デルフィーニ(ハリー・ポッターシリーズ)

登録日:2019/01/12 Sat 21:39:00
更新日:2024/10/17 Thu 12:29:00
所要時間:約 7 分で読めます




わたし、もちろん泥棒よ。あなたの持っているものを全部盗むところ。
金を出せ、杖を出せ、蛙チョコレートも出せ!
(わざと怖い顔を作ってみせてから、笑顔になって)泥棒じゃなかったら、私はデルフィーニ・ディゴリーよ




デルフィーニ(Delphini)とは、ハリー・ポッターシリーズ第8作目『ハリー・ポッターと呪いの子』に登場する人物。
作中では専ら『デルフィー』と呼ばれている。


本名デルフィーニ・ディゴリー。その苗字から分かるように、あのセドリック・ディゴリーとは親戚であり、セドリックの父親エイモスの姪にあたる。
アッパー・フラグリーにある『聖オズワルド魔法老人ホーム』にて、介護職員として年老いたエイモスの面倒を看ている。
ホグワーツ、というか魔法学校には『重い病気にかかって通えなかった』らしいが、能力的に劣ったところは見られなく、むしろ劣等生気味なアルバスに呪文のトレーニングを出来るくらいに優秀な魔女である。

意志の強そうな顔立ちに青みがかったシルバーブロンドの、二十歳を少し過ぎたくらいの年齢の美人であり、
歳下や老人に対する優しさや面倒見の良さ、また所々で冒頭のようなノリツッコミが出来るユーモアさも持ち、
ハリーの息子・アルバスの初恋の相手である。
少々年齢が離れているものの、アルバスとはセドリックを取り戻す計画を練る過程で親交を深めており、作中でも『今や息はピッタリ』と称され、親友のスコーピウスがどこか嫉妬してしまうほど。
両者の関係の発展に注目である。




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……というのが彼女の表向きの姿。
その正体は……(以下、『ハリー・ポッターと呪いの子』のネタバレ



















スコーピウス「君が病気だったなんて信じないぞ。どうしてホグワーツに入学しなかったんだ?どうして今ここにいるんだ?
あいつらは君をオーグリー様って呼んでいた。別の――あの世界で――みんなは君をオーグリー様って呼んでいた」



スコーピウスが経験した、『ヴォルデモートが魔法界を支配する世界』。
その世界にて、ヴォルデモート卿の腹心である『オーグリー様』と呼ばれていたのが、他ならぬ彼女であった。



そう、彼女は悪の魔法使いにして、本作の黒幕である。
『エイモス・ディゴリーの姪』というのも真っ赤なウソで、
新たな予言に従い『セドリックを死なせない事がカギとなる』と睨んで、セドリックの父親である彼や周りの人間に『錯乱の呪文』をかけて近づいていたにすぎない。

その予言とは、

【よけい者がよけい者でなくなり、時間が逆戻りし、見えない子どもたちがその父親たちを殺すとき――闇の帝王が戻るであろう】

かのヴォルデモート卿が戻ることを示唆する内容であった。

そして、この予言を教えられたデルフィーが書き記した言葉とは――


『私は闇をよみがえらせる。私の父を取り戻す』



『私の父』。
そう、彼女はヴォルデモートが密かにこの世に遺していた娘だったのだ。
母親はあのベラトリックス・レストレンジ。両親ともに邪悪極まりない組み合わせであると言える。
ベラトリックスの夫ロドルファスに育てられ、自分が何者かを教えられ、予言を成就する為に生きてきた。

……つまりハリーの息子がヴォルデモートの娘に初恋をしてしまうという何とも数奇な恋模様となってしまった訳だが、
かつてヴォルデモート(日記の中のトム)に心を開いた過去のあるジニーは、息子から打ち明けられた無念に対し『あの人たちはなんにも疑わない人たちを罠にかけて捕らえるような事が上手』と理解を示していた。


両親共に極めて強力な魔法使いであった為、彼女もまた作中屈指の強さを誇る。
父親のように箒無しで飛行出来るし、ハリーとの決闘では空いた片方の腕で『コロポータス』の呪文を放つ等、杖無し呪文も出来る。
また、決闘の最後ではハリー・ロン・ハーマイオニー・ジニー・ドラコの5人を、最終的に敗けはしたが一時的に1人で相手取れるほどの強さを見せつけた。

もちろん邪悪さも両親から受け継いでおり、本性を現した後は偶然その場に駆けつけてしまったクレイグ・バウカー・Jrを『アバダケダブラ』で殺害し、かつてのセドリックのように『よけい者』と嘲ったり、
スコーピウスに『クルーシオ』をかけてアルバスに計画への協力を迫ったりと、両親同様目的の為なら他人を殺傷する事も厭わない。

スコーピウスに本性を見破られてからは、いっときは偶然にも予言を成就させてしまったアルバスとスコーピウスに三度の歴史改ざんを迫るが、
2人が死ぬことも厭わず拒否した為、予言の成就を諦め、『1981年にてヴォルデモートがハリーを殺すのを阻止する』計画にシフト。
アルバスからの『過去からのメッセージ』を受け取ったハリー達に計画を察知され、『ヴォルデモートに変身したハリー』に騙されくらましていた姿を現す。
自らの正体を明かしヴォルデモート(の姿をしたハリー)のハリー殺害を止めようとするも、
変身術が解けてしまった事で戦闘となる。
魔法法執行部部長となったハリーを圧倒する強さを見せつけるが、アルバスの機転によりロン達の加勢を許し、5対1の戦いでは持ち堪える事が出来ずに遂に敗北。
ハリー達と共に元の時間へと帰還後、クレイグ殺害の罪でかつての母親同様アズカバン送りとなった。

だが、この計画を立案するに当たっては『ヴォルデモートが支配する世界を成す』というよりは、単に『父親を知りたかった・父親に会いたかった』という意味合いが強い。
ハリー達に敗北後も『父に会わせてくれ』と懇願し、拒否された後に『それなら殺せ』『心と記憶を奪い何者かを忘れさせてくれ』と真に憐れみを感じさせるような調子で嘆き、
本物のヴォルデモートがやって来る気配を感じ取った時には『父さん?お父さん!』と叫ぶもドラコの呪文で口を塞がれた。

彼女もまた、ハリーやヴォルデモートと同じように真の親を知らずに育ってきた魔法使いである。
父親は『トム・マールヴォロ・リドル』であった頃から情愛など欠片も求めていない人柄であったが、
彼女はたとえ世界一邪悪な魔法使いであっても『お父さん』を取り戻したかったのであろう。
親の親愛を求める辺りは、まだ両親ほど邪悪に染まりきっていないと言える。

が、目的の為にたまたま駆けつけてしまったクレイグを躊躇なく殺害してしまった事実はやはり邪悪と言わざるを得ない。
それに、7巻にてハリーがヴォルデモートを指して言ったように、デルフィーもまた『その気になれば、魅力的になれた』だけの器を持っていた人物である。
事実、正体を明かす前まではとても人当たりが良く、思春期であるアルバスが惚れるのも無理は無い好感的な人物であった。
善悪の分別がちゃんと出来ていれば、全うな人生を送れるだけの能力は有ったのにもかかわらず、
父親を求めるあまり、邪悪な道を選んだのは他ならぬ彼女である。
魅力的な容姿と優れた能力を持ちながら、それを良い方向に活かす道を選べなかった所も、残念ながら両親に似てしまったと言えよう。


【余談】

アルバスが彼女の手に逆転時計を渡すまで一切怪しい所を見せなかった……ように見える彼女だが、
読者視点で見ると分かる矛盾を1つだけ露見させてしまっている。
アルバスとの初対面では『学校じゃ、みんな私のことを~』をいうセリフを述べているが、
上記にある通り、スコーピウスとの会話では『幼い頃の数年間、重い病気で入学出来なかった』と述べているのだ。
もちろんどちらもウソで、ロドルファスに密かに育てられていたからというのが真実だが、
鋭い読者なら、彼女がウソを吐いている事が分かるだろう。

産まれた年月は『ホグワーツの戦いの前に、マルフォイの館で産まれた』と本人が述べるに留まり、明確な時期は記されていないが、
ベラトリックスが出産直後でホグワーツの戦いに参加したとは考えにくく、
また、6巻最終盤にて『ダンブルドア殺害計画』という極めて重要なイベントに彼女ほど残忍で有能な死喰い人が何故か不参加だった*1事も踏まえると、
ちょうどそのダンブルドア殺害が行われた、1997年6月頃が有力な説の1つとされる。

また、彼女の本名については順当に父親の性を継ぐなら『デルフィーニ・リドル』となるが、
ヴォルデモートは本名を捨てており、また、産みの親がベラトリックス・育ての親がロドルファスという事で、
『デルフィーニ・レストレンジ』とするのが正解かもしれない。
尤も、真の血筋が判明してからも作中では一貫して『デルフィー』表記なので、その辺りは本人と作者のみぞ知る事だが……




デルフィー「アルバス、私は新しい追記だ。新しい修正だ。私はこのwikiが探し求めていた答えなのだ」


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最終更新:2024年10月17日 12:29

*1 映画版では参加していたが