阿部倉司(SIREN2)

登録日:2010/01/16(土) 07:25:40
更新日:2025/04/26 Sat 01:06:20
所要時間:約 4 分で読めます




SIREN2に登場する人物。


☆阿部倉司 アベソウジ
CV:中村英司
年齢24歳
誕生日 6月24日
職業:フリーター

見た目はやや頭の中身が可哀想な昔のチンピラやヤンキーみたいな格好をした男。

お調子者であり、天然であり、SIREN2の愛すべきバカである。


以下、ネタバレ







三上脩のチャーターした漁船「翔星丸」が出港する直前で、男女が二人駆け込んできた。

この二人こそ、全国指名手配され追われる身の阿部倉司と、連れの喜代田章子である。


☆この二人の関係

二人が連れ立って行動している理由は、阿部の殺された恋人にある。
彼女の名前は多河柳子。昭和80年8月1日16時頃に何者かに撲殺されているところを発見された。

警察は、当時柳子と同棲していた阿部に事情を訊くが、彼がパニックになって逃走したことや、
近隣住民から「よく口論していた」という証言が採れた*1こと、見た目や言動が粗暴なことから阿部を疑い、指名手配とした。

実際のところ、阿部がパニックになったのは、警察が疑っているように恋人である柳子を殺害してしまったからではなく、
「帰宅直前に自宅アパート前で鉢合わせになり、軽く会話して別れた柳子の遺体を自室で発見した」という不可解な状況に混乱したためであったが、
柳子を殺した犯人と目されている彼がそんな証言をしたところで、下手な言い訳にしか聞こえないのは自明の理であった。

阿部は警察に追われながら、柳子の友人であり、占い師である章子の下に辿り着くと、
彼女に必死に自分の無実を主張し、柳子の死の原因を解明するために今回の舞台である「夜見島」を目指すこととなったのだ。

ちなみに、章子はすんなり阿部を信用したわけではなく、最初は警察と同じく阿部を犯人と疑っていたが、
自身の、人や物の記憶を読み取る「過去視」の能力で「阿部が犯人ではない」ことを理解して彼を信用し、
「柳子がどこにいるのか知りたい」*2という阿部の願いを受けてダウジングで彼女の居場所を探り、
「柳子は夜見島にいる」という結果を得られた*3ことを受け、真相究明のために阿部に同行することにした。

こうして夜見島に向かった二人であったが、島に上陸する寸前に乗ってきた船が転覆し、なんとか島に流れ着くも帰れなくなってしまった。
傍から見れば絶望的な状況なのだが、明るくマイペースな阿部はあまり状況を悲嘆することなく、
落ちていた金のアクセサリーを拾って「これ純金じゃね?」とくだらない冗談*4を口にしつつ、章子と休んでいたが、
そこに突如として巨大な赤い津波が押し寄せ、二人は為す術もなくその波に吞まれてしまう。

その後、意識を取り戻した阿部は、章子や三上脩と同行することもありつつ、柳子の死の原因を探って島を探索していく。



そんな阿部を操作するステージの難易度はある程度高い。
というのも、ほとんどの場合、同行者が探索を進める上で足手まといだったり、手がかかるため。
そのためか、彼のステージでは鳶や64式小銃など強力な武器が手に入りやすいのだが、
阿部自身は訓練を受けたことなどもちろんない一般人なので、狙撃するのは難しい。

なお、いかにもな見た目からか、隠し武器として釘バットがあり、これを作製すると阿部19:00のシナリオが多少は楽になる。
(ハードのピエール戦に…)

釘バットの威力は同じく隠し武器であるトロフィーと同等の破壊力を持ち、尚且つ攻撃モーションが速い。
因みにトロフィーは屍人を大体1、2発殴れば殺せるが、攻撃モーションが非常に遅い上に、手に入れたらその後はクリアするしかないので攻略には役に立たない。

余談だが彼の素手攻撃はキックで、多少はダメージがある。使う機会はほとんどないだろうが

また、手先がかなり器用らしく、狩猟罠を仕掛けたり、ナットを投げて気をそらしたりできる。
スピード攻略には役に立たないが、通常攻略では意外と役に立つ。



ストーリーの上でもかなりマイペースで、他の登場人物が「母胎」やら「堕慧児」やらに立ち向かい、その野望を阻止せんと動く中、
阿部はそれらの深い事情にほとんど関わることなく、単独行動を続けることとなるが、
隠しデモにより、物語終盤で「母胎」と主人公達が対峙した時に鉄塔を崩壊させ、「母胎」の企みを砕いた功労者であることが判明する。

以下、その隠しデモで判明した、その時の阿部の行動とその結果を記す。

団地に生えてた夜見アケビを食す(喜代田シナリオのデモで「ラッキー♪」と食べている)。
  ↓
次の日、それが当たって腹を壊したため、トイレを探す。
(「くそすぎだろっ!」といって絶望した真相はコレ)
  ↓
犬笛吹いて三上脩の愛犬ツカサ(♀)と出会い、砲台跡で落としたライターを返される。
  ↓
主人公と母胎が対峙する頃、念願のトイレを発見する。
  ↓
用を足し、トイレから出て返されたライターで一服する。
  ↓
一服後、便器に向かって煙草の吸い殻をバスケットシュート!
見事に入り、ガッツポーズ。(ちなみに、これも役が決まってスタッフと親しくなる内に採用が決まった中の人の持ちネタ)。
  ↓
トイレに背を向けた瞬間、背後のトイレが大爆発。
(汲み取り式便所の底に溜まっていたメタンガスに引火して爆発した模様)
  ↓
その爆発で地下道に溜まっていたメタンガスや、埋蔵していた天然ガスなどに連鎖的に次々と引火して大爆発。
最終的に鉄塔辺りまで爆発が起こり、足場が完全に崩れて鉄塔は崩壊。
  ↓
阿部「( ゚ д ゚ )」

この時阿部が意図せず倒壊させてしまった鉄塔は異界と現世を繋ぐ“道”の役割を果たしており、
来たる現世侵攻の際には、ここを通って「母胎」が現世に向かうはずだったが、
これが崩壊したことにより因果律も崩壊し、「母胎」の現世侵攻の野望も泡と消えた。

つまり、阿部こそが「母胎」の野望から現世(世界)を救った英雄と言っても過言ではないのだが、
野望を挫かれた「母胎」や闇人たちはもちろん、阿部本人さえ、その事実に気付くことはなかったのであった…。

※この隠しデモは全ステージのタイムトライアル更新で出現。


ちなみに彼が食べた夜見アケビは、味は甘くてそこそこ美味いものの、激しい下痢と幻覚作用を起こすことがあるらしい。
要は毒キノコのような植物で、知らないとはいえ不用意に食べてしまった阿部はついてなかったというしかないが、
それがきっかけで人類滅亡の危機を救ってしまうのだから、人生何が起こるか分からないというべきか。



彼のエンディングは、アーカイブを99個集めなければならないという隠しエンディング。
デモタイトルは「失われた世界」。

阿部は(当人にそんなつもりはなかったものの)「母胎」の野望を直接的に潰した影響からか、
「母胎」も「堕慧児」も元々存在せず、故にそれらから生まれた異界の影響も全くない世界に飛ばされた。

一見同じく異界の影響がなさそうな並行世界に降り立ったものの、共に脱出し、隣にいる郁子の仕草が不穏な一樹のED、
人類が滅亡し、闇人が人類に代わって地上の支配者となった並行世界に落とされ、元の世界にも戻れず発狂する永井のEDなど、
多かれ少なかれ破滅が予期される他のEDに対し、このEDは異界の影響が一切ないので、ある意味一番(人類的には)希望があるEDとなっている。

…が、阿部の周囲だけを見ると、そうとも言えないEDである。


まず、元の世界で阿部の恋人であり、彼が島を訪れる要因ともなった「多河柳子」だが、
実は木船郁子の双子の姉妹であり、本名は「木船柳子」という。
『ブライトウィン号の怪』で自身を妊娠していた母親が襲われ、胎児の頃に『未覚醒鳩』にされた人物であった。

母親が学生出産だったこともあり、柳子は郁子と離れ、母親と暮らしていたものの、
やがて『鳩』として覚醒し、顔が変わってしまったことや自身の正体を悟って絶望した柳子は、
覚醒した影響もあって住んでいた家から衝動的に飛び出し、東京に辿り着いた。

しかし、顔が変わってしまったことで、彼女が「木船柳子」だと分かる者は最早誰もいない。
身寄りを失い、生きる術も理由も失った柳子は、日光に当たって自殺を試みるが、そこに現れて自分を助けたのが阿部であった。

時折情緒不安定になって暴れる自分を疎むことなくおおらかに接し、受け容れてくれる阿部の心優しさに惹かれた柳子は彼と同居。
同時に、素性の怪しい自分を雇ってくれた飲食店の店長の名字をもらって『多河柳子』と名乗って生活を始める。

経済的には貧しかったが、阿部や店長を始めとして、周囲の人間関係に恵まれた柳子は、
『鳩』の使命を放棄し、人間として、「多河柳子」として、幸せな生活を手に入れることが出来たのだが、
『鳩』を放った大元たる「母胎」は、そんな柳子の「人間として生きていきたい」という願いを許さず、
自分に忠実な『鳩』である岸田百合を彼女の下に差し向け、殺害させたのである。*5
ちなみに、阿部が自宅で死体を発見する前にすれ違った柳子は、彼女を殺して現場を立ち去ろうとしていた岸田百合である。
同じ『覚醒鳩』故に顔がそっくりであったことや、一言二言しか話さなかったため、阿部はそれが柳子に酷似した別人だと気付けなかったと思われる。


つまり、異界の影響がない世界では、「木船柳子」が東京に出てくる理由が消滅してしまうため、彼女が阿部に逢うことも起こり得ない*6
さらに阿部は知る由もないが、彼が知る柳子は『鳩』となって覚醒した後、つまりは顔が変わってしまった後の彼女であるため、
この並行世界では(おそらくは)「木船柳子」は今も生きているだろうが、顔は当然阿部の知る彼女のものではなく、本名も知らない阿部に探し当てることはほぼ不可能である。

一方で、岸田百合が多河柳子を阿部の部屋で殺害する事件も発生しないため、阿部の指名手配もなくなっているのだが、
これによって阿部が喜代田と出会う理由も消滅してしまい、彼女と夜見島に行くこともなくなってしまった。
こうして、阿部が記憶している、愛した恋人との時間も、夜見島でのひと時も、この並行世界に送られたことで全て『なかったこと』になってしまったのだ。

その孤独感からか、もの悲しく「みんな…いなくなっちまったのか…」と呟く阿部に、元の世界からついてきたツカサが寄り添うところで、EDは幕を閉じる。
世界は救われ、阿部も異界から抜け出すことは出来たが、果たして、彼は救われたのだろうか…。



中の人は現在は俳優業を休業中で、そば打ちの修行を経て品川区で蕎麦屋を経営している。
ご多忙なためか毎年行われる異界入りイベントには不参加なもののビデオメッセージを送っている他、
お店ではイベント期間中に純金トッピング、赤いそばつゆ、王将せんべい付きの「純金そば」が限定メニューとして提供されている。



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最終更新:2025年04月26日 01:06

*1 実際には情緒不安定故に時折暴れてしまう柳子の声や物音を聞いた近隣住民が「喧嘩している」と誤解していた。

*2 阿部は死体発見直前に柳子らしき女性と会話していることや、柳子の遺体は顔が判別できないほど無惨に損傷させられていたことから、柳子が死んだと思っていなかった。

*3 実際には柳子ではなく、その大元たる「母胎」に反応していた。

*4 ちなみに純金云々は舞台俳優である中の人の持ちネタ

*5 尤も、百合自身は同胞と言ってもいい柳子を殺害することに乗り気ではなく、静かに自分の死を受け容れ、殺されようとする柳子と意識同調した際に彼女の阿部への愛情を知り、「ごめんね」と謝りつつも母胎からの命令には逆らえずに殺害している。

*6 アーカイブに阿部と柳子が映った写真があるが、このEDを見ると『阿部と柳子は出会わなかった』ことになったことを表すように、写真の柳子が消え、阿部一人の写真に変化する。