SCP-4517

登録日:2021/10/27 Wed 19:45:27
更新日:2021/11/10 Wed 00:05:01
所要時間:約 5 分で読めます




SCP-4517はシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトである。
収容レベルはSafe。




概要

SCP-4517はとあるアパートの一室、そのバスタブ内にあるなにかである。
……『いやだからその何かを説明しろアンポンタン』と言いたくなるだろうが、
仕方ないのだ、このオブジェクトは主観的性質・形質を持たないのである。
長さ170cm、重量55kgであることはわかっており、また見た人がそこに何かがあることは説明できるのだが、
『じゃあそれはなんなん?』と聞かれても、『なんやろなあ』としか言えないのだ。

しかしなんやろなあで済めば財団は要らない。財団としてはぜひともその何かしらを記録する必要がある。
そこで財団は誤伝達部門(DoMC)にこのオブジェクトの記述を依頼。
誤伝達部門は普通に記述ができないオブジェクトについて、間接的に表現することで記録を試みる部門である。
今回誤伝達部門が用いたのは、このオブジェクトを0とした、𝒩度なる指標を作り出すことであった。
𝒩度(誤伝達部門所属の研究員らが命名)とは、あらゆる実在実体が有する客観-相対的な(そして普通程度に主観的と推測される)性質であり、対象をSCP-4517と比較することで定量化が可能です。SCP-4517は𝒩度=0の基準に相当します。当該性質の厳密な法則性に関する研究が進行中です。
とされる𝒩度は、財団の人工知能によってばらつきやオブジェクトとの関連性を調査されている。

では、実際にその結果を見てみよう。

物体/実体 𝒩度
財団支給のボールペン 2.8
リンゴ (グラニー・スミス品種。) 12
自動車 (1998製ビュイック・センチュリー。エージェント・スヴェンスカが所有。) 11,300
[簡潔のため省略]
10ポンド紙幣 40
~200,000ポンド相当の投資ポートフォリオ 90,880
グリフィス研究員 22,140,000
レスター上級研究員 30,090,000
D-00340 (元犯罪者、連続放火の罪で有罪判決を受けた。ベテランのピアニスト。) 912,300
D-00341 (元犯罪者、連続殺人の罪で有罪判決を受けた。) 144,600
[簡潔のため省略]
ぬいぐるみ (新品、包装状態。) 87
ぬいぐるみ (SCP-4517と同じアパートの一室から回収。深刻な劣化が見られ、製造から15年以上が経過していると推測される。) 2,300
[簡潔のため省略]
ダミアン・ピスク (SCP-4517を内包するアパートの一室の最後の住人。) 0
ラングドン・ピスク (上記対象と兄弟関係。イングランドのダラム大学にかつて勤務していた数学者。) 比較リジェクト; 整数値オーバーフロー

解説

本オブジェクトの説明は以上なのだが、誤伝達部門が書きたかったのはどういうことなのかは想像してみたい。
誤伝達部門というのはSCP-4773でも述べたとおり「なぞなぞ」部門である。
本来明確に書くべき財団の報告書でなぞなぞをやるからには、報告書内に読み解く鍵があるはずだ。

𝒩度を考察する上で重要なのは、SCP-4517は𝒩度0のオブジェクトであり、基準とされるということ。
では、𝒩度測定結果をもう一度見てみよう。

ダミアン・ピスクさんも𝒩度0である。

ダミアン・ピスクさんはこのアパートの一室の最後の住人である、ということも含め、
SCP-4517はこのダミアン・ピスクさんであると主張できるであろう。サイズ的にも人間っぽいし。
そして、生物系オブジェクトでありかつオブジェクトクラス(本稿では収容レベルとされているが)がSafeということから、
「本オブジェクト、つまりダミアン・ピスクさんは既に死んでいて、異常性は死後も継続している、ないし死後に発現した」ことはわかる。

そして𝒩度はSCP-4517と相対評価でかつ主観的な評価指標であるということを踏まえた上で、
Dクラスとぬいぐるみについての比較対照実験を参照したい。

ぬいぐるみについて、新品よりも同じアパートの一室から回収されたボロボロのぬいぐるみのほうが𝒩度が高い。
これはダミアン・ピスクさんの思い出の品であると予想されるため、
ダミアン・ピスクさん視点では新品の大量生産品よりも思い出のぬいぐるみに価値をおいている、
故に𝒩度が高いということであろう。

Dについては、ただの通り魔の屑に比べて、放火魔のピアニストのほうが𝒩度が高い。
言うまでもなく、やった犯罪もそうだが、ピアニストになれるほど技能があるDのほうが評価が高いのだろう。

そうすると財団職員の比較も、ヒラの研究員より上級研究員が𝒩度が高いのは、それだけ優れている人だからであろう。

考察

ここまで解説していけば、正体はとりあえずわかる。これはダミアン・ピスクさんの死体であると。
しかしなぜダミアン・ピスクさんの死体がオブジェクトとなってしまったのかはわからない。
いやまあこれは財団もおそらくわかっていないだろうけれど。ただある程度推察は可能である。

研究者がピアニストと比較しても𝒩度が上であることから、ダミアン・ピスクさんは研究者をより評価するようだ。
それはおそらく、兄弟であるラングドン・ピスクさんが数学者として大学に勤務している成功者だからであろう。
そのラングドン・ピスクさんは𝒩度がオーバーフローしてしまっている。
ダミアン・ピスクさんは兄弟への羨望や劣等感を持っていたことだろう。
自身はアパートの一室でうらぶれているのだから。

そう考えると、ボールペン1本にも満たないダミアン・ピスクさんの自己評価はおそらく低かったものと思われる。

さて、異常性はいつ発現したかだが、おそらくは死後であると思われる。
というのも自己隠匿性を持つオブジェクトはそのままではアパートの一室など借りられないからである。
死因はおそらく自殺。死んだ際に、氏の劣等感から、何にも主観的に評価されない、
そもそも褒めも貶しもできないオブジェクトになったのであろうと思われる。あるいは願いだったかもしれない。






SCP-4517 - Not Very 𝒩(それほど𝒩じゃない)






…それほどNecessary(必要)じゃない。少なくとも、ペン1本ほどには。



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最終更新:2021年11月10日 00:05