魔女(嘘つき姫と盲目王子)

登録日:2021/06/19 (土) 17:01:23
更新日:2024/10/16 Wed 00:43:16
所要時間:約 6 分で読めます




森の奥深くに住まう魔女
あらゆる願いを叶えてくれるが、
そのためには自分が「最も大事にしているもの」を差し出さなければならない。



この項目では、『嘘つき姫と盲目王子』に登場する魔女について解説する。


概要


テーマ曲:狂楽の魔女
     魔女の館 古き童話の残照

本編の舞台となる、化け物たちが住まう森の頂点に君臨する存在。ただし支配者として振る舞うことはほとんど無く、
普段は森の奥深くに館を構え、そこで使い魔たちと共にひっそりと静かに暮らしている。
杖も生きており、仮面をつけているため素顔は見えない。
どんな願いも叶える」と評される程の力を持つが、願いの代償として依頼者の最も大事なものを要求してくる。
「大事なもの」は結晶化されて魔女の愛玩するコレクションとなっており、「なんて美しいんだろう…どれひとつとして同じ輝きはない、唯一無二の逸品たちだよ」と絶賛している。
設定画によると、トンガリ帽子の先端に吊られている結晶が一番のお気に入りらしい。

曰く「美しさの隠し味は、大切ななものを取り上げられた無念の心だね。放つ光にほのかな禍々しさが加わり、最高のスパイスになるのさ」とのこと。

このように悪趣味で意地悪な性格で、求める代償も悪どい内容ばかりだが、命だけは絶対に代償として求めないと決めており、
どこぞの無免許医のようにぶっとんだ要求で相手の覚悟を試している節がある。
また、下記の活躍から面倒見のよさや精神的な成熟がちらほらと見受けられ、善人ではないが、悪人でもない、独特の魅力を持ったキャラクターと言える。


デザインのベースはゼンマイとキノコとメンフクロウ。不気味で得たいの知れないイメージがモチーフだという。


活躍(ネタバレ注意)


狼の「私を人間にして」という願いを叶えるため、狼の「歌声」を代償として要求。
狼がこれに応じたため、「プライドの高いお前から、願いの代償を取れるなんてね」と上機嫌になり、
  • 狼の要望に応えて姫の外見にする。
  • いつでも狼の姿に戻れる。
  • 代償は「歌声」だけで会話は可能なまま。
という、痒いところに手が届く仕様にし、更に「狼の力は月の光を受けると強くなる。そしたら人間の姿で居るのは難しい」と忠告した。


後は狼が王子を連れてくるのを待ってるだけだったのだが、姫の正体が自分の両目を引き裂いた化け物であることが王子に知られてしまった際、火の灯ったランタンが森に転落。
森はたちまち大火事となり、魔女のコレクションも燃えてしまった。
これに怒った魔女は巨大な怪物へと変貌。森の住人たちはパニックになり、魔女の使い魔たちは「もうこの森はおしまいだ!」と逃げ出してしまう。
暴走する魔女は、謝罪に来た狼と王子と対峙する。当然怒りの矛先は二人へと向くのだが、二人の尽力により体力を消耗し気絶。元の姿に戻った。
それでも怒りが収まらず、目覚めるとまた攻撃を繰り出そうとする。

「ちくしょう…大切なモノを踏みにじっておいて…許せない…」
「あいつらめ…なんで…わかってくれないんだ…」

そこへ、二人の「ごめんなさい!」という言葉が届き、魔女は完全に正気に戻る。
この期に及んで自分に願い事をしようとする二人に対し「図々しい」と毒づきつつも、その声は何処か穏やかだった。
そして、自分のコレクションを台無しにしたことへの罰、燃えてしまった森の修復、そして狼の「王子の両目を治して」という願いを叶えるため、
狼に「歌声は失ったまま、人間への変身魔法の返還」「王子に関する全ての記憶」を要求する。

「どうだい?これだけの代償、お前に払えるのかい。自分勝手で、嘘をついて生きてきたお前が、ただのちっぽけな人間一人のために」

狼は深く考えてからこれを承諾。彼女がこれまでのことを王子に謝罪したタイミングで、魔女は魔法の儀式を開始した。
ここで魔女の出番は終了するが、エンディングで目が治った王子がペタンコ座りの状態で城に戻っているため、魔女が送り返したものと思われる。

その後、狼と王子がどのような結末を迎えたかは…是非とも自分の目で確かめてもらいたい。


余談


日本一ソフトウェア製作のフリーゲームのような作品に登場するラスボスは、
  • 人間に忘れ去られ信仰を失い、何とかして自分を保とうと暴走している山の神(夜廻)
  • 呪いを受けた被害者なのに忌み嫌われ、数少ない理解者も殺されて復讐鬼と化したヴィオラ(ロゼと黄昏の古城)
  • 人類再生を託され、忠実にそれを遂行しようしているだけなので、敵意はあるが悪意は無いクラウドAI(ボイド・テラリウム)
と、同情の余地ややむを得ない事情を抱えていることが多い。
本作の魔女もその例に漏れず、少なくとも本編においては狼と王子のいざこざのとばっちりで大切なコレクションを燃やされてしまった被害者である。
また、「願いを叶える代わりに代償を求める」「主人公の活躍によって正気を取り戻した」「かたちはどうであれ主人公を救った」という点から、
ポジションとしてはコトワリさまの方が近いのかもしれない*1



追記・修正は魔女に願いを叶えてもらった方にお願いします。

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最終更新:2024年10月16日 00:43

*1 悪趣味で意地悪な魔女と慈悲深い神のコトワリさまで性質は真逆だが。