登録日:2020/12/31 Thu 22:26:03
更新日:2024/10/09 Wed 23:32:05
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プロフィール
警視庁警備部
特車二課第二小隊の隊長を務める中年男。階級は警部補。
東京都台東区入谷の出身で、大学を卒業後に警視庁へ奉職。派出所勤務からスタートして新宿署や本庁
公安課等を経て特車二課の隊長職に収まった。
本庁時代は"カミソリ後藤"の名で知られた切れ者であった。
が、とある理由によって閑職である特車二課に島流しも同然に左遷されたとされる。親交の深い松井刑事に言わせれば「キレすぎた」為であるらしいが詳細は不明。
そういった過去やプライベート等も含めて謎の多い人物で、部下の隊員達がそれを探ってやろうと盛り上がっていたこともあるが、大体は煙に巻いている。
二課にやって来てからというもの「切れ者」として鳴らしていた過去を微塵も感じさせない風貌と振る舞い。緩めたネクタイに水虫予防の為にサンダル履き、気怠るそうにタバコを吸ったり新聞を広げるその姿は正しく昼行灯。
だが、いざというときは往年の冴えっぷりを存分に発揮し、更には人を自分の意のままにコキ使う動かす油断のならない男。
競馬、ゴルフ、カラオケ、釣り等々多彩に趣味を持つ。
ベテランの警官らしく柔道は黒帯の腕前だが、特に発揮される場面はない。
隊長として
上位下達の階級社会である警察組織にあって「命令も強制もしない」をモットーとし、部下の隊員に対して階級や役職に物を言わせるようなことも
一部の例外を除いてあまりなく、各々の自主性を尊重する放任主義。
普段の訓練から出動先での立ち回りまでを自由にやらせており、自分がだらしないこともあってハメを外すことにも寛容。
更にはそれで失態を犯すようなことがあっても怒鳴り込み散らすようなことはない。
無論完全に放置を決め込んでいるわけではなく、現場では自由にやらせつつも時と場合を見て助言を与え、目に余るようなことがあればそれとなく諌めて自制を促している。
基本的には柔らかい態度で諭すことが多いものの、時には厳しい態度で迫ることもあり、胸ぐらを掴んで凄味を利かせた場面もあった。
また隊内の士気や人間関係にも気を回しており、年若く未熟な部下達に社会人の先輩としてアドバイスを送ることも。また、慣れないフォローに苦心することもあり、
野明と香貫花の間に諍いが起きたと見るやわざわざ金を借りてまで飲み会を催している。
このように気配りの巧みさや部下に責任を持っていかない懐の深さを見せる後藤であるが、
劇場版二作目では南雲が不在であるにも拘わらず第一小隊に任務を引き継いで帰りたがる部下に「まぁ、良いか」と帰宅を認めながらも本人が去った後で
「良い訳ないじゃないの」と嘯くという一幕があり、本当にやる気のない者は
全く相手にせずに早々と愛想を尽かすシビアな一面を覗かせた。
導いても救えないものは早々に切り捨てている、ようなもの。
才気
何もない時はいい加減でテキトーなオヤジであるが上にも書いた通り往年から培ってきた頭脳の切れ味は健在。
長年警察官として勤め上げてきた経験と余念なく収集した情報に裏付けされた洞察力は中々のもので、内海や帆場・甲斐や柘植といった「見えない敵」の行動や目論見をいち早く予見し、捕まえる為のお膳立ても怠らない。
「正義の味方」としての己の信念から事件解決という目的に手段を選ばず、責任問題をちらつかせて上層部に黙認を決め込ませるのは最早十八番と言っていい。
人使いもかなり荒く、個人的な興味から遊馬や松井といった他人をタダ働きも同然にコキ使って調べさせたり、上司の福島課長に無茶な手回しを要求したこともあった。
この男の策謀に振り回されながらも頼まれたことに応えてみせる彼らの苦労は察するにあまりある。
ミニパトでは特車二課の貧相な食糧事情と財政を解決するべく、秘密裏に整備班特製『ハゼの干物』を密売する大規模なネットワークを作り上げたことが語られ、南雲隊長から「警察官になっていなければ、稀代の詐欺師になっていた」と評された。
後藤の悪知恵・謀略に割りを食わされる人間は数多く、とある元上司は後藤本人や第二小隊に嫌がらせを繰り返した挙げ句自作レイバーによる二課棟襲撃という暴挙に及んでいる。
人間関係
本庁に所轄、果ては商売敵までありとあらゆる方向に人脈とコネを持ち、それらを通して非公式な協力を取り付けたり持ち出し禁止の資料を入手したりするのはお手のもの。
こういったシンパの中で特に親交が深いのが捜査課の松井刑事であり、プライベートでも情報交換に勤しみつつ一緒に飯を食べたりしている。
一方、上司の側からしてみると「何をしでかすかわからない」ところや、自分以上の能力を垣間見せるところが不気味がられているようで、嫌われる描写が多い。
後藤の側もしばしば(無能と見定めた)上司に責任を押し付けたり、ひどい時には策略でもって破滅に追い込んだりしている時がある。
あまりにも機敏すぎる割に掴みどころがないため、「使う側」の上司にとっては「使いにくい」としか思えないようだ。
もっとも、漫画版の福島課長とは何だかんだで息の合うところも垣間見せており、
福島課長が強い信念や優れた直感を垣間見せた際には(課長も警察官だよ)と頼もしげな表情を浮かべている。
まあ、事件後に上手いことやって全額課長のポケットマネーで課の飲み会をやらせたりもしてるが
アーリーデイズでは学生時代に思想家の甲斐冽輝と交流があり志を共にしていたが、彼が過激派ということもあり後に決別している。
人望は厚いが女性とはあまり縁がない様子。
同僚である南雲しのぶとは頭が上がらないと同時に高い信頼を寄せるさながら熟年夫婦のような関係であるが中々進展には至らない。とあるエピソードで一緒に一夜を過ごした時は千載一遇の好機があったものの、「あと一歩」が踏み出せず終わっている。
小説版「ブラックジャック」では祐子という名の妻との死別が語られており、昼行灯と化した要因の一つとされている。
実写版での特車二課隊長で自身の再来とも呼ばれる後藤田継次は後輩であり、彼の隊長就任以前から面識がある。
彼からは尊敬されているようだが、後藤自身は詰めの甘いところのある彼の手腕を「一言余計」と評している。
余談
- 話し方、口調は担当声優の大林隆介に寄せて作られたらしい。ちなみに大林氏は小さい頃父親に「昼行灯」と言われていたといい、後藤も「昼行灯」と言われてびっくりしたと語っている。
- キャラクターの立ち振る舞いのモデルは俳優の仲代達矢(ゆうき案)で、「みんなで幸せになろうよ」という名言は仲代氏が映画「殺人狂時代」で言ったセリフである。ずるけた雰囲気を持ちながら、狡猾な思考回路を持った知能のモデルはアニメ雑誌「アニメージュ」の編集を務めていた鈴木敏夫とその同僚だった亀山修(押井案)が参考とされた。
- 名前の元ネタは警察OBで官房長官も努めた後藤田正晴氏と元首相の宮沢喜一氏から。「後藤田」の名は劇中で何度か偽名に使われている他、後任の隊長に就任した後輩も後藤田という名前である。
ちなみに後藤田氏も「カミソリ」というあだ名があったが、「切れ者→切れ者と言えばカミソリ」からの着想が元になっているとのことなので、こちらは別に元ネタという訳ではない。
- 実写版では太田・進士と共に小さな警備会社を設立するも、放漫経営が祟って一年足らずで倒産したとのこと。その後の消息は分からないが劇中でその後の二課に関わる行動をとっている。
- 今野敏原作の「安積班シリーズ」の1作『夕暴雨』にも名前で登場。この作品では、主人公・安積剛志警部補の同期という設定。
- 押井監督に言わせると後藤が部下の中で思い入れがあるのは実は太田らしい。何でも「自分にないものがあるから」とのこと。
- 初期OVAやら漫画版やら劇場版やらTV版やら小説版やらで、微妙に設定や性格違うんだよなこの人。死んだ奥さんがいた場合とかもあるし -- 名無しさん (2020-12-31 23:07:29)
- 外伝小説辺りでカミソリ後藤時代の話も読んでみたいな。 -- 名無しさん (2020-12-31 23:43:37)
- 二課で憧れる男って言われると後藤隊長か太田に二極化するイメージ -- 名無しさん (2020-12-31 23:48:05)
- ↑3 漫画が好きなかなあ。 -- 名無しさん (2021-01-01 09:55:05)
- 横手美智子の小説はアーリーデイズの延長線上(後藤の姪っ子が出る熊耳初登場の話がある) -- 名無しさん (2021-01-01 11:59:55)
- 第一小隊を引き立て役にするとかの悪賢い作戦は当初は主役がやる予定だったが、企画を練る中で隊長が全て担うことになったとか -- 名無しさん (2021-01-01 12:14:20)
- 理想の上司ってタグあるけど、マジかよ。俺絶対いやだわ。 -- 名無しさん (2021-01-01 17:05:34)
- この人が派出所勤務してる光景はイマイチ想像できない -- 名無しさん (2021-01-01 17:33:48)
- 緊急時には来て欲しいけど、毎日会いたい人間ではない -- 名無しさん (2021-01-01 17:53:18)
- ↑3俺も嫌だわ。警察官としての正義感や矜持を大切にしてるのは分かるけど、それを良い事に他人をコマ扱いして顧みないところあるよね。南雲隊長や遊馬に「そういう人の動かし方やめて」と苦言を呈されてるし。 -- 名無しさん (2021-01-01 18:34:38)
- 渋みはあってカッコいいし正義の側に立ってるけど、主義主張の方向を抜きにした本質的には「悪い大人」だから近付くのは遠慮したいタイプ。そういや恋は雨上がりの店長はずっと後藤隊長って言われてたよな -- 名無しさん (2021-01-01 18:42:32)
- ↑ゆうきまさみが一筆寄越す始末 -- 名無しさん (2021-01-01 19:38:01)
- 外から見てる分には楽しそう?だけど関わりたくはない人 -- 名無しさん (2021-01-01 21:39:59)
- どっちかと言うと「組織においてこういう感じのポジションになりたい」と憧れるタイプの人だと思う 現実になれるかはともかく -- 名無しさん (2021-01-01 21:58:39)
- 右京さんと似た立ち位置になるのかな~。 -- 名無しさん (2021-01-12 13:15:49)
- 多分リアルにこの人が上司だったら、仕事のミスとか軽いサボり(仕事の外出中のちょっと寄り道とか)とかも全部把握されてて、手伝ってくれなきゃ困る時にぼそっと言われんだろうなって怖さはある。逆にヤバい時とかは何か裏で手をまわしてどうにかしてくれそうな信頼感もあるが。 -- 名無しさん (2021-01-12 13:26:47)
- 本質的に社会のルールや法律ではなく自分の内なる正義で動く人だから警察官としては不適当かも。もっとも正義感の無い警察官なんてそれはそれで不適当だから悩ましい所ではあるが -- 名無しさん (2021-01-16 00:23:47)
- 才能がある人間には合うタイプだと思う。秘めた才能を極限以上に引き出して、しかもどこまで伸ばしても使いこなしてくれる。けど才能がない人間は、捨て駒にも使ってもらえない。玉は磨くが石ころは捨てる。
俺はこんなもんじゃない、もっとやれるんだ!世界に挑んでやる!と言う人には向いているかもしれん(気負いほどの才能がなければやっぱりポイ)が、俺はほどほどで、安息こそ正しい、という人間には見向きもしない。そうした二面性が合う合わないの境目だと思う。
福島課長が漫画版だけ気の合う感じだったのも、漫画版課長に熱意があったからだろう。そういう熱意なり才気なりがない凡人には、まったく気性が合わないんだろうな。 -- 名無しさん (2021-01-16 01:00:27)
- 漫画版の福島課長は後藤さんの含みのある会話にきっちり付いてきてたし、頭のキレも良かったしな。中年になった今はむしろ福島課長のあり方に心惹かれるものがある。 -- 名無しさん (2021-02-19 07:23:43)
- 廃棄物13号篇での福島課長と後藤隊長のやり取り、いいよね… -- 名無しさん (2021-02-22 00:10:23)
- 後藤隊長は有能な上に良くも悪くも「本質を見抜く」人間だからな、それも「やる時はやる(出来なくとも気概を見せる)」人間以外は切り捨てるタイプ。下手な演技や取り繕いが一切利かないんだから、上司に持つにせよ部下に付かれるにせよ恐ろしい事はこの上ないなw -- 名無しさん (2021-08-01 10:06:28)
- やる気があって好ましい(あるいは面白い)人材には好意的かつ面倒見の良さでフォローしてくれる(その分そいつの能力を把握して限界までこき使う場合がある)けど、劇場版2の新しい部下みたいにやる気自体皆無なやつを導く気が起きないから人によって評価がすげえブレそう -- 名無しさん (2022-07-06 20:53:37)
- おそらく作中最もやる気がない人だよね。人使いの上手さと本質を見抜く目は相当なもんなのに、徹底して警察官姿勢を崩さないし。頭が切れすぎて飛ばされたらしいけど、飛ばされて色々冷めちゃったのかね。 -- 名無しさん (2022-07-06 21:15:30)
- アーリーデイズの頃のイメージアルバムに「夜の桜」というテーマ曲がある。大林氏が歌っているのだが、相当緊張していたとのことでほぐすために泡の出るジュースを飲んだという、どっかで聞いたようなエピソードもライナーノートにあった。 -- 名無しさん (2022-08-09 06:29:38)
- 「有能なのは分かるけど、使われる側にしたらたまったもんじゃない」タイプ。それでもなんだかんだ二課の面々に慕われてるのは、行動の理由が出世とか利益じゃなくて正義感だからか。 -- 名無しさん (2024-06-28 00:35:06)
最終更新:2024年10月09日 23:32