SCP-2026-JP

登録日:2020/03/15 Sun 00:24:38
更新日:2025/03/16 Sun 16:56:43
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SCP-2026-JPとは、SCP財団日本支部が収容しているオブジェクトである。
項目名は「サグラダ・ファミリア(遺伝子組み換え)」
オブジェクトクラスはEuclid。

…サラッとものすごいパワーワードが飛び出してきた気がする。

サグラダ・ファミリアって?

本題のSCP解説に入る前に、サグラダ・ファミリアってなんぞやと。

サグラダ・ファミリアは、ものすごくざっくり説明するなら「スペインにある、ずーっと建設工事が続いている教会」
意味としては「聖家族教会」

設計は妙な建物を設計することで定評のあったアントニオ・ガウディ。
ガウディの「作品」がどれだけ変、もとい個性的なのかを少しでも味わいたいなら、たぶんパルケエスパーニャメリーゴーランドである「ガウディ・カルーセル」を見れば少しはイメージできるかもしれない。
あのアトラクションはガウディの建築がテーマなので。

また、長年建設工事が続いていることから、「いつまでも工事が終わらないもの」をサグラダ・ファミリアとかいうことも時々ある。
例としては横浜駅なんかが、一部の鉄道ファンから「日本のサグラダ・ファミリア」とか冗談半分で言われたり。

まあ、この通り、著名建築家が設計したいつまでも工事が続いているスペインの教会、のはずだが…?

特別収容プロトコル

SCP-2026-JPの収容プロトコルそのものはかなりシンプル。
SCP-2026-JPの発生地点は封鎖され、一般人の立ち入りを禁止するという基本と言える処置がなされている。
発生したSCP-2026-JPは成長が完了しだいに即座に担当職員が収穫し、適切な手入れを行った後、サイト-8129の食品保管庫に冷凍保存される。
…8129にはこいつより遥かに物騒なSafeがあった気がするが、まあいいだろう。

収穫し、食品用冷凍保管庫に保管するという点で、恐らくは植物、とりわけ野菜かなにかのようなものだと察することはできるはずだ。

発生地点にSCP-2026-2が出現した場合、即座にSCP-2026-JP-2にSCP-2026-JPを渡す。
渡しきれなかった分は調理して処分する。

説明

SCP-2026-JPは、某県のとある町の空き家の隣の畑に発生する、食べられる全長30cm程のサグラダ・ファミリア教会。
…え?え?
な、何を言ってるのかわからねーと思うが、編集者にもさっぱりわからない。でもまあ、SCPなんてそんなもんだろう。
ちなみに発生地点の畑は、周りの土と特に成分の違いはないようだ。
SCP-2026-JPは上部の4ヶ所の塔の部分から発生し、一ヶ月で完全なミニサグラダ・ファミリアとなる。
このサグラダ・ファミリア形植物(?)の壁面内部には細かな管がある。ここには水が常時流れていることから、SCP-2026-JP全体に水分を供給するための器官なのではと推測されている。
4ヶ所の塔の頂点にあるオブジェには、空気中の水素を原料に水を作り出す細胞が存在している。
また、この「塔」の中心にある、鳩が止まったイトスギを模した「生命の木」と呼ばれるオブジェ(のような器官)には、葉緑体と同様に光合成を行う細胞がある。
この謎のミニサグラダ・ファミリア、やはり植物なのだろうか。
一応、生命の木を取り除いても完全に成長することはできるが、鮮度は低下する模様。

SCP-2026-JP内部には、SCP-2026-JP-1と指定される、全長1~2cmの人間にそっくりな謎のナマモノがいる。
喋らないが、ものすごく苦い味。
SCP-2026-JP-1の足の裏には棘の内蔵された小さな穴が密集している。
これが何に使われるのかは謎だが、恐らくこの器官でSCP-2026-JPを削り取り、食べているものだと推測されている。
ちなみにSCP-2026-JP-1に傷つけられたところは劣化が激しくなる。

一言で言うなら、
  • SCP-2026-JP:サグラダ・ファミリア形の謎の植物
  • SCP-2026-JP-1:サグラダ・ファミリア形謎植物に巣食う人間型アブラムシ
というところだろうか。

SCP-2026-JPは、人物が「SCP-2026-JPを食べる」と意識しているときのみ破壊可能となる。
なんて都合のいい破壊耐性なんだ…
SCP-2026-JPの味は個体や調理法によって様々に変化する。
SCP-2026-JPの表面は通常は非常に硬いが、口に入れたり、茹でたり、水につけるなどすると柔らかくなる。
毒性は特になく、消化もできる。

ちなみに、SCP-2026-JPの発生地点には一ヶ月に一度、SCP-2026-JP-2と指定される、黒い肌の人型実体が現れる。
SCP-2026-JP-2にSCP-2026-JPを渡すと、感謝の言葉とともにどこかに消える。

実験記録 - サグラダ・ファミリア食べてみた


以下は、SCP-2026-JPの摂食実験である。

摂食実験2026-JP-1

実験内容: SCP-2026-JPを生でかじる。

担当職員: 櫻田研究員
ハテノ村で大工やってそうな名前の研究員だ。
桂田研究員や榎田研究員もいるのかな?
結果: きゅうりのような歯ごたえであり、時折渋い味がした。全体的に微かに青臭い味がする。
この渋さの原因はSCP-2026-JP-1だったらしい。

摂食実験2026-JP-2

実験内容: SCP-2026-JPを茹でる。

担当職員: 櫻田研究員

結果: 生の時より食感が柔らかくなった。味もうどんのような味に変化した。
香川県民大歓喜…かな?

摂食実験2026-JP-3

実験内容: SCP-2026-JPを素揚げする。

担当職員: 櫻田研究員

結果: さくさくとした歯ごたえ。かなり甘い。

摂食実験2026-JP-5

実験内容: SCP-2026-JPを千切りにする。

担当職員: 櫻田研究員

結果: 生の時より瑞々しさが増した。また、千切りにする際は豆腐のような切りごたえだった。

メモ: 「摂食する」といった意思を持つことでSCP-2026-JPを破壊することは可能なようです。
この実験で「食べる」という意思が破壊耐性を解除する要素だということも判明したようだ。

摂食実験2026-JP-6

実験内容: SCP-2026-JPを焼く。

担当職員: 櫻田研究員

結果: 炭を使用していないのにも関わらず炭の香りが漂う。中は生焼けでとてもすっぱかった。
色んな意味で嫌な想像しかできねえ。
しかし青臭い・うどんみたい・甘い・すっぱいって味変わりすぎじゃないですかね…

発見記録

SCOP-2026-JPは2019年10月1日、件の町の住民から「なんか空き家の畑にサグラダ・ファミリアの彫刻がふえてるんですが(困惑」という通報により駆けつけたエージェント・御厨により発見された。
発見時、謎のサグラダ・ファミリア形植物(?)SCP-2026-JPは、SCP-2026-JP-2により育てられていた。
ちなみに彼(?)の名は、下記の記録からすると「ミリア」という名らしい。これ故、以下SCP-2026-JP-2を基本的に「ミリア」と呼称する。

発見後、財団はミリア氏との交渉により、SCP-2026-JPの栽培は財団職員が代わりに行い、定期的にミリア氏に栽培したSCP-2026-JPを渡す、
さらにミリア氏に常時GPS装置を着用させるという条件により、収容を確立した。

以下はミリア氏へのインタビューの記録である。

対象: SCP-2026-JP-2

担当職員: 尾瀬研究員

<インタビュー開始>

ミリア(SCP-2026-JP-2): こんにちは!サグラダファミリア、回収しに来ました!

尾瀬研究員: いつもお疲れ様です、ミリアさん。今日はこのサグラダファミリアを渡す前にいくつか質問したいことがあるのですが……構いませんか?

ミリア: 聞きたいこと?それはもちろん!いくらでも聞いてください!尾瀬さんには沢山お世話になっていますし!この前バッジももらっちゃいましたしね!
いや…そのバッジって実はGPSの端末なんですが…いや、なんでもない。

尾瀬研究員、最初にミリアに「あなたは何者だ?」と聞いたところ、ミリアは「ただの食通です」と答えた模様。
そしてミリアにサグラダ・ファミリアのねじり焼き(水に数分漬けて柔らかくしたSCP-2026-JPを手でひねり、串に挿して焼いたもの)を出される尾瀬研究員。
ちなみに、ほくほくとして甘い味がするそうな。

尾瀬研究員: ……ありがとうございます。[サグラダファミリアのねじり焼きを食べる。]食通、とは?

ミリア: いろんな星の珍しい食事をするのが趣味ってだけですけどね!例えば[聴取不可能]のアルゥトとか、モルルニェのサイトウケンジの活け造りとか……。

ミリア氏は地球外生命体だったのか!?
…なんか不穏な雰囲気になってきたぞ。

尾瀬研究員: その、サイトウケンジの活け造りって、どんな料理なんですか?

ミリア: あなた達、人間?のDNAを取って、それで作った疑似生命体を生きたまま食べるんですよ!内臓が瑞々しくて暖かいのがとてもよくてですねえ……あ、ちなみにサイトウケンジのところは変わりますよ。大体1ヶ月ぐらいで鮮度が落ちておいしくなくなるから、結構変わるんですよ。ユキムラユウナ?が一番おいしかったですよ!幼体だったから、もう骨が柔らかくて!暴れないから食べやすくて、ぶちぶちと食いちぎるのが……。

ますます嫌な予感しかしない。

ミリア氏はサグラダ・ファミリアを「個人的に美味しいものランキングでかなり上位に入るもの」と評しており、食事のためにこのミニサグラダ・ファミリアを栽培しているようだ。
尾瀬研究員、このサグラダ・ファミリア(形の謎の野菜?)はどうやって作ったのかと聞いたところ、「簡潔にまとめるのは難しいが、色々と品種改良をして作った」とのこと。
だが品種改良で作り出したということは、元になった物があるはずだが…。

尾瀬研究員: 品種改良、ということは元となったものが存在するということですか?

ミリア: はあ。それはもちろん。皆さん知ってると思いますが。

尾瀬研究員: というと?

ミリア: あの、何でしたっけ、確か……そう、スペインという所にあるじゃないですか。見たことありません?

尾瀬研究員: ええ、あのサグラダファミリアは知っています。しかしあれは食べ物ではなく建物です。

ミリア: ……はい?サグラダファミリアは食べ物ですよ?

え…?
え?

尾瀬研究員: ……しかし、あのサグラダファミリアを建てたのはアントニ・ガウディという人間なのですが。

ミリア: ああ、それはうちのお爺さんですね。

衝撃の事実発覚。アントニオ・ガウディは地球人ではなかったというのか!?

尾瀬研究員: は?

ミリア: お爺さんも私と同じように食通でしてね。別の星から持ってきたあのサグラダファミリアとか色んな食べ物をうまい事育てるのに躍起になってたんですよ。そこでたまたま見つけた地球が結構育てる環境に適してたらしくて、人間に擬態していろいろ作ってたらたまたまサグラダファミリアが大きく成長したんですって!……でも育てる途中にお爺さん、段差でこけるっていうしょうもない理由で死んじゃって、育ててたサグラダファミリアも成長が止まっちゃって……そうだ!お礼を言わなきゃいけないのに私ったら……ありがとうございます!

尾瀬研究員: えっと……なんの感謝ですか?

ミリア: お爺さんが死んじゃった後、サグラダファミリアをどう育てようか困ってたら、あなた達人間が育ててくれてたじゃないですか!私嬉しくって!……でも、結構時間かかりますよね、あれって。だから我慢できなくなって、サグラダファミリアをちょっとだけ削ってそのデータで遺伝子組み換えしたサグラダファミリアを作ったんですよ。この畑でひっそりと。ただなんでか人間さんみたいな寄生生物も湧いてたりして改善点はわんさかあるんですけどね……いやあ、人間さんには頼ってばっかりで……本当にありがとうございます!

尾瀬研究員: あの……つまり……今建設中のサグラダファミリアは完成したら、あなたはあのサグラダファミリアを食べる気なのですか?

ミリア: だから、食べる気もなにも。サグラダファミリアは食べるものでしょう。あ、そうだ。完成したら皆さん出て行ってくださいね!寄生してたらいちいち取り除くの大変ですし。

引用が長くなってしまった。すまない。
だがミリア氏の言ってることは割と洒落にならない。
「オリジナル」のサグラダ・ファミリアを食べる気満々であり、しかも完成したら食べるから地球人に(サグラダ・ファミリアから)出ていってくれとまで言っている。

これだけで済むなら、まあ地球人とは色々違う感性を持つ地球外生命体の与太話、で済むはずだったが…

またもや衝撃の事実発覚。
スペインにある、「オリジナル」のサグラダ・ファミリアの壁材を試しに食べてみたところ、
あろうことかSCP-2026-JPと同じ味がすることが判明。
現在、サグラダ・ファミリアの完成は先送りにされ、ミリアことSCP-2026-JP-2への早急な対策が必要とされている。

サグラダ・ファミリアを食べた人は追記修正をお願いします。

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-2026-JP - サグラダ・ファミリア(遺伝子組み換え)
by 0v0_0v0
http://ja.scp-wiki.net/scp-2026-JP

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最終更新:2025年03月16日 16:56