AV-X0 零式

登録日:2020/11/28 (土) 15:07:04
更新日:2024/06/24 Mon 08:27:17
所要時間:約 5 分で読めます




AV-X0 零式とは、映画機動警察パトレイバー the Movieに登場するレイバーの一つである。

本稿ではパトレイバー他作品に登場する類似レイバーについても解説する。

概要

篠原重工がAV-98 イングラムの後継を目指して開発した次世代の警察用パトレイバーである。
実戦データを欲しがっていた篠原重工によって、イングラム以上に開発費をつぎ込まれた本機は警察用としていささかオーバースペックな機体として仕上がっているとされており、本編での暴れっぷりと合わせて最強のレイバーに推す声も多い。
名前の読みは「れいしき」だが設定画やゲームでは「ゼロ式」と読まれることがある。また、「TYPE-ZERO」という別名を持っている。


基本データ

諸元
形式番号 AV-X0
全幅 4.51 m
全高 8.32 m
本体重量 6.12 t
全備重量 6.98 t
最大起重 3.02 t
最小回転半径 3.20 m
装甲材質 炭素繊維強化金属
炭素繊維強化プラスチック
動力源 超電導モーター
電力供給型内蔵バッテリー
装備 スタンティック
大型専用シールド
生産 篠原重工八王子工場
搭乗者 南雲しのぶ
香貫花・クランシー


スペック

篠原重工の次世代オペレーションシステムであるHOSを警察用レイバーとして初めて搭載することで各部の動作をより効率化し、より優れた格闘性能を獲得。
腕のマニピュレーターの強度を強化すると共に指先を尖らせることで相手の装甲をそのまま指先で突き刺して貫く、空手を応用した「貫手」と呼ばれる技を使うことができるが、
これは先のイングラムでリボルバーカノンの出し入れに使用した伸縮式のアームを格闘用に改めることで、繊細に扱うべき筈だった手先部分をそのまま武器として使用することが可能になったものである。
それに加えて単純なパワーもイングラムを遥かに凌駕し、一体のレイバーを片手で楽々と持ち上げたり膝割で粉砕したりと高い起重力と負荷性能を持つ。
またソフト・ハードの両面が見直されたことで反応速度も大幅に向上し、掴みかかったイングラムを片手で軽々抱え上げ、左腕をもぎ取るという荒業を披露している。
劇中ではシールドしか装備していないが、上に書いた通りスタンスティックが専用装備として設定されており、TV版に登場するピースメーカーやプラモデルキット・リボルテックフィギュアなどには反映されている。


動向

劇場版本編

八王子工場で生産された後、三機がニューヨークに新設予定のレイバー部隊に納入され、それに続く形で特車二課第一小隊への配備が予定されていた。
しかし渡米していたシゲからの要請でHOSを含めた機体の徹底調査を行うことになり、配備予定の一機が洋上のメンテナンスドックである"方舟"に持ち込まれ最終調整及び各種試験を行っていた。
これに並行して第一小隊の機種転換訓練も行われ追加ロールアウトと納入も秒読みという段階だったが、HOS搭載の自衛隊レイバーが無人のまま暴走する事件が発生した為に、結局納入は先送りとなっていた。
終盤では香貫花・クランシーが遊馬の反対を押しきって搭乗し、太田功の2号機を支援するもHOSに仕込まれたコンピューターウイルス*1によって暴走。2号機を薙ぎ倒した直後方舟の倒壊に巻き込まれるが、片腕を失う半壊状態で瓦礫の中から現れ泉野明の1号機と決戦を交えた。
格闘戦で1号機を圧倒するもののワイヤーを絡められて身動きを封じられ、その隙に背面のメモリー*2を人間用のショットガンで破壊された。

その後

この「方舟事件」を受けて先行配備が実施されていたニューヨーク市警では納入されていた3機を全面改修し、クラッシュバスターとして正式にロールアウト。
OSをHOSからLOSに改め、頭部の開閉型スキャナー機構を廃止してマニピュレーターは格闘戦よりも銃器の取り扱い易さを考慮したものになっている。
形式番号は「AV-02」とも表記されるが、2002年式である事を示す「AV-2」ヴァリアントとは別物。

テレビシリーズ

第39話にて、電話中の実山の前に「AV-X0」の文字が入った段ボール箱と、1/60スケール程度の零式らしい模型がゲスト出演している。テレビシリーズと劇場版1は違う世界線であるが、こちらでも試作が考案されたのだろうか?。


ゼロの系譜

零式の登場以降、TV版や漫画版で「0」の型式を受け継ぐ機体が登場しているので、そちらも振り返ってみる。

AVR-0

漫画版に登場。AVRの「R」は、リファレンス(標準型)の意。
ハード面でも全てにおいてイングラムを凌駕している上に衛星からの情報を得て自機および任意の相手の位置を常に把握することが可能な、サテライト・アプリケーブル・ドライバ、通称"SAD"に対応しており、
ロックした相手を機体のセンサーと衛星からのリンクによって常に捕捉し、目標に対して自動で攻撃や防御などのアクションを起こす事も可能になっている。
たとえ相手に背後から接近されたとしても、衛星が相手を捕捉しているため、奇襲に完璧に対応して回避や反撃を行えるという優れモノで、理論上はいかなる相手にも完璧な対応が可能。
交戦したTYPE-J9 グリフォンを駆るバドをして「後ろに目があるのか!?」と驚かせるほどの挙動もできる。

……のだが、問題はこれらの「衛星とリンクした挙動」が全自動で行われることで、パイロットも「自分が入力していない動きをレイバーが勝手にとる」ため、慣れていないと却って使いにくい。
さらに、登場時点ではSADそのものは機体ではなく外部の管制車が制御を行っているため、管制車が制御を停止すると機能が大幅に低下する上に、一々再起動をする必要があった。

これらの事情が重なり、泉野明が搭乗・使用した際にはその性能に振り回され、グリフォン相手に決め手に掛ける攻撃を繰り返した果てに、管制車を制圧されてSADが停止したところを破壊されてしまった。
いちおう性能とアプローチ自体はかなりのもので、特にコンピューターと衛星の全力を尽くした防御・回避運動はグリフォンの苛烈な攻撃を最後まで捌き切り、管制車が制圧されるまではほぼ無傷であったほどだが、
いかに優れた道具でも、使い手とともに成長していなければ何ほどのこともないというのを証明する形になった。

デザインは一見零式に準じたものに見えるが、カラーリングは白と水色で、カメラ内部の構造や額のセンサー部分等の細部に異なっている部分が見える。
またグリフォンの黒幕・内海課長は「なにあれ? にせイングラムかにせグリフォンか……」とぼやいている。

AV-0 ピースメーカー

TV版、NEWOVAに登場。イングラムの後継機として特車二課第一小隊に3機が配備された。
デザインは零式から全面的に変更されており、試験機の面影を残しつつもヒロイックさを強めた印象となっている。
機体の肩と背面には警視庁の英語略称である「M.P.D.」のロゴが入る*3

額のカメラアイなど、漫画版において類似のポジションを占めるAVS-98にやや似た印象も受ける。
攻撃オプションはイングラムと同規格のものを装備し、零式と同様に貫手が使用可能。大型シールドは零式とはデザインが異なる。
人間の神経を模した「ニューロン・ネットワーク・システム」を搭載し、第一小隊のパイロットによって人間が注意しなくても機体が自動的に周囲の障害物を避けるように学習された。しかし、相手機が建物を背にした時にこれが仇となって身動きがとれなくなり、さらに自身が吹き飛ばされた際には、建物への衝突を避けようとするあまり踏ん張り過ぎて脚部を自壊して2号機は戦闘不能に。1号機もシステムの解除も空しく撃破されてしまった。



立体物

バンダイ

1/60スケールのプラモデルと完成品のロボット魂でリリース。
シールドが同梱されている。
貫手は、通常と差し替ることで再現ができる。

コトブキヤ

D-スタイルシリーズにラインナップ。暴走状態が頭部パーツの差し替えで再現可能となり、貫手状態も差し替えで再現される。また電磁警棒とシールドが同梱。

海洋堂

リボルテックで商品化されている。貫手用のハンドパーツとフェイスオープン用のパーツが付属。
可動の方式と範囲に癖があるため、ポーズをとるのが難しい。

グッドスマイルカンパニー

プラモデルのMODEROIDシリーズから1/60スケールで零式とピースメーカーの発売が予定されている。







追記・修正はHOSシステムの改修後にお願いします



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最終更新:2024年06月24日 08:27

*1 振る舞いから推してロジックボムかも知れない

*2 パターン学習用のSRAMという電池などのわずかな電力でも情報を保持し続ける特殊なRAM。ファミコンなどのカートリッジのセーブデータ用などによく使われた。

*3 史実では2000年代以降パトカーに英語表記が入るようになったが、こちらは管轄に関わらず「POLICE」で統一されている。