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公安警察

登録日:2017/04/22 Sat 09:16:13
更新日:2026/08/18 Tue 23:31:03
所要時間:約 13 分で読めます




公安警察(こうあんけいさつ)とは、日本の警察において公安を所掌するセクションの総称。正式には警備警察の一部門である。


概要

その活動は「思想」に関する犯罪の摘発や対日有害活動の除去を主任務とするある種の「秘密警察」のようなものとされる。
日本には主要国の中でもスパイ防止法がない国であり、諜報や工作活動から縁遠いと思えるスパイ天国の日本において、最も情報機関的な活動をしていることで有名。

その組織体制は戦前の特別高等警察をほぼそのまま引き継いでおり、その秘密主義的姿勢・非合法的な工作活動。極めて政治的な動きが一部市民から警戒され、批判の槍玉に挙げられることも多い。
刑事警察とは仲が悪く、「ハム」という隠語で呼ばれる話もある。北海道日本ハムファイターズは日公と書かれる。
一般に知られるようになったきっかけは1990年代のオウム真理教事件だろう。

そのためか、21世紀に入って以降は小説・漫画・ドラマなどで取り上げられる機会が多く、注目を集めている。
相棒』のように悪役として登場することもあれば、『SPEC』『外事警察』『MOZU』のように主人公や正義の側として活躍する場合も近年では多くなった。

ちなみに、「公安」はその名の通り「共の全」の略称で、すなわちあくまで治安や秩序を意味するのであってそれだけでは1つの組織を指すものではない。
だが、今日では単に公安と言えば通常はこの「公安警察」を指し、似たような名前と任務を担当する公安調査庁は「公調」「公安庁」と呼ばれる別の組織である。
また、国家公安委員会都道府県公安委員会は5人前後の有識者で構成された警察監督組織で、公安こそ名乗りするがあくまで公安警察的活動をする組織ではない。
ただし、国家公安委員長は国務大臣であり、地方自治を司る総務大臣と同様に内務大臣の後継職と見ることもできる。


歴史

その前身とされるのは特別高等警察、通称「特高」。国体護持を目的として創設された秘密警察である。
内務省警保局保安課を頂点に全国へ配置されたこの諜報網は戦前の大日本帝国で大いに権勢を振るった。彼らの敵は社会主義者・無政府主義者・共産主義者で、治安維持法の成立によってその取り締まりは一層激化した。

太平洋戦争での敗戦後、日本政府は敗戦による混乱で日本が共産化するのを防ぐために特高警察の拡充を行おうとしたが、特高警察はGHQの人権指令により廃止されることになった。
しかし、内務省はGHQでも反共主義のG2(情報部)と通じて特高警察の温存を画策し、警保局保安課(特高警察)の廃止からわずか2か月後に、公安課としてその機能を復活させている。

その後、中央集権体制の維持を担っていた内務省は解体・廃止されたが、警保局の後身である国家地方警察本部には警備課が設置され、内務省解体後も公安警察の拡充・整備は進んだ。
1954年の新警察法施行により、GHQによる占領政策の残滓であった国家地方警察と自治体警察が廃止され、警察庁と都道府県警察による中央集権化が実現したことにより、公安警察の全国一体運用が完成することになる。


任務

国内的には極左暴力集団・朝鮮総連・日本共産党・社会主義協会・学生運動・市民活動・新宗教団体・右翼団体などの調査・監視から、法令違反があれば事件化して捜査や逮捕に踏み切ることもある。対象とする犯罪も特殊なだけに、事件発生後に捜査するのではなく不審な対象を発見した場合は公共秩序を乱す行為を行っていなくとも捜査対象に置く場合がある。
国外的には外国政府による対日工作や国際テロなどの対日有害活動の防諜を任務としている。さらには同僚の公安警察官・一般政党・中央省庁・自衛隊・大手メディアなども情報収集の対象になっているとさえ言われる。
先述の通り極左暴力集団や中国・北朝鮮対策の組織として特高警察から再発足した経緯があるため、現場の任務としては尾行からピッキング・盗撮・盗聴のような非合法的な手段を行う場合もあったとされ、実際に人権侵害沙汰になった例も存在する。

事案の特殊性と保秘の性質から他部署との連携には消極的で、捜査で知り得た情報を共有しないことも少なくないなど警察内部でも秘密主義的であるとされる。過去に警視庁では連続企業爆破事件や警察庁長官狙撃事件などといった重大事件の際には捜査本部に公安部と刑事部双方が投入されたこともあるが、双方に情報が分散してしまい十分な捜査情報が共有されなかったという。

公安警察官は警務部や総務部などと並んでエリート警察官であると言われる。一般的には正体を隠すためにマスクで顔を隠し、部外者や時には同僚であるはずの一般の警察官に対しても安易に本名や所属を名乗らないなど高い保秘意識を持つことが多い。
自身の活動を秘匿した上で対象者について行動確認する手法に長けているとも言われ、実際に日本の公安警察官による行動確認の手法は非常に高度であると評価する意見もある。

中でも特に重要な任務は協力者(S)を作ることであると言われる。最初は身分を明かさずに対象者と信頼関係を築き、後にスパイになってもらうという気の長い仕事である(対象者の性質によっては最初から自らの素性を明かした上で接近することもある)。
また、必要があれば公務執行妨害罪を逆手に取り、被疑者に突き飛ばされたふりをするなどして逮捕や家宅捜索の口実を作るという「転び公妨」を実行することすらあるらしい。
また、表向きは警察を退職し、潜入捜査官のように対象の組織に数年単位で潜入しているツワモノもいるという噂もある。


組織

公安警察は警察庁警備局を頂点に警視庁公安部や道府県警察警備部・所轄署警備課などで構成される。予算も国庫支弁になっているため、公安警察は警察庁の直接の指揮下にある。
当然ながら指揮系統も独立しているため、警視総監や本部長の頭さえ飛び越えて活動することもある。


警察庁警備局

公安警察を統括する司令塔。局長は合同情報会議のメンバー。
警備企画課・公安課・警備運用部・外事情報部が置かれており、公安警察のトップとして指揮命令と情報収集を行なっている。
当然ながら公安のみならず警備警察も統括しているため、テロ事件はもとよりイベント警備や要人警護の際には局長自ら陣頭指揮を行うこともあるなど、他の局長よりも比較的現場寄りで実務的な面が強い。

局長は長官官房長や刑事局長などと並んで指定職5号俸という警視監の中でも特に高位ポストである。1900年代は警察庁長官に栄達した人が多く、2000年代以降は次期警視総監として昇格する例が相次いでいるなど、長官も警視総監も両方を多数輩出している点でも他の局長とは一線を画す。
中でも警視総監に関しては直接昇格した例が複数存在しており、そもそも警視庁自体が日本の首都東京を管轄するという地理的事情もあり、警備局長が警視総監に昇格する例が多いのも妥当な人事と言える。


サクラ/チヨダ/ゼロ

警備企画課内に存在するとされる秘匿組織。その始まりは1922年に結成された内務省警保局保安課第四係(作業)と囁かれる。霞が関の内務省庁舎ではなく中野にあった陸軍中野学校敷地内に設置され、内務省の職員録や組織票にも要員の名を載せず、議会やマスコミから完全に隠匿されていたという。
公安警察の中枢であり、公安の中の公安。麻生幾氏の小説では「協力者獲得工作・特命作業指揮本部」とされるが、正式名称は現在でも不明。

「サクラ」の由来は拠点が置かれていた警察大学校の「さくら寮」から。
「チヨダ」に改称されたのは1986年に起きた日本共産党幹部宅盗聴事件で盗聴活動が露見してしまい、当時の神奈川県警本部長・警備部長、警察庁警備局長・公安一課長・理事官が引責辞任する事態になったため、これを受けて所属も1991年に新設された警備企画課に再編され、拠点も警察庁がある霞が関に移されたためであると言われる。
その後、一連のオウム真理教事件や日本テレビによる長官狙撃事件の自白報道の影響で公安警察の活動がクローズアップされるようになったことで書籍や雑誌で「チヨダ」の存在が取り沙汰されるようになったため、2000年頃に「ゼロから出発しよう」「存在しない組織であれ」との理由から「ゼロ」と名付けられたと言われるが、現在でも「チヨダ」と呼ばれることもあるという。

公安警察官がある人物を協力者として獲得する場合、まずはゼロに申請し、承認されると登録番号と工作費が与えられ、作業が開始される仕組みになっているという。協力者のファイルはゼロに一元管理されており、複数の公安警察官が同一人物に接触するのを防ぐとともに情報の管理と協力者の運営を分離することで運営における恣意性や情緒性を排除する効果があるとされる。
構成員は警視庁公安部に数10名前後、道府県警警備部に10名前後が存在するとされ、優れた協力者運営の能力に加えて盗聴や盗撮・ピッキング行為といった非合法工作を行う能力を持つとされる。
当然ながら指揮系統も独立しており、警視総監や本部長でさえ直属部隊がどんな工作を行っているかを把握しておらず、彼らの人事権を事実上掌握しているとも言われる。彼らは同僚とも極力接触はせず、ゼロの指揮の下に独自に作業を行うという。

警察庁の名簿から抹消された警視正のキャリアが情報第二担当理事官(裏理事官、ウラ理事官、キャップ、ゼロの校長とも)として1~3年程度指揮をとっているという。エース級の警察官僚が就任する登竜門ポストの1つとされており、経験者には長官や警視総監に栄達した人も多い。
全国から上がってきた協力者の情報を一元管理し、日本中に配属されている公安捜査官の1/3に直接指令を下し、工作活動に従事させているとされる。


チヨダの変遷
1922年
内務省警保局保安課第四係(作業)
所在地:陸軍中野学校

1952年
国家地方警察本部警備課第四係「サクラ」
所在地:警察大学校「さくら寮」

1954年
警察庁警備局警備第一課
その後公安第一課

1991年
警察庁警備局警備企画課「チヨダ」
所在地:警察総合庁舎

2000年
警察庁警備局警備企画課「ゼロ」


警備企画課総合情報分析室

「I・S班」「7係」「ゼロナナ」などと称され、表の理事官が指揮をとる政治情報収集機関。
政治情報などのいわゆる「幅広情報」を都道府県警察を通じて収集し、分析している。


警視庁公安部

首都警察たる警視庁に置かれた捜査部門。警視庁特別高等警察部の後身と言われる。
道府県警の公安が警備部の公安課・外事課として置かれるのに対し、警視庁だけは独立した公安部を有し、約1100人もの公安警察官を擁するという。所轄署では警備課に公安係・外事係として設置されることがある。
組織図は以下の通り。やはり主な対象は過激派左翼らしいが、最近ではイスラム過激派の監視にも重きを置いている。
部長はキャリア警視監で、警視総監の職務代行順位第4位。
  • 公安総務課(日本共産党、市民活動、反グローバリズム運動、カルト団体、自衛隊担当)
  • 公安第一課(極左暴力集団担当)
  • 公安第二課(右翼団体担当)
  • 公安第三課(ローンオフェンダー担当)
  • 公安第四課(資料、統計管理担当)
  • 外事第一課(ロシア、東ヨーロッパ担当)
  • 外事第二課(中国担当)
  • 外事第三課(北朝鮮担当)
  • 外事第四課(国際テロリスト、中東担当)
  • 警視庁サイバー攻撃対策センター(サイバー攻撃に関する警備情報の収集・整理や予防・捜査を行う)
  • 公安機動捜査隊(爆発物などを用いたテロ事件の初動捜査や特殊な鑑識活動、NBCテロ対策などを行う)
フィクションで散見される公安第五課や公安零課特務1課・外事第4課・公安9課は存在しない……はずだったが、2021年4月に外事二課の北朝鮮担当が外事三課として独立し、国際テロリスト・中東を担当する既存の外事三課は外事四課として再編されたたため、結果的に外事四課は実在する組織になった。
2025年4月には公安総務課と外事四課のローンオフェンダー部門が公安三課として独立し、右翼団体を担当する既存の公安三課は公安二課に改称。さらに中核派・日本赤軍・革マル派を担当していた旧公安一課と旧公安二課を統合して新公安一課とする組織再編が行われた。


警察外の公安組織

国家情報局

2026年7月末に内閣情報調査室が昇格する形で発足した日本のインテリジェンス機関の中枢。略称は「NIC(National Intelligence Council)」。
前身の内調は戦前の情報局総裁だった緒方竹虎副総理と元内務官僚で国家地方警察本部警備課長の村井順が主導して設立された。
内閣官房に設置され、大臣政務官待遇の局長が事務を統括する。局長は当初より警察官僚の指定席であり、室長時代には政令を根拠とする一般職国家公務員だったために警察官僚の通過点として位置付けられたが、内閣情報官に改称されてからは特別職の事務次官級に昇格し、人事も現役の局長級から登用する別系統の路線に変更。さらに国家情報局への再編によって政務官級に引き上げられた。
さらに職員にも警察庁からの出向者が多いことから警察庁の出先機関などとも揶揄される。
次長は外務官僚の指定席だが、これは創設の際に旧内務官僚と外務官僚との間で主導権争いが行われたことが影響している。

国家情報局への再編の経緯として、従来は各情報機関から提供された情報を一元的に指揮・集約する機能が不十分であるとの指摘があり、内調自身にも外交や安全保障政策の判断に必要となる情報を集約し総合調整する権限がなく、情報の報告については各省庁の判断に任されていることから各省庁にとって不都合な情報は報告されにくく、必要な情報が首相官邸に届かない事態があると指摘されていたため、女性初の内閣総理大臣として就任した高市早苗が自民党総裁選の時点から公約に掲げていた肝いりの政策である。

国家総合職(キャリア)からの採用はなく、ノンキャリアである国家一般職試験合格者のみを若干名採用している。官庁訪問はかなりの狭き門であり、非常に厳しいとの噂。

その性質上、内閣総理大臣直属として内閣が重要な政策を遂行する上で必要とされる情報を収集しており、国内外の情勢により求められる情報が変化するといわれる。この点が他の公安組織とは大きく異なる点であり、政治家のスキャンダル収集、閣僚候補に対する「身体検査」、政局や世論の動向の調査など政治色の強い情報の収集を行っている。


公安調査庁

法務省の外局。略称は「公調」「公安庁」。
その前身は内務省調査局。特高警察および陸軍中野学校関係者によって設置された組織であり、当初は情報機関というよりはむしろ共産党や極左暴力集団に対抗するための規制機関としての側面が強かった。
長官は内閣情報会議、次長は合同情報会議のメンバー。

オウム真理教への監視活動で知られるが、その他国内外の過激派・テロ組織の情報も収集・分析している。
職員は特別司法警察職員ではないために逮捕権や強制捜査権はないものの、破壊活動防止法や団体規制法の請求を同じく法務省の外局である公安審査委員会に請求する権限がある。
しかし、審査委員会はオウム真理教にすら破壊活動防止法を適用しなかったために「破防法は形骸化しているのではないか」という指摘もある。
法務省の外局であるという組織図上、長官を筆頭に幹部は検察官が多い。国外情報の責任者である調査第二部長は公安調査庁キャリアだが、国内情報の責任者である調査第一部長は警察官僚の指定席で、ここからも公安警察の影響力が見て取れる。

任務が被りやすい公安警察とは仲が悪く、互いに縄張り争いを繰り広げているとも言われるが、警察官僚からは格下に見られる作品も存在する。
「霞ケ関の盲腸」呼ばわりされることもあるらしい。


外務省国際情報統括官組織

前身は外務省国際情報局。局の数が足りなくなったため、国際情報局長は局長級分掌官である統括官になった。
幹部ポストを維持したい霞ヶ関にはよくある話。

主に情報収集と分析を主任務とし、独自の政策判断などはしていない。ヒューミントも行なっていないとされる。
かつては英国外務副大臣の下にあるSIS(MI6)のような組織に改変する案もあったようだが、結局お流れになっている。また、外務省には船橋分室なる組織が存在し、通信傍受機関ではいかとの質問が国会で答弁されたが、真相は闇の中である。


防衛省情報本部

防衛省の情報機関。前身は陸上幕僚監部調査部第2課別室。規模的には日本最大のスパイ組織。
主にシギント(電波傍受)を担当する組織だが、統合情報部はフィクションで対外工作を実行していることも。また、『亡国のイージス』などで知られる福井晴敏の作品では情報本部を隠れ蓑にした秘密情報機関・防衛庁情報局/防衛省情報局(DAIS/"市ヶ谷")がほぼ必ず登場する。

電波部長及び総務部の筆頭課長は警察官僚の指定席と言われており、一時期は内閣情報調査室の事実上の電波部門として運用されていた。
もっと言えば、元々自衛隊とは「警察予備隊」で、創設に際しては旧軍人ではなく、旧内務官僚が主導権を握っていた(後に、幕僚機関や実働部隊の主導権は旧軍人(制服組)に移行し、旧内務官僚は内局(背広組)に移動して文官統制の中心を担った)。公安警察の手はここまで伸びているのだった。

防衛省・自衛隊は他に、自衛隊情報保全隊陸上自衛隊中央情報隊海上自衛隊自衛艦隊情報業務群航空自衛隊航空総隊作戦情報隊などを有する。

また、"陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部別班"(旧運用支援・情報部別班)なる組織が、海外で諜報活動を秘密裏に行なっている、との報道が近年なされたが、こちらも内実は不明のまま。「別班」や「特別勤務班」との通称があり、商社や外国の現地法人に自衛官を送り込み、極秘情報収集を行っていると言われる。テレビドラマ「VIVANT」はこの話題を元に構想された。

その他、海の警察である海上保安庁には、警備救難部警備情報課という情報機関が置かれている。


公安警察が登場する作品

ある程度有名なものから抜粋。

相棒

2代目相棒の神戸尊は元警備企画課課長補佐、4代目相棒の冠城亘は元関東公安調査局調査第一部調査官の経歴を持つが、尊はあくまで警備畑であって公安警察とは無関係であり、亘も公安調査庁時代の話は元恋人が出た程度*1
一方、小野田公顕は公安部参事官や「チヨダ」の管理官、公安部長を歴任したことが言及されるなど公安畑を歩んできたことが描写されている。

基本的にはやはりヒールとしての登場が多く、国家や警察の権威を守るために非合法活動を行なう組織として描かれる。
潜入捜査』では潜入工作を行う公安警察官が登場。ラストでは公安の部隊が隠蔽処理の冷酷さを見せつける。
『サザンカの咲く頃』では日本版CIA創設に関連するアレコレで登場し、『劇場版II』では裏理事官をモデルにしたと思われる「影の管理官」がキーワードになり、『アリス』ではゼロを彷彿とさせる秘匿部隊「出店」が暗躍するなど特命係のみならず捜査一課(刑事部)とも衝突する様子が描かれている。
その他にも『カナリアの娘』『亡霊』『ボマー』『英雄~罪深き者たち』『ドグマ』『無敵の人』など公安やテロリスト絡みのエピソードは少なくなく、しばしば公安のゲストキャラも登場している。
いずれの回も基本的に公安の面々には正しい裁きが下されないため、何とも後味が悪い印象が強い。ただし『無敵の人』では公安部長が罷免された様子が描写されている。

S.13からは内調に総務部主幹として出向していた警察キャリアの社美彌子がレギュラーとして登場。初回で総務部広報課へ異動したものの、S.20では内閣官房長官の思惑もあって内閣情報官に抜擢されるという異例の人事になり、内調の出番も増加している。
特命係に在籍したこともあるサイバー捜査官の青木年男も最終的には亘の推薦によって内調に移籍し、美彌子の部下になった。


麻生幾氏の作品

さまざまな作品に登場するが、有名なものとしては『ZERO』や『外事警察』がある。
前者は秘匿組織"ゼロ"を描いたものではあるものの、敵役としての登場で、中国スパイや防衛庁、果ては海上自衛隊の潜水艦まで登場させる欲張り超大作である。

『外事警察』はドラマ化、劇場版まで作られた有名作品であり、協力者運営の過酷さ、陰惨さをこれでもかと描写している。映画では真木よう子が協力者として登場するが、後に『MOZU』ではヒロインの公安警察官として出演する。


濱嘉之氏の作品

警察のインテリジェンスものを執筆し、公安警察も多々登場するが、これは濱氏のリアル公安警察官な経歴によるものである。
濱氏は警視庁入庁後、警視庁警備部・公安部、警察庁警備局警備企画課、内閣情報調査室に属した過去を持つ。

ちなみに、彼の作品に『ヒトイチ』なる警察の監察部門を描いた作品があるが、警察の中の警察である監察官室の所属員は公安警察出身者が多いとされる。


Op.ローズダスト

福井晴敏市の小説。
映画にもなった『亡国のイージス』から数年後の時代を舞台に、連続企業テロを起こすテロリストグループ「ローズダスト」を公安警察と後述するDAISが追うというもの。
先述の通り、彼の作品には防衛庁情報局(DAIS)なる自衛隊の秘匿組織が登場しており、本作でももちろん登場しているが、本作の主人公・並河次郎警部補は元"チヨダ"の公安捜査官である。

並河はある事件から仕事への情熱を失い、昼行灯である「ハムの脂身」と揶揄されるようになっているが、最上級の情報提供者である「マル六の作業玉」("赤坂"つまり在日CIA諜報員)を運営しているため、本庁勤務に留まり続けている。
また、作中では「所詮"チヨダ"は内務省の復権を望む警察が創設した秘密部隊であり、真に国家を守る存在として誕生したのがDAIS」との説明がある。


SPEC 警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿

超能力推理ドラマ。
SPECホルダーなる超能力者対策部門である、公安第五課未詳事件特別対策係(ミショウ)の活躍を描く。

やっている事は刑事部のそれに近く、捜査一課の面々ともたびたび衝突する。物語中盤からは陸軍中野学校にルーツを持つ、特殊能力者対策特務班警視庁公安部公安零課が登場し、SPECホルダー狩りの部隊として暗躍を始める。こちらは国会議事堂に本部を置く公安の中の公安で、非合法活動に従事している。


MOZU

警察ドラマ。
原作は逢坂剛の『百舌の叫ぶ夜』を始めとする百舌シリーズ。
主人公の倉木警部は警視庁公安部特務一課という設定で、ドラマ版ではゼロに所属していた経歴も加えられた。また、警察内の汚職を秘密裏に清算する役職(=暗殺)として、警察庁特別監察官が登場する。

物語内では、警察における真の中枢は刑事部門ではなく公安であるとの考えのもと、現行の警察組織の解体と、公安省創設の陰謀が繰り広げられる。
主演の西島秀俊氏は後に『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』において、また公安警察官を演じることになった。


名探偵コナン

登場する警察関係者のほとんどが捜査一課の面々であるため、公安関係者は長らく登場せず、キャリアである白鳥任三郎以外は警察庁を思い起こさせる要素もほとんどなかった。

しかし、作中の犯罪組織である黒の組織の幹部・バーボンこと安室透(降谷零)が「ゼロ」に所属するスパイである事が判明し、劇場版『純黒の悪夢』や『ゼロの執行人』では主人公格として活躍。
ちなみに、『純黒の悪夢』序盤の紹介では警視庁ではなく、警察庁警備局警備企画課の人員であることも明かされた。同作冒頭では組織の工作員がデータを盗み出す場面があるが、あのビルは霞ヶ関にある中央合同庁舎第2号館で、国家公安委員会・警察庁が入居する。

原作でも警視庁公安部に所属している・していた人員が風見裕也諸伏景光、伊織無我(大岡紅葉執事)も増え、松本管理官の後任として警察庁からの出向者・黒田兵衛警視も現れるなど、警察組織を意識した要素が増えている。
ちなみに、江戸川コナンがバーボンの正体をジョディ・スターリングに明かすエピソード『ジョディの追憶とお花見の罠』では、灰原哀が「神社はスパイの密会場所」である事と「公安警察も目を光らせている場所だから注意するように」との発言をしており、この時点で伏線が張られていた事が分かる。


EVEシリーズ

主人公の片割れである法条まりなは元公安警察官*2で現在は内閣調査室(名前の通り内閣情報調査室がモデル)所属の捜査員。
EVEシリーズにおける体制側の描写を受け持つ人間だが、人情を重んじる性格故、公安とは敵対する場面も目立つ。
一作目である『EVE burst error』においては公安の内務監査まで受ける事になってしまった。
直属の上司である甲野三郎は公安時代からの付き合いで、人情を優先するまりなと組織としての対応の板挟みになりながらもまりなを上手くサポートしている。
規律を気にせず自由に動くまりなにとって厄介な存在ではあるが、あくまで法に則り国の為に裏で動く組織であり悪役としては描写されていない。


VIVANT

サスペンスドラマ。
国際的なテロ計画に巻き込まれた主人公の商社マン・乃木憂助を救うべく、警視庁公安部外事四課の捜査官として野崎守が登場。
野崎のほか、外事第四課の面々はテロ組織を追うため、乃木のサポート役として工作活動に従事している。
また、作中ではテロ組織の幹部が発した「VIVANT」なる単語が、実は陸自の非公然諜報部隊「別班」を意味しているのでは、との言及がなされたが、果たして……?


朽ちないサクラ

映画化もされた『狐狼の血』シリーズの原作者・柚月裕子の小説。こちらも同様に映画化されており、タイトルの意味は……。


追記・修正は公安から作業玉に認定されてからお願いします。

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最終更新:2026年08月18日 23:31

*1 最終的には元上司からのスカウトを受け、警視庁を退職して公安調査庁に移籍した。

*2 一作目の前日譚にあたる『ZERO』では警視庁公安部第六課に所属している設定