登録日:2013/10/28 Mon 20:44:17
更新日:2025/04/15 Tue 23:05:58
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ヘッドホン/イヤホンは耳から音声を聴くことを目的にしている音響機器である。ヘッドフォン/イヤフォンとも。
○概要
元々は頭に乗せるオーバーヘッド型のみが作られていたが、1980年代以降に耳元だけ覆うインナーイヤーヘッドホンが登場。
これらは俗にイヤホンとして区別されるようになり、以降はヘッドホンと言うとオーバーヘッド型の意味合いが強くなった。
アニヲタ諸氏ならばアニメを見るため、アニソンを聞くため、ゲームをするため、1台は所持しているだろう。
携帯電話やボイスチャットが普及してからは通話目的にマイク機能を備えた物も多い。
元々は有線式のみだったが、無線化技術の進歩に伴いBluetoothを使用した無線式も登場。
二次元なんかだと、目に見えてキャラの記号になる
ヘッドホンの方が好まれており、イラストなどに使われにくい。耳が隠れてるキャラだとケーブルが見えるだけだしね。
しかしイヤホンシェアという王道シチュも熱い。近年では現実世界での無線イヤホンの普及に合わせて、現代が舞台ならばキャラが無線イヤホンをしている場面も見かけるようになってきている。
○有線/無線式の違い
どちらにも明確な長所と短所があるので、自分がイヤホンに何を求めるか、どういうスタンスでの利用を想定しているかを吟味した上で選ぶと良いだろう。
有線式
イヤホンもヘッドホンもここから始まった。皆さまご存じ、本体にプレーヤーからのアナログ信号を伝えるケーブルが伸びたアレである。
オーディオ用はもちろん、片耳分のみのテレビ・ラジオ用なんかもある。
近年は無線化技術の進歩に伴いBluetoothを使用した無線式
(所謂『ワイヤレスイヤホン/ヘッドホン』)が台頭し、更なる高性能化が進むにつれてこちらが主流になっていき、
スマホなんかでもイヤホンジャックが廃止されるなど一般的には影が薄くなりつつあるが、それでも有線だからこその利点も決して少なくなく、オーディオマニアやゲーマーを中心に一定の需要は保たれている。
【長所】
- プレーヤーからのアナログ信号をそのまま本体に送れる&イヤホン本体のスペース全てを音質に割ける為、2025年現在は音質を極限まで求める場合有線式の方が優れている。
- 同価格帯のイヤホンを比べた場合も有線式に軍配が上がる(無線式の場合、バッテリーやアンテナにもある程度筐体スペースを割かなければならない為、有線式に比べるとどうしても音質に全振りした設計には出来ない)。
- 規格や環境に左右される無線式と違い音を一律かつ瞬時に本体に送れる為遅延が発生しない。動画やゲーム(特に音ゲー)をストレス無しで楽しみたい場合も有線式を選ぶのが確実。
- イヤホン個別のバッテリー管理が求められる無線式と違い、プレーヤーが生きてる限りいくらでも音楽が聴けるので管理が楽。
- プラグさえあれば、とりあえず挿すだけでも使用できるので特別な知識を必要としない。
【短所】
- 取り回しを確保する為どうしてもケーブル自体が細く強度も弱めで、屋外で歩きながら聴いたりしているとケーブルへの負担が蓄積して断線のリスクが常に付きまとう。断線すると基本的にどんなにフラッグシップ機種であろうと価値が激減してしまう。
- ケーブルが交換出来る(所謂『リケーブル』)形式のものが登場し、ある程度リスクは緩和されつつある。
- 比較的短いケーブルなので、とにかく絡まりやすく線の細さゆえほどくのも一苦労でストレスが溜まる。
- ケーブルが体に当たるなどして発生する『タッチノイズ』の影響を受けやすい。気になる人はこれだけで有線式に見向きもしたがらない程
- 形式上音質はプレーヤー(上流)のクオリティに大きく依存する為、イヤホンだけ高いのを購入して適当なスマホやゲーム機に挿しても本領を発揮しない事が殆ど。高音質を求める場合相応のスペックのプレーヤーやアンプなどもしっかり揃えなければならず、金と知識と何よりその行程そのものも愉しめる情熱が必要。
- 近年のスマホにはイヤホンジャックが搭載されていない物が増えているため、別途USB変換アダプターが必要。
無線式
ワイヤレスとも言う。比較的新しく生まれた形式であり、その名の通りケーブルが無く本体のみ。イヤホンとプレーヤーをBluetoothで接続する事によりケーブルレスで音楽が聴ける手軽さが強み。
ケーブルにまつわるあらゆる短所から解放されるため、今まではイヤホンを敬遠していた人もワイヤレスならと愛用しているパターンも多い。
発売当初は接続強度やバッテリー、音質面での制約の厳しさから敬遠されがちだったが、損失の少ない・接続強度の改善された新たなコーデックの普及やイヤホン自体の改良もあってどんどん敷居が下がっていき、低価格化も相まって市場では無線式の方が主流になりつつある。
音質面での制約も、音質を重視した接続規格や音質を突き詰めた高級志向のイヤホンも多く出ており、日常生活で使用する分には必要十分な音質を備えている。
ただしワイヤレス形式だからこその欠点もあり、これらを嫌いワイヤレスは邪道とみなす人も少なくない。
【長所】
- ケーブルに絡むあらゆる問題から解放される事。断線、絡み、プラグ云々のしがらみと無縁でいられるというのは精神衛生上非常に大きい。無線式を選ぶ最大のメリットと言っても過言ではない。
- 基本的に音質はイヤホン本体と接続コーデックの2点のみに依存するので、『そこそこのレベル』を求めるなら無線式が圧倒的に便利かつ手軽。お持ちのスマホがLDACなどに対応していれば、有線式のようにかさばるプレーヤーやアンプを別個に持たずとも手軽にストリーミング楽曲を高音質に楽しめる。
- 小型かつ軽量であり、持ち運びがしやすい。
- 多くの機種がスマートフォンやパソコンなどに繋いで日常生活で使用することを前提にしているため、外音取り込みやノイズキャンセリングなど豊富な機能を備えている。
【短所】
- 本体を駆動させる為バッテリーが内蔵されているのだが、これが切れると何も出来なくなる為デバイスの充電管理の手間が増えてしまう。
- 充電を忘れたまま出かけて途中でバッテリーが切れてテンションダダ下がり、な憂き目に遭った人も多いだろう。
- 動作自体がバッテリーに依存している為バッテリーが劣化・破損すると長時間の使用ができなくなる、最悪起動しなくなるなどの問題も起こる。
- 只、ヘッドホンの場合はAUX端子入力やUSBによる有線接続に対応している物もあるので、有線式として使うことも可能。
- 完全分離式でケーブルが繋がっていない物は万一落とすとそのまま失くしやすい。
- 都会の人混みの中などでは、混線による音切れなどが発生しやすくストレスが溜まりがち。特に音質重視の接続をしていると顕著。
- 送信側の筐体材質や構造、無線アンテナの品質によってはBluetooth通信の安定性に難がある場合もある。
- 現時点では、楽曲データを一切の損失無しにヘッドホンに送る規格が存在しない為、『徹底的に』音質面を突き詰める際にボトルネックとなる可能性がある。ビット損失や量子化レートが通信規格に依存してしまうことが無線式の弱み。とはいえ有線イヤホンではケーブルの長さや端子が音質低下の原因となりうること、そこそこ高級な無線式イヤホンでは混線がなければほぼほぼビット・パーフェクトになることを考えると、音質関係は非常に難しいのだが。規格のみならず必然的にイヤホン内蔵のアンプしか使えないため、プレーヤーのDACやアンプによる恩恵も受けられない。
- それ以外にも、同じ値段帯では有線式と比較するとバッテリーやアンテナなどにもスペースを割かねばならない都合上どうしても音のランクが下がってしまう。
- 近年では対策されつつあるが、有線式に比べると音に遅延が生じやすい。動画やゲーム目的の場合音ズレが発生して没入感が削がれる事も。規格や設定次第で対処療法的に解消するかもしれないが、恒久的な解決とは言い難い。
- 終始快適に使いたいなら、単にプラグに挿せば安定して聴ける有線式と違いある程度無線規格についての知識が必要となる。
- 無線接続に対応していないプレーヤーでは使用することができない。
○基本的な部品
ケーブル・プラグ(有線式)
ヘッドホン・イヤホンの要にして、ダメにする原因ぶっちぎりナンバーワンの部分。
誰もが一度は断線を味わった経験があるだろう。「イヤホンは消耗品だから高いのなんて買ってられるか」と敬遠させる最大の原因。
ちょっと奮発して購入した万越えの高いイヤホンが断線して呆気なくゴミになる絶望は筆舌にしがたいものがある。
しかし最近はケーブルを脱着でき、断線してもケーブルを交換するだけで再び使えるイヤホン(所謂「リケーブル」)もあり、対策が進んでいる。
左右で同じ長さのタイプ(Y型)と、片方だけが長いタイプ(U型)がある。
使用感については首に回す派か回さない派かでも変わるが一長一短。Y型は厳密に言うと左右で長さが変わることから音質が左右で変わるという事もあり、近年では殆どY型になっている。
ただヘッドホンに関しては今でもU型というかハウジングの片方にゲーブルを一度入れて、もう片方はヘッドバンドを通して配線という物が多い。
それとそもそもプラグについてはどうしてもほこりや抜き差しによるメッキ剥げによる接続不良などでダメになっていくため、
潤滑剤(接点復活剤)を塗布しながら拭き取ったり抜き差しすれば復活することも多い。
そこまで危険なものではないが換気に気を付ける、電源を止めた状態で作業する、材質によっては色落ちや劣化を招くので対象部分以外にはなるべく付けないなど、作業の際はそれなりに注意。
過度の抜き差しはプラグは勿論端子の寿命も縮めるので避けよう。
プラグにも規格により色々な大きさや種類があり、標準の3.5mmや6.3mm、主にバランス接続に使われる2.5mmや4.4mmがある。
通常は3極(プラグの線が3本)だが、リモコン用の信号をやりとりするために極を追加した4極や、R側とL側の音を完全に分離するバランス接続用の4~5極がある。
近年はGND分離やバランス接続の普及&質のいいケーブルの登場によりオーディオマニアの間ではブームになっている。
曲げや引っ張りに非常に強い編み込み形のケーブルや、一般的なケーブルより多くの線を使ったり材質に極めて高い純度の単結晶銅や純銀、果てはその純銀に金メッキやパラジウムメッキなどでコーティングしたりプラグ自体の品質にもこだわったりした豪華なものも各メーカーがこぞって出しており、3万円を越えて10万円以上のケーブルまでちらほら見かけるようになった。
ただ、実際の所を言うとケーブルの線材を変えたところで人間に聞き取れる程の違いは殆ど生まれない為、余程に敏感な人以外はリケーブルに音質の変化を期待するのはやめた方がいい。音質向上の為にケーブルにお金を掛けるくらいならイヤーチップに投資した方が遥かに効果的である。
なので、リケーブルの意義としては耐久力の向上やマイク機能の追加、バランス接続への対応、自分好みのデザインへのカスタマイズ……といった利便性の向上や装飾性による所が大きいと言える。
それでもケーブルに高い金なんて出す気になれない、という人もご安心を。Amazonなら3000円も出せば質の良い中華ケーブルがごまんと売られている。2000円台のものも多くある。
あと、ケーブルにもプラグとは別にイヤホンに接続するための端子があるが、これもmmcxや2PINなど幾つか種類があるので、購入の際はお使いのイヤホンの端子の確認を入念に。丸っこい溝的なものは大体mmcx、オス側が二本の線になってるのが2PINと思ってもらって良い(例外あるが)。
いちいちケーブルを取り換えるのが面倒、という人はアンバランスをバランスプラグに変換できるコネクタもあるのでそれを活用しても良い。ただし実店舗だと安くて5000円以上、数万円を越える流石にボッタクリ市場なのでこちらはAmazonなどで買うのが吉。2000円前後のものが各種揃っている。
それでもコネクタのクセにお高い…と思うかもしれないがバランス接続の結線は普通のイヤホンの結線より複雑なのでコストが上がるのは仕方がない。とはいえ、こちらも大体編み込みケーブルなので断線しにくく長期間使用できるため案外元は取れる。
リケーブルとは少し違うが同じ要領で交換して接続するBluetoothレシーバーも存在しており、お気に入りの有線イヤホンを無線化させることも可能。電池が劣化しても交換すれば良いのでこちらも経済的には良いかもしれない…。
上にも記したが、ケーブルは消耗品なので使っていればいずれ負担によって断線する運命からは逃れられない。
だが、使い方にさえ気を付ければ寿命を大幅に伸ばせる。以下のことに気を付けるだけでもかなり変わる。
- プレーヤーにイヤホンを直接差さず、短い延長ケーブルを噛ませる(プラグの根本に一番負担がかかるため)。
- しまう時はプレーヤーに巻き付けず、ちゃんと結ぶかケースにしまう(筐体の角に添って負担がかかるので)。
- イヤホンをしたまま寝落ちしない(寝返りなどによりケーブルに多大な負担がかかる)。
- 両耳への分岐部の根本を少しテープなどで固定する(こちらもかなり断線しやすい箇所である)。
万一断線してしまっても、オーディオ専門店であるe☆イヤホンなんかでは独自の修理サービスを展開している。
数千円レベルの安いイヤホンは素直に買い替えた方が得だが、万越えのイヤホンとなるとそれはためらわれる…という人は利用してみると良い。
Bluetoothコーデック(無線式のみ)
コーデックは日本語に訳すと「復号器」の意味。音響機器の場合は無線に変換した音を再生するための規格の意味で使う。
コーデックは複数の規格が存在する。基本的に接続する側とされる側の双方が同じ規格に対応していないとそのコーデックで接続はできない。
なので購入する前に自分が使いたい機器とイヤホンの対応コーデックを必ず確認すべし。
- ・SBC
- Bluetooth式イヤホンの基本的かつグレードの低い規格で、音の劣化や遅延は最も起きやすい。実質全ての無線イヤホンが対応しているが、ディスカウントショップで売られているような安物の場合殆どがこの規格しか使えない。
- ・AAC
- 主にiPhone等のApple製品で採用される上位規格で、劣化や遅延もSBCとは雲泥の差。寧ろiPhoneはこれとSBCしか対応しないので、無線で良い音を聞きたければこれ一択となる。一応、Androidも機種によってはこれに対応している。
- ・apt-X
- iPhoneがAACとくれば、こちらはAndroidスマホでよく採用され、音質・遅延の程度もほぼ互角。
- 更に派生として、遅延より音質優先の「HD」、転送速度優先の「LL」、いいとこ取り(実質apt−Xの最上位規格)だが対応機種は最も少ない「Adaptive」という規格もある。
- 無線でゲームをしたい場合がこれが無難。
- ・LDAC
- ウォークマンの生みの親であるSONYが開発した、とにかく音質に特化した規格。SBC並に遅延は目立つものの、音質は無線規格の中ではぶっちぎりで良く、ハイレゾ音源にも対応可能。
- SONY製品は勿論、Androidもapt-Xの次位に対応する機種が多い。
ドライバー
イヤホンの音を出す部分。現在イヤホンで使われているドライバーは以下の4種類が主流。
スピーカーと同じ原理で音を出す形式。たまに「D型」と略される。
ノウハウもあり安く作れるので、長年ヘッドホン・イヤホンの基本として採用され続けている。
基本的にドライバーが大きければ大きいほど良い音が出せるので、同じ価格帯ならヘッドホンやスピーカーの方が音が良い傾向にある。
が、大きいと装着感が悪くなりがち。中にはドライバーを複数搭載した物もある。
相対的に音域が広く、低音も出せて迫力があるが、音の繊細さでは同価格のBA型に劣る傾向にある。例外はあるけど。
また、音抜けを良くするために空気の抜け穴が必要なので、音漏れが生じたり遮音性に難があったりすることも。
ダイナミック型の派生で振動板全体を均一に反響させて鳴らす。音の歪みが少なくスッキリとした音になる傾向がある。
強力な磁石で実現する平面駆動型と電気で行う静電気(コンデンサー)型に分かれるが、どちらも他の駆動タイプより突出してお値段は高め。
平面駆動型ならインピーダンス8Ωクラスから存在するため並のポータブルプレーヤーでも鳴らすことはできるが、物によっては音量を最大まで上げても碌に鳴らせず(音量が取れなかったり露骨に音が痩せるなど)、かなり機種を選ぶ。メーカーによってはご丁寧に『当製品は並のプレーヤーでは本領を発揮出来ませんよ』と注意書きを添えてるほど。
本格的なものになると据置きコンポやヘッドホンアンプと併用しなければ到底本領を発揮出来ないという代物も存在する。
静電気型の要求スペックに至ってはもはやインピーダンス云々だからとかそういう次元でないため、専用のアンプとセットでないと鳴らないレベル。
総じて相応の初期投資や機器知識が求められるため、腰を据えた玄人向けな駆動形式である。
補聴器に使われていた形式。「BA型」と略されることも。
カナル型と共に近年人気を伸ばしつつある。前は1万円以上のものがほとんどだったが、ここの所は廉価なモデルも増えつつある。
ドライバーがダイナミック型と比べて非常に小型。比較的繊細な音が出せるが、音域が狭く低音・迫力面もやや苦手。
なので高級モデルでは複数のドライバーを搭載して音域を広くしたりする。
数年前は多くて片側2~3ドライバー程度だったが、最近では2桁搭載のモデルも出てきている。
ただし複数のドライバーを積むと各ドライバーの音が重なる部分が生まれてしまい、音が濁りがちになる。
そのためドライバーの数=音質、になるとは限らず、高級品だと単独ドライバーでも下手な多段ドライバーより良い音を出す製品もある。
やたら値段が安いのにドライバーの数を売りにしている所謂「多ドラ中華イヤホン」などは要注意である。
もちろん、色々対策はされているし気にならない人は気にならないが、比べるとシングルドライバーのがクリアに聞こえやすい。
空気の抜け穴が特に必要無いので基本的に密閉構造で作られており、遮音性や音漏れ防止に優れる。
ヘッドホンに関してはダイナミックドライバーの調整で事が足りるので存在しない。
この方式のイヤホンはどこからかBAドライバーを仕入れてくれば自作も可能。ドライバーを選んだり、コンデンサ等で自作した周波数フィルターを組み合わせるなどして好みの音質を追求する愛好家もいる。ハウジングはレジンや3Dプリンターでどうぞ。
ダイナミック型とBA型のどちらのいい所どりを目指した物。BA型同様にイヤホンのみ存在する。また、近年は平面駆動型と組み合わせたものや、3種類以上のドライバーを兼ね備えたものまで出現している。
比較的新しいタイプゆえ数はそう多くなく、廉価なモデルだとどっちつかずの器用貧乏でしかない音であることも。だがハマればある程度の音場を維持しながらきらびやかな高音から迫力のある低音までそつなく鳴らす無敵の万能戦士である。
ハウジング
イヤホンのドライバーを収めている部分。
プラスチックだったり金属だったり木だったりと色々。高級イヤホンだとこういった所の外装にも拘っており結構豪華。
耳に直接触れる部分なので、装着感を大きく左右する。また素材や内部の構造で音に変化が生まれる。
ハウジングが閉じられている物。外部の音から遮断されるので音に集中しやすく低音域にも強い。
その反面、音はどうしてもこもってしまうので安物と高級機で音質の差が出やすい。
逆に言えば音漏れがしにくいため、音声の録音時に使う業務用も多く製造されている。
ほとんどのイヤホン・ヘッドホンはこっちに分類される。
ハウジングが閉じられていない物。音がこもらないので伸びやかな音になる(特に高音域)。
ただ音がダダ漏れなので屋外・公共の場で使うのには適さない。
その性質上、無線式は(イヤホンには存在するものの)ヘッドホンではほぼ発売されておらず、自宅で使うことが前提になっている。
20年ほど前にはポーダブルタイプで開放型という何か間違ったジャンルのヘッドホンも一応あった。
穴が少なめで低音により強くなった半開放型も存在する。
イヤーチップ・イヤーパッド
イヤーチップはイヤホンの先っちょについてる物、イヤーパッドはヘッドホンで直接耳に触れる部分。
素材としてはイヤーチップはシリコンやウレタン等、イヤーパッドは布や合皮が多い。
色んな形状やサイズがあるので、自分に合うものを探すのもよし。
これがフィットするとしないとでは遮音性と音質が天と地。
イヤホンの場合は影響が大きくイヤーチップによっては音も多少変化する(高音がチップに吸収されて抑えられるとか)。
なので、一度聴いて合わない!と思ってもあきらめずに他のサイズのイヤーチップを試してみたら一変する場合もある。
形状
ヘッドバンド型とも。ヘッドホンの元祖にして基本形。
携帯性重視で折り畳み機構を設けている物もある。
DJ用の場合ハウジングが縦か横に回転して片耳でのモニターがしやすくなっているものがほとんど。
耳たぶに挟む形で装着する。
ヘッドホンよりはコンパクトで、大きくできるので音質も良いが、形が合わないと耳から浮いたり外れやすいのが難点。遮音性も低めなのでどちらかと言えば家用向きか。
元祖イヤホン。耳のくぼみに乗っける形の少し前まで主流だった形状。有名どころだとApple純正イヤホンのEarPodsはこれに該当する。
構造上、音が漏れやすい上に遮音性も低いが、音がこもらないので開放感があるのが利点。
基本的には遮音性・音漏れ防止に優れるカナル型の方が人気だが、カナル型の装着感が気に入らない層からは依然支持されている。
耳の穴にイヤーチップを突っこむ形のイヤホン。所謂「耳栓型」で現在のイヤホンの主流。
インナーイヤーと比較して遮音性や音漏れ防止に優れ、耳の奥に差し込むため音質的にも良い感じ。ただしチップが耳の穴にフィットするので圧迫感を感じて嫌う人もいる。
また装着中にケーブルが何かにあたるとけっこうノイズ(タッチノイズ)がする。近年はケーブルも対策されつつあるがそれでも多少は聞こえてしまう。
近年採用されている形式で、従来のイヤホン、ヘッドホンは鼓膜を振動させて音を伝えるが、骨伝導イヤホンは鼓膜ではなく骨や軟骨を振動させて音を伝えるため、耳の穴をふさがずに音を聞くことが出来る。
これによって従来の形式での『耳を塞ぐ事』によるあらゆるデメリットから解放されながら音楽に集中できるようになる他、鼓膜に影響をもたらさない為難聴のリスクも低い。
ただし耳に挿入しない関係上音漏れが相当激しいので、公共の場での利用はオススメしがたい欠点もある。
本体やケーブルからはみ出る形で通常よりも大きなマイクが付いた物。
コールセンターやWeb会議で使われる業務用やゲーム配信・ボイスチャット用途を謳ったゲーミング用がある。
1台で賄えるのが利点だが悪く言えば中途半端な面もあり、実用性重視する場合は普通のヘッドホン+USB/XLR/フォーン端子接続のマイクの方が性能的に良く、1台で済ますにしても普通のマイク付きヘッドホンで十分だったり。
そのためゲーミング用に関しては配信映えを狙ったファッションアイテムの側面が強い。
耳の型をとってそれに合わせて作られる特注イヤホン。
基本的にプロがステージモニター用途で作るので、性能も良い。音楽番組でアーティストの耳元を注意して見るとよく付けている。
当然フィット感は良く遮音性も高い。しかし1人1人に合わせて作られるので当たり前だが高額であり、プロでも普通のモニターイヤホンで間に合わせる人もいる。
一部のイヤホンは中のドライバーを使ってカスタムに作り直すこともできたり、イヤーピースだけを作ることもできる。こちらは比較的安価。まあ、普通の感覚ならじゅうぶん高いのだが……。
音の傾向
音を楽しむための娯楽用。
重低音強化や高音強化を施し個性を強めている。ファッションアイテムとして見た目も重視した製品も多い。
音をモニタリングするための業務用。
反響音や歓声で喧しいステージ上で耳を保護しつつ正確に演奏を聴きとったり、スタジオで音のチェックをしたりするために使う。
主に作編曲家・レコーディングエンジニア・PA・ミュージシャンなどが使用する。
アマチュアでもバンドや
DTMなどをやる人は、極端に高価なものでなくても良いので一つくらい持っておくと良いだろう。
というかこのジャンルのデファクトスタンダードであるソニーのMDR-900STが2万弱で買える。
イヤホンの場合は用途が用途なので遮音性に秀でるカナル型・BAドライバーの採用率が高い。
もちろん、普通のリスニングにも使うことができ、「アーティストが伝えたい音が直接伝わる」「余計な味付けが無く原音に忠実」と評されるが、人によっては「面白みの無い音」という評価をされることもある。
○ヘッドホンにまつわる言葉あれこれ
解像度・分解能
平たく言うと、音がどれくらいハッキリ聴き取りやすいかということ。
これが良いヘッドホンは
サンホラなどの曲で、音とセリフが重なってごちゃごちゃになってる部分なんかでも1つ1つの音が判別しやすくなる。
一方で音源のアラもハッキリとわかるようになってしまい、容量重視でかなり音源を圧縮していたり情報が細かすぎて疲れるなんてことにも繋がる。
ノイズキャンセリング
元々は航空機操縦士の騒音対策で作られた技術。
現在主流のアクティヴノイズキャンセリング(ANC)は、重ね合わせの原理を利用して、マイクで拾った周囲の音と逆位相の音波を当てて音を中和することで作動している。
これを搭載した機器は当初は高価だったが市場競争の結果、低価格化が進み手を出しやすくなってきている。
通勤電車や町中の騒音から切り離されどこでも音楽に没入できるのはありがたい。
また応用技術として付けたままでも周囲の音が聞きやすくなる外音取り込み機能も存在する。
スペック
パッケージやカタログの記載されているアレ。対応周波帯域やインピーダンス、ケーブルの長さなどなど。あんま意味は無い。
というのも、周波帯域なんかはメーカーごとに測定方法が異なる上に、実際にどんな音がするかなんてカタログスペック見てもわかるもんでもないからである。
インピーダンスもヘッドホンならともかく、イヤホンレベルなら音をとるうえで問題になることはまずない。
ただし一部の平面駆動やダイナミック、ハイブリッド型のイヤホンにはヘッドホン並にインピーダンスが非常に高いものがあり、こういうタイプはプレーヤー側のパワーが求められる。
高級イヤホンを買い求める際は一応ここに注意されたし。
○注意点
ヘッドホン・イヤホンの音は千差万別。
個人の感性も視聴環境も千差万別なので他人のレビューの類はあてにならないと考えていい。精々音の傾向を知るくらいに留めておこう。
10万クラスのハイエンドイヤホンであっても絶賛する声もあれば、数千円のイヤホンの方がマシ!というレビューまであるのだから。
なんで、イヤホンを買うなら一度はお店で視聴してみると良い。特に装着感の確認は大事(それでも使ってるうちに不満が出ることもあるが)。
また、小さな家電量販店やドンキホーテではソニーやオーディオテクニカ、boseあたりの1万円程度までのイヤホンしか置いてない場合があるので
高いイヤホンを色々聞きたい場合は駅前にある大規模な家電量販店とかに行く必要がある。
秋葉原や大阪日本橋といった地域では、e☆イヤホンなどのオーディオ専門店もあるのでそうした店舗で探すのが確実と言える。
ただし、高い物になると5万とか平気で飛んでいく。リケーブルなども考えるとそれ以上の出費になることも。
中にはAKGで11万、ゼンハイザーが16万のモデルを出している。身近なSONYでさえ近年15万クラスのモデルを発売している。
自分が求めている音の傾向も事前に知っておくことが大事。高音目当てなのにダイナミック型を探しても満足しないし、逆に低音目当てなのにBA型を探しても永遠に終わらないだろう。
どんな音質を求めるのか、どんな用途・環境で使うのか、どんな音楽・音声を聴くのかといったことを、ある程度纏めておくと店員さんなどにオススメを聴く際にも具体的な内容を返して貰えるだろう。
試聴の際は出来れば普段使っているプレーヤーと聞き慣れている曲で行うことを推奨する。馴染みの環境に近づけることでより差異などがわかる。
一聴して合わない、と思ってもすぐ切り捨てず、プレーヤーのイコライザーやイヤーピースで調整することを薦める。調整次第で化けるイヤホンも少なくないからだ。
なお、試聴機のイヤーピースには他人の耳くそがついている場合もあるのでそこは注意してね。
大体近くにウェットティッシュが置いてあるので視聴前にイヤーピースや本体をよく拭いておくことを勧める。もちろん視聴した後はそのままにせず次の人の為にしっかり拭いておくのがマナーである。
他にも、近年大きな問題になっているのがイヤホンの落下。
ワイヤレス式の急速な普及にともない、駅やホームなどの鉄道施設でのイヤホン落下案件が急増し、3ヶ月で900件相当発生しているという。
ワイヤレス式は小さく見つかりにくいため、拾うのも至難の業。そのため終電後に捜索を行なうなど、利用者の手元に戻るまで時間を要する場合もある。
勿論自分で降りて探すのは危険かつ運行の妨害(犯罪行為として裁かれる事も)になるので絶対にやらないこと。
このため鉄道各社はホーム上の移動や列車乗降の際にイヤホンを使わないなどの注意を呼び掛けている。
また、長時間大音量で音楽を聴き続ける事による『ヘッドホン難聴』も問題視されている。
同じ音量でも、スピーカーより耳に密着させて音を叩きこむイヤホンやヘッドホンの方が遥かに音の振動を脳へ伝える有毛細胞への影響が大きく、音量によっては比較的短期間であっても難聴が進行してしまう。
一度落ちた聴力は現代の医学では今のところ二度と元に戻らず、徐々に日常生活にも支障をきたすようになってしまう。
WHOでは、80dBで1週間当たり40時間以上、90dBで1週間当たり4時間以上聞き続けると、難聴の危険があるとしている。
好きな音楽に浸っていたい気持ちはこれを読む諸君なら誰もが痛いほど分かると思うが、大切な聴力を守る為音量にも意識を傾け、この音量では耳をつんざくと思ったらすかさず音量を下げたり、たまに休憩をはさんで耳を休ませてあげよう。
音楽に陶酔しているとかなりの大音量でもそうと感じにくくなってしまう為、猶更この心がけは肝要だ。
また、使用時は事実上『耳を塞ぐ』状態になるので、外界からの情報が半分遮断された状態になる。
声掛けやクラクションすらも聴こえなくなるので、ある程度は周囲に気を配る重要性は有る。
歩きながらスマートフォンを操作しつつヘッドフォンで音楽を聞いたりなんかすると、他人や障害物に正面衝突したり、信号を認識出来ないリスクも有る。
そうした無防備な人間をターゲットにした強盗や当たり屋なども出てきているので尚更である。
座りながら等で程々にしよう。
また本体同士の接続具合や音漏れにも注意しよう。
さもなくば周囲に爆音を鳴らして恥をかくことになる。
スマホとイヤホンが繋がっていないのに萌えソングを再生開始してしまい周囲の視線を釘付けにしてしまう失敗は誰しも一度は経験するだろう。
○主なメーカー
オーディオテクニカ(audio-techinica)
BOSE
SHURE
DENON(旧デンオン)
JVCケンウッド
ONKYO
SONY
Panasonic(Technics)
Philips
Final
ゼンハイザー(Sennheiser)
beyerdynamic
AKG
Fiio
HiFiMAN
Fostex
Edifier
STAX
Anker(Soundcore)
Apple
Beats
追記・修正はケーブルの端子を間違えないようお願いします。
- 衛生上の問題で試聴出来ないところ多いけどね。 -- 名無しさん (2013-10-29 00:04:57)
- 片耳から聴こえなくなるあるあるだな -- 名無しさん (2014-01-06 21:30:03)
- ないないw -- 名無しさん (2014-01-06 21:34:05)
- カナル型の古いイヤホン使ってたら耳の穴にチップが…死人のような顔をしていたらしい -- 名無しさん (2014-01-07 00:09:26)
- 実際二次元ではヘッドホンでもリアルはこっちが多いよな。音漏れも少ないし目立たないからな -- 名無しさん (2014-01-07 00:11:52)
- ヘッドホンは絵にするにはいいけど鬱陶しいんだよ -- 名無しさん (2014-01-07 00:15:06)
- まあイヤホンは絵にしてもあれだしな。学生時代に赤いイヤホンしてたら友達に耳から血が出てるぞって言われたわ -- 名無しさん (2014-01-07 00:18:57)
- マイク付きが少ない。 -- 名無しさん (2014-01-07 00:22:30)
- エロゲとAVのお供だな -- 名無しさん (2014-01-07 00:42:14)
- 100均のでも意外と悪くなかったりする。もっとも、高音質絵お求めるならやはりそれなりの値段のものを買った方がいいが -- 名無しさん (2017-11-02 00:46:22)
- 耳介にひっかけるタイプのイヤホンが2000年代前半にちょっとだけ流行ったな。 -- 名無しさん (2021-04-18 10:50:54)
- ↑あれ使ってみたけど何がそんなにウケたのか分からんくらい音質も装着感も遮音性も音漏れもクソだった記憶。明らかにファッション性重視だよなと。 -- 名無しさん (2021-04-18 11:22:07)
- バカ耳なせいで違いがよく解らん。こういうのをしっかりと聞き分けられるような聴力があったら、色々と試せる楽しみがあって幸せなんだろうなぁ -- 名無しさん (2021-06-16 22:25:04)
- ↑下手に意識してしまうよりはずっと(主に財布が)幸せだ -- 名無しさん (2022-08-10 11:55:20)
- あと、アニメのサントラやキャラソンは「購入者はいいオーディオ機器を買うお金があればアニメグッズに使うだろう」という想定でミキシングが行われていることが多々あるため、下手にいいイヤホンを使うと粗が目立つことがあるそうだ。 -- 名無しさん (2022-08-12 01:27:55)
- 此処十年程で急速に青天井化が進んだ界隈。以前は少なかった六桁の高額機種で市場がごった返してる辺り中々トチ狂ってる。必然、それなりに金を持ってる人間が目立つようになっているので、発言とかスタンスとかがちとアレな人間も結構多い。 -- 名無しさん (2022-08-12 14:07:31)
- イヤホン本体だけじゃなくて、イヤーピースもこだわるときりがなくなってくる -- 名無しさん (2022-08-13 11:58:49)
- アシダ音響という、もともと業務用の音響機器を手掛けていた会社が一般向けのイヤホンを販売してみたら「値段と性能のバランスがバグってる」と評判を呼び、「なろう系の主人公みたいなイヤホンがある」とネット上で話題になったことがあったな。 -- 名無しさん (2024-01-31 19:52:35)
- この記事でbluetoothコーデックの存在知ってLDACにしたけど変わった気がする -- 名無しさん (2024-10-20 18:30:16)
- ヘッドホンの内容を加えようかと考えています。イヤホンと重複する内容も多いので記事名を変更してから追記しようと思いますが、いかがでしょうか? -- 名無しさん (2024-11-20 22:32:17)
- 良い案だと思います。是非追記してほしいです。 -- 名無しさん (2024-11-21 00:01:18)
- ヘドンホホ -- 名無しさん (2024-11-21 00:23:26)
- ありがとうございます。11/27までに意見が無ければ「ヘッドホン/イヤホン」に記事名を変更しようと思います。 -- 名無しさん (2024-11-21 20:20:56)
- 無線有線問わずイヤホンって消耗品に近い物なのに安物使ってる奴程クレーマー多い。明らかな断線・水ポチャ・ -- 名無しさん (2024-11-21 20:30:28)
- ↑途中送信しちゃった。落下後踏んでしまったとかの自責をメーカーや販売店が無料で面倒見ろってのがね -- 名無しさん (2024-11-21 20:34:43)
- 特に意見がないので記事名を「ヘッドホン/イヤホン」に変更します。 -- 名無しさん (2024-11-27 16:38:22)
- 個人的には音質の山場は一万円台だと思ってる。それ以上は趣味の領域。 -- 名無しさん (2024-11-27 16:52:44)
- ↑訂正。一万円前後だ。 -- 名無しさん (2024-11-27 17:16:17)
- クローブ(マシュマロ通信) -- 名無しさん (2024-11-27 21:59:36)
最終更新:2025年04月15日 23:05