X(メトロイド)

登録日:2021/12/13 Mon 11:23:30
更新日:2024/02/26 Mon 13:27:50
所要時間:約 7 分で読めます





◉【私はサムス・アランのスターシップに搭載されているコンピュータだ。ここではアダムと呼んでくれて構わない。】

【この項目にアクセスしたと言う事は、私とサムスがB.S.L及び惑星ZDRにて遭遇した「X」にまつわる情報を閲覧したいと言う事だな?】


【閲覧をする前に確認しておくが、この項目にはXにおける詳細な情報に関連しているB.S.LZDR等で起きた事件についても記録されているため、
閲覧した事により何らかの不利益を君が被ったとしても我々が責任を負う事は出来ない。よく考えた上で閲覧をしてくれたまえ。】

【理解できたかね?】

Yes
No






























概要


Xとはメトロイドシリーズに登場する惑星SR388の原生生物。メトロイドフュージョンにて初登場した。

本来は空中に浮遊をするアメーバの様な姿をしており、一見すると可愛らしいキャラクターに見えなくもないが、その正体はメトロイド以上に悍ましい能力を持つ寄生生物である。

フュージョンではその寄生能力によって歴戦の戦士であるサムスすら死の一歩手前まで追い詰め、同作の舞台となるB.S.Lを事実上壊滅状態にまで陥らせた。
「見かけによらない」の言葉を限りなく体現した恐るべき存在の一つであり、既存作のメトロイドやプライムシリーズのフェイゾンと同様に 銀河社会を破滅に追いやる危険性が非常に高い 生命体である。
そのため、メトロイドドレッドにおいては事実上、Xの残存が示唆された情報がそのまま事件の始まりとなりサムスの仕事が増えた。


能力・性質


寄生能力


生物ならば生死を問わずに浸透して寄生をする事が可能。
寄生されたが最後、瞬く間に中枢神経等を蝕み、宿主を死に至らしめる。
サムスが数時間程度?持ったのは本当に幸運だったと言えるだろう。
寄生対象は動植物一切問わず、またSR388外の異星生物であろうと全く問題ない。それどころか生体部品等が少しでも使われていれば機械類にも寄生が可能*1であり、これはサムスの身体と融合する仕組みのパワードスーツや生物由来の素材で出来ている鳥人像ですら例外ではない。
生体部品でなくとも、中枢系のシステムに有機コンピューターを採用している機械であれば、そこを乗っ取ることで機械全体を支配下に置いた例もある。

逆に生体パーツが一切使われていない機械には寄生ができない。
また天敵であるメトロイド(および、その特性をワクチン接種によって遺伝子レベルで継承した後のサムス)に対しては、寄生しようとしてもXの側が逆にメトロイドにエネルギーを吸いつくされて死ぬため寄生不可能である。


擬態能力


寄生した際にその宿主の遺伝子情報をコピー、自身の内に取り込むことができる。
そして、その遺伝子情報を用いて擬態をする。
擬態の際は体格、内部構造、さらには能力まで含めて模倣するため、精度は外見では見分けがつかない。
というよりもはや「変身」と形容していいレベルであり、行動を観察でもしなければXであることを看破することは不可能に近い。
そのため討伐や捕獲が容易な生物ならともかく、強力な個体に寄生しようものならそれだけでも大きな脅威となり得る。

しかも、この擬態能力は「宿主の記憶や知識、潜在能力等もまとめてコピー出来る」という驚異的な領域にある。Xは宿主が持っていた知識を利用して同じ個体の群れに紛れ込むのは勿論、その知識を武器として利用することさえある。

また、別の遺伝子情報をコピーしたXの個体同士が融合する事で、各生物の特徴を有した突然変異種を生み出す事も可能である。
擬態能力と融合による変異などを遺伝子操作種のごとく組み合わせることで、高温/低温などの極限環境にも対応する適応力も備えており、置かれた環境の過酷さに比例してその脅威度も跳ね上がる、完成された生態系を築いている。




繁殖と行動原理


Xは細菌などと同様、分裂によって自己の複製を作ることで種の存続を図る。
この際、分裂前の個体が蓄えていた遺伝子情報も複製に引き継がれるため、危険な生物への擬態を許せばそこからその危険生物もどきが更に何十体と発生して目も当てられないことになる

そしてXのもっとも恐るべきは、「Xには知性と呼べるものがない」という点。
Xは昆虫や植物などと同様にあくまで種の保存と繁栄という動物的本能を優先し、それに従って繁殖を繰り返す以外のことはしない。
即ち、どのような生物に擬態しようとも自らの繁栄に不要な 心は絶対にコピーしない のである。

さらに自分達の天敵を葬り去る為ならば自身や仲間の犠牲など一切考慮しないうえ、もし 万が一宿主が生き延びれば、それを抹殺するべく執拗に狙い続ける という習性を持つ。*2

スペースパイレーツやダークサムスのような明確な意思を持って侵略を行なっているわけでは無くただ本能に従って広がっていくその様は、
まさに「存在悪
繁栄はおろか、存在すら許してはいけない忌むべき生命体と言っても差し支えはない。

普段「~と考えられる」「~と思われる」などの言い回しをよく使うサムスもモロに「Xを制御するのは不可能である」「その存在を許してはならないのだ」と断言している。






弱点


寄生能力の項でも触れたがXの弱点は、生体・有機パーツなどが未使用の機械には寄生ができない事と、SR388に降り立った鳥人族達がXの対策として造ったメトロイドという天敵が存在する事である。
メトロイドはXに寄生されず、逆にXを吸収してしまう力を細胞レベルで与えられており、この特性は後にメトロイドワクチンを投与されたサムスに引き継がれることとなる。そのため、メトロイドが絶滅し、メトロイドの研究成果を引き継いでいたB.S.L.も滅びたフュージョン以降は、サムスが全宇宙でただ一人のXに対抗できる生命体となっている。
但しXは驚異的な適応力と合成能力を持っているため、強力な生物への寄生や融合によりロボット兵器以上の戦闘力を持ちうることや、メトロイドの弱点である「冷気」をも扱うことが出来るorメトロイドを操る事が出来る者等に寄生する事で、上記の弱点についても間接的に克服する事も不可能では無いため、タチの悪い存在という他ない。



ゲーム的な立ち位置


登場する作品では基本的に雑魚からボス格の敵キャラクター等にまで擬態してサムスに襲いかかってくる。
擬態状態のXを撃破すると元来のアメーバの姿へと戻り、この状態に戻った際にサムスが触れる事で体内に吸収してエネルギーの回復などが出来る。
逆にこの状態のXを攻撃しても素通りするだけで効果はない。元の姿のXを消滅させる手段はほぼ確認されておらず、星の爆破に巻き込むといった極端な手段を除くとXを完全に倒す方法は事実上サムスが吸収することに限られるといえる。

要は ゲームにおける回復ドロップアイテムの扱いをされている 。通常Xは黄色だが、それ以外の色だとミサイル補充など異なる回復効果を発揮する。
ただし、しばらく放置していると逃げ去ってしまうばかりか、他の生物に再度擬態することもある。場合によっては吸収ができず、必ず再擬態するXの個体も存在する。
なお、パワーボムを使用すると、その爆発が収まる際に擬態が解かれたXを爆心地に吸引する効果が発生し、サムスがその場に留まっていれば一気に回復できる。

また、ボス格に擬態していたXはコアXと呼ばれ通常のXには無い外殻を纏っており、ミサイル等の攻撃で外殻を破壊する事で吸収が出来るようになる。
このコアXを吸収することで、そのボスが保有していた能力をサムスが使用可能になる。
なので、ゲームシステム的にはもはや居てくれないと困る存在になってしまっているが…



登場作品




メトロイドフュージョン


オープニングにてSR388の調査に赴いたB.S.Lの調査隊とサムスの前にナード*3に擬態した姿で現れる。サムスがミサイルで迎撃した直後本来の姿を露わにし、サムスは即座に反応し攻撃するもXはミサイルを受け付けず一瞬の隙をついてサムスの体内へと寄生してしまう。その直後は異変は見られなかったものの帰還中にXが増殖し、サムスは体中を侵食されて突然意識を失い、生存が絶望視される程の事態を招く。*4
だが、メトロイドがXの天敵であったことを突き止めた銀河連邦によって、保存されていたベビーメトロイドの細胞片を用いたワクチンを投与された事でサムスの命を繋ぎ止め、さらにはXの吸収という最高耐性をもたらす事に成功する。

しかしそんな奇跡の裏で、B.S.Lに運び込まれたサムスのパワードスーツへ寄生したXが最凶の存在SA-Xへと擬態。
数々の武装を用いて施設を破壊し、調査の際に捕獲された他のX達と共に本能に従って活動を開始し始めた所から本作は始まる。

最初こそ施設の一部で活動が確認される程度だったが、SA-Xの破壊活動と多様な生物を有するB.S.Lという要素が重なった結果、サムスが各セクターへと辿り着く頃には施設中の生物に次々と寄生して活動範囲を拡大しており、ワクチン由来のメトロイドの体質と強力な武装を手にしたサムスでもB.S.L中のXの殲滅はほぼ不可能な状態へと陥ってしまう。

更にストーリー終盤にて銀河連邦がXの驚異的な能力を危険視するどころか、自分達にとって有益な能力だとみなし連邦軍を総動員したSA-X捕獲計画を推し進める事態にまで発展してしまう。
だが、サムスの必死の説得に動かされたアダムの提示した作戦により、反物質爆弾による自爆装置を作動させたB.S.Lを原生地のSR388へと衝突させ惑星もろとも破壊したことで、サムスはXの脅威を銀河から排除する事に成功した。



サムスリターンズ


本作はフュージョン(ナンバリングとしては4にあたる)より前の時系列である2のリメイク作でありメインストーリーはメトロイドの殲滅が主軸となっているためストーリーには全く登場しないが、エピローグにて少しだけ登場する。
サムスの活躍によって天敵のメトロイドがいなくなったSR388で活動を再開しナードへと寄生&擬態を行う一連の流れが描写されており、メトロイドという脅威が無くなった一方で新たな脅威が芽吹き始めた事を暗示させるムービーが追加されている。

また、同作のやり込み要素としてチョウゾメモリーという要素が存在しており、これらには本編以前のSR388を調査及び開拓をする鳥人族達の活動の様子が記録されている。
その中には開拓の途中でXの存在を知った鳥人族達がこれを排除すべく持ち前の科学技術を用いて天敵となるメトロイドを生み出した過程と、メトロイドによって住処を追いやられるXの様子が描かれており、フュージョンでは描ききれなかったXとメトロイドの関係性を窺い知る事ができる演出がなされている。



メトロイドドレッド


Xは滅んだものとして過去の存在となっていたが、銀河連邦の元へXの生存を示唆する映像データが届き銀河連邦は今度こそXを捕獲するため惑星とXの状況を調査するために調査ロボのE.M.M.I.部隊を惑星ZDRへ派遣したが、到達して直ぐ部隊が消息を絶ち後が無くなった連邦はサムスに割に合わない報酬で調査を依頼した事から本作のストーリーは始まる。

ZDRでは謎の鳥人族や何故かサムスを襲うE.M.M.I.達、現地の生物達の姿こそ確認できたものの肝心のXの痕跡は全く確認出来ずにいたが、探索の最中にクワイエットローブと名乗るソウハ族の鳥人族と邂逅し彼からXに関する真実が語られる。







客演


大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIALにてメトロイド枠のスピリットとしてゲスト出演を果たしている。
スピリット名は『寄生生命体X』、階級はNOVICE。レベルはMAXの99まで上げる事が可能で上げ切ると強化出来るようになっており…

宇宙が舞台・能力をコピー分裂して増殖すると言う共通点を持っているカービィ(黄)が憑依の器として選出されており、NBの吸い込み&コピーを多用するカービィを10体撃破する内容となっている。
ステージはライラットクルーズ、BGMはフュージョンから「sector 1」が起用されている。



余談



  • Xの設定は1982年公開のSF映画「遊星からの物体X」からオマージュされたと言われており、物体XもX同様に生物への寄生・擬態を繰り返して劇中の登場人物達を追い詰めていく描写がなされている。


  • あまりにも生物として逸脱した生態系を持つXだが、一部のユーザーからは「銀河連邦や鳥人族以外の第三者が生み出した生物兵器なのでは?」と言う説が密やかに語られており、高度な適応力や生存に於いて都合が良すぎる性質等を加味するとありえない話ではないが、現状公式からはXの出生について深く言及されていないため、あくまで考察の域となっている。


  • ドレッドでの描写のように解放されると即座に惑星中に広がるほどの拡散力を持つXが鳥人族に発見された時点ではメトロイドの投入により抑え込まれる程度の規模でしかなかったことから、元々はSR388内の隔離された一部エリアにしか生息していなかったと考えられ、それを鳥人族がSR388の開拓により解放してしまったことになる。鳥人族が余計なことをしてしまったとみるべきか、Xに対応可能な技術を持つかれらが最初に発見してよかったとみるべきか……


  • メトロイドプライム2にはXと似たような能力を有する「イング」という種族が登場しており、こちらは寄生&擬態ではなく対象に取り憑いて細胞レベルで融合するスナッチと呼ばれる能力を持つ。Xと大きく違う点として、分裂は不可能だが機械にも取り憑く事を可能としており、恒星からの太陽光が弱点という点が挙げられる。また、イングもまたXと同様にメトロイドに対しては手も足も出ない(取り憑くことはできてもメトロイドの凶暴な本能に意思を乗っ取られて制御不能になってしまう)という特性がある。


  • ドレッドのラストでクワイエットローブXがサムスを助けた理由はユーザーの間で様々な議論がなされているが、現在の主流としては

    ①ソウハ族の遺伝子をサムスに無理矢理取り込ませて力を弱体化させ天敵に一矢報いようとしたのが結果的に良い方向に動いた

    ②惑星の崩壊を察したXが脱出する手段を持っているサムスに寄生してSA-Xとなって脱出しようと試みた結果

    ③クワイエットローブに擬態する際、彼の知識や記憶だけでなく心までコピーした本来ありえないはずのイレギュラーなXが誕生したため

    ④Xに寄生された際にクワイエットローブの意思が辛うじて蘇り、Xの意思よりもクワイエットローブの意思が勝りサムスを助けた

    ⑤単にクワイエットローブの記憶と行動パターンをなぞっただけだった


    等が挙げられているがこちらも公式からはっきりとした回答は出ていないため、現状はどれも正解とも不正解とも判断できない状況である。


  • ドレッドの終盤で訪れるハヌビアというエリアの背景には嘗てマオキン族*7が使っていたと思われる宇宙船が停泊している場所が存在しているが、レイヴンビークとの決着後の脱出イベントで該当箇所に赴くと宇宙船が無くなっている様子が目撃出来る。

    一見するとZDR自爆に伴う施設崩壊などで墜落してしまったようにも見えるが、今作にはマオキン族の兵士に擬態したXが存在しているため、それらのXが宿主の記憶を用いて宇宙船を起動して飛び去ったのでは?という意見が囁かれており、それが真実であるのなら未だにXの恐怖は終わっていないということになる。しかし、これまでの話同様に推論の域を出ていない。

    ただし、Xが自由な星間移動手段を得るとXの拡散は際限なく広がってサムスでも対処不可能になり宇宙全体が壊滅しうるため、仮にXが宇宙船で脱出していたとしても惑星爆発の影響で船が損傷してどこかの惑星に墜落した…などといった、Xの拡散が1つの惑星程度に留まるような何らかの理由付けはされるのだろうが。





◉【…以上がこの項目に記録されている、「X」に関する情報の全てだ。】

【この項目を閲覧してXという存在が如何に危険かは十分に理解できたはずだ。そこで、一つ頼みがある。】

【君に項目を追記・修正をする権限を与える。もしXに関する新たな情報を入手した際にはここへ情報提供を行ってほしい。】

【異論はないな?】



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最終更新:2024年02月26日 13:27

*1 作中で見せた例では生体部品以外の箇所は壊れても修復ができていなかったため、中枢システムが生体部品でない場合は寄生しても機能の掌握はできない模様

*2 フュージョンでSA-Xが執拗にサムスをつけ狙ってきたのもこの習性に依るところが大きい

*3 Ⅱ/サムスリターンズに登場した敵キャラクター

*4 なお、サムス以外の生物にXが寄生した場合は宿主は即死してXに成り代わられてしまっているため、一時的にせよXを抑えた伝説のパワードスーツの装着者保護機能は格別のものであるといえるだろう

*5 サムスがシャトルを使ってエルンに隣接するエリアへ戻った頃には既にXへの置き換わりがほとんど完了していた。野放しにしたXの繁殖力がいかに凄まじいかが分かろうというものである。

*6 イベントの最中はハイパービームを自由に撃つことができ、道中のクリーチャーもXごと消し飛ばすことができる。メトロイドスーツを纏ったサムスは敵に触れるだけでも相手を倒すことができるがこの場合は通常の撃破同様にXは擬態が解けて吸収されることになる。ただし接触撃破したXも、サムスに吸収される前にビームを照射することで消滅してしまう。

*7 レイヴンビークが率いていた一派