SCP-2095

登録日:2018/10/24 Wed 22:26:16
更新日:2025/06/05 Thu 23:31:22
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SCP-2095とは、SCP財団本部が収容しているSCPオブジェクトである。
項目名は「ギャロス包囲戦/The Siege of Gyaros」

概要

SCP-2095とは、ギリシャのキクラデス諸島(シロス県)にある無人島、ギャロス島にある、
大部分が地面に埋もれた神殿。
ちなみに年代的にはギャロス島にある他の遺跡よりも格段に古いもののようだ。
「地中に埋もれた謎の神殿」とだけ書けばまあ、よくある遺跡かなで済むかも知れないが、そんなのならわざわざ財団が収容しに来るわけがない。

何しろこの謎の神殿は、生物学的な要素で構成されている「かつて"生きていた"神殿」なのだ。
…生き(てい)た建造物とか言ったら、はい、どう見てもあいつら絡みですね。

SCP-2095が発見されたのは、ギリシャの考古学者が「ギャロス島に、骨でできた謎の大神殿があるー!?」と報告したのがきっかけ。
この「神殿」を発見した考古学者にはクラスB記憶処理が施された上で解放された後、財団が「神殿」つまりSCP-2095を収容することとなった。

SCP-2095のオブジェクトクラスはSafeとなっている。
特別収容プロトコルとしては、SCP-2095の周囲に遺物サイト-26を構築し、「気象観測施設」という名目で一般人の接近を遠ざけている。
気象観測施設だ、いいね?アッハイを徹底させるためにエージェントも活動している。

SCP-2095内部では、クレタ聖刻文字、線文字、ヒッタイト文字、そして複雑に変化する螺旋形の絵図で構成された謎の文字が発見されている。
尤も現状翻訳が完了しているのはヒッタイト文字だけではあるが。

SCP-2095は全体が生物学的な要素で構成されている。
採取されたサンプルからは、骨・キチン質・筋肉・脂肪・内臓が検出されている。キチン質好きだなあんたら!
放射性炭素年代測定の結果、SCP-2095の「死亡時期」は紀元前1000~1200年と推測されている。筋肉などには防腐処理された形跡も有るようだ。

SCP-2095の各部屋は、腸管に似た廊下で接続されている。安定のグロさである。
巨大な括約筋、つまり筋肉が「ドア」の役割を果たしていたらしい。わからない?要するに、「*」である。
ただ、現在は括約筋は緩んでいる、つまり全開放状態であるが。

SCP-2095内で最大の部屋(後述の巻物からすると、「消費の社」と呼ばれる部屋のようだ)には、骨でできた「祭壇」がある。
法医学的な検証の結果、この祭壇で生贄の儀式…という形でSCP-2095に「餌」を与えていたらしいことが判明している。
ちなみに祭壇周囲の床には酸による腐食の跡がある…一体どんな形で生贄の儀式、もとい給餌を行っていたかは、だいたい想像がつくがあまりしたくない。
ちなみにこの祭壇にはウロボロスの紋章が彫り込まれている。

SCP-2095北部の部屋からは、29巻の巻物が発見されている。
但しそのうちヒッタイト文字で書かれていたもの、つまり「解読可能」なものは合計4巻のみだった。
この4巻のうち、3巻は哲学的なものであり、残り1巻は目録であった。

序に財団の考古学者がSCP-2095の周囲を調べたところ、周囲に何らかの戦闘の跡があることも確認された。
ただ、その痕跡はかなり異常なものであったようだ。
何しろ紀元前の戦争の跡なのに、爆縮によるダメージや、放射線、内燃機関の痕跡、さらには物理的な再構成…と言ったものの痕跡が存在したのだ。
こんなことができるのはもう、奴らしか思い当たらないが。


巻物1と2には、恐らくはサーキック・カルトの何らかの儀式 - それもかなり血なまぐさいもののようである - の様子が記されていた。
この神殿、すなわちSCP-2095内部では生贄の儀式だけでなく、かつて想像を絶する「何か」が行われていたようである。
ただ、この巻物に記されている「[判読不能]男」や、「黒衣の司祭」という言葉…
SCP、特にサーキック絡みのオブジェクトに付き合ってきた財団職員の皆様や、或いは壊れた神の教会の関係者なら、
恐らくはもうこの「司祭」の正体に関して、最悪な「察し」がついているはずだろう…

…もはや、何も言うまい。
奴は、異形と化した黒衣の聖職者は、この「神殿」を訪れていたのだ。

補遺

2014年5月14日、エーゲ海で地震が発生した。
この地震自体は特に異常物品とは関係のない、ごく普通の地震であったが、
この衝撃によりSCP-2095内部で、それまで封印されていた未発見の部屋が見つかった。

室内には人間の成人男性1名の遺体が存在していた。
が、この遺体、生物学的には死亡しているものの、脳だけは低レベルながら活動していることが確認されている。
さらに腐敗の兆候も見られていない。

この死体とSCP-2095の関係性に関しては未だに調査中だが、
この「隠し部屋」からは件の死体に続いてこれも未発見だった - ウロボロスの紋章の入った封がなされた - 巻物が見つかった。
保存状態はかなり良好だった模様。
内容からするとこの手紙はSCP-2095の「支配人」によって書かれたものらしいが、送付されないままこの部屋に残されたようだ。


手紙の内容から察するに、この「神殿」は儀式的な場所だけでなく、アディトゥム帝国の「要塞」の役割もあったようだ。
この手紙の著者と思われるトゥンダスは、SCP-2406ことMEKHANE信奉者の繰り出したロボット軍団を迎撃するため、自らを贄として「紅き死」と呼ばれる何かの召喚を試みたらしい。

SK-BIO タイプ005/キラーク

SCP-2095は、サーキック内で「キラーク」と呼ばれている創造生物の一種であるようだ。
サーキックの生み出したクリーチャーは財団に於いては「SK-BIO」と呼称されているが、
キラーク、すなわちSCP-2095の種族は財団に於いて「SK-BIO タイプ005」と分類されている。

一種、或いは種族と聞いて薄ら寒いものを感じた財団職員も多いかも知れない。
すなわち、SCP-2095の同族がまだ「いる/いた」のかと。

…残念ながら、その答えは「YES」であることが確定してしまっている。

かねてからキラーク、すなわちSK-BIO タイプ005は未発見の生存個体が世界各地に存在しているのではないかと推測されていたが、
最近、とあるフィールドエージェントがタイプ005の生存個体に遭遇したとの報告を送ってきた。現在、追加報告待ちではあるが、それでもあれと同じものが、しかも現在でも生存しているという事実が確定してしまったのだ。
しかもそのエージェントは、タイプEの「誕生の過程」までも報告書にまとめて送ってきたようである。

"キラークの創造は当初仮定されていたよりも恐ろしいものだ。生きている人間を'聖別'し、繰り返し餌を与えつつ成形すると、生ける寺院に近づくにつれてその人間の脳はゆっくりと萎縮していく。盆栽を世話するように、サーカイトは肉や骨を培養するのだ。」 - ツキノ博士

ツキノ博士のコメントから察するに、キラーク=SK-BIO タイプ005=SCP-2095の実体は(も)異形の人間であり、
人間を「聖別」と称した何らかの操作で変異させ、餌を与えて成長させる…というプロセスで創り上げているようだ。


追記・修正は巨大ロボットで生きた神殿を破壊しながらお願いします。



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最終更新:2025年06月05日 23:31