生き返らないキャラクター(アメコミ)

登録日:2019/09/07 (土) 22:42:45
更新日:2025/05/10 Sat 19:58:18
所要時間:約 5 分で読めます




With great power,
there must also come great responsibility.


I trusted you…!
And you just left me to DIE!


Who the hell is Bucky?




本項目では、物語中に死亡してから甦ることが少ないもしくは全くない、そして読者から甦ることがあまり望まれていないアメコミの登場人物を紹介する。


【アメコミにおける「」】

アメコミの人気キャラクターたちは何十年と物語が続いているものが山ほどある。
有名どころであるスーパーマンバットマンはキャラとしての誕生から約80年、スパイダーマンやアイアンマンらは50年と、かなり長い歴史の持ち主だ。そのようなキャラたちの物語を続けて行く上でどうしてもぶち当たる問題が「マンネリ」である。

いくらライターが優秀で、魅力的な物語を紡ぎ続けたとしても、いずれは飽きられてしまう。そういうわけで、物語にインパクトを与えるために(無論、他にも理由は沢山あるが)、あるタイミングでキャラクターたちはドラマチックにその命を散らし、物語から退場することになるのだ。

しかし、そんな人気キャラクターたちを死んだままにしておくのは、その人気を考えるとあまりにもったいない。読者たちは彼らの更なる活躍を期待していたであろうし、特に古参なファンにとってはかなり酷なことである。何十年と続いてきたキャラクターの歴史をキッパリと終わらせる、などという選択肢はもはや存在しない、と言っても過言ではない。

つまり、早い話がアメコミキャラは死んでも大抵は甦るのだ。
言わずと知れたスーパーマンウルヴァリン、キャプテン・アメリカなど、死んだことのあるキャラクターは山ほど存在している。しかしそのいずれも、数年以内には必ず復活するのである。経緯は様々だが、何らかの作用によって息を吹き返す、そもそも死んでいなかった、などが大半。これまたドラマチックにその復活が描写された後は、いつもの名前とコスチュームに戻って活躍が再開される。そのお陰で、読者はお気に入りのキャラが死んでしまっても特に気を病む必要は無くなったのだ。
また単に死亡する以外にも、キャラに重篤な後遺症が残り、再起不能になってしまった場合でも同様の事が言える。

「一度死ぬ」ことは言わば人気キャラの宿命として認識されている。
それによる弊害も当然ながら多く存在しており、一番がコミック内での「死」に重みが無くなったことだろう。"Death of ○○"なんてタイトルをつけて壮大にキャラの死亡を描写してみせたとしても、読者からしてみれば「どうせすぐ生き返るじゃん(鼻ホジー)」なんて思われて真面目に受け取られなくなってしまったのである。物語の魅せ方次第で名作にはなりうるが。


【生き返らないキャラとは】

そんな世界でも、生き返らないキャラというものは一定数存在している。
たとえ何があっても、ヒーローたちの心が折れ、再起不能になった時でも、ヴィランの策略によって地球が滅びかけても、てこでもあの世から動きたがらないキャラクターたちのことだ。
その性質上、ヒーローやヴィランたちの動機付けに大きな影響を及ぼしていることが多い。

なぜ彼らは生き返らないのか、その答えは「その死に大きな意味のあるキャラクターだから」であろう。

死ななければ価値が無いという意味ではなく、彼らの死がキャラクターたちの根幹に大きく作用するからだ。
彼らが死んでしまったからこそヒーローの心に傷が生まれ、それを乗り越えてこそヒーローの心は成長していくのである。
そのような尊い命があっさりあの世から戻ってきてしまってはその感動も台無しであり、そもそも何のために死んだのか分からなくなってしまう。
だから彼らは生き返らないキャラでい続けるのだ。え?ジェイソンは読者投票にあっさり殺されただろって?聞こえないなあ

もう先に言っておくが、最近ではそれらのキャラたちもちょくちょく生き返る傾向にある。


【代表的な生き返らないキャラ】

●ベン・パーカー

もはや説明不要のベンおじさん。スパイダーマンことピーターの叔父。一度も生き返ったことのない希有な人物。
ただし、生き返りはないだけで生きていた並行世界は存在する。
コミックには疎くてもこの人のことはなんとなく知っている、という人は多いだろう。
大いなる力を手に入れ、道を踏み外しかけたピーターにその力を世のため人のために使うことを決心させる大きな理由を作った人。
ピーターによる慢心が原因で逃がされた強盗によって殺害され、その死はピーターの人生を大きく変えることとなった。
彼の言葉「大いなる力には大いなる責任が伴う」はピーターの心に深く刻み込まれている。彼がいなければスパイダーマンは存在しえなかっただろう。

生き返らない人物なのだが、スパイダーマンは別世界の人物のバリエーションが多いので、そのぶんあらゆる世界でたくさん死んでるおじさんでもある。
余談だが、Amazing Fantasy #15(スパイダーマンの初登場誌)においては例の台詞はおじさんではなくナレーターによるものだった。

ちなみにベンおじさんスパイダーマンとなり死を回避した世界線も一応あるが、その世界は核戦争によってベンおじさん以外の人類全てが滅亡した
「アイデンティティ・ウォー」世界においては珍しくベンおじさんが生きている、というか、あの時もし生き残っていたらという世界なのだが、スパイダーマンをヒーローとする為に並行世界のスパイダーマンを呼び出し殺し、力をIW世界のスパイダーマンへと移していた。
その結果IW世界のスパイダーマンは一人でギャラクタスをも倒すほどの存在になっていた。
最終的に力を奪う装置でIW世界のスパイダーマンの方をベンおじさんが殺してしまい、そこで別れる事になった為、世界が滅びる事もなくベンおじさんも生き残っているのだがベンおじさんが幸せな世界とは言えないだろう。


ジェイソン・トッド/ロビン/レッドフード

バットマンことブルース・ウェインの元相棒。
元は貧しいストリート・チルドレンの一人で、バットモービルのタイヤを盗もうとしたところをバットマンに見つかり、その度胸を買われてロビンとして新しい人生を歩み出した。
ディックやティムとは生い立ちがやや異なるものの、持ち前の高い戦闘力で活躍していた。
しかしその凶暴性が原因でバットマンから見放されてしまい、終いにはなんとジョーカーによって殺害されてしまう。
その死はバットマンの心に暗い影を落とし、長らく生き返らないキャラの代名詞として君臨していたが、なんと次元の壁が壊れたり、ラザラス・ピットに放り込まれたりした影響で復活を果たし、「レッドフード」を名乗って悪党を容赦なく殺しまくる新たなヒーロー(?)活動を始めた。
当初は、自分を殺したジョーカーを未だに生かしていたり、自分の後釜である新たなロビンをあっさり雇ったりしていた影響でバットマンへの敵意が凄まじいことになっていたが、なんだかんだで和解。現在はバットファミリーと付かず離れずな距離感を保っている。
他メディア作品においては復活の経緯が少し変更されることが多い。

●テッド・コード/ブルービートル

初代ブルービートルの教え子でブースターゴールドの大親友。
初代ブルービートルが殉職、テッドは遺志を継ごうとしたもののスカラベには選ばれず、自身の頭脳を生かした発明品によって先代ブルービートルの遺志を継ぐ事を誓い、活動する。
インフィニット・クライシス』の前日談にて、独自に捜査を開始した際にマックスウェル・ロードの凶弾に倒れてしまう。
そして、彼の死を悲しんだブースターは時間移動でテッドを助ける事を試み、一度は成功して現代に帰還。
しかしテッドが死ななかったことにより、現代は敵の思惑が成就した世界へと変わり果ててしまう。
その為、テッドはリップ・ハンターが常々口にした、このページを象徴する「歴史は変えられない」の台詞の通り、世界の為に死ぬことを選択し、歴史は元に戻った。
以後は死亡したままとなっており、彼と過ごした日々をブースターが思い浮かべる場面も多かったが、世界観が変わった『フォーエバー・イービル』でチョイ役として登場すると『DCユニバース:リバース』で正式に再登場。『Heroes in Crisis』ではブースターとのコンビも復活している。彼の後任である3代目ブルービートルことハイメ・レイエスとも共演している。
アニメなどのメディアミックスでは最終的には死亡、既に死亡しているパターンが多い。

●バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー

第二次世界大戦時にキャプテン・アメリカの正体を偶然知ってしまったことで、彼の相棒となった少年。孤児。
キャップと共にレッドスカルと戦ったが、爆発に巻き込まれ、死亡したものと思われていた。
しかしこれまた最近になって復活。実は死んでおらず、ソ連によって洗脳、改造されて暗殺者「ウィンター・ソルジャー」として暗躍していたことが発覚した。
様々な経緯を経てかつての相棒と対峙するが、彼に語りかけられたことによって改心、ヒーローとして活躍することとなる。
その後キャプテンの名前とコスチュームを継いだり色々あったが、現在は元のウィンター・ソルジャーを名乗って活動している。
復活後は上述のオリジンが少し改変された。


【その他の生き返らないキャラ】

  • グウェン・ステイシー
スパイダーマンことピーターの元ガールフレンド。
美人で理知的で優しくて芯のある女性で、不幸続きなピーターに寄り添っていたが、ある日グリーン・ゴブリンことノーマン・オズボーンによって橋から投げ落とされ、殺害される。
その死はピーターに深いトラウマを残し、その後すぐにノーマンもピーターとの戦いで命を落とした(偽装だったが)。
ジャッカル絡みで色々あってクローンが創られたりもした。
新たなジャッカルによって一時的に生き返ったが、ピーターのために再び命を落とした。
近年、「スパイダーバース(原作版)」がきっかけで彼女がピーターに代わってスパイダーマン(スパイダーガール)になる世界線「スパイダーグウェン」が誕生した。ただしその世界ではピーターが死ぬ。

  • ウェイン夫妻
ブルースの両親。良識ある人物で、街のために尽くしていたが、ある日チンピラによって子供の目の前で二人とも射殺される。
それによってブルースの最大のトラウマが生まれ、バットマンを産み出すきっかけとなった。
フラッシュポイントの世界において、ブルースの父親であるトーマスがバットマンとして活動している世界が存在していることが発覚した。

  • ホー・インセン
トニー・スタークの恩人。
テロリストに捕まり、余命いくばくもなかったトニーを手助けし、共にアーマーを作成。その後トニーのために命をかけて時間を稼ぎ、死亡した。
彼の犠牲なしでは、今のアイアンマンはありえなかっただろう。

  • キャッスル一家
パニッシャーことフランクを除いた3人。
家族で幸せな休日を過ごしていたところ、ギャングの抗争に巻き込まれてしまい、殺害されてしまう。
その死はフランクを永久に変えてしまい、彼はパニッシャーとして悪人を根こそぎ虐殺する処刑人と化してしまった。

奇怪な覆面をつけて夜な夜な悪党を標的とした通り魔を続ける危険人物、もしくはヒーロー。
世界の命運と自らが信じる正義を天秤にかけ、躊躇うことなく正義を貫き通すことを決意、その結果として殺された。
死亡して直ぐに物語が完結したため、甦らないのは当然と言えば当然だが。










確かに、今のアメコミにおいて登場人物の完全な死が描かれることは少ない。
それでも自分の好きなキャラが死んだときはいつ復活するのか、ばかり気にするのではなく、ちゃんと彼らに対する敬意を示してあげよう。
例え架空の人物だとしても、彼らは読者を楽しませるために沢山の人達の協力によって創作されたのだから。




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最終更新:2025年05月10日 19:58