初恋ゾンビ

登録日:2019/07/11 Thu 01:14:36
更新日:2023/08/20 Sun 19:07:00
所要時間:約 5 分で読めます





初恋の人は、男でした。





出典:初恋ゾンビ、1巻、小学館、峰浪りょう、
16年3月23日刊行(電子書籍)


概要

『初恋ゾンビ』とは『週刊少年サンデー』で2015年46号から2019年17号まで連載されていたラブコメ漫画。全17巻。
作者は『ヒメゴト~十九歳の制服~』の峰浪りょう。

作者の前作『ヒメゴト』はモバMANで連載していたが、当時の担当がサンデーに移動となり、
「こっちに来ない?」と誘われ、読み切り『ハナヨメわらし』を執筆したところ、好評を得たことから連載に繋がった。

作者の過去連載作『溺れる花火』や『ヒメゴト』は、いずれもWeb媒体での青年漫画として連載された作品となり、
これらの作品と比較すると、絵柄は少年誌向けにコミカルなものへと大きく変更されている。

作風もコメディタッチで、スラップスティックなギャグやパロディなども挿入されているため、
基本的には明るいのだが、中盤以降からは主人公やヒロイン達の内面を容赦なく追い詰めていく展開も……。

峰浪氏にとっては本作が初めての紙媒体、初めての週刊連載だったが、
一度も休載することなく三年半の連載にて、物語の完結までを見事描き切った。

主要人物のキャラクター名は『旧約聖書のアダムとイヴ』から取られている他、
その他は九州の地名が苗字として多く使用されている。

『アダムとイヴ』を由来に選んだのは、
作者にとってはラブコメが本作で初挑戦となるジャンルだったことから、
ラブコメの原典として『アダムとイヴ』を由来に使用したとのこと。

+ ネタバレ注意
アダムとイヴは話を要約すると、他者のリリスより自分から生まれた……、
いわば妄想のイヴが最高という話なので、妄想もいいけどそろそろリリスと和解しようというのが本作のテーマである。

タイトルにゾンビとあるが、これは比喩表現でのゾンビのため、本当のゾンビが出るわけでは全くない。そういったものを期待して読むのはやめておこう。

表紙は5巻まではキャラしか描かれていないが、6巻以降風景も描かれるようになった。
これはHすぎて買いにくいのでは?という話になったので、風景も入れるようになったかららしい。


読み切り『ハナヨメわらし』のキャラがカメオ出演している。探してみよう。

少年サンデーのiOS/Android向け公式アプリ「サンデーうぇぶり」では、
1巻収録の第7話までが常時無料で公開されている
興味が出た場合にはまずこちらから読んでみるのがオススメ。


あらすじ

何事にも情熱を燃やさぬ平熱“省エネ”高校生・タロウくんの前に、超どストライクな空飛ぶ美少女・イヴが現れた!
彼女の正体は、タロウの欲望&妄想&願望を凝縮した脳内彼女的存在=“初恋ゾンビ”だった!!
タロウの平穏な日々は、かくして一変し──!?

少年サンデーが放つ次世代ラブコメ、ここに開幕!!

(公式より引用)


主な登場人物


  • 久留目タロウ
本作の主人公。モジャモジャヘアーが特徴。
習い事大好きな母親に異常なほどの量の習い事をさせられ、
幅広く色々出来るようになった代わりに、何事にも熱中せず効率よくサボろうとする『省エネ男』になった。
とはいえ元々は真面目に習い事に通っていたのだが、幼稚園の想いを寄せる『イヴ』という女の子が海外に引っ越してしまい、
本気になるとショックも大きくなることを悟ったタロウは省エネ男になったのである。
多くの習い事のおかげで、大体のことはそつなくこなす。
1話で体育の授業中、江火野からソフトボールの打球を頭に受けた事で、
男たちの妄念……『初恋ゾンビ』が見えるようになったのである。
さらに転校してきたイヴこと指宿が『男』だったこと、そして自身が実は昔から『初恋ゾンビ』が見えていたが、ある事件で指宿に押し付けてしまっていた事が明かされる。
そして初恋ゾンビは失恋すると悪霊になるので、自分やイヴ等に被害が出る前に初恋を成就させようと動いていく。

タロウの初恋ゾンビ。
タロウが英語教室で出会い恋をしたイヴという少女が、成長したら「こうなっていて欲しい」という理想の具現化。
そのため本物と顔の造形が一緒だが髪型は幼少期の延長線上のままだし、胸はちゃんと成長している。
一応クールな指宿とは違いかなり間抜けた性格。これは幼少期の指宿がちょっと間抜けたとこがあったため。
タロウが初恋を忘れていたので長い間眠っていたが、認知された事で自我に目覚めた。

アメリカから転校してきたタロウの初恋相手であり、美少年。そして金持ち。

イブの原型なので容姿はそっくりだが、髪色や髪型、身長も違う。
元々はタロウ達のと同じ町に住んでいたのだが、幼少時には親の趣味で女装させられており、
その恰好のままで通っていた英語教室でタロウと出会い、仲良くなった。
だが、家庭の事情でアメリカへと転居することになり、タロウと別れることとなった際に何故か頭をぶつけられて昏倒してしまう。
そして意識を取り戻した時には『初恋ゾンビ』が見えるようになっていた。
この能力のせいでアメリカでは非常に苦労する生活を続けていたようで、時折冷酷さも垣間見せる。
その為、元凶となったタロウに復讐を目論んでいるようだが……?

+ 1巻第7話ネタバレ注意
実は本名は『八女凛々澄(りりす)』というれっきとした女性であり、『りりと』の名は男装時の偽名。『指宿』は父方の姓。
上述の「幼少時の女装」については、タロウや当時を知る面々に正体を隠すためのウソである。

かつてタロウとの別れの際に頭突きをされ、その衝撃でタロウは初恋ゾンビを見る力を失い、凛々澄は力に目覚めてしまう。
この力が原因で両親は離婚し、美少女だったため周りの男子は凛々澄の姿をした初恋ゾンビで(無自覚に)エロイ妄想をする始末。
性的な妄想に耐えられなかった凛々澄は男装をして男として生きる事を決める羽目になったのであった。
貧乳な自分と違ってイヴの胸が大きいのもコンプレックスであり、不満の一つ。

タロウの幼なじみで本作のエロ枠。巨乳。
タロウとは小学時代からの付き合いなので、幼稚園の頃引っ越した指宿とは高校まで面識がなかった。
当初はタロウへの好意に自覚がなかったが、物語を通して自覚していく。

  • 八代龍
タロウの幼なじみ。
タロウや江火野とは小学校は違ったが、空手教室でタロウと知り合う。
彼の初恋ゾンビは冬眠状態になっているが……。

  • 人吉伊純
タロウたちとは高校で知り合った新たな友達。
その名の通り人がよさそうな外見だが、中身はかなりエロ魔人。
初恋は江火野だったらしく初恋ゾンビは彼女の姿。
そして人吉がドエロなため江火野姿のゾンビ……エビノZは出てくるたびにHな格好をしている。
また、非常に嫉妬深く、江火野に男の気配が出ると速攻でゾンビと本人の気配が黒くなる。
2話では「伊澄」表記だが、それ以降は「伊純」名義なので伊純が本当の名前なのだろう。

  • 肆部合みさを
華道部に所属している先輩。
清純な外見から彼女に運命を感じる男性が後を絶たず『初恋キラー』と呼ばれる。
本人も相手が自分に初恋をする姿に快感を得ているらしく、自分に恋をしない指宿に執着している。
相手の目を見る事でその人が初恋をしているかどうかが分かる。

  • 恋ヶ浦波蘭
イケメンで学校一のモテ男。
みさをとは小学時代からの付き合いだが、お互い同族嫌悪で嫌い合っている。
何故か指宿を男だと思い込んだまま初恋しそうになっている


用語


  • 初恋ゾンビ
嘘と願望の防腐剤でコーティングされた男達の妄想の思念体。
タロウと指宿とタロウの曾祖父だけに見える幽霊のようなモノ。久留目家の男子には時折見える人が出るようだ。
この世の全ての男性(創造者)が初恋をすることで誕生し、
成就すればゾンビは浄化され、失恋すれば失恋ゾンビと化し、忘れたり次の恋へ移行したりすると冬眠状態となる。
裏返せば中年男性でも初恋ゾンビが活発なら、初恋が遅いか未だに想い続けているかのどちらかとなる。

外見は創造者の初恋相手そのものになる事が多い。
ただし初恋が何年も前で、その初恋相手の現在の外見を知らずに思い続けていたら初恋補正が入り創造者の『理想の初恋相手』の外見を取る。イヴがこのパターン。
そのため初恋を認めたくなければ初恋ゾンビは封印された状態となり、そもそも自覚がないと半透明になる。
性格は創造者にとって都合がいい(イチャラブ妄想のため)ものになっている。

創造者の妄想が反映されるため、初恋相手でエロイことを妄想すれば初恋ゾンビの格好にも反映される。

動物や久留目家の一部の人間にしか見えず、人間達や同じ初恋ゾンビにも基本的には干渉できない…はずなのだが…。

  • 失恋ゾンビ
創造者が初恋相手に失恋すると初恋ゾンビが悪魔のような姿に変貌する。
そればかりが人間達にある程度干渉、それも失恋パワーという悪影響ばかり与えてしまう。

失恋ゾンビ化を解かすには創造者が失恋を勘違いだったと思えば静まってくれるが、本当に失恋の場合元に戻らない。
時間経過とともに創造者が失恋を胸の奥にしまったり、次の恋に移る事で失恋ゾンビも封印される。

ただ失恋ゾンビおよび初恋ゾンビともに創造者が納得のいく形で初恋に区切りを付けたら、ゾンビは初恋に関係する物体に宿るなどして『思い出』へと昇華される。


こういう事情のためタロウは自分の周囲の男性陣の初恋をなるべく実らせ被害を抑えようとしている。



追記・修正は自分の初恋ゾンビは誰かを思い出しながらお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 初恋ゾンビ
  • 週刊少年サンデー
  • 峰浪りょう
  • 漫画
  • 初恋
  • ゾンビ
  • 完結
  • 小学館
  • ラブコメ
  • アダムとイヴ
  • 男装
  • 哲学的ゾンビ

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年08月20日 19:07
添付ファイル