レイヴンビーク

登録日:2021/10/28 (木曜日) 00:47:32
更新日:2023/03/21 Tue 21:42:42
所要時間:約 8 分で読めます




注意!
本項目にはメトロイドドレッドの重大なネタバレがあります!
ネタバレを嫌う方はブラウザバックを推奨します。




























HADAR SEN OLMEN(ハダール セン オルメン)



レイヴンビークとはメトロイドドレッドの登場人物にして、本作のラスボス。




【概要】

惑星ZDRを拠点とする鳥人族の一派『マオキン族』の長。
サムスと同様のアームキャノンのついたパワードスーツを纏っている。
マオキン族は武闘派種族であり、彼もまた卓越した戦闘能力を持つ。
詳細は後述するが、あのE.M.M.I.をたった一人でねじ伏せる程である。

また野心家の一面もあり、目的のためなら手段を選ばない。
性格は残忍で、クリア後、マップごとにアイテム率100%で解禁されるギャラリーの一枚にはマオキン族の処刑の様子と思われるものがあるが、
そこには丸裸にしたうえで大口を開けたモンスターの上に落とす様子が写っている。
このように、鳥人族の温和で友好的なイメージを丸々ひっくり返してしまう存在となっている。

ゲーム上での初登場は惑星ZDRに降り立ち、装備を失って倒れていたサムスの回想である。
ZDR深部に続くエレベーターの先でサムスを待ち、一戦を交える。
2ndトレーラーにも映っていたその戦闘にて終始サムスを圧倒し、「HADAR SEN OLMEN」と唱えながらサムスにアームキャノンを向ける。
そしてサムスの身になにかが起こった瞬間に回想は途切れる。

サムスはこの言葉が意味するところを知っているらしいが、その詳細は最終盤まで明かされない。

【過去】

前提として鳥人族には従来のイメージの「温和・友好的」な技術者集団『ソウハ族』と先述した武闘派の『マオキン族』に分かれる。
ソウハ族が惑星SR388の開拓の際に寄生生命体Xの駆逐のためメトロイドを創るも、その後メトロイドはソウハ族の手に負える生物でなくなる。
この時マオキン族はメトロイドの封印・隠蔽する間メトロイドを抑え込むためにSR388に来訪したと考えられる。
実際サムスリターンズのチョウゾメモリーにて本作のマオキン族の鳥人兵士によく似た鳥人族が写っている。
ソウハ族は失敗作のメトロイドを惑星SR388ごと爆破して絶滅させ、銀河の安泰を保つ…はずだった。

レイヴンビークはメトロイドの軍事利用を考えだしており、自らの野望「力による銀河支配」の手段として選んだ。
そのメトロイドの制御のためソウハ族の学者「クワイエットローブ」のみを残し、残りのソウハ族を皆殺しにした。
なおこの様子はサムスリターンズにおけるチョウゾメモリーの隠し項目「2d/10」として写っていて、サムスリターンズの発売から様々な憶測や考察がおこっていた。
ちなみに2d→to DREADと半ば冗談で言って当たった人もいる。

だがソウハ族もマオキン族がメトロイドを狙う可能性は予測済みで、メトロイドの敵意はマオキン族にも向くよう調整されていたらしい。
その場でメトロイドを管理下に置くのは難しいと考えたか、レイヴンビークはクワイエットローブとマオキン族兵士を引き連れ、本拠地ZDRへ戻る。

しかしZDRで問題が発生。鳥人兵士の一人がXの擬態であった。
ZDRは大混乱に陥り、鳥人兵士はことごとくXに寄生され事実上全滅してしまうが、レイヴンビークはかろうじて鳥人兵士も含め全てのXをエルンへ封印することに成功する。
しかし、その間にサムスはメトロイドをSR388から駆逐。その後(X根絶のためによる偶然だが)SR388の爆破も遂行することとなった。

だがレイヴンビークは諦めていなかった。SR388爆破直前の事件にてサムスにメトロイドのDNAが注入されていたことをどこからか知ると、ZDRで生息するXの映像を銀河連邦に送り、サムスを呼び込もうとする。
銀河連邦が先に送り込んだE.M.M.I.の一体を半壊、さらにクワイエットローブを使って各地でハッキングさせ、サムスからメトロイドのDNAを回収する一手段とした。
そしてサムスが思惑通りZDRを訪れることで、メトロイドドレッドの物語は始まる。

【さらなる過去】

サムスは惑星ゼーベスの過酷な環境下に適応させるため、鳥人族のグレイヴォイスからDNAを移植されたというのは以前から明かされていた設定である。
しかし、サムスが受け継いだDNAはソウハ族のグレイヴォイスのみでなくマオキン族のレイヴンビークからも受け継いだことが示唆されている。
後述の戦闘の前後にレイヴンビークはサムスに向けて「我が娘」と呼ぶ。
ただ、そこに愛情などはなく、良くて駒、あるいはただの使い捨ての道具扱いだった可能性が高く、
サムスからしてもレイヴンビークは、ゼーベスの因縁において育ての父と言える鳥人族たちを裏切ったマザーブレイン(≒スペースパイレーツ)と何ら変わらない認識だったことだろう。

【邂逅、そして戦闘】

数多のX、そしてマオキン族鳥人兵士との戦闘を経て、サムスは自身のメトロイドの力を覚醒させていった。
そしてレイヴンビークのいる浮遊要塞イトラシュでアダムと通信する。

しかし、アダムは「君の活躍ぶりに私は非常に満足している。」「あえて生かしておいた私の判断に狂いは無かった…」「メトロイドそのものと変化した君は銀河を恐れさせる存在だ。だが私に服従し力を提供すれば心配ない」などと言い出し、明らかに様子がおかしい。
そして……



サムスよ、自らの使命を果たすのだ。
これは命令だ。異論は認められない。



もはや決定的だった。今サムスと話しているのは、アダムに成りすましたレイヴンビークだった。*1
サムスがビームを放つと幻のようにアクセスステーションは消え、奥からレイヴンビークが現れる。

「お前には失望した、我が娘よ」と言い放ち、サムスとのZDRでの最終決戦が始まる。

【第一形態】

ライトニングアーマーを纏っているため、実質的にメレーカウンター後のグラブシーケンスでしか本体にはダメージが入らない。とは言えアーマーにダメージを与えることでメレーカウンター可能な攻撃が解禁されていくので、撃ちまくればいいのは変わりないが。
ある程度アーマーにダメージを与えると、アーマーは金色に変化し、ここからはいくらアーマーに撃ち込んでも無駄になる。
なお第一形態はアーマー/本体ともにビームの通りがよく、連射速度にもよるがミサイル連打とさして変わらない効率でダメージを与えられる。レイヴンビーク戦をミサイルのみで乗り切るのは余程弾数を増やしていないと難しいので、第一形態はビームで戦うのがおすすめ。


  • 3連コンボ
サムスが近くにいると超高確率で使用。大きく踏み込みながら爪で3回攻撃。
直撃すると大きく吹き飛ばされ、すぐにジャンプで退避しないと全て喰らってしまう。
距離をとれば使用しないし、上空または背後に逃げれば中断する。
他の攻撃にも言えるが予備動作を観察し、行動パターンを見極めて対処できるようにしよう。

  • 扇ビーム
アームキャノンから自身の近く以外を全て覆うビームを放つ。
レイヴンビークの近くが安地だが、その後はほぼ必ず3連コンボが飛んでくるので、
大きくジャンプするかフラッシュシフトして距離をとろう。

  • エネルギー弾
サムスを追尾する黒い球を放つ。巨大な上に追尾性能もかなり高く、手間取るとレイヴンビーク自身が次の攻撃をしてくるため回避は極めて困難。
ミサイル4発かパワーボムで破壊可能で、破壊に成功した場合はエネルギーとミサイルを多少ドロップする。予備動作に入ったら距離をとってミサイルを構えよう。
一応ビーム連射でも壊せないわけではないが、時間も手間もかかるため非推奨。
壁や床に深い角度で接触した場合も消滅する。ただしこの場合はアイテムドロップが発生しない。

  • 高速突き
ライトニングアーマーにある程度ダメージを蓄積させ、オレンジ色か金色になってきたあたりで使い始める。
溜める予備動作のあと高速で突進してサムスを吹き飛ばそうとする。メレーカウンターのチャンス。
高速突きはグラブシーケンスに派生する技の中でも、アーマーがオレンジの状態で使ってくるのが早期撃破のポイント。
意図的にピンクにせずにダメージを調整して高速突きを誘発することで、高速突き→衝撃波と連続でグラブシーケンスを決められる。
グラブシーケンスでビーム連射を使えば、アーマーを金色にせずに安定して撃破できる。

  • 衝撃波
ライトニングアーマーにさらにダメージを蓄積させ、ピンク色か金色ぐらいから使いだす。
部屋のほぼ全域を赤い霧が覆い、直後に衝撃波が走る。下から1マスが安地でしゃがみかモーフボールで避けられる。
避けると自動でカウンターチャンスのQTEイベントが発生し、カウンタービームまで決めればグラブシーケンスに移行する。

  • フラッシュシフト
主にサムスから距離を取る、接近する、後ろに回り込む形で使用する。

  • 挑発
ライトニングアーマーが真っ赤か金色になるまで打ち込み続けると、「かかってこい」と言わんばかりのジェスチャーを行うことがある。
こちらからダッシュメレーで殴りかかるとレイヴンビークが素早く迎撃し、QTEイベントに移行。
更にもう1回カウンターして反撃成功すれば、長いグラブシーケンスが起こる。

大体メレーカウンターを決めてグラブシーケンス中にしこたま撃ちまくるのを3回前後成功したあたりで第二形態に移行。しっかり連打を決めれば2回のグラブシーケンスで倒せる。
サムスの腹パンのようなムービーのあと翼を生やす。

【第二形態】

黒い翼を展開し、常に飛行している。
この形態はメレーカウンターも破壊可能な攻撃も(=回復チャンスが全く)存在しないため第一形態で無駄打ちや被弾しすぎないように。
あとやたら固いのでなかなか勝てないときはボタン連打で腱鞘炎にならないように適宜休憩を挟むこと。


  • ハイパービーム
斜め下方向に極太のビームを撃つ。後スキが長い。
予備動作が分かりづらいが、中空で斜めに陣取ってきたらフラッシュシフトで真下に潜り込めば攻撃チャンス。
ただし、後述のビームバーストや突進は壁際で避けると事故率が上がるので、攻撃後は中央に戻ると安定しやすい。

  • ビームバースト
空中からサムスにフリーエイムポインターで狙いを定め、ビームを連射する。
まともに食らうと全パターン中で最大のダメージを食らうため、長時間、スペースジャンプでレイヴンビークの周囲を回るように避けることになる。
実はダッシュメレー→斜め上フリーエイムで姿勢を落としている間は、特定角度の連射が当たらなくなる。
長い拘束時間がそのままチャンスになるので、成功させると非常に有利になる。

  • 突進
横軸を合わせて突進。スライディングでくぐれる。すれ違いざまにストームミサイルを打ち込めればベスト。

  • 急降下
縦軸を合わせて、天井近くから急降下。ダッシュで避けきれないならフラッシュシフトが楽。

ダメージが溜まるとムービー。サムスがビームで左の翼を落とす。
するとレイヴンビークは自らもう片方の翼をむしり取り、第三形態へ。

【第三形態】

再び地上戦。第一形態の技もいくつか使用する。
今回はライトニングアーマーを纏わないうえ、グラブシーケンスが常に長いパターンになる。
その分、耐久値は第一形態よりも高めになっているらしく、早期撃破することは難しい。

  • ハイパービーム
今度は画面端からサムスを狙い極太ビームを撃つ。狙いが止まったときに一気に避けよう。
こっちは後隙が狙いにくい上、たいてい3連続で撃ってくる。
なお第一形態も含めてグラブシークエンスでも使用してくるが、その際にはビームを照射したまま、まるで大剣の如く振り回しサムスをぶった斬ろうとしてくる迫力満点のモーションが拝める。

  • パワーボム
太陽のような光球を天井付近に設置し、一定間隔でエネルギー波を放つ。
エネルギー波には隙間があるが基本避けづらいうえ、もたもたしているとレイヴンビークが普通に攻撃を重ねてくる。
さっさとパワーボムで破壊して大量の回復アイテムを頂戴しよう。

  • シャインスパーク
その場で少し浮遊した後、超高速で前方に突進。
このときジャンプで飛び越えるのが遅れると、突進の終わり際に真上へ方向転換してくる事がある。
サムスのシャインスパークとは違い助走してのエネルギーチャージも必要とせずほぼノーモーション発動、かつ上述の様に方向転換さえ可能な上に
レイヴンビークはシャインスパークとスクリューアタックが常に効かないため、完全に上位互換と言える。
頑張ってジャンプ+フラッシュシフトで裏回って対処しよう。
レイヴンビークの近くで立ち回り、レイヴンビークに向かってフラッシュシフトすると方向転換を喰らいにくい。
第一形態と同じ黒い玉の直後に発動するパターンが存在するらしく、玉を破壊しようと手間取っているところを狙ってくることも。
この場合は通常の回避方法とは逆に、レイヴンビークから遠ざかるように壁に寄って回避すると方向転換されずに済む。
方向転換はほぼノーモーションなので条件がわかりにくく、0%クリアを狙う場合はもちろん当たると即死するので、最後にして最大の壁となる。


ダメージが溜まるとフィニッシュカウンターに移行。
直前にしつこく襲いかかってきた鳥人兵士と同様、攻撃を2回メレーカウンターで弾けばクリアとなり、ムービーに移る。

【我執と誤算】


レイヴンビークを追い詰めたサムスはメトロイドの力で攻撃を仕掛けるも、逆にレイヴンビークはメレーカウンターでそれを弾き飛ばし、さらにサムスにフラッシュシフトを使って接近し首根っこを押える。
そしてサムスに向け「貴様はもう用済みだ」と語る。
彼の目的はもうメトロイドDNAでなく、最強のメトロイドであるサムスのクローンとなったためである。
そしてサムスのことを「愚かな我が娘」と呼び銀河の未来を託して眠れと言い放つ。
サムスの意識が遠のく中、こう呟く。


HADAR SEN OLMEN(Power... is everything.)


そう、最初に対峙した際の謎の言葉は「力こそが全てだ」という意味だった。
彼の信条であり、ニンテンドウオールスター的にはガノンドロフ邪神ドーマと同じ思想である。




しかし、レイヴンビークはサムスが抱えるメトロイドの力を過小評価していた。
凄まじいパワーに目覚めたサムスだが、これでもまだメトロイドの力は解放されきっていなかったのだ。
突如覚醒し、雄叫びとともに異形の姿「メトロイドスーツ」へと変じるサムス。
左手の一撃がレイヴンビークのご立派な兜を叩き割り、むき出しになった顔面から猛烈にエネルギーを吸収する。
悶えるレイヴンビークだったがサムスを引き剥がすことができず、レイヴンビークどころか要塞中のエネルギーがサムスに吸収されていく。
サムスが組み伏せたレイヴンビークから尚も容赦なくエネルギーを吸収し続ける中、動力を失った空中要塞は地上へと墜落していった。

要塞の残骸に囲まれて立つサムス。
レイヴンビークもまた生きていたが、満身創痍の状態でありふらついている状態である。
その隙を狙って紫のXがレイヴンビークに寄生。レイヴンビークは異形の怪物レイヴンビークX*2へと変貌した。
この姿になりながらも「HADAR SEN OLMEN」と呟く。もはや執念である*3

この後イベントバトルが入る。と言ってもYボタン長押しだけでレイヴンビークXに向かってハイパービームを撃つだけである*4
これによって顕になった紫のXを、サムスは吸収することなくハイパービームで消滅させ、鳥人族の最期に影を落とし続けたレイヴンビークの野望・意志は完全に潰えたのであった。

その後、シリーズお約束の脱出ミッションが入る。サムスはハイパービームゲートの先のスターシップに乗り込むが…


【考察・余談】

イトラシュでのアダムとの通信はレイヴンビークの偽装であったことは事実だが、レイヴンビークはいつからアダムを騙りサムスに話しかけていたのかが議論となっている。
「アクセスステーションの通信全て」*5「途中から」「イトラシュの通信のみ」などあるが公式が語るまで答えは出ないだろう。

また、一部ではレイヴンビークはスペースパイレーツと繋がっていたという説も提唱されている。
そうでないとサムスリターンズのリドリーの動機が不明瞭というのもある。
仮に事実だとしてもお互い寝首を掻く関係であったことは想像に難くないが…
どちらにしても、パイレーツによるゼーベス侵攻の折に仲間を助けるべくあえてパイレーツに降ったフリをしたグレイヴォイスよりも、その時に居合わせなかった彼のほうがよほどパイレーツ向きの人格だったというのはある意味皮肉だが。


追記・修正は命令だ。異論は認められない。

…ということはないですが、レイヴンビークをハードモードで倒した方にお願いします。

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最終更新:2023年03月21日 21:42

*1 そもそも本物のアダムが知らない情報を語っており、ここまで来た時点で正体を隠す気が全く無かったというべきか。

*2 全体のデザインと巨体、および顔のディティールから、このXはクレイドをベースにそれまでのボスクリーチャーの死骸をコピーして合成していた模様

*3 Xは宿主に関わらず増殖・生存が第一の目的である。先にクワイエットローブに寄生したXも彼の今際の言葉である「あとは頼みましたよ……」を延々と呟いていたことから、宿主の最期の記憶から声をとりあえず再生しているだけである可能性が高い

*4 もちろんここで撃つのが遅れると食われてゲームオーバー。タイムロスの代わりにこのイベント戦から再開なので、再びレイヴンビークと3連戦させられない点は安心。ちなみにタイムアタック的にはギリギリまで発射を我慢した方が早く倒せるらしい…。しかしメトロイドとなっているサムスをXが捕食出来るかは不明である。

*5 没データ内に存在するMercurySteamへの演出プラン指示用テキストでこの旨が記載されている。ただしあくまで開発用の没データに過ぎない点に注意