死神と少女

登録日:2014/01/10 Fri 00:25:59
更新日:2025/01/17 Fri 22:15:44
所要時間:約 5 分で読めます





―この世界を彩る言葉を探しましょう?―


『死神と少女』とは、2011年7月28日にTAKUYOより発売された乙女ゲーム

公式のジャンル名は《幻想物語アドベンチャー》
キャラクターデザイン、原画は東京レイヴンズのイラストで知られるすみ兵。

シナリオに力を入れているゲームだが、それ故クセも強く、かなり人を選ぶ作品(後述)
少なくとも 主人公=プレイヤーではないので要注意。

2019年にVita移植版が発売された。


【ストーリー】


ここではない世界のどこか遠い遠い東の国の、美しい一人の少女の話。
作家である少女の兄は、孤独な死神が主人公の物語を今度の新作にするという。
その完成を楽しみにしていた日、止まった時計塔の下で、少女は死神と名乗る青年と出会う。
その日以来、少女は様々な出来事に巻き込まれ…?


【システム】


選択肢を選んで物語を進める完全なノベルゲー。章構成。
…が好感度グラフなどが一切ない上、共通√が長い。

ゲームが進めば「言の葉」というキーワードを使う事で、隠されたシナリオが読める。


【登場人物】


公式での攻略推奨順は日生→桐島→十夜→蒼。時系列順になっている。

遠野紗夜(とおのさよ)
CV:植田佳奈(序章、最終章、エピローグのみ) 17歳 
この物語の主人公。ゲーム内で既にかなりの美少女という設定。だが貧乳。
兄と二人で暮らしていたが、蒼との出会いにより彼女の物語は動き出す。
乙女ゲームには珍しく一部だがCV付きの主人公で、同時にこのゲーム最大の特徴的人物
落ち着いた外見だが内面は感情派で、時にその言動はプレイヤーをあらゆる意味で驚かせる。
どっか士郎さん並みに乙女ゲーム界では賛否両論の主人公。スタッフも乙女からは嫌われるだろうと予想していた。
風羽ちゃん、めぐみちゃん、柘榴ちゃんとTAKUYOのヒロインはヤバい奴揃いだが、その源流は間違いなく彼女にあると言える。

蒼(あお)
CV:神奈延年 ?歳
自分が死神であるという事以外何も覚えていない青年。見た目は変な服を着た金髪の外国人。
名前は眸の色と出会った時の空の色から、紗夜に付けられた。
無表情で何を考えているかよく分からない…というか天然。
彼の√こそ真√であり、多くの伏線が明かされる。ので攻略は最後に推奨される。

遠野十夜(とおのとうや)
CV:川島得愛 25歳
紗夜の兄で作家。かなりのシスコン&紗夜もブラコンなのでひどいことになっている。
ライター曰く「マシュマロにハチミツとチョコレートとホイップをかけたような甘さ」らしい。うへえ。
が、本作の涙腺崩壊要因その1。
彼の真意を知ったときこそ、そのシスコン振りも許せる…かもしれない。

日生光(ひなせみつる)
CV:鈴木達央 17歳
一学年上の先輩。社交的で頭もよければ運動もできる完璧超人
紗夜を気に入っていて「お嬢」と呼び、何かと構う。
紗夜とのウィットに富んだやりとりはなかなか面白い。
彼の√はCERO表記を疑う。
そして真のチートスペックは他√で明かされる。

桐島七葵(きりしまななき)
CV:千葉進歩 18歳
一学年上の先輩。剣道部部長。
堅物&けど面倒見は良い&袴姿&時々眼鏡、と実は属性の塊。
幼い頃から、人には言えない秘密を持っている。
本作の空気安定剤。彼がいなければあらゆる意味で、このゲームは成り立たない。

千代(ちよ)
CV:野島健児
桐島の幼馴染。明るく誠実だが、空気は読めない。
ファンからはもっぱらワンコ扱いされている。
桐島からの派生だが√有。
本作一の癒し枠で涙腺崩壊要因その2。

宮沢夏帆(みやざわかほ)
CV:野中藍 17歳
紗夜の友人。可愛らしい外見に反して、非常にはっきりとものを言う。
その為、紗夜以外に友人がいない。が、紗夜も夏帆以外友人がいない
短いが√が有り、友情エンドでなかなか好評。スチルもかわいい。
本作の癒し枠その2で、盲目的に見えてきちんと友人を思いやるいい子。

夏目悠希(なつめゆうき)
CV:三瓶由布子 16歳
紗夜の隣の席の同級生。中性的な容姿で女生徒に人気。
が、かなり猫を被っており、紗夜をよく思っていない。√もない。
口も悪く、ライター曰く「でれない、媚びない、悪びれない」
ある意味本作の癒し枠その3で、夏帆とはいい喧嘩友達となる。

臥待春夫(ふしまちはるお)
CV:田中秀幸 42歳
古本屋「臥待堂」の主人。
後の蒼の居候先となり、蒼の保護者を兼ねる。もちろん√はない。
蒼に対しては放任主義で、自由気ままな人物。


【評価】


繊細かつ美麗なイラストと、雰囲気に合った音楽は評価が高い。
シナリオは非常によく練られており伏線も多く、描写も丁寧。
童話、文学ネタがあちこちにあるので、探していくのも楽しいかもしれない。

…が、糖度は控え目、何より個性のありすぎる主人公から、乙女ゲームをよくプレイするユーザーからはその点が不評。
また1章と2章の後味が悪く、共通√が長いのもあって、出だしでつまづいたりとかも。
そして、伏線は基本全ての√を通らなければ回収されず、それでも明かされずにプレイヤーに解釈を委ねる部分もある。

よって乙女ゲームではなく、ノベルゲームだとの意見がもっぱらで、評価も真っ二つに分かれている。
まあ、公式が恋愛でもミステリーでもなく、幻想物語アドベンチャーと銘打っているので確信犯なのだろう。


結果としてぶっとんだギャグが多かったTAKUYO作品の中でもかなりの冒険作で意欲作。
というか発売当初は「TAKUYOがまともなゲームをつくっただと……?」とか言われた。
しかし、その統一された雰囲気や世界観、シナリオから、ファンも決して少なくはない。


小説をよく読む人や、他にはない乙女ゲームを求めている人に向いているかもしれない。

TAKUYOはこの後「月影の鎖」や「SWEET CROWN」など本作の流れを汲んださらにアクの強い乙女ゲームをつくっている。
興味があればそちらもどうぞ。




―これは悲劇の物語でも 喜劇の物語でもない―

―美しい 幻想物語―



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最終更新:2025年01月17日 22:15