ハッスル・ドンキー(ドンキーコングGB)

登録日:2021/01/14 Thu 00:49:43
更新日:2024/04/28 Sun 21:00:54
所要時間:約 5 分で読めます




▼▼▼大傑作ゆかいまんが▼▼▼

ドンキーとマリオが毛をそって大活躍!さあ家族そろってわらおう。

ハッスル・ドンキーとはゲームボーイソフト「ドンキーコング」の任天堂公式ガイドブックに掲載された読み切り漫画。
作者はしりあがり寿。

【概要】

ドンキーコングのゲームボーイソフトというと黄色いカセットのスーパードンキーコングGBを連想しそうになるが、そっちではなく1994年発売のこっちの方。
クッパに攫われたピーチではなく、ドンキー(初代)に攫われたポリーンをマリオが助けに行くあのゲームである。

…さて90年代のマリオのコミカライズ作品というと、知る人ぞ知る迷作スーパーマリオブラザーズ 対決!! 3人のマリオ等の「そもそもゲームのコミカライズってなんなのよ」という試行錯誤の中で描かれた80年代と違い
「マリオの世界観のテンプレートを各々の作家が如何にアレンジするか、または逸脱させるか」という形で作風が分かれていたように思える。
未だなお現役のスーパーマリオくんだったり、ボンボンの本山マリオだったり、多くの作家が手掛けたエニックスの4コママンガ劇場や光文社の火の玉ゲームコミックスだったり、それはもう様々な作家がゲームのマリオを題材に自分たちの独自のマリオ世界を描いていた。
中にはアレンジ・逸脱させすぎてもはやマリオの漫画だということを忘れてしまいそうな作品も少なくなかった。

そんな中、商業漫画単行本ではなく任天堂公式ガイドブック、それも監修はあの糸井重里
そして宮本茂がマリオやドンキーのキャラクターイメージについて大真面目に解説しているインタビューの直前に載っているこの漫画。

教科書的にマリオの世界観を忠実に再現した牧歌的な漫画なのか。
もしくは他の商業漫画単行本同様ゲームキャラを活用したコント漫画なのか。

どんな作風にせよ
「任天堂の公式ガイドブックに載っている以上、そう突飛な物も出せまい」
と思うのが自然な話。

しかし本作はそんな常識が全く通じないマリオコミカライズ作品史上トップクラスにシュールな怪作だった。

冒頭の大文字は漫画本編の煽り分を引用したものだが、家族で読んだら気まずくなること請け合いである。

【登場人物】


  • マリオ
主人公。立派な髭のいい大人のはずだがドンキーコングJr.と共に外で元気よく遊びたがっている。
ゲームと違ってコング親子と仲がよい。ポリーンと仲良くなって関係が悪化する前なのか、それともED後なのか*1
あまり強くない。

  • ドンキーコングJr.
マリオの友達。猿らしくウホウホやウキーウキーとしか言えないが、なぜかマリオとは会話できる。

  • ドンキーコング
後のクランキーこと初代ドンキーコング。息子の危機にはすぐに駆けつける。

  • 子供たち
本作オリジナルキャラクター。空き地で楽しそうに遊んでいる男の子。
メガネの子A。小太りの子B。丸顔の子Cの三人がいる。

  • 密猟者
本作オリジナルキャラクター。子供たちを密漁して売り飛ばそうとしている2人の大人。
やけに汚くて怖い劇画チックに描かれている。



あらすじ(ネタバレ注意)

マリオ「なにかおもしろいことはないかなぁ」
Jr.「ウッホウッホ」

退屈してたマリオとドンキーコングJr.は道路を歩いていると、空き地で変わった光景を見つけた。
その空き地には三本の土管が遊び場用*2に設置されており、そこで楽しそうに子供たちが遊んでいるのだ。

マリオ「今時めずらしいぞ。空き地で子供たちが元気に遊んでいる」

今時(1994年当時)非常に珍しい光景に大層驚いたマリオとJr.だったが、その楽しそうな様子を見て、自分達も混ぜてもらおうと駆け寄った。

マリオ「あーそーぼー」
Jr.「ウッホウッホ」

子供A「ストッピ!」
マリオ「!!」

子供A「ボクらは天然記念物だから他の人と遊んじゃダメなんだ」
マリオ「えっ!?」

どういうことかと困惑するマリオだったが、空き地に建てられている看板には確かにこう書いてあった。

天然記念物
空き地で遊ぶ「コドモ」
手を触れたりしないでください。

子供A「ボクらみたいな空き地で遊ぶ子供は絶滅寸前だからね」
子供B「エヘン」
マリオ「おんどろき~~~~」

子供C「遊び場用土管も日本中で、もうここにあるあの三本だけさ」
マリオ「うぴょ~~~~」

子供A「肥満型ガキ大将ももうこのお方だけなのさ」
子供B「エヘン」
マリオ「おんどろき~~~~」

子供A・B・C「だから中高年層やサルはお断り!!」
マリオ「しゅーん」
Jr.「しゅーん」

落ち込んでその場を後にするマリオとJr.だったが、帰っている最中にJr.がアイディアを思いつく。
サルや中高年がダメなら毛をそって子供に変身すればいいのだ。

マリオは髭を、Jr.は頭以外の毛をそってつるつるに。
これなら子供のフリをして先ほどの子供たちと一緒に遊べるに違いない。
そして再びマリオとJr.が空き地に訪れたその時だった。

子供A・B・C「助けて~~~~」
密猟者「こらおとなしくしろ!!」
マリオ「わーコドモたちが密猟者に捕まってる!!」

なんとガラの悪い二人の大人が三人の子供をロープで縛り付けて誘拐しようとしていたのだった。

密猟者「絶滅寸前のコドモは高く売れるからな」

子供たちの危機にマリオは果敢に立ち向かうもなんとワンパンで敗北
そのままJrと一緒にロープに縛り付けられ一緒に捕まってしまうのだった。

密猟者「ハッハッハえものがふえたぞ」
子供A・B・C「わ~~ん」
Jr.「ウッホウッホ(パパ助けて)」

Jrの鳴き声を聞いた密猟者は「なんだこのやろうサルじゃねえか」と騙されたことに怒り、縛られたジュニアをボカスカ殴り始める。

ドンキーコング「ウォー」
密猟者「わっ、親があらわれやがった」

息子を悲鳴に駆け付けたドンキーコングの迫力の前に密猟者たちはひるむが、負けじとマリオにナイフを突きつける。

密猟者「近寄るとこのコドモの命はないぞ」

…が、一見子供のようだったマリオの顔をよく見るとばっちり顎髭の毛根がある中高年だということに気付く。

マリオ「わしもホントはおじさんなんじゃよ」
密猟者「ギャア」
ドンキーコング「ウガーゴーッ」

マリオに怯んだ隙にドンキーは密猟者二人を蹴散らし、マリオとJr.、そして絶滅危惧種の子供たちの命は救われたのだった。

そして今回の事件についてマリオが子供たちに一言。

マリオ「君たちも絶滅寸前だったらもっと女のコにエッチしてはんしょくしなきゃダメだよ」
子供B「ボクたちこどもだからまだよくわかんないや」

めでたし めでたし


君たちももっと女のコにエッチして追記・修正してくれる人をはんしょくしなきゃダメだよ。



この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ドンキーコング
  • 初代ドンキーコング
  • ドンキーコングJr.
  • マリオ
  • どうしてこうなった
  • シュール
  • しりあがり寿
  • 任天堂
  • 公式ガイドブック
  • 親御さんがビックリ
最終更新:2024年04月28日 21:00

*1 元々ドンキー親子はマリオのペットであり1人と二匹で仲良く暮らしていたのだが、マリオに女友達のポリーンが出来て以降ドンキー親子はないがしろにされるようになり、ドンキーはマリオに構ってほしい余り嫉妬に狂ってポリーンを攫ってしまった、というのがゲーム本編の公式設定である。

*2 ドラえもんでのび太たちが遊んでいる空き地に出てくるアレ