登録日:2019/09/10 (火) 01:47:00
更新日:2025/08/10 Sun 12:49:18
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1997年12月7日に中山競馬場で行われた第49回朝日杯3歳ステークスはグラスワンダーが勝ったレースである。
【馬柱】
1997年中山5回4日11R 第49回朝日杯3歳ステークス 中山芝外1600m 三歳オープン牡・騙 馬齢(54kg) |
枠 番 |
馬 番 |
馬名 |
騎手 |
| 1 |
1 |
アイアムザプリンス |
M・ロバーツ |
| 2 |
2 |
アグネスワールド |
武豊 |
| 3 |
セイクビゼン |
浜野谷憲尚 |
| 3 |
4 |
フィガロ |
福永祐一 |
| 5 |
ユーワケンタッキー |
坂井千明 |
| 4 |
6 |
ボールドエンペラー |
松永幹夫 |
| 7 |
オンクラウドナイン |
横山典弘 |
| 5 |
8 |
マイネルメッサー |
田中勝春 |
| 9 |
マチカネサンシロー |
柴田善臣 |
| 6 |
10 |
マイネルラヴ |
蛯名正義 |
| 11 |
グラスワンダー |
的場均 |
| 7 |
12 |
シンボリスウォード |
岡部幸雄 |
| 13 |
マウントアラタ |
小池隆生 |
| 8 |
14 |
ダイイチレーサー |
四位洋文 |
| 15 |
メインボーカル |
岸滋彦 |
朝から続く曇り空の下、荒れた馬場の残るターフには15頭の若駒が揃った。
1番人気は前走の京成杯3歳ステークス(GⅡ)を6馬身差で圧勝した3連勝中のグラスワンダー。
2番人気は前走京都3歳ステークス(OP)勝ち馬でグラスワンダーと同じ外国産馬のフィガロ。
3番人気は前走函館3歳ステークス(GⅢ)を勝ったこれも外国産馬のアグネスワールド。
4番人気は前走500万下の条件レースを勝ったシンボリスウォード。
上位人気は共に無敗の馬で占められていたが、注目は何と言っても断然一番人気に支持されていたグラスワンダーであった。
ここまで3戦して全て圧勝ながら、まだ力を見せていないと評判であり、メンバーの揃ったこのレースでいかに力を見せられるか、どんな勝ち方をするかが焦点になっていた。
3歳馬のレースにしてはゲートは各馬まずますだった。
後にヨーロッパでGⅠレースを勝つことになるアグネスワールドがスピードを見せて先頭を窺うが、その外から逃げ宣言をしていたマウントアラタが交わしていった。
人気のグラスワンダーは中団あたりでレースが始まった。
逃げ馬のマウントアラタが前半足を緩める事なく逃げていく。
マイネルラヴとシンボリスウォードが並んでアグネスワールドを交わして2番手争いを始めた。
グラスワンダーの的場騎手は慌てることなく中団で追い出すタイミングを窺っている。
前半800mをマウントアラタは45秒4のハイペースで通過する。
そのタイムに場内がざわめき始めるが、スピード自慢の人気の馬達はそのペースにきっちりと対応して4コーナーに向けてじわりと差を詰めてきた。
そして、注目のグラスワンダーも外からきっちりと番手をあげていい位置につけてきた。
4コーナーを回って先頭はマイネルラヴ。マイネルラヴが抜け出したところを、グラスワンダーがフィガロと一緒にマイネルラヴを捉えにかかる。
並んだのは残り200mの標識を過ぎてから。粘るマイネルラヴを横目に見ながら、ジワリジワリとその差を広げていく。
マイネルラヴの粘りも見事、グラスワンダーにこそ抜かれたもののフィガロ以下には土俵を割らなかった。
勝ったのはやはりグラスワンダー。着差こそ2馬身半とちぎることはなかったものの、タイムが凄かった。
同日・同距離で行われた古馬の準オープン競争よりも早い1分33秒6というレースレコードを叩きだしたのだ。
ただレコードを叩きだしただけではない、ここまで鞭を使われたことのなかった彼が初めて鞭を使われた上でのレコードなのだ。
これに関しては、フジテレビの三宅正治アナが「今日は初めて、初めてグラスワンダーが競馬をしました」と実況しているのがこの凄さを形容する言葉として最も的確だろう。
【レース結果】
1着 グラスワンダー
2着 マイネルラヴ
3着 フィガロ
4着 アグネスワールド
5着 マイネルメッサー
6着 セイクビゼン
7着 アイアムザプリンス
8着 マウントアラタ
9着 メインボーカル
10着 ボールドエンペラー
11着 オンクラウドナイン
12着 マチカネサンシロー
13着 シンボリスウォード
14着 ダイイチレーサー
15着 ユーワケンタッキー
払戻金
| 単勝 |
11 |
130円 |
1番人気 |
| 複勝 |
11 |
100円 |
1番人気 |
| 10 |
240円 |
4番人気 |
| 4 |
150円 |
2番人気 |
| 枠連 |
6-6 |
870円 |
4番人気 |
| 馬連 |
10-11 |
870円 |
4番人気 |
グラスワンダーはここでもモノが違った。なんせ
2歳馬ながらこの年の年度代表馬選考でグラスに10票入ったくらいである。更には2歳ですでに
「今からでも有馬記念を勝てる」とまで言われたのだ。
圧倒的人気に応えて先頭でゴールを切った。
後に有馬記念を2度も制覇することになる中山競馬場だったことも功を奏したのだろう。
「
マルゼンスキーの再来」とも称され、競馬ファンは新たなヒーローの誕生に喜んだのだった。
2着のマイネルラヴも頑張った。この時はまだその実力を発揮することは出来ていなかったが、翌年のスプリンターズステークスで
タイキシャトルと
シーキングザパールを破るというジャイアントキリングをやってのけることとなる。
2番人気で3着のフィガロもこの後が楽しみな馬であったが、残念ながらこのレースを最後に引退。種牡馬となった。
4着のアグネスワールドもまた、その後短距離戦を中心に戦い、フランス、
イギリスでGⅠを制覇することになる。
怪物と呼ばれる方、追記、修正をして下さい。
- このレース触るなら4コーナー手前の「どこまでちぎるんだグラスワンダー」って実況は入れたほうがいいと思います -- 名無しさん (2019-09-10 09:43:49)
- グラスワンダーへの哀悼の意を込めて、編集させていただきました -- 名無しさん (2025-08-09 19:33:59)
最終更新:2025年08月10日 12:49