ジェームス・シンプソン/ソフィア・マイルズ(ゴルゴ13)

登録日:2018/10/08 (月) 02:14:22
更新日:2024/03/11 Mon 17:04:15
所要時間:約 11 分で読めます






それでは……本日はこれで!




ジェームス・シンプソン、ソフィア・マイルズとは『ゴルゴ13』の106巻に収録されたエピソード『血液サンプルG』に登場するゲストキャラクター。

概要

ゴルゴ13の血液からルーツを探ろうとした科学者のコンビの男女。
シリーズで語り継がれるキャラは「強力なライバル」とか「ゴルゴと肉体関係を持った女性」と言ったポジションだが、このコンビはあくまでもゴルゴに対して害を与える行動こそしたがそのような立場ではない。
ところが、後述するとある理由でネタキャラとしてネット上で妙な人気を獲得した異例のキャラである。

ジェームス・シンプソン

◇概要

CIAのレスリーから依頼を受け、ゴルゴの血液を分析する役目を背負った血液学者の男性。

依頼を受けてから1年半も待たされた後にゴルゴの血液が手に入ったことで、ついに依頼の実行に移る。
CIAの一部予算提供によって実現した充実なデータバンクと独自のコンピューターで血液解析を成し遂げようとする。

CIAも認める程に弁舌に長けた人物で、実際に本作でもシンプソンの台詞はかなり長い。
血液型による性格判断に関しては否定的な姿勢だが、統計学的な面なども考慮して完全否定まではしていないなど柔軟な姿勢も見せる。
助手であるソフィアの疲労に気を使っている他、パートナーとの情報交換の大切さを日ごろから説いていたとの話から、優しい面もある。

一方で「第二次大戦時の日本人は軟弱な風貌ではなかった」など、人種に関してやや偏見的な発言もしている。
ただしこれに関してはフォローしておくと、「日本人は軟弱な風貌」という思想に基づいてレスリーが提唱した「日本軍の侵攻による混乱を乗り越えた中国東北部の部族説」というゴルゴ非日本人ルーツ説に対し、ゴルゴ日本ルーツ説を否定しないための台詞ではあるのだが。

実はゴルゴのルーツを探る依頼を受けた理由は、CIAの援助を受け続ける条件の一つだったためである。
ところが、病院に隔離中のゴルゴから警告の電話を入れられて脅されていた。

◇劇中の活躍

ゴルゴの出生を探る任務の危険を感じながらもソフィアから手に入れたゴルゴの血液を解析し続け、ついにコンピューターから90%の血液が排除する。
ゴルゴのルーツが「バイカル湖周辺」「札幌」「東京」「大阪」「福岡」の地域にあることまで探り、日本列島かバイカル湖周辺の血族ということまで把握。
95%の血液が除外されるのに1時間程度費やすとソフィアから聞き、調査結果を知らせるためにレスリーを呼び出す。

ところが、ゴルゴはイヤホンからシンプソンとレスリーの電話を盗聴しており、ルーツ解析が完了したと知ってシンプソンに「有罪」の判決を下す。
ゴルゴが狙撃で電柱の電線を切り裂いたことで医学研究室も電気が落ち、コンピューターを巻き込んで停電してしまう。
結果判明寸前の状況とバックアップの発電機が作動しない事から、焦り気味になるシンプソン。
研究室が停電するというあってはならない状況に憤りながら部屋を照らすためにカーテンを開けるが、電源が落ちたことで保存していたサンプル血液が融けてしまう危険性が出たことに気が付く。

重要な研究材料の不安定な状況に電源の復旧に時間がかかる可能性から不安を隠せないが、ソフィアによるクーラーボックスに保存して電源が別な病院へ輸送する提案に同意。
ゴルゴの血液が入った試験管を取り出して掲げながら、CIAを離れさせないためにゴルゴの血液を守る決意を語るが、その瞬間に研究室の窓ガラスの外からのゴルゴの射撃によって試験管を破壊されて血液を失ってしまう。
シンプソンは驚くが、その次の反応を起こす暇もなく今度は脳天に弾丸を撃ち込まれて死亡した。

ソフィア・マイルズ

◇概要

シンプソンの助手の女性で、看護婦としてゴルゴから血液を採取した。

シンプソンからは「血液分析に関して右に出る者はいない」とその技能を高く評価されている。
シンプソンとは作中の各台詞などから関係性はかなり良好な様子が見て取れる。

血液を採取したはいいが、ゴルゴの威圧感に圧された事が原因で採取の際の挙動が不自然になる。
その結果、ゴルゴが血液検査に大きく疑念を抱く理由に繋がってしまった。
当初はゴルゴが何者かは知らされていなかったが、ゴルゴ自身の威圧感や部外者が知れないはずの研究室の電話に掛けてきた行動などから大体の正体を察する。

ゴルゴの人物像やシンプソンが危険な任務を背負わされている事を察知しても、博士への信頼感や危険故に逆にやる気がわくという異常性も見せて仕事を続ける。
後述するがとある理由でシンプソンはネタキャラになってしまったが、ゴルゴへの最終的な対応と言い、作中だけで見ればどちらかと言えばソフィアの方がネタ的な行動を見せている。

ゴルゴ世界では数少ないゴルゴの人種的ルーツの正体を把握した人物である。まあ確認直後に死亡したので把握もクソもないレベルだが…。

◇劇中の活躍

看護婦としてゴルゴに接触して血液を獲得し、シンプソンと共に血液の調査に出る。
ところがついにゴルゴに狙われて殺害されたシンプソンの姿を見て、悲鳴と同時に事態の把握が出来ず混乱するが、ゴルゴの仕業であることを悟る。

自分は何も知らない、血液には興味がないとのジェスチャーをして窓の向こうの存在に訴えるソフィア。
命乞いをするソフィアを確認(ゴルゴは高度すぎる読唇術もあるので、発言も読み取れる)したゴルゴは、猶予を与えたのか何か思考しながら動きを止める。
ところが命乞いの最中に電力供給が回復したことで研究室には電気の灯が舞い戻り、コンピューターが再起動してゴルゴの人種の答えを表示する。

その光点を見たソフィアはゴルゴのルーツを知って驚愕の表情を浮かべる。
そして窓の向こう側にいるゴルゴにルーツが分かったと知らせ、ゴルゴのルーツを言いかけるソフィア。
ゴルゴは何か思考した直後に窓ガラスに三発目の弾丸を発射し、ソフィアの脳天にそれが直撃して死亡した。

シンプソンの探ったルーツについて

シンプソンはゴルゴの人種的なルーツが科学的に示すことに成功したが、その示す結果は読者の視点からは見えずに終わっている。
では、科学の力で導き出した答えは一体何だったのだろうか?
その点をシンプソンが示したデータを元に考察してみよう。

データは作中で以下のようにゴルゴに縁のある地域が示されると同時に絞られてゆく。

「バイカル湖周辺」「樺太」「日本」「朝鮮半島」「中国東北部」「モンゴル北部」

「バイカル湖周辺」「樺太」「日本」「中国東北部」

「バイカル湖周辺」「札幌」「東京」「大阪」「福岡」

最終的にはバイカル湖周辺と日本の主要都市4つのどれかに縁があることまでは確定している。
日系人説なら「バイカル湖+日本の都市4つのどれか」に親が通じている事になる。

かなり重要な情報なはずなのだが、これでゴルゴのルーツを絞り込むのは困難を極める。
何故なら、シンプソンの登場以前に描かれたゴルゴのルーツ疑惑では、「ゴルゴ候補」となっている人物はこのデータと人種的に大きく矛盾しないからである。
ルーツ候補の人種的組み合わせは、大雑把に見ると「日本人同士」「ロシア人+日本人」「日本人+中国人+ロシア人」「日本人+ユダヤ人」という分類。
日本人以外のハーフ説にしても、バイカル湖にルーツを持てる人種になる。

こう見ると、シンプソンのデータは「ルーツを絞り込む」よりも「ルーツ候補の信憑性を高める」情報としての存在意義が大きい。

と言っても「ゴルゴのルーツは結局闇の中……」という結論では、ゴルゴファンなら「知ってる」で終わってしまうオチになる。
という訳で、ゴルゴの両親候補の人種を更に詳細に読み取ることにすると、以下のルーツ説に疑問が生まれる。

  • 『河豚の季節(とき)
「日本人+ユダヤ人」の組み合わせであり、本作のデータと矛盾するという説はある。
しかし、ユダヤ人自体が人種的な経緯でロシア系の血を持っている可能性は十分考えられるため、決定的な否定説にはならない。
尤も、河豚の季節はゴルゴ候補の行方不明時期とゴルゴの活動時期が噛み合わないという矛盾があるのだが。

  • 『芹沢家殺人事件』『日本人・東研作』
「本作のデータはゴルゴの純日本人説を弱めるのではないか?」という見方もある。
ルーツ地域の最終候補の時点で日本から離れた「バイカル湖」が残っており、これは純日本人としては考えにくく、実質ハーフである事を確定させているとする説である。
ただし、確定時の地図の光点が一か所に集中しているという描写もあり、逆に純日本人とも見れなくもない。
何故なら、バイカル湖の人種と日本人のハーフならば地図の光点が散らばるはずだとも解釈出来る……コンピューターの確定表示の仕様が不明なので何とも言えないが。

「日本人+中国人+ロシア人」とデータ的に矛盾しない組み合わせだが、これも少し怪しい部分がある。
こちらのゴルゴ候補の血筋は詳細に見ると「日中ハーフ+ロマノフ王朝ルーツのロシア人」になる。
実は本作のゴルゴ候補の祖母は「清朝の末裔」であり、バイカル湖周辺の中国人とは考えにくい面も。
ついでにロマノフ家もプロイセン地方をルーツに持っていて純粋なロシア人とは言いにくく、データの地図にプロイセンなどの地域が示されないと違和感がある。

  • 『すべて人民のもの』
「日本人+ロシア人」だが、こちらも「ロマノフ王朝末裔のロシア人」である。
『蒼狼漂う果て』同様、ロマノフ王朝の血筋ならバイカル湖との繋がりがやや怪しい面がある。
ただし、こちらも『河豚の季節』同様に出生時の年齢と活動開始時期に違和感があるという指摘も出ている。

上記の少しでも信憑性が落ちたルーツ説をゴルゴのルーツ候補から除外。
更に『おろしや間諜伝説』『禿鷲伝説』のように「ゴルゴではないと別人物から発言があった上にそれを否定する描写もない」作品も省く。

そうすると「シンプソンのデータとルーツ説の両親の人種に完全に矛盾しない上で否定発言もない作品」なのは、『毛沢東の遺言』という結論になる。
こちらはゴルゴ候補の両親は「ロシア人と日本人のハーフ+チンギスハーンの末裔」であり、完全に本作の分析結果と噛み合う。
結果として、「ゴルゴ13=東郷狂介」説の信憑性がシンプソンの研究で一番強化されたという形になるだろう。

しかし、作中のシンプソンの発言にもあるように、本エピソード以上に精細な新しい血液分析手段が未来に生まれる可能性が言及されている。
つまりこの血液分析が100%絶対のデータではなく、今後万が一新たにルーツの核心に触れる説が生まれれば、シンプソンのデータと矛盾する可能性もなくはない。

一つ確実に言えるのは、ゴルゴの血液は腸チフス検査以外に使うべきではないという事だけである。

ネタキャラ化

シンプソン博士の出演エピソード『血液サンプルG』はゴルゴのルーツものということもあり、ファン的には資料としての価値は高い。
ただし、エピソードはともかく、シンプソン自体はゴルゴシリーズ特有の使い捨てのゲストキャラクターの一人でしかない。
シンプソン博士もゴルゴの血液からルーツを探るという任務はともかく、性格的にはこれと言ったインパクトはないキャラではある。

ところが、出演エピソードの知名度以上に、シンプソン博士はネット上で無駄に知名度が高いキャラと化してしまった

理由は劇中でシンプソン博士が「本日のテーマと違う専門外の質問をされても動じずに血液型による性格診断に関する見解を述べる場面」である。
この場面が何故か「特殊性癖に関する質問をされ、戸惑いながらも性癖の見解を述べる」という場面に改変したコラ画像が作られたのだ。
それがネット上の一部で広まり、結果としてシンプソン博士は知名度を上げるに至った。
「10年後にはドラゴンカーセックスも一般性癖という認識を口にするシンプソン博士」のインパクトも凄い。

ゴルゴを読まずにこの場面だけ見た人からは「何故かゴルゴの血液を欲しがっている特殊性癖に詳しい血液学者」と認識する人もいる。

余談

  • シンプソン博士は血液型占いに関して否定的な人物だが、漫画の作者であるさいとう・たかをは血液型による性格診断の信奉者として知られている。





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最終更新:2024年03月11日 17:04