登録日:2012/10/18 Thu 08:13:58
更新日:2025/04/20 Sun 08:35:33
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あんまり死ぬの怖がってるとな、死にたくなっちゃうんだよ
『ソナチネ』は
北野武が監督を務めた1993年公開の
日本映画。
同監督の4作目の作品で、1作目『
その男、凶暴につき』、2作目『3-(←たい)4X10月』のバイオレンス路線と、3作目『あの夏、いちばん静かな海』での美しい
海の描写を「
沖縄でのヤクザの抗争」という形で両方描いた(沖縄が舞台なのは『3-4X10月』もだが)初期北野作品の集大成とも呼べる作品。
エンタメよりも芸術的な側面が強く、国内ではヒットしなかったが海外で評価されたことで、たけしは「世界のキタノ」としての地位が確立されていく。
画面全体がうっすらと青みがかった、いわゆる「キタノブルー」の表現手法が初めて使われた作品でもある。
「キタニスト」と呼ばれる北野武ファンからは6作目『キッズ・リターン』と並び、歴代でも最高傑作の呼び声も高い……というか、ほぼ一強に近かったりする。
プロデューサーの奥山和由は本作を『
その男、凶暴につき』の続編と位置付けていたらしく、キャッチコピーも「凶暴な男、ここに眠る」となっている。
非常に印象的なタイトル画面でモリに刺さっている魚はナポレオンフィッシュ。
暴力団「北島組」の系列である「村川組」組長、村川はある日、北島組の組長直々に「兄弟分の中松組が沖縄で抗争を始めたので力を貸してやってほしい」と頼まれる。
北海道で若い衆を3人失っている村川は乗り気ではないが、組長は手打ちで終わるというし、組長直々の頼みでは行かないわけにはいかない。
こうして沖縄へ飛んだ村川とその子分達だったが、そこには恐ろしい陰謀が隠されていた……
<登場人物>
村川(演:北野武)
村川組組長。沖縄では仲間達と楽しげにはしゃいでいるが人を殺すことには何のためらいももたない。本人曰く初めて殺した相手は父親で、理由は「ヤらせてくれなかったから」らしい。
片桐(演:大杉漣)
村川組幹部。村川の右腕とも呼べる存在で、村川の子供じみたイタズラに翻弄されつつも村川を慕っている。アロハシャツが似合わない。
大杉漣は当時は無名と言ってもいい役者で、おまけに折角のオーディションに遅刻して終わってから到着した。
しかし、たけしはそんな無名の役者にチャンスを与えてオーディションは終わっていたのに演技を観て採用。
更に、電話で凄むシーンをアドリブでやらせた所、その上手さに舌を巻いたとのことで当初よりも出番を増やした。
たけしの見込みは間違いなく、大杉は本作をきっかけとして名前が知られるようになり、後の『HANA-BI』にて本格的なブレイクを果たすことになった。
尚、映画の途中で生真面目な片桐が誰も居なくなった所で一人で人間紙相撲を試してみる場面が挿入されているが、あれは大杉が休憩時間に人間紙相撲をやってたのを見たたけしがカメラを回させて隠し撮りしたのを使用している。
ケン(演:寺島進)
村川組組員。中松組の良二とは友好な関係を築く。
当時の寺島は端役ばかりの無名俳優だったが、チンピラ役で出演した『その男、凶暴につき』以来の北野映画の常連となっており、順当に存在感を増していた中でのケン役であり、やはり本作にて一般的にも名前を知られるようになっていった。
良二(演:勝村政信)
中松組組員。一見おとなしそうな人物だが、作中のとある行動はまさにヤクザ。
勝村は「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」での共演が縁で北野映画でも常連に。
尚、勝村(と寺島)曰く、ケンと良二が劇中で興じさせられる人間紙相撲には苦労させられたとのこと。
因みに、この人間紙相撲は当時のたけしが深夜番組にて軍団との持ちネタとしていたもので、演技指導としてたけしとガダルカナル・タカが人間紙相撲を見せてくれたが「とても真似できない」と言わしめる程のクオリティだったらしく、それが映画ではコマ抜きのようになっている理由なのだとか。
沖縄にいたヤクザで唯一生き残った。
上地(演:渡辺哲)
中松組幹部。沖縄舞踊にうるさく、ケンと良二に熱心な指導を行う。
高橋(演:矢島健一)
北島組幹部。いけ好かないインテリヤクザで、村川とは犬猿の仲。
組長の命令で村川をハメた張本人。真実を知った村川に捕まりほうふくとして惨殺された。
幸(演:国舞亜矢)
強姦されそうになっていたところを結果的に村川に救われる。その後、村川に想いを寄せるようになる。
北島組は中松組と抗争を繰り広げている阿南組と組みたがっていた。
その為に兄弟分の中松組が邪魔になったのだ。
そして、この抗争をきっかけに北島組は中松組を潰しにかかった。
村川達が派遣されたのは、村川組のシマの近くに出来た地下鉄のせいで村川達の羽振りが良かったこと、また北島組のシマが「閑古鳥が鳴いてる」状態だったので、村川組を始末してシマを奪おうと画策していたから。
高橋から全てを聞き出した村川は高橋を殺害後、マシンガンを抱えて単身北島組と阿南組の会合場所に突入。
その場にいたヤクザを全員殺害したのち、車中にて
拳銃自殺した。
あんまり追記・修正するの怖がってるとな、追記・修正したくなっちゃうんだよ
- コマネチと語感が似てるな -- 名無しさん (2014-04-29 21:04:56)
- VOW!でソナネチって誤植してた雑誌の切り抜きが投稿されてたな みんな間違うらしい -- 名無しさん (2018-08-11 16:26:09)
- 最後に黒幕のヤクザ全員殺して主人公も死ぬっていう虚無的なラストがいい。 ただの下っ端まとめて殺しても「なんじゃそりゃ」って感じだけど、この作品はそれでキッチリ話を畳むからね。 -- 名無しさん (2021-01-21 21:50:04)
- 満たされちゃったんだろうな、あの沖縄の日々で -- 名無しさん (2023-09-04 00:29:49)
- 初見は浜辺で遊ぶ場面多すぎてなんだこれと思ったが展開わかっててもう一回見ると切ないものが込み上げてくる -- 名無しさん (2023-09-11 23:12:20)
- ↑3 たけしの思想に銃を使ったやつは幸せになれないって考えがあるしね -- 名無しさん (2024-01-21 22:22:11)
最終更新:2025年04月20日 08:35