夏の帳/Veil of Summer(MTG)

登録日:2020/11/29 Sun 13:35:00
更新日:2020/12/16 Wed 21:35:33
所要時間:約 5 分で読めます





葉擦れの音や通り過ぎる影だけが、ドライアドのわずかな足跡だ。


概要

《秋の帳》とは、マジック:ザ・ギャザリングに登場するカードであり、時折登場する色対策カードの緑担当。レアリティはアンコモン。
初出は基本セット2011であり、基本セット2012でも再録された。

性能

秋の帳/Autumn's Veil(緑)
インスタント
このターン、あなたがコントロールする呪文は青や黒の呪文によっては打ち消されず、このターン、あなたがコントロールするクリーチャーは青や黒の呪文の対象にならない。

緑の敵対色である黒や青に対する対策カードであり、範囲が限定されることから1マナと非常に軽い。打ち消しや除去に対しては事実上の打ち消しとして機能するため、森を立てておくだけで相手にとっては大きなプレッシャーとなる。

ただし効果についてはいくつか穴がある。

凄腕の暗殺者/Royal Assassin(1)(黒)(黒)
クリーチャー — 人間・暗殺者
(T):タップ状態のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
1/1

このカードのように能力で対象にとることは防げない。同様に打ち消し対策についても《呪文づまりのスプライト》*1のような能力での打ち消しには無力。
また、呪文の対象にならない効果はいわゆる「呪禁」ではなく呪文の対象にならない、いわば「被覆」であるので、「自分のクリーチャーを対象に青のオーラを付けようとしたら、相手が黒の呪文でクリーチャーを除去してきた」場合

①除去に対応して秋の帳を唱える
②相手の黒の除去が対象不適正になり不発
③自分の青のオーラも対象不適正になり不発

となるため、使う場合は何に有効で何に無力なのかをしっかり理解しておくことが重要になる。
呪禁は昔から使われていた上に基本セット2012ではキーワード能力化されて、しかも被覆はその前後から姿を消していたのになぜ…
それでも1マナで使える対策カードという時点で便利であり、スタンダード、下環境を問わずサイドボード要員として使われていた。


追記、修正は打ち消しに秋の帳で対応してからお願いします。





















ん?よく見たら解説してるの《夏の帳》じゃなくて《秋の帳》だしタイトル詐欺じゃないかって?
もちろんここまでは前振りに過ぎない。

それでは令和の秋の帳こと《夏の帳》についてちゃんと解説していこう。




概要

夏の帳とは、マジック:ザ・ギャザリングに登場するカードであり、基本セット2020の色対策カードの緑担当。
名前からもわかる通り、前述の《秋の帳》のリメイクである。結果論だが後のオーコの秋を考えるとこっちが秋の帳の名に相応しかったかも


性能

夏の帳/Veil of Summer(緑)
インスタント
このターンに対戦相手が青か黒の呪文を唱えていたなら、カードを1枚引く。このターン、あなたがコントロールしている呪文は打ち消されない。ターン終了時まで、あなたとあなたがコントロールしているパーマネントは青からと黒からの呪禁を得る。(それらは、対戦相手がコントロールしている青や黒の呪文や能力の対象にならない。)

青と黒への色対策という側面はそのまま、様々な部分が強化された事実上の上位互換。

①打ち消し対策の強化
呪文の打ち消しを無効化する範囲が「青か黒の呪文」から無条件に拡大。能力による打ち消しに対応できるようになっただけでなく、他の色や無色の打ち消しにも対応できるようになった*2

②保護能力の大幅強化
対象がクリーチャーから自分と自身のパーマネント全てに拡大したうえで呪禁へ変化したため、自分の呪文を阻害しなくなった。
能力で対象にとられることも防げるようになり、ハンデスや布告*3も対策できるようになった。
打ち消しが効かないはずの《突然の衰微》も問題なく対処可能。範囲が広いのでPWやアーティファクト、エンチャント、土地も守れる。

③条件付きキャントリップの付与
確実でこそないものの、相手が青か黒の呪文を唱えていればドローできるため、
クリーチャーを除去される、必要な手札を捨てさせられるといった盤面・手札の損を防ぐだけでなく、カード・アドバンテージを得ることまでできる
この点はただの打ち消しにはない利点ですらある。

こうして様々な点でパワーアップした夏の帳は現代マジックに相応しい強さとなった。



……否、現代マジックに相応しくない程に強くなりすぎた。



環境において

基本セット2020で登場した直後から【エスパーコントロール】や【グリクシスコントロール】への対策として活躍。特に強力なハンデスであった《思考消去》に対するカウンターとして有力なカードだった。
だが、エルドレインの王権の発売から事情が変わり始める。
《むかしむかし》からの《金のガチョウ》、これらを軸に立て続けに登場する《ハイドロイド混成体》《意地悪な狼》《世界を揺るがすものニッサ》、そして極めつけに《王冠泥棒、オーコ》。数々の緑のパワーカードによって、緑が入るデッキが大幅に強化された。

これが良くなかった。

色対策カードは本来、特定の色が強力になり過ぎないための抑止力である。しかし緑があまりに強くなりすぎたことで、最も強い色が最も強い色対策を使い、他の色(特に青と黒)が太刀打ちできないという事態が発生。
さらにオーコは青緑のため、《夏の帳》で対抗される色にもかかわらず《夏の帳》を使える。
結果的に【シミックフード】や【スゥルタイフード】が隆盛し、《害悪な掌握》や《霊気の疾風》*4はメインから搭載が当たり前、
それに対抗して夏の帳までメイン搭載される「同系対策をしたデッキが最強」という典型的な1強環境となってしまった

こんな感じで緑無双の一端を担い、メタゲームの修復を困難にしていたということで2019年11月12日のパイオニア禁止から間もなく11月22日にスタンダードで禁止指定。
次いで12月10日にはヒストリックで一時停止され、2020年3月20日に正式に禁止となった。


パイオニア
【緑信心】をはじめとした緑入りのデッキで活躍。コントロールやミッドレンジへの対策として強すぎ、緑メインのデッキが多すぎる原因になっていたということで、上記の通りスタンダードに先駆けて禁止指定された。
黎明期ゆえに毎週禁止改定が行われていたがゆえのスピード対応だったが、この禁止でスタンダードでの禁止を確信したプレイヤーも多かった。


モダン、レガシーなど
スタンダードとは比べ物にならない強力無比なカードが跋扈する環境下でありながら、破格の防御性能からサイド要員として使われている
もはやなんでスタンダードで使えたのがが謎である

モダンでは【ジャンドミッドレンジ】の大半の除去やハンデスを防げることや、青系コントロールの対策のためによく採用されている。
レガシーでは特にストームデッキの定番フィニッシャーこと《苦悶の触手》を呪禁付与で完全に防げる点や、露払いのハンデスを防げる点が評価されている。
コンボデッキ側から見ても打ち消し対策としても1マナと非常に軽いこと、そのおまけでキャントリップが付いている間接的なコンボ補助カードとしても使える可能性がある優秀さから採用することもある。場合によってはメインから採用されることも。
レガシーなどのエターナル環境では《意志の力》など、青が強いことが前提となっているためさらに刺さりやすい。
さらに《氷牙のコアトル》《オーコ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などと言った青緑の強いカードが同時期に刷られたため、青緑系のコントロール・クロックパーミッションが大幅に増えることになった。


余談
ヤソこと八十岡翔太氏プロには「1マナのクリコマ」と称された。ちなみにクリコマこと《謎めいた命令》*5は4マナ。細かく見てみると少し違うとはいえ、1マナであることの異常さがよくわかる。


追記、修整は夏の帳でオーコを着地させてからお願いします。

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最終更新:2020年12月16日 21:35