GOA(【推しの子】)

登録日:2021/06/10 Thu 06:03:05
更新日:2025/03/13 Thu 22:56:20
所要時間:約 5 分で読めます




全て原作通りにするなら脚本家と言う職業は要らない。

盛り上げる所をしっかり定めて、その為に要素を取捨選択していく。

そういう汚れ役も僕の仕事の内だと思っているからさ。

『GOA』とは『【推しの子】』の登場人物。


●目次

概要

やや癖のある髪を真ん中別けした男性。29歳。右目に泣きぼくろがある。
41話から始まる『2.5次元舞台編』に初登場した脚本家。売れっ子脚本家でもあり複数の脚本の仕事を同時に持つ。
しかしスケジュールがガタガタで「朝までに修正案を送れ」という指示が来て眠れないまま別の仕事場に行く、という事もある。
脚本作業自体、脚本家一人ではなく上からの指示を取り込みながら行う作業という事もあり、役者からの意見を積極的に取り入れようとする等、柔軟な性格。

アニメ・映画共に大ヒットした売り上げ5000万部の大人気漫画『東京ブレイド』の舞台化企画があり、GOAはその舞台用の脚本を引き受けた。
GOA自身1話の頃から東京ブレイドを読んでいた原作ファンであり、他のスケジュールをずらしてまでこの舞台の仕事を引き受けたという気合の入りよう。

しかし東京ブレイドの脚本はキャラ造形について出演者の黒川あかねに疑問を持たれるほどキャラ改変されている。
というのも、人殺しを好まない心優しいサブヒロイン『鞘姫』が、
尺の都合で心情をバッサリカットした結果、殺戮好きな性格になっている
(同じ「皆殺しにしなさい」という台詞でも、葛藤のうえで言うのと、テンション高めに言うのとでは性格が変わってしまう)

こうなってしまうのは尺の問題とメディアの違いである。
原作を舞台化した際に心情を描写するのに尺を大きく取ってしまうのだ。
例えば葛藤のシーンは漫画やアニメなら鞘姫の表情を映すだけで済むが、
舞台の場合遠くの席の客に伝わる様に演技の時間が多めに必要となってしまう。尺に間に合わせるにはここを削らざるを得なかった。
GOA自身原作ファンなのでキャラ改変に悩んだものの、仕事だからと割り切っている。

しかし、この完成原稿は演出家(東京ブレイドの場合、実質監督)もこの改変がストーリーを分かりやすくすると太鼓判を押しているし、
なにより原作者が許可を出したのでGOAはこの脚本を問題ないと認識している。
とはいえ役者の意見を取り入れ、この改変を減らせるのなら減らそうともしている(演出家に止められたが)



本編

44話にて『東京ブレイド』の稽古を原作者の鮫島アビ子が見に来る事があり、
その際原作者から「脚本の全てを直せ」とOKを貰ったはずなのに突然文句を言われてしまう。

実は原作者は完成原稿をもらってから何度も修正するように言っていたのに、全然直っていなかったのだ。
しかし「実際に舞台で見ればこの脚本の良さがわかる」と言われて渋々OKを出したものの、稽古を見て「やっぱダメじゃん」となったのだ。

特に原作者の不満はキャラ改変。「展開を変えるのは良いけど、キャラを変えるのは無礼。うちの子はこんなバカじゃない」とのこと。
こればかりはGOAも「メディアの違い」と言い訳しようにも原作者を前には言えなかった。

また原作者の修正指示をGOAが直せなかった理由もある。
そもそも原作者と脚本家は面と向かって会議している訳ではない。間に多くの仲介者が介在する。
今回の場合、原作者→サブ担当編集→担当編集→ライツ(権利管理)→プロデューサー→脚本家マネージャー→脚本家、となるため伝言ゲームとなってしまう。

その結果、


原作者
「道端で心情をペラペラ喋って構ってちゃん集団みたいでキショい! エモくない!(意訳:台詞減らせ)」

編集
「文章を整理して伝えなきゃ」

ライツ
「こんな原作者の怒りの文章を先方に伝えられない。マイルドにしなくちゃ」

プロデューサー
「道端から別の場所に変更? 時間がなくて新規セット作れないから無理!」
「台詞を減らせ? 主役の出番を確保しなくちゃいけないからこれも無理!」
「そんな感じで脚本家に伝えてね」

脚本家マネージャー
「原作者からの意見は心情の出し方をもっと情緒溢れる形に、とのことです」

脚本家
「このシーン台詞少ない方がエモいと思うけど、原作者が言うんだから仕方ない。台詞増やすかぁ……」

原作者
「減らすどころか増えて帰って来てる! 才能ないの? この脚本家!?」

……と伝言ゲームの結果、原作者の「エモくして」の部分だけが、
「情緒溢れる形に」と表現を変え脚本家に伝わってしまったため、要望とは真逆の修正をしてしまったのだ。こういう事を何度もしている。
本来プロデューサーは原作者の意見を聞けない場合は脚本家に伝える前にその事を原作者サイドに伝えるべきだったのだろうが、
怒髪天を衝く勢いの原作者の「思いの丈の詰まった要望」を、編集が「文章になるように整理」し、ライツが「先方に出せるよう感情を極力削減」した結果、
プロデューサーに届くときには「原作者激オコ案件」とは解らず「(舞台事情に疎い)原作者からの提案」くらいに認識してしまい軽率に扱ったのが、原作者がブチ切れてしまった要因の一つである。
別に誰かが悪意を持っていたわけではなく、各々が仕事を普通にこなそうとしただけなのが……。

しかし原作者は仲介者が要望を真逆に伝えたとは知らないので怒りが全てGOAに向かい、GOAもそれを受け入れて降板し原作者が脚本を書く事になる。
そのためGOAはクレジットから自分の名前を消すように頼み込んだが、既に色んなところに宣伝していたため、いまさら名義を消すとお金がかかってしまうので消せないと言われてしまう。
原作者は自分の名前を載せなくていいと言ったため、舞台の素人である原作者の脚本が酷かった場合、GOAの名前が傷付く事になってしまった。
(成功した場合、「原作が良いから」という評価となるためGOAの名前は評価されない)


果たしてGOAと原作者の誤解が解けて和解できるのだろうか……?

余談

現状GOAはゲストキャラのはずだが予想外にキャラが目立っているため、
五反田監督が言っていた映画『15年の嘘』の優秀な脚本家がGOAの事ではないかという考察がある。
109話から始まる『映画編』はその『15年の嘘』にまつわる長編となるため、もしそうであれば再登場が期待されるが……?



追記・修正は伝言ゲームで取引先からの要望を聞いてからお願いします。

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最終更新:2025年03月13日 22:56