BAD SHIELD UNITED

登録日:2019/08/05 Mon 17:42:15
更新日:2025/04/28 Mon 14:19:28
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ああいうヤツラが[シールド]を持てないようにする為に 俺たちは居る



『BAD SHIELD UNITED』は久保帯人の読み切り漫画。氏の連載作品である『ZOMBIEPOWDER.』4巻に掲載されている。


概要

後の『ZOMBIEPOWDER.』にもつながるSFチックな世界観、作劇もオサレとギャグとシリアスが程よく盛り込まれており、一種の定番とも言える「人造人間の心」というテーマも上手く消化されている。

作者も思い入れがあるようで、『BLEACH』内で劇中映画として登場し、黒崎一護の友人・浅野圭吾と小島水色はこの映画のファンという設定。
『BLEACH』内ではシリーズ化されている人気映画らしいが、水色曰く「2ではミレは死ぬ」らしい。


あらすじ

自立式戦闘用アンドロイド、通称“シールド。
このシールドの民間への不正流出を監督する組織「シールド・セイヴァーズ・カンパニー(SⅡC)」。
そこに所属するリッキーとミレは、シールドの違法取引に関わるテロリストの護衛シールド・レイチェルを確保しようとするが……


設定

  • シールド
自立式戦闘用アンドロイド。
「Eシステム」により通常の人間のように感情を持ち、手の甲にある【禁じられた心(フォビドゥン・ハート)】のマークがなければ人間と外見上の違いはない。

  • SⅡC
不法に売買されたシールドの個体を鎮圧・回収する政府機関。
実はエージェント達の正体はシールドであり、シールドを道具としか考えていない人間達から彼らを守る組織としての側面もある。


登場人物

  • リチャード・ステッドラー・クリシュン/リッキー
本作の実質的主人公。シールド。
「SⅡC」の1級エージェント。見た目もキャラも髪が黒い一護。
武器は大剣。

  • ミレ・ツェレンフォート
「SⅡC」の2級エージェント。シールド。
ノリが軽い金髪のショタ。武器は腕に取り付けたブラスター。

  • ベルリン・リチャード・シャーウッド
「SⅡC」のチーフエージェント。シールド。
後の朽木白哉そっくりの髪型をしたナイスミドル。

  • レイチェル・ラミレス
マディ・ラミレスの護衛シールド。形式番号「PD-25型」
強気で男言葉を話すが、マディの事を深く信じ切っている。可愛い。
あと久保作品のヒロインとしては珍しく、通常身長なのに貧乳

上記のリッキーの台詞は、マディに見捨てられ、「最後にもう一度だけ名前を呼んでくれ」という願いすら聞き入れられず、
「もう(私を)さっさとスクラップにでもしろ」と自虐的な言葉な言葉を吐いた彼女を慰める台詞である。

車で追いかけないといけないほど素早く、マシンガンを使いこなすなど、シールドとしての戦闘能力も普通に高い。

  • マディ・ラミレス
テロ組織「偉大なる南部の蛇」のリーダー。

カリスマ性や表面的な優しさはあるようだが、性格は真性のゲス。
シールドへの扱いは「SⅡC」が敵視する人間達のまさにそれであり、自分を信じ切っていたレイチェルをあっさりと切り捨てたばかりか、
新たに手に入れた女性シールドに対しても「Eシステム」を壊して道具のように扱う。
その癖、シールドに命を狙われると「シールドも人間と同じだろ?」と言わんばかりに命乞いをする図々しさまである。

作者が描いた悪役の中でもトップクラスの悪辣さの持ち主であり、その果てには因果応報の末路が待っていた(詳しくは後述)。

  • 女シールド(名称不明)
レイチェルの後に手に入れた女性型シールド。黒髪ショートボブでレイチェル同様マディに懐いていた。
感情装置「Eシステム」をマディに破壊され、感情のないまま激痛の伴う腕を破壊しながらの攻撃を命令される。

なお、作中の大半で全裸。胴体には十字の紋章がある。

  • 「レイチェル」
リッキーの妹分シールド。ちなみに巨乳
リッキーが(本編での)レイチェルに肩入れするのは、彼女の事を思い出してのことであるが……




(以下、ネタバレ)

レイチェルの確保後、マディのテロ組織を襲撃したリッキーとミレ。二人は難なく組織を壊滅状態に追い込むが、そこにEシステムを破壊され感情のない殺人マシンと化した女シールドが襲いかかる。
交戦の末銃口を突きつけられたリッキーはマディに対しEシステムを破壊したら二度とシールドの人格が戻らない事を責めるが、マディは彼女のEシステムを破壊したことを悪びれないどころか、レイチェルに対しても「恋人ヅラしてきて吐き気がした」と侮辱を露わにする。
それを聞いたリッキーは過去の苦い記憶が蘇っていく。

スクラップ工場で働いていた頃のリッキーには、「レイチェル」という妹分がいた。
ある日、「レイチェル」は兵器工場の助手として買い手が決まったと言う。社長のおじさんはとても自分に親切にしてくれる素敵な人であると。
リッキーは彼女の喜ぶ姿に「よかったな」と労いの言葉を吐く。

しかし。「レイチェル」は兵器工場に製品の射撃テストの的にされる為に買われただけに過ぎなかった。
弾痕と嘲笑に満ちた落書きにまみれ、物言わぬ残骸と化した彼女に対面したリッキーは、シールド達の「心」を守るために「SⅡC」の一員となった。

絶体絶命となったリッキーだったが、意外な助け舟がやってくる。
自分を裏切った男への想いに区切りをつける為、自ら機銃を手にしたレイチェルだった。
女シールドを戦闘不能にした彼女は、マディに銃を向けるが、マディがこの期に及んでレイチェルと呼び始めたことによりうろたえてしまう。
しかしリッキーは「汚れ役は俺がやる」と剣を取った。


俺を殺すのか!? 俺は人間だぞ!

ひどいとか思わないのか!

非人道的とか思わないのかっ…!!


俺なあ…

人道的とかそいういうの…


ロボットだからよくわかんねえや


皮肉にも自身が「人間性」の欠片もない扱いをしてきたシールドのリッキーに(二重の意味で)切り捨てられ、致命傷を追うマディ。
しかし辛くも生きていたマディは、撤退していくリッキーの背後に銃口を突きつける。しかしそんなマディの胸に弾痕が空き、止めを刺された。

撃ったのはレイチェルと同じように騙され殺人マシンとして扱われた女シールドだった。
それが暴発なのか、女シールドの「恨み」によるものなのかは図り知れるところではなかった。


その後、リッキーとミレはチーフであるベルリンに呼び出され、彼女の事を思い出しながらオフィスへと向かっていく。

そしてベルリンのオフィスには、新たに「SⅡC」のエージェントとして採用されたレイチェルの姿があった……





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最終更新:2025年04月28日 14:19