紙では実現困難なカードを書き換える効果を無理なく搭載することも可能。処理が自動なのでゲームのテンポも良い。
戦況の変化がゲーム内で逐次アナウンスされるとともに試合の履歴を閲覧できるため、継続型の能力や残りライフポイントも細かく記録ないし記憶しておく必要がなくなる。
そして、インターネット対戦により友人がいなくても近くに相手がいなくても遊べたり、気軽に大会に参加できるなどの強みも多い。友人は付属しています
他にも、紙で印刷しない事もあってかカードテキストや能力のエラッタを簡単に行うことができるのも利点である*3
これにより、制限・禁止カードの発生や裁定の混乱を最小限に抑えることが可能となっている。
もう一つ、DCGではトレードがない代わりに「カードの分解・生成」というシステムが取り入れられていることが多い。不要なカードを分解する(俗語としては「砕く」)度に資材が貯まっていき、それを消費して任意のカードを生成できるというものである。これにより予算をTCG程要求されず、万が一エラッタや禁止があっても「分解時の資材量を増やす」、「お詫びとして資材を贈呈」という形でその補填を自然に行うことができる。

一方で、紙ではそのまま実装されるであろうルールやメカニズムがDCGではしばしば客受けの悪さを危惧して見送られたり簡略化して実装されている。
特に両プレイヤーの操作量が増えてテンポが悪くなることを防ぐため、相手ターン中に能動的な行動をできないようにしているDCGが多い。しかしTCG経験者、それもコアゲーマーからはそれが戦略性の低下につながっていると指摘されがちであり、一部タイトルでは苦肉の策として1ターンに出来る事を厳しく制限する事でテンポと戦略を両立させようとしている。
また、プログラムであるためにバグによって処理が正常に行われないことも稀に発生する。
加えて対戦中のアプリケーションや端末の強制シャットダウンや通信回線切断といった問題もある。
もっともこれはDCGに限ららない、オンライン対戦の不可避の持病だが。
前述のランダム効果については批判もある。多くのタイトルでは何が起こるか分からないカードが実装されており、先の予想を困難にしているためである。特に先駆者のハースストーンがこういったランダム性をルールの時点で重視している事もあり、ハースフォロワーの多くもその方針。そのためDCG自体がしばしば札束ゲー、(所謂トップ解決の頻度から)めんこ、(同様に)坊主めくりなどと揶揄される。
あとビリビリに破いたり素材を変えたり折りたたんだり匂いつきにしたり頭に乗せて一回転したり滑らせてぶつけたり投げ飛ばしたりQRコードを読んだりクロスワードパズルをその場で解いたり相手にカレーパンが好きかどうかを尋ねたりできない、Vジャンの半分くらいある大きさのカードとか対局時計にカード機能があるのとかが出せない、店頭で直接プロモーションカードを配布できない(シリアルコードの書かれた紙を配布or封入、で配布されることはある)など、欠点も結構多い。……ジョークカードじゃねーかって?言うな。

デジタルカードゲームの例

Hearthstone(2014年~)

日本での通称はハース。世界中で最も遊ばれているDCGであり、世界大会もある。e-sportsとしても盛んであり、競技シーン全体で見てもその規模は非常に大きい。
一番の大元がM:tGとはいえ、ランダム性の強いカードが非常に目立つ。が、いずれも絶妙なバランスの上に成り立っており、引きの良さなどの運を腐らせないプレイングスキルも求められる。
またPCから開発がはじまったとあってか、他と比べて長期戦が念頭に置かれる事も多く両者デッキ0の状態での攻防もまま起こりうる。
ゲームデザインとしてはM:tGと違ってスタンダードが4月頃にローテーションするのと、色に相当するクラスが9種と多めな為不遇と優遇が長期的にわかれやすい傾向にある。
挙げればキリがないがこのゲームから始まったシステムも多くがM:tGの影響下にあると言えるだろう。

DCGの中では歴史をそれなりに経ているため、M:tG同様ローテーションを採用している。
またストーリーモードを購入できたりなくなった代わりに新作が無料で遊べるようになったり、酒場の喧嘩という変種ルールでのプレイも可能となかなか凝っている。
もともとWarcraftシリーズの世界観をベースに作っているため、そちらからの影響も大きい。オークをはじめとした異種族山盛りなので絵が合わないと敬遠されたりする
全体的には紙のカードゲームから煩わしさを減らし、一般受けする要素を追加したゲームといった雰囲気。

Shadowverse(2016年~)

通称シャドバ。日本でのDCG及びハースフォロワーの代表格。
「カードゲームのソシャゲ」の古株であるところの神撃のバハムートの世界観をベースにしていることもあり、Hearthstoneと比べ可愛らしいあるいは艶美なカードが多いなどの理由から一時期は硬派なプレイヤーから敬遠されがちだったりしたが
独自要素である『進化』やアミュレットなどの存在、カードの制限枚数や異質な世界観の構築など、現在ではハースとは全く違う独自のゲーム性を評価され人気を博している。
美男美女ばかりの印象が強いが、中には洋物ファンタジー風の硬派なカードもあり、イラストの系統も幅広くなっており、その点も先述の敬遠から一転して再評価されだしている。
運営元のノウハウもあるのかハースストーンが日本では伸び悩んんでいる事を突いてか国内向けのマーケティングはかなり成功している。また日本において賞金制大会も開催されるなど今後も盛り上がっていく事も予想される。
CMに若手俳優が出てくることもまた人気を後押ししている。運だけの春日、実力の若林

とはいえマナレシオを完全に無視したぶっ飛んだスペックを持つカードが多いなどゲーム全体のカードパワーが他と比してパワフルで、
そのため環境が特定のデッキで染まりやすいなどの問題もないわけではない。
一応環境が偏りすぎた場合はナーフもといパワーレベル・エラッタが入り、現在は月一でカードテキストの見直しが行われている*4

リリースから1年半が経過したところでローテーションを導入。
とはいえ元々キャラゲーの側面が強いために全カード使用可能なルールも需要が高く、両方のフォーマットで調整が行われていくことになる。

Gwent

ポーランドの有名ゲームメーカー「CD Projekt RED」の看板タイトルであるWitcherシリーズのスピンオフ。
かなり独特なシステムを採用しており、カードゲームよりボードゲームに近いと言われる事もある。と言っても同じくデッキ構築要素のあるボドゲのドミニオンとも媒体含め大きく違うが
プレイヤーのHPではなくボード上のHPの合計で勝負する、毎ターンのドローがない代わりに初期手札が多い、2ラウンド先取制(ボード上以外はリセットされない)等が特徴。これらのシステムが激しい心理戦を必要するためプレイヤーの実力がかなり明確に反映される。
イラスト品質が非常に高い上、各カードに所謂ゴールデン版としてプレミアムカードが存在する。プレミアム版はよくあるエフェクトが追加されるタイプではなく、イラストの代わりに立体映像が表示される。カードを傾けて隅々まで見ることも可能。
プレイ報酬が極端に多い上、デッキに投入できるカードのレアリティが激しく制限されているためお財布にも優しい。
またe-Sportsにかなり力を入れており、賞金付きの大会も頻繁に開かれている。
……と、HearthStoneの対抗馬として非常に期待されていたものの、 2017年終わり頃からのアップデートやユーザー対応において多くの問題を起こし大炎上、開発陣が謝罪 までする結果となった。
これによって失った信頼を回復できるのかが今後注目されていくことになるだろう。

Eternal

デジタル版M:tGともあだ名されているゲーム。M:tGから大きな影響を受けているのが特徴なのでM:tGフォロワーとも言える。
ハースフォロワーとの違いは、マナ(Power)を増やすためにはPowerカードが必要、相手のターン中でも行動できる、デッキ枚数がやたら多い(75枚以上)等だろうか。これらの要素とカード効果が比較的決め打ちなのもあって読み合い要素が強い。
ゲームシステムの特徴としてはAI戦に力を入れている点や、シールド戦ができるモードの存在や独特で戦略性の高いドラフトモード等が挙げられる。
またこのゲームはイベントでピックしたカードはそのまま貰うことが出来る。勝ちを優先して有用なカードを選ぶか、資産を優先して価値の高いカードを選ぶかといった選択ができるのだ。
ちなみにこのゲーム、マイナー言語には対応していない=日本語未対応である。日本人のユーザー数は推して知るべし。M:tGA「こっちへおいでよ……」

WAR OF BRAINS(2016年12月2日〜2018年9月27日)

通称ウォーブレ。DCGの多くがファンタジー世界観をメインとしているのに対して、こちらはカードによってはそういったものもあるが、
割と世界観はバラバラで、近代的なメカも出れば神話やおとぎ話も出てきたり、熱血テニス選手や普通に現代の兵士も出てくる。

やはりハースフォロワーではあるが、ソウルバーストと呼ばれる能力や、音楽に力を入れた部分*5
タカラトミー×ホビージャパンというM:tGに縁のあるタッグなどが魅力。
あと何と言っても、前二者と違って「マナを増やすかわりにドロー」ということも可能であり、
ドローソースのない勢力でもアグロであればなんとかぶん回せたりする。

しかし一方で、制作発表からリリースまでに期間がかかりすぎて、合間でShadowverseが発表→リリースされたなどの事態に見舞われ、
リリース後も長期に渡りバグが多発するなど前途多難であった。
このためプレイヤーは少ないプレイヤー数を「ウォーブレ村」とたとえ、公式配信番組を「村の寄り合い」などと表現していた。
一時期は環境の固定化もあったりしたが調整でNerfを入れるなどで対応し、現在は五勢力がほぼ拮抗している。

…が、リリースから大分経った2017年7月にどういうわけかいきなりヒットし始め、公式もこれに合わせてリニューアルを発表。ファン達の必死の宣伝がようやく実を結んだか。
ハース・シャドバにないニッチな需要を得てきたウォーブレがどう対応していくのか目が離せない状況となっている。
…はずだったのだが、2018年9月27日のサービス終了がアナウンスされてしまった。

CODE OF JOKER

通称COJ。こちらは他のものとは違ってアーケードゲームとしてのDCGあるいは紙のいらないTCGと言える産物で、ハースフォロワーとはルールもまるで違うため、完全に別物。
稼働当初は通常のアーケードゲーム同様プレイにもコインが必要だったが、現在は基本無料のスタミナ制を導入。課金要素はスタミナ(要は試合プレイ権)の回復やカードパックの購入となっている。
電脳世界をモチーフにしており、科学の発展した近未来チックな世界観が特徴。あと地味に著名声優多数出演。

オーバーライドや、キャラクター固有のJOKERといった、DCGであることを最大限に活かしたシステムが多く搭載されている。
また、他のカードゲームと違い、デッキ切れによる敗北は存在しない。COJではデッキが0枚になると、そこから再びデッキが40枚補充され、墓地のカードが0枚になる。これをデッキの周回と呼ぶ。
このルールを活かし、ドローソース大量投入などでデッキを積極的に周回させ、キーカードを過労死させる多用するのをコンセプトにしたデッキも開発されている。最初期に「コスト1で、2枚引いて"から"手札から1枚捨てる*6」とかの結構なトンデモカードがあったのも大きい。
アーケードゲームという特性上、時間制限制があり1ターンの思考時間は1分、10ターン以内で決着が付かなければ判定というルールとなっている。

歴史もそれなりにあるため、ローテーションを導入している。
全国対戦では古いバージョンのカードを使用することができない。
もちろん、使用できるカードの範囲は「指定の登場バージョン+SPカード*7」として明示されている。

CODE OF JOKER Pocket(2017年1月5日〜2018年4月17日)

スマートフォン向けにも「CODE OF JOKER Pocket」という名称でリリースされていたが、2018年4月17日でサービスを終了した。

KARDS


Revolve(2017年5月30日〜2018年1月25日)

Revolve Act -S-(2018年8月15日〜2019年4月23日)


ゼノンザード(2019年9月10日~2021年2月18日)


ヴァンガードZERO(2019年12月5日~2023年6月30日)


ダークエリス(2022年12月28日~)



追記・修正は次のNerfを予想してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • DCG
  • TCG
  • Hearthstone
  • Shadowverse
  • WAR OF BRAINS
  • デジタルカードゲーム
  • PC
  • ソーシャルゲーム
  • DCCG
  • カードゲーム
  • ゲームジャンル

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月04日 00:11

*1 ハース以前にもこの形態のDCGは一応あったが、本格的な認知や人気の獲得にはハースが大きく関係している。

*2 TCGにおいてもコイントスやダイスロール、デッキの一番上をめくるなどで疑似的にランダム効果を実現しているケースはある。

*3 そのうち下方修正する形のパワーレベル・エラッタは「ナーフ/nerf」と俗称されている。

*4 ローテーション導入以降は緊急を要する場合に月末を待たず即座に修正を入れるようになった

*5 真面目に「BGMが変わることで発動する効果」が存在する

*6 引いたのを確認してから捨てられるため、外れドローならそのまま墓地へGOできる。コスト1で1枚アド自体は本ゲームでは普通の部類

*7 スタン落ちパックの中から特に重要なカードをリストアップしたもの。主に召喚時1枚ドローとかそういうの