登録日:2021/11/6 (月) 6:56:04
更新日:2025/04/10 Thu 04:55:26
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でも、そんな貴方を支えて寄り添うことは出来ると思うんです。
まだまだ半人前ですけど、あくまで私ならではの“色”で。
【概要】
カルバード共和国きっての名門校である
「アラミス高等学校」に通う一年生の少女。16歳。
誕生日は7月12日で「界の軌跡」にて17歳となった。
金髪のロングヘアに碧眼、そして軌跡シリーズのメインヒロインお馴染みの要素となりつつある
巨乳の持ち主。
自己紹介をした直後にヴァンに発育の良さをツッコまれるほどなのだがアニエス本人曰く
別に普通らしい……普通とはいったい。
男たちの目を挙って惹きつけるばかりか同姓であるフェリやシャヒーナからも羨ましがられ、
フィーも「
うちの委員長を思い出す」と嘗て味わった胸囲の格差社会を思い起こさせた。
加えて穏やかで清楚、誰に対しても人当たりが良く
人見知りすぎて十年間家に引きこもりだった女性すら初対面で普通に会話ができるほど。
勉学は勿論生徒会での庶務もしっかりこなす才色兼備の美少女。
このため幼馴染であるアルベールを始めとした男子学生たち憧れの的であり、アラミスにおけるマドンナとしてレンと共に高い人気を誇る。
故にアニエスに彼氏疑惑が持ち上がるとそれだけでちょっとした騒ぎになってしまったり、彼女に好意を寄せているアルベールが突っかかってきたりといった騒動に発展することがある。
ただしアニエス自身はその時点で意識している相手が出来ていることもあって、自身に向けられた好意の視線には気付いていない模様。
でも女の子なので他人の恋愛模様には割と敏感。
母親ソフィーが存命だった頃には誰か気になる人はいないのかという問いかけに対し「まだそういうのはいいかな」と答えていた。
そんな彼女が数年後、母親と同じく年上の男性に一途になる辺り血は争えない模様。
性格は上記の通り「穏やかなお嬢様」そのものであり、
普段は自己主張をしないタイプ。
だが一見大人しそうな雰囲気の裏には確かな芯の強さを持つ、今作きっての
鬼メンタルの持ち主でもある。
むしろシリーズ屈指では?と言われることも。詳しくは後述。
このため押しに弱そうに見えて
その実押しが強い、頑固な人物でもあり、このため
ヴァンの反対を押し切って「アークライド解決事務所」初となる押しかけバイトとなった。
バイトをするうえで危険な人物とも相対するがそれでも自分の意志ははっきり伝えることが多い。
それがたとえ
自分の血肉を啜りたいと言っている相手にだろうと
他国の公太子殿下だろうと
共和国で最も恐れられているマフィアのボスだろうと
本当にどんな相手にでも変わらない。
意外と弁が立つこともあり、(特にヴァンに対する)理不尽な物言いや非道には相手が表側・裏側の人間問わず面と向かって非難ないし反論を行うことも。
穏やかな敬語、しかも相手の立場を尊重した上でしっかりと相手の非を突いた論証を行うので大抵の相手は彼女からの反論を受け入れるしかない。
ヴァンが「上手いこと言い逃れするタイプ」なら、アニエスは「真っ向から言い負かすタイプ」である。
物語が進むにつれ、どうしようもない男性陣に対して笑顔で威圧する場面も出てきた。専らセクハラ発言するアーロンに対して満面の笑みで。
と い う か 、 教 育 に 悪 い の で
い い 加 減 に し て く だ さ い ね ?
……ハイ。
普段怒らない人が怒ると怖いよね、のパターンであった。
また後述する家庭事情から他人に口外出来ない秘密を抱えており、加えて上記の頑固な一面や他人に迷惑を掛けたくないという心優しい一面を持っていることもあり、少々周りへの相談を怠っているきらいがある。
このため、明らかに危険な「裏解決屋」のバイトを始めていることに関して親友や家族への報告をしておらず、それが後に幼馴染がバイト先にまで殴り込んでくるという事態にまで発展することになってしまった。
この様子を見たアーロンからも「自分自身はともかく、周りにちゃんと筋は通しているのか」と周囲の人間への説明責任を怠ってしまったことに対して叱責を受けてしまう。
アニエスもこの点は反省し、幼馴染には改めて説明した上で「裏解決屋」を続けることへの理解は得られた。
読書家であり、様々な小説を読んでいる。このため「3と9」をはじめとした現実で起こった出来事をモチーフにした小説を読んでいることから、色んなシチュエーションに邂逅しては心当たりを見せている。
ただしホラー要素はダメ。作中でホラー映画を見た中では事務所メンバーの中で唯一明確に怖がり、鑑賞の後に気絶して医務室に運ばれてしまったほど。
因みに続編である「黎の軌跡Ⅱ」ではホラー映画に誘うこと自体が出来なくなっている。
中でも「陽だまりのアニエス」が一番の愛読書で、両親に買ってもらった初版本は今でも彼女の宝物の一つである。
買ってもらったきっかけは自分と同じ名前の本のタイトルに興味を惹かれたからだが、本を大切にしていたのは主人公の“アニエス”に憧れていたから。
世を忍ぶ魔法使いであり自分の危険も省みず、守りたいものに対して真っ直ぐな彼女の姿が格好良く、挫けそうになった時は小説を読み返してアニエスのような魔法使いになったつもりで頑張っていた。
ヴァンは案外それが彼女の芯の強さの一因かもしれないと思っている。ちなみに今はしていないが昔はなりきったりしてたらしい。
実家は十区の外れにあるが、現在はアラミスの学生寮で暮らしている。因みにお隣の部屋はレンが暮らしているとのこと。
またアルフォンスという犬を飼っている。
元は保護犬でアニエスとソフィーが発見、施設に預けていたのだがアニエス一家以外には懐かなかったためそのまま引き取ることになったそうだ。
後にヴァン達とも対面しているが、中でもヴァンには一際懐いている。
母親ソフィーは既に他界しており、唯一の身よりとなっている父親は多忙な上に現在では距離を感じているらしく、父親関係の話題になると微妙な表情を見せている。
加えてこの父親の正体そのものに秘密を強いられているらしい。
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果たしてその父親の正体とは一体……? |
彼女の父親、その正体はカルバード共和国第二十三代大統領であるロイ・グラムハート。
つまり彼女は大統領の娘であり、本名はアニエス・グラムハート。
大統領の娘という立場故に狙われる危険性から保護プログラムを適用され、母方の性である「クローデル」を名乗るようになった。
当然、父親が大統領であるという事実をおいそれと口外することが出来ず、これが他人に相談しにくい一面を作る要因となってしまった。
また、保護プログラムの一環でCIDにホットラインを繋ぐことが可能で緊急時には(あまりにも私的すぎる理由でなければ)CIDをある程度動かすことが出来る。
最新型の戦術オーブメントであるXiphaを所持しているのも緊急時の連絡手段を持たせるという意味では当然と言える。
と言っても本人の性格もあってこの直接回線は使いたがらず、「黎の軌跡Ⅱ」になるまで一度も使ったことがなかった。
逆に「黎の軌跡Ⅱ」ではやむを得ずとは言えこの直接回線を利用するようになった。
嘗てのロイは野党議員で、その頃から多忙でありながらも休日には娘との時間を忘れない、理想的な父親だったらしい。
その頃には母親のソフィーも存命だったこともあって、まさに「幸せな一家」としてアニエスも穏やかに過ごしていた。
だが大統領となって以降のロイは多忙を極め、加えて娘に対しても秘密を幾つも抱えるようになり、更には「大番狂わせ」と称されるほどの歴史的当選の裏に噂される「黒い噂」を幾つも抱えていることもあって一気に距離を感じるようになってしまった。
アニエスが「裏解決屋」というダーティーなバイトを始めたことも補佐官であるルネを通じて既に知っているロイだが、それでも尚「自分を煩わせない事。母親に恥じない行動を取る事。この二つを守れるのならば行動に制限はしない」と娘を叱るどころか突き放したような態度さえ取ってしまっている。
「裏解決屋」のバイトを続けていることに対してアニエスも父親として心配してくれることを期待していたようだが、実際は上記のような態度だったので落胆する結果となってしまった。
しかしバイトを続けるうえで自分の世界が広がり、共和国を動かしている父親にどう向き合うかも少し見えてきている様子。
また作中でとある事件が起きて死地に行く際もロイの娘として「自分だけはどんな厳しい結末が待っていたとしてもその目で見届けなくてはならない」と思うまでになっている。
実際のところ、ロイは娘への愛を忘れたわけではなく、その本質はツンデレの親バカだった。
死地へ向かおうとする娘の前にわざわざ姿を見せては素っ気ないようでしっかりとアドバイスをしたり、最終決戦の場においては自ら共和国版機甲兵ともいえる最新の人型有人兵器《AF》に乗ってまで娘の窮地に現れるほど。
どうやらロイの方も娘との距離感を掴みあぐねているらしく、またアニエスの方も彼がツンデレであることはとうの昔に理解していた模様。
このため「黎の軌跡」のエンディングでは新年くらいは家族らしく一緒に過ごすことになったらしく、関係修復の兆しが見えている。
因みにヴァンも報酬の話やケーキをご馳走するという名目もあって一家団欒の場に引きずり込まれてしまったものの、ケーキだけ食べてそそくさと帰ったらしい。
これに関してロイは「君とは一度サシで話し合いたい」としてヴァンとの会話の機会を設けようとしている。
アニエスの上司として、そして裏解決屋としてロイはヴァンのことを評価しているらしいが父親としては中々厳しい目で見ているようだ。果たして大統領に睨まれてしまったヴァンさんの運命や如何に。
一方で父親との距離が縮まったおかげか、「黎の軌跡Ⅱ」では急に会話できる機会ができると素直になれない場面も出てきた。お年頃という奴だろうか。
また大統領である父自ら結社の長である盟主と交わした「互いの計画についての相互不干渉協定」についても知っており、それについては重い表情を見せるなど複雑な思いを抱えている様子。
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そして母方の曾祖父はなんと天才科学者C・エプスタイン博士ことクロード・エプスタイン。かつて古代遺物を研究し、導力器の発明に至ったゼムリア大陸史に残る偉人であり、かの《三高弟》の師である。
ただし博士の養女リリヤの孫娘であるため、直接的な血縁関係は無いとのこと。
それでも家には彼に関する品々が残されており、手記もその一つ。
これはエプスタイン博士から養子であるリリヤへ、そしてその娘のソフィーへと受け継がれてきたもの。
ソフィーの死後にアニエスも見つけて以降、家族の繋がりを知ることが出来るからと日々熱心に読み進めていった。
だがその最後のページに書かれていた一文を見つけてしまったことが、「黎の軌跡」が始まるきっかけとなる。
【意思の強さ】
そしてアニエスという少女を象徴する要素、それがこの意思の強さである。
公式サイトでもその涼しげな瞳の奥には強い意志を宿すと書かれているが実際は前述の通り鬼メンタルの持ち主。
作中でも「あり得ないほど意志が強い」や「覚悟が決まってたのは最初からだったわけか」などと言われるレベルである。
どれほどかというと具体的には、
- (信頼するレンからの紹介もあったとはいえ)「裏解決屋」という如何にも危険な業者に依頼を持ち込む度胸。
- 業務に同行して早々に突然魔獣を徘徊する場所に行くことになりそれどころか初めての実戦を経験することになる。
- つい先程まで話していた人物の惨殺死体を目の当たりにする。
- 直後、警察所に連行されて事情聴取を受ける羽目になる。
- 上記の人物を殺害した犯人が姿を隠して自分達のすぐ近くにいたことを知って顔を青ざめつつも最後まで同行する。
- 上位属性が働いており魔獣どころか霊体なども徘徊している場所にもついてく。
- 目的の物を発見したと思ったら中世の魔導師が残したガーゴイルと戦う羽目になる。
- 目的の物を手にした瞬間にマフィアに撃たれる。ちなみに牽制などではないのでヴァンが庇わなければ手足に当たっていた。
- 殺されそうになっているヴァンを守ろうと、彼の盾になるべく敵の目の前に飛び出す。このときはとある現象が起きなければアニエスは確実に死んでいた。
と、これらの壮絶な出来事を半日で全部経験することになる。
最初の一つを入手した時にヴァンに手を引いてもいいのではないかと助言されても迷うことなく捜索を続行することを決める。
それどころかヴァンに怪我をさせたことを申し訳なく思い今後は自分一人で誰も巻き込まないやり方で捜索をするつもりだった。
その後は後述の流れで「裏解決屋」の助手として様々な仕事を経験することになり、当然人間の汚さや凄惨な事件を幾つも目の当たりにすることになる。
勿論上述のように命の危機を感じて青ざめることもあれば、目を背けたくなるほど悲惨な場面もあった。
つまり恐怖を感じないどころかそれそのものは常人と同じくらい感じている。
その上で彼女はそれらを乗り越え、ヴァンの助手として最後まで同行し続けたのである。……これ本当に16歳の学生か?
本人は自分にできることを探してやってきただけと言っているがそれが簡単に出来る事ではないと言うことは複数の人物に指摘されている。
冒頭の台詞も、そんな彼女の覚悟を表明した台詞であり、この時出てきた「自分なりの“色”」は物語において、そしてヴァンにおいても非常に重要な役割を果たすことになる。
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ヴァンは自分が抱えるとある問題から自分の存在を軽視しがちであり、上述のようにアニエスに庇われた際などには「俺なんかのために」などと思うほど。
この問題は事態は黎の軌跡Ⅱでも解決していないのだが、アニエスの意志の強さに引っ張られて「諦めかけていた自分自身を何としても手放したくない」と思えるようになっているので、アニエスさはヴァンの人間性すらいい方向に変えてしまったことになる。
ヴァンは十年以上も自分自身の事を諦めかけていたと考えると相当アニエスに影響を受けたことがうかがえる。
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【裏解決屋の助手として】
曾祖父であるエプスタイン博士が残した手記、そこに書かれていた導力器《ゲネシス》の捜索をヴァンに依頼したアニエス。
上記の通り一日で散々な目にも遭った上に「裏解決屋」としてのヴァンのグレーな一面を何度も見ることになる。
それでもヴァンは彼なりの流儀でアニエスを必死に守り抜き、彼女の依頼目的である《ゲネシス》を手に入れてくれた。
嬉しかった半面、アニエスは彼を危険に巻き込んでしまったことに対する申し訳なさもあってお詫びとして規定を超える五万ミラも差し出した上で、「残りのゲネシスは自分で見つける」と告げる。
そんな彼女に対してヴァンは差し出された五万ミラを一旦手に取り――。
アークライド解決事務所の基本料は一時間1000ミラで諸経費その他だ。
今回、危険手当は適用させてもらうが結果的に依頼人のあんたにも手伝わせた。
あまつさえ危険に晒したことを考えると成功報酬でも一万が関の山だろ。
これが仕事ってモンだ――舐めてんじゃねぇぞ、学生。
と、一万ミラだけ受け取って残りは彼女に返却したのである。
その上「出来る範囲でゲネシス捜索を手伝う代わりに、その都度手記やゲネシスの情報を提供してくれ。ビタ一文たりとも追加料金は受け取らない」と提案してくれた。
無論これは「命の危険を承知の上で依頼料を一切取らずにアニエスを助けてくれる」という申し出であり、アニエスもそれがプロとしての流儀だけでなく、ヴァン個人の優しさであることも理解していた。
今日一日を通じて、アニエスはヴァンという人間のグレーな部分を持ち合わせながらもそれすら霞んでしまう程の優しい人間だと理解した彼女は恩義と感謝と、そして恋心を抱くことになり――。
……その、先程の条件だと流石に申し訳ないと思うんです。
ですから――せめてものお返しにこちらでアルバイトさせてください!
と、アルバイトを志願したのである。
これにはヴァンも慌てて拒否するものの彼女の押しの強さに圧倒され、そのまま根負けする形でアルバイトとして雇うことになってしまった。
こうして「
アークライド解決事務所」初の押しかけバイトにして助手としてアニエスはヴァンに同行し続けることになる。
主な業務は事務所の整理整頓を始めとした雑務に、ヴァンの裏解決業務のサポート。
ヴァンのグレーなやり方にはちょっと困り顔を浮かべつつも、最後まで彼を信じ、助手としてヴァンのサポートに回る。
またカトルと並んで常識人なので彼と共にツッコミ役となっている。
他にも経験を積むべく時たまヴァンの代わりに交渉したり、依頼人にプランニングしたり、(相手が悪人とは言え)脅しを掛けたり、(お灸を据えるための演技ではあるが)傲慢な要救助者を見捨てようとしたりするなど物語が進むにつれ成長(?)がうかがえるようになった。
「クク、いい感じに染まってんじゃねぇか?」
誰よりも早く加入し、誰よりも長くヴァンの傍にいたため、「ヴァンの助手」という立場には誇りと自負を抱いている。
このため自分を超える能力を持ち、大人の女性としての美貌の持ち主であるリゼットの存在には焦りと嫉妬を抱いたこともあるほど。フェリ「はっ……アニエスさんの息吹がほの暗く……」
しかし出会った時から彼女の実力は分かっているので、怪しい出向元であるMK社に所属するリゼットがヴァンに協力したいと言ってきた時はアーロンとフェリが渋る中アニエスは真っ先に「正直とても心強い」と自分からも協力を頼んでいる。
ヴァンの流儀に関しても理解している部分があり、作中で彼がアルマータとの繋がりを疑われた時などは理由も述べたうえで即座に否定した。
またヴァンはなんでも一人で背負いがちな人間ではあるが、アニエスはそれを許そうとせずにどんな時も彼に寄り添い一緒に背負う覚悟を持っている。
そのせいかヴァンの方も彼女に対して全幅の信頼を寄せるようになり、終盤では彼女の行動に対しても何の疑問も抱かずに一任することもあるほど。
例として彼女が試してみたいことがあるので一時的に別行動をとりたいと申し出た時は理由も何をするかも聞かずに一切の迷いもなく即決して別行動を許可した。
尚、現役の学生であるためバイトのシフトは基本的に土日祝日の休日に入れている。
別の町に行く出張業務には参加できなさそうに見えるが、作中では出張業務を受けるタイミングは連休前などが多いので参加できる。
勘違いされがちだが特にアニエスの予定に合わせて出張する日にちを決めているわけではない。
例えばラングポートに行くように依頼されたときは、ヴァンは急すぎる話なので受けるかは翌日に返事をするつもりだった。
しかし相手の予定の都合でその場で返事をさせられ翌日からすぐに出張を行うことになる。
平日に行う必要のあるバーゼルへの出張業務の際にはフェリなどは、最初はアニエスがついてこれないと思っていた。
どうしても平日に出なければならない場合は学校行事を利用したり、前述の家庭事情から融通が利きやすいので「家庭の事情」という名目で欠席届を出したりしている。
「その繰り返しが不良への第一歩ってな」
い、一線は弁えてますからっ。
ヴァンさんよりは厳しめに……!
ってオイ。
世界の「表」と「裏」に触れることが出来る裏解決屋としての日々は、成長を望む彼女にとって充実した日々と経験を与えており、自分が生まれ育ったこの首都を陰ながら守っているという自負すら抱かせてくれたことから「裏解決屋をやってて良かった」とヴァンに告げている。
今となってはある意味でヴァン以上に裏解決屋に対する誇りとやり甲斐を感じて業務にあたっている。
【オクト=ゲネシス】
エプスタイン博士が何らかの形で実現させたその名の通り八個存在するプロトタイプ・オーブメント。原型導力器と称されることもある。
曰く、「“世界を計る”ための観測実験器」として作成されたらしい。
アニエスが裏解決屋に依頼した最大の目的であり、現在も継続して集められている。
エプスタイン博士が残した手記の最後の一文に「どうか、《オクト=ゲネシス》を120*年までに取り戻してほしい。さもなければ全てが終わる」と書かれており、アニエスはこの一文を無視することが出来ず、ゲネシス回収のために立ち上がることになった。
後にレンがその手記の言葉を見た際にも不気味さを感じ、アニエスが何としても集めたくなるのもわかる気がすると述べている。
事実、一つ一つが古代遺物顔負けの現象を起こすほどの力を有しており、加えてそれらに匹敵するプロテクトが掛けられているとのことから現在の技術でも解析することが不可能な代物。
ゲネシス同士は共鳴し合うようで、次のゲネシスが関わりを見せる際にはアニエスが持つゲネシスが光る。これを利用して解決事務所の面々は次の行き先を決めたり、危機察知していた。
「黎の軌跡」開始1208年の時点で全てが盗まれており、中でもマフィア「アルマータ」はそのゲネシスを6つも所有しており、それらを用いて数々の悪行に利用していた。
ただし、アルマータでも詳しい原理を把握はしておらず、あくまで「使える代物」、「その場限りの使い捨て」として用済みとなれば手放すことに躊躇いはなかった。
また首領のジェラール曰く「いずれ正当な所有者のものに集まる代物らしい」とも述べている。
一つ一つが固有の光と現象を持っており、いずれも超常的な力を巻き起こす代物。
あまりにも眉唾な話で、しかし世界を揺るがしかねないものであることからアニエスも警察やギルドに届け出ることが出来ず、「裏解決屋」であるヴァンの元へ依頼を持っていくしかなかった。
結果、最初のゲネシスは見事に奪還に成功。しかし直後に訪れたヴァンの危機に彼が持っていたザイファとアニエス、そしてゲネシスが反応。
単なるAIアプリでしかないはずホロウコアこと「メア」が実体化、そしてヴァンに新たな力である「魔装鬼」を授けることになる。
このようにあまりにも規格外なものであり捜索には危険も付きまとうが、アニエスにとっては家族の絆でもあるので彼女は捜索を続行した。
尚、このゲネシスも基本的にはオーブメントの一つなのでそのどれもが対象者の能力を増幅させることが出来るが、その増幅量は並みのオーブメントを凌ぐ。
例としてヴァンは張られた強固な結界に対し、ゲネシスと同調させることで攻撃力を増幅させ、一撃で結界を無理矢理破壊するという荒業を披露している。
しかし、超常的な力を持っていると言っても人工物であるが故に処理能力にも限界があり、強力ではあるものの決して万能でもない。
基本的にゲネシスの存在そのものは秘密にする方針で動いているが関係者や交渉材料の一つとしてやむを得ず明かす場面も。
当初はエレインやルネなどにも可能な限り存在は伏せられていたがが続編の「黎の軌跡Ⅱ」ではゲネシスを巡る騒動に本格的に絡んだこともあって知ることとなる。
「黎の軌跡Ⅱ」ではすべてのゲネシスに「巻き戻り」という現象が備わっていることが発覚。
ヴァンの死に対して発動したことを皮切りに、次々と襲い掛かる理不尽な死が起こる度にゲネシスが所謂タイムリープを起こし、その死を回避するための行動を取ることが可能になる。
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登場したゲネシス一覧(ネタバレ注意!) |
光:青色 固有能力:グレンデル化
物語冒頭で登場したゲネシス。当初は盗まれ、古物商に流れていたところをアルマータの依頼を受けた半グレ達によって回収される。
しかし半グレ達が欲を見せた結果、交渉は決裂し、その隙に情報屋のジャコモが奪って隠してしまった。
後に彼の隠れ家に隠されていたところをヴァンが回収してアニエスの手に渡った。その直後に薬物強化を受けたアルマータ構成員に襲われるも、その危機に反応し、メアを通じてグレンデル化を授けることになる。
それ以降もヴァンが危機に陥るとメアが出現してヴァンはグレンデルへと変身することになる。
なおこのグレンデル化は自由には扱えなかったがゲネシスが引き起こす現象の中で唯一再現性がある現象。
そのことに目を付けたカトルが分析を行ってゲネシスを持ったアニエスが近くにいることが条件となって、ヴァンは自由にグレンデルに変身できるようになった。
また物語最終盤で七十七の悪魔を束ねる五柱の魔王の一つ、「漂泊の魔王」と対峙した際も輝きを増し、なんと魔王の力を封じ込め弱体化させるという能力を発揮している。更にこれに対し「漂泊の魔王」は「成程、彼ノ者ガ拵エシ絡繰カ」とエプスタイン博士を知ってるかのような発言をしており、彼への謎が更に深まることとなった。
尚、このグレンデルになるためにはこのゲネシスだけでなくアニエスの存在が必要不可欠となる。本来ならエプスタイン博士の血筋だから、と納得する場面だが上記の通り彼女はその血を直接引いていない。
このため、彼女自身にも大きな謎が残ることになった。
光:赤色 固有能力:回復
第一章で登場するゲネシス。
手記によれば「ティア」を始めとした回復アーツの開発に貢献した、回復術の雛型と呼べる代物。
アルマータの幹部メルキオルはこれを利用し、その作用を反転させたうえでアイーダら死んだはずのアイゼンシルト中隊の面々を屍鬼として復活させた。
光:紫色 固有能力:記憶?
40年以上前に出現し、煌都を支配していた魔人「大君」が所有していたゲネシス。
彼を恐れた「黒月」ら煌都の人々の手によって大君もろとも黒龍城砦に封印されていたが、ある人物の企てにより世に解き放たれてしまった。
これに関して詳しい能力は不明だが、その場に眠る記憶を集める性質があるらしく、これを利用してアルマータの幹部はその大君の生まれ変わりである「とある人物」にわざと投げ渡すことその場に残っていた大君としての記憶を集めさせ、その人物を大君として蘇らせてしまった。
光:金色 固有能力:精神干渉
サルバッドを狂乱の渦に陥れたゲネシス。
人々の精神に作用する能力があるらしく、これと違法ドラッグの成分を混入させた導力シーシャ、そしてクロスベル再事変で用いられた人々を操る仮面の予備と組み合わせることでサルバッドの人々を操った。
また巨大なホテルを包み込むほどの巨大かつ強固な結界を築くことも出来る。
光:碧色 固有能力:プログラミング関連
科学都市バーゼルにテクノクライシスを齎したゲネシス。
なんと人間の精神をAI化させることが出来る他、演算能力を向上させることも可能らしく、これを用いて天才教授であるキャラハンをAI化させた上で不可能とされている「反応兵器」の開発に利用していた。
光:銀色 固有能力:審判
アルマータが仕掛けた最悪のゲーム「謝肉祭」に利用されたゲネシス。
開発された監視システムに組み込まれることでオラシオン全体を監視、審判していた。
これにより正確無比なジャッジが可能らしく、ルール違反を感知すれば即座に反応兵器を爆発させるように仕向けられ、オラシオンに集った実力者達も素直に従わざるを得なくなった。
光:赤紫色 固有能力:ゲネシスタワーの構築、時空間への干渉
「黎の軌跡」にて最後に登場したゲネシス。
ジェラールの中に眠っていた「ある力」と組み合わせることで首都全域の時間を止め、同時に巨大なゲネシスタワーと呼ばれる時計塔のような建物を構築。首都全域を悪魔や瘴気が蔓延る「汎魔化」という地獄に変えてしまった。
また、特定のものに対する「時の巻き戻し」が可能らしく、この時点で死亡していたはずのアルマータ構成員の復活や破壊された魔柱をも時を巻き戻すことで再生させているなど数あるゲネシスの中でもぶっ飛んだ能力を持つ。
最初に入手したゲネシスと同じく、ヴァンが回収してアニエスへと手渡されたが……
光:赤黎 固有能力:侵触、グレンデル=ゾルガ化
最後のゲネシスだがこのゲネシスのみ「黎の軌跡」には登場していなかった。
そして続編である「黎の軌跡Ⅱ」にて事件の中核を担う存在として登場。
このゲネシスのみなぜか中央のコア部分と三つの外郭と呼ばれるパーツに分けられている。
外郭だけでも人間や術、機械の能力をブーストさせることが可能な力を持っているため様々人物が狙い、時には悪用している。
作中では謎の黒コートの人物がコア部分を手にしており、専用のホロウ「緋のアルテラ」のサポートを受けることで紅黎い魔装鬼こと《グレンデル=ゾルガ》に変身する。
それだけでなく、紅黎い光を触手のように張り巡らせることで対象を拘束、飲み込んだり対象者の認識を書き換えて《罪》を犯させる「侵蝕」という現象を起こすことが可能。
ガーデンマスターはこれを用いることで作中の様々な人物の認識を書き換えて様々な《罪》を犯させている。
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更なるネタバレ注意 |
この第八のゲネシスの本当の機能は「《罪》の観測」である。
上記の「侵蝕」と呼ばれる現象も、「あり得たかもしれない世界線の認識」を植え付けることで人間に《罪》を犯させ、それを観測するためのもの。
また「黎の軌跡Ⅱ」で何度もヴァン達を救った「巻き戻り」はこの「罪の観測」における副産物としての機能であり、ゲネシスが観測した「望まない観測結果」を数回までリセット、再試行できる「強制リセット」だった。
「罪の観測」を行うだけあって人間の罪の意識に反応するらしく、とある一件で激しい罪の意識を抱いた人物を感知、その人物の意識をAI化した上でコアに取り込んでいる。
《グレンデル=ゾルガ》に変身させる機能はこの「罪の観測」を行うための「代行者」を生み出す機能に過ぎず、作中における代行者となったのが黒コートの人物である。
このため黒コートの人物はいわば第八のゲネシスの一部も同然であり、意識こそ保っていながらも第八のゲネシス自身やそれを手にした人物の命令に従わざるをえない。
メア曰くこの第八のゲネシスは特別らしく、何らかの根幹を担う存在であり他のゲネシスと比べても異質にして強力な力を持っている。
その極めつけに「《罪》の観測」を終える際には上記の「巻き戻り」こと「強制リセット」を行った際に記録された「望まない観測結果」を現実のものにすることが可能。
この第八のゲネシスのコア部分も実はアルマータが所有しており、ジェラールがメルキオルに託したものである。
メルキオルはこの第八のコアを導力ネットに接続した状態で保管していた。これが原因で上記の黒コートの人物を生み出すことになる。
後にガーデンマスターがこの第八のゲネシスを手にすることで「黎の軌跡Ⅱ」の事件を起こす発端となった。
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また「界の軌跡」ではゲネシスによく似た白いレプリカこと《アルターコア》が登場。
一つ一つの性能はゲネシスには及ばないものの、それでも時空間に干渉することが可能というぶっ飛んだ性能を持つ。
具体的には発動地点における「過去」、もしくは「未来」を繋げることが可能であり、これを用いれば未来の資源を前借りしたり、逆に一瞬であるが「過去の世界」に入り込むことすら可能となる。
これを応用して世界から消える形で一瞬にして遠距離まで移動できる「時空間跳躍」することも可能であり、そのためこの《アルターコア》を持つ人物の捕捉も非常に難しくしている。
レプリカだけあって数も非常に多く、少なくとも10個以上は存在が確認されている。
共和国編のキーアイテムとして謎に包まれてきたこの装置だが、遂に「界の軌跡」においてその真実の一端が明らかとなった。
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「界の軌跡」ネタバレ注意!! |
その真の役割は宇宙空間に浮かぶ刻の至宝《レーギャルンの匣》に対抗するためのもの。
詳しくは後述のネタバレ部分になるが、同じくエプスタイン博士が設計したトリオンタワーと接続、そしてアニエスの中に眠る「とある因子」を用いることで一つの巨大な装置となり、至宝にハッキングを仕掛けることが出来る。
尤もこれからに加え、大統領が進めていた宇宙計画や《残滓》と名乗る「現存しないはずの人物」が現れることによる「時空間の揺らぎ」も必要なプロセスになる模様。
時空間を支配する刻の至宝に干渉する必要性を考えれば納得のいく理屈である。
「黎の軌跡Ⅱ」では随所で「巻き戻り」が発生し、更にはガーデンマスターが大陸全土に「侵蝕」を張り巡らせるために幾つも「ありえない事件」を起こして「時空間の不安定化」を図っていたが、
それも後に起こる《レーギャルンの匣》による大規模な「巻き戻し」こと「グランドリセット」の存在に対する伏線だった。
また《レーギャルンの匣》は「Sin値」なるものを基準として「グランドリセット」の発動時期を決めているのだが、
人の《罪》を観測する第八のゲネシスを含め、これまで登場したゲネシスの殆どが人の悪意に反応し、負の側面を暴き出す代物であったのも当然と言える。
そしてこのゲネシスだが、実は《三高弟》の一人であるラトーヤ・ハミルトン博士が管理していたもの。
エプスタイン博士の計画を受け継いだ彼女はゲネシスを手元に置いている間にそれらを元にして時空間に干渉する白いレプリカこと《アルターコア》を開発。
その後、必要なプロセスとして8つのゲネシスを少しずつ共和国の各地にバラ撒きはじめた。
当然、アルマータのような最悪のド外道の手に渡ることも想定していたが上記の計画のために彼女は誰にも相談することなく座視し続けた。
エプスタイン博士が手記に「《オクト=ゲネシス》を取り戻してほしい」と奪われることを前提としたかのような記述を残しているが、それすらも彼の指示であれば寧ろ当然と言える。
ご存じの通り「黎」シリーズ、そして「界の軌跡」で発生した事件はこの《オクト=ゲネシス》及び《アルターコア》なくしては発生しなかったため、
結果的にではあるが人格者として知られているハミルトン博士、そしてこの計画と指示を残したエプスタイン博士こそが共和国編で発生した事件の真の元凶と言える。
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【戦闘力】
戦闘においては学校の選択科目で履修している護身術用の
『導力杖』を武器として戦う。
魔導杖を使うキャラクターは
過去作にも登場しているが、杖のデザインはエマが使っているタイプに近い。
巨乳だからかも?
魔導杖と違い伸縮式で非使用時などは短くしているが、一部のクラフトでは短くしたまま使っている。
しかし模擬戦の経験はあり回復術なども使えるが
あくまで護身術レベルであり物語が始まった時は実戦経験は全くなかった。
当時はまだごく一部にしか出回っていない最新式の
戦術オーブメントであるXiphaも
なぜか持っているが戦闘面ではろくに使いこなせておらずシャードも防御用のシールドとして利用したことがあるくらいで
S.C.L.Mなども使ったことがない。
物語が始まったばかりの時点では、軌跡シリーズでトップクラスに戦い慣れていないキャラクターと言っても過言ではないかもしれない。
序章ではヴァンがアニエスに戦い方を教えながら進めていくことになる。
上述の通り素人同然だったが作中を通して成長しているようで
そりゃこんな物騒なアルバイトなかなかないでしょうしね、フェリなどからもサポート能力を褒められている。
【性能】
導力杖を持つキャラクターらしく後衛で戦うタイプであり、支援系のクラフトも複数習得する。
パーティの回復の要と言っても過言ではない性能になっており、何らかの理由でアニエスが抜けると戦闘の難易度が上がると感じるプレイヤーも多い。
ホワイトヒールは体力の回復だけでなく状態異常まで回復できるので非常に便利なクラフト。
シールドラインに空属性の固定スロットを持つのでシャードスキルのセラフィムフォースを組みやすい。
唯一の回復Sクラフトであるブリリアントハイロゥと組み合わせるとピンチから一気に立て直すことも可能。
また最も魔法攻撃力が高いのでエトワールレイなども大ダメージを期待でき、アーツで攻撃役もこなすことができる。その場合はアークフェザーやカタラクトゲインを組むとなお効果的。
初期のホロウコアであるアイムはアニエスの回復性能を高めてくれるので彼女に合っているが、アーツで攻めていくならロレイかオティスなどに変更するのもあり。
アニエスはフィールドアタックが貴重な魔法攻撃枠。回避→攻撃を繰り返すだけで簡単にアクションゲージが溜まりチャージアタックを出せるのでスタンもさせやすい。
【Xipha】
QUARTZ LINE |
WEAPON |
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SHIELD |
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空 |
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DRIVE |
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水 |
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EXTRA |
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空 |
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【クラフト】
黎の軌跡
- ホワイトヒール→イノセントヒール
消費CP:40 回復補助【回復/範囲:自分・円L→自分・円LL】HP中回復&能力低下・状態異常回復
HPの回復だけではなくデバフまで全て解除してくれる。最初から覚えており終始便利なクラフトなので、CPの確保や封技対策などを行いできれば常に使える状態にしておきたい。強化されると効果範囲が広がる。
- グロウハンマー
消費CP:20 物理攻撃【威力:D+/範囲:円M】EP吸収&背面特効
物理攻撃なので威力はあまり期待できないが特効持ち。EP吸収は複数の敵を巻き込めればそこそこの効果を見込める。ごめんなさいと謝りながら背後からぶっ叩くのはなかなかシュール。
- エトワールレイ→プレアデスレイ
消費CP:60 魔法攻撃【威力:B+→A/範囲:直線S→直線L】魔法攻撃低下→魔法攻撃・魔法防御低下
高いATSで直線を薙ぎ払える高火力の魔法攻撃。強化されると範囲と威力がアップするだけでなく魔法防御低下まで追加されるので、アーツ攻撃の前に使うのもあり。
- ジブリールガード
消費CP:70 回復補助【補助/範囲:自分・円M】シールド&行動時HP回復
2000のシールドと追加効果。消費CPが重めで何よりリゼットとカトルのシールドを張るクラフトが優秀なので、アニエスは他のクラフトにCPを回したいところ。ちなみにこのクラフトのみ杖を短くして使用する。
- ブリリアントハイロゥ
消費CP:100 回復補助【回復/範囲:全体】HP全回復&行動時HP回復
Sクラフト。唯一の回復補助のSクラフトであり劣勢の状態からでも立て直すことができる。最初は覚えていないがアニエスはアルバイト初日で「これまでの実戦で得た成果を今こそ見せる時」とこれを習得した。いくらなんでも早すぎない?
黎の軌跡Ⅱ
- ホーリーブルーム
消費CP:30 【回復/味方全体】EP徐々回復&ブースト回復
Ⅱで新しく追加されたクラフト。EPとブーストゲージを回復させることができる。消費CPも少なく積極的に使っていけることにくわえて、クラフト強化でほぼ2本分のゲージを回復できる
【人間関係】
上記の通り、ヴァンとはゲネシス捜索を依頼した人物にして現在では裏解決屋の助手。
彼の狡さには頭を抱えつつも、彼の影響は色濃く受けており、彼女なりの「強かさ」や「狡さ」を身に着けていくことになる。
また、彼の信念や優しさに触れて以降はアニエスも一途な恋心を寄せており、そのため彼との年齢差を気にしたり、ヴァンと親しくなる女性が現れるとジト目を向けるなど嫉妬を見せることも。
それでもアニエスはヴァンのことを誰よりも大切に想い、彼のためなら無茶を厭わない。
ヴァンの方は彼女から想いを寄せられていることに気付いていない模様だが数多くの業務を通じて助手としてはアニエスを誰よりも信頼するようになった。
なお8歳という年の差があるが実はアニエスの両親も8歳差である。
黎の軌跡Ⅱでもヴァンへの思いは変わらず、成長させてくれたことも感謝しているのだが、ヴァンの方もアニエスから影響を受けていることが本人の口から告げられた。
フェリはアニエスの次に加入したメンバーであることや年が近いこともあって非常に仲が良い。
業務外でも彼女の私生活についてフォローしていたり、勉強が苦手なフェリのために勉強を教えてあげているなど傍から見れば姉妹も同然。
ただ、アニエスは天真爛漫かつ日常生活における知識や常識が不足しているが故に好奇心旺盛なフェリへの悪影響を心配しており、(主にアーロンが)余計な知識を植え付けようとした場合は迫力のある笑顔を以て咎めているなど最早保護者と言えなくもない。
リゼットは上述のように嫉妬を覚えたこともあったが、正式に加入してからの関係は良好。
いろんな制限の中で最大限かそれ以上に良くしてくれるリゼットに「正直敵わない」と思いながらも彼女に感謝するようになっている。
今では彼女から書類作成などのノウハウを教わっている模様。
なおリゼットからは「アニエスやフェリにはアークライド解決事務所にとって、出向の自分よりも大きな役割がある」と言われたことがある。
その言葉にはアニエスは自信が持てなかったが、リゼットの言葉通りアニエスにも大きな役割があったことは
ゲームをプレイすればわかるだろう。
オデットとアルベールは同級生にして幼馴染。このため、アニエスの父親の正体や彼女が抱える事情を知っている数少ない人物である。
アニエスについていく形で二人も生徒会に所属することになった。
オデットは誰に対しても敬語を使うアニエスが唯一敬語を使わずに接する親友。しかし彼女がゴシップ誌を愛読している影響でアニエスもその手の知識が身についてしまっており、耳年増な一面を作ることとなってしまった。
またアルベールとは違い、裏解決屋のバイトを続けることに対しては彼女の意思を尊重した上で応援する姿勢を取っている。
だが決して放任主義ではなく、アニエスが死地に飛び込もうとしていると知った際には普段の明るい態度が一変、必死に詰め寄って思いとどまらせようとするなど友達思いな面を見せた。
アルベールに対しては敬語こそ使うものの、彼女にとって大切な幼馴染。
しかし、アルベールの方はアニエスに想いを寄せており彼女のためならば後先考えず突っ走ってしまうことも。
このため彼女を危険に巻き込む裏解決屋、とりわけアニエスとの仲が深まりつつあるヴァンに対し攻撃的になり、何かと突っかかってしまうようになる。
後にアニエスが話をしたことで裏解決屋のバイトを続けることに関しては渋々ながらも認めているが、やはりまだ心配が拭いされていない。
ヴァンに対しても若干だが理解を示し、少しだけだが態度が柔らかくなった。
レンは尊敬する先輩にしてお隣さん。後述するエピソードにて出会ったのが馴れ初め。
以来レンにとっても大切な後輩となり、生徒会に誘われたことで庶務としてレンのサポートに当たっている。
またゲネシス捜索に悩む彼女に対し、レンが「裏解決屋」を紹介したことで新たな軌跡が動き始めることになった。
レンもだいぶ心を開いているのか、家族であるエステルにヨシュア、親友のティータだけではなくレーヴェまでアニエスは知っていた。
終盤ではただ守られるだけではなくなり、ある場面で囚われの身となり、過去の
トラウマを呼び起こされた彼女に懸命に呼びかけ、正気を取り戻したこともある。
【創の軌跡にて】
アップデートで追加されたエピソード「ある少女の学校生活」にて顔も名前も出ない状態で登場。
アラミスに留学して早々、その頭脳とルックスから人気者となったレンを不良たちが疎み、彼女を囲んでいたところを助けようとした。
当時はまだ二人は親しくはなかったが、怯えながらも自分を助けようとしてくれるアニエスを守ろうとレンもその場は不良たちの指示に従って身を引いた。
後にレンが不良たちの悪事(議員の父親のスキャンダルによる失脚も含む)を暴いて追放するという形で一応の決着は付いたが、仮にレンやディンゴの干渉がなかった場合、
大統領の愛娘を手籠めにするという最悪級のやらかしが発生するので、どのみち破滅は免れなかっただろう。
その一件を機に、多数の生徒達から望まれる形で
生徒会長を引き受けることになったレンに誘われる形で生徒会入りを決め、庶務として彼女を支えている。
そして彼女と仲良くなったことがきっかけで、「裏解決屋」を勧められることになった。
【黎の軌跡にて】
エプスタイン博士が残した手記を読み進める内にゲネシスの捜索と奪還を目指すようになるものの、一人ではどうしても無理だと頭を抱えていたところレンに「裏解決屋」を紹介されたことでアークライド解決事務所を訪れ、ヴァンにゲネシス捜索の手伝いを依頼。
彼女を裏の世界に関わらせたくないとヴァンも最初はギルドや警察を頼ることを勧めたが話を聞くうちに表には頼れない事情があると知り、加えてアニエスが手土産として持ってきたパティスリー《アンダルシア》の晩夏限定ケーキが決め手となって依頼を引き受けてもらえることに。
数多くのトラブルに見舞われながらも、なんとか一つ目のゲネシスを取り戻すことに成功。
そして危険を顧みずに残りのゲネシス捜索を無償で手伝ってくれると申し出てくれたヴァンの優しさに触れたことで、彼に恩を返しつつ同時に彼を支えたいと願った結果、バイトに志願。
持ち前の強引さで押し通り、初のアルバイトとして裏解決業務に臨むようになる。
裏解決業務を通じて数多くの騒動に巻き込まれながらもどんどん押しかけバイトという名の仲間達を増やし、そしてアルマータとの対立を通じてゲネシス奪還も順調に進んでいた。
そして遂に訪れるアルマータとの最終決戦の最中、ヴァンに纏わる衝撃の真実を目の当たりにすることになる。
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その時、彼女が取った“選択”は…… |
アニエスはヴァンをそばで支え続け、彼の小さな変化まで気が付くようになった。
終盤で高位悪魔を討伐した後に生まれたヴァンの違和感。
幼馴染のエレインとルネどころかヴァン自身がそれについての不安を自覚するより早くアニエスだけは彼の違和感に気が付いていた。
アルマータの首領であるジェラールとの対決前。彼を倒せばすべてが解決するはずなのに、その時もヴァンの様子がおかしいことをアニエスだけは気が付いていた。
なにかがおかしいと感じていたが、彼女にはヴァンがそれまで頑なに隠し続けていた決定的な情報が欠けていた。
だからアニエスは真実に、そして彼が取ろうとしていた“選択”にたどり着くことができなかった。
ヴァンの正体は世界を滅ぼす魔王の一つ「漂泊の魔王」こと「ヴァグランツ=ザイオン」だった。
アルマータとの決戦を通じ、ジェラールから魔核を取り戻さざるを得なくなったヴァンは世界を滅ぼさせないため、自らを次元の狭間に封じようと決意。
魔王になる直前に取り戻した第七のゲネシスと自身のザイファをアニエスに渡し、ヴァンは「漂泊の魔王」となって飛び去ってしまった。
あまりのショックに仲間たちは言葉を失い、アニエスも一度は崩れ落ちる。
しかし彼女だけは諦めることなくヴァンを追いかける方法を考え続けており、メアに呼び掛けてヴァンの居場所に関するヒントを得ることに成功。
すぐさま事務所の仲間達と共にヴァンのいる次元の狭間へと辿り着いた。
そこで見つけたのは無数の鎖に繋がれている魔王――否、ヴァン・アークライドだった。
彼女達の身を案じる彼は追い返そうと言葉を続ける。
これが俺の“選択”だ……
………黒でも白でもなく――……
私たちだって同じです……!
それが貴方の“選択”だと言うなら私たちも“選択”してここに来ました!
だがそれで引くようなアニエスたちではなかった。
嘗てアニエスはヴァンに誓ったからである。冒頭の通り、自分ならではの“色”で彼に寄り添うと。
黒でもない、白でもない! ましてや灰色ですらない――
夜明け前の優しい暗がりみたいに寄り添ってくれる貴方だけの色が――
どうしようもなく愛おしくて何があっても失いたくはないから!!
そんな彼女の想いに触れたヴァンは遂に動揺する。
他の仲間達も彼女に続く形でヴァンを取り戻そうと言葉と決意を語り続けてくれた。
だがその直後、遂に「魔王」としての人格がヴァンを乗っ取り、鎖を引き千切ってアニエス達に牙を剥く。
圧倒的な力を持つヴァグランツ=ザイオンの霊圧は凄まじく、ベルガルドですら一瞬慄いてしまう程。そんな中、アニエスは――。
そうです――ふざけないで下さいっ……!!
私たちはヴァンさんと話しているんです……!
貴方が何者かはどうでもいい――どうか私たちの元に
ヴァンさんを返してください……!!
誰に対しても圧倒的だった魔王に対し、真っ先に持ち直したうえで導力杖を構えて啖呵を切って見せたのである。
この時の……というよりもヴァンが魔王になって去ってからのアニエスは完全に主人公にしか見えないとよく言われている。
そんな彼女の決意に反応したかのようにゲネシスが光り出し、魔王の力を封じ込める。
ようやく勝機を見出した解決事務所の仲間達は魔王と死闘を繰り広げ、遂にその力を削り取ることに成功。
封じられていたヴァンも抜け出し、改めて魔王との決戦に臨む。
死闘の末、「漂泊の魔王」もこの場での敗北を認め、一旦は消え去る。残された魔王の源こと「魔核」もヴァンの手によって次元の彼方へと放り投げられ、改めてアニエスたちはヴァンを取り戻すことに成功したのだった。
当然ではあるが彼女一人でヴァンを取り戻したわけではない。
仲間たちの存在やゲネシスの力がなければ圧倒的な力を持つ漂泊の魔王に滅ぼされていただろう。
しかし彼女は最初にヴァンに語ったように「目は逸らしたくない」という思いで彼と共に歩み続けて、どんなときでも自分にできることを必死に探してきた。
ヴァンが自分たちのもとから去ったという事実から目を逸らさずに、崩れ落ちながらも自分にできることを探して、誰よりも早くメアという可能性にたどり着いたのである。
彼女が諦めなかったからこそ希望が生まれて仲間たちも立ち上がり、ヴァンが完全に居なくなる前に迎えに行けたのは間違いないだろう。
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アニエスの行動によって事件は一応の決着を迎え、年末ということもあって事務所の面々は一旦自分の場所へと帰ることに。
そしてアニエスも年末年始は多忙だった父とも数日間は一緒に家族らしく暮らせることになり、ヴァンによって実家へと送られていく。
アルマータとの決着も付いたことや学藝祭が迫っていることもあり、ヴァンからは勤務日数を減らすように勧められるが、交渉の末に月二回は通うことに。
更にはアニエスの父親も交えて家族ぐるみの付き合いをさせようとする彼女に、ヴァンは慌てて辞退しようとするも……
――それに《アンダルシア》の冬季限定ケーキが無事に買えたんです。
この時のヴァンは車の運転中にもかかわらずアニエスの膝の上に置かれたケーキを凝視している。前を見なさい前を。
コーヒーを淹れますからお父さんと召し上がってください。
ったく――
ホント喰えなくなりやがったな!?
ヴァンの影響を色濃く受けつつも染まり切らず、彼女なりの狡さ――否、彼女ならではの「色」を見せられて彼女の成長を認め、大人しく家へと連れ込まれるのだった。
こうしてヴァンとアニエスと《アンダルシア》の限定ケーキから始まった“軌跡”はひとまず幕を下ろすことになった。
【黎の軌跡Ⅱにて】
前作に引き続きヒロインとして登場。前作から衣装をチェンジしており、ミニスカートから生足を覗かせている。
ヴァンに感想を尋ねるとなんと「似合っている」と褒めてくれたので喜んでいた。今回服が変わっているキャラは何人かいるのだが、ヴァンが服装を褒めたのはアニエスだけだったりする。
上記の通りアラミス関連で忙しくなっていたため(本人は裏解決業務に参加したがっていたが)やむを得ず勤務日数を減らしている。
このため、常に同行していた前作とは違ってアニエス単体の活躍は減ってしまっているものの前作から更に成長していることもあって的確なサポートや沙汰を下す場面が増えている。
学藝祭のための買い出しの最中、紅黎い魔装鬼こと《グレンデル=ゾルガ》が引き起こした猟奇的殺人事件の調査をしていたヴァンとエレインに遭遇。
ゲネシス絡みの事件だったこともあり、ヴァンから事件の内容を知らされることに。
無残な映像に青ざめながらもゲネシス絡みならと動向を申し入れるが、学業に専念させたいヴァンの説得を受けて断念。
それでもやはり心配になったらしく、後にルネを連れて《グレンデル=ゾルガ》の出現ポイントであるイーディス軍第二駐屯地へと向かう。
――しかし、その救援も後一歩のところで間に合わず、ルネと共に現場に駆け付けた際にはエレインは殺害されており《グレンデル=ゾルガ》によって目の前でヴァンが殺されてしまった。
想い人の死にアニエスは絶望の叫びを上げる。
それと同時に彼女が持つゲネシスがその絶望に応えるかのように輝き、なんとヴァン達と遭遇した場面までタイムリープする「巻き戻り」を発動させた。
当時はアニエス自身「巻き戻り」に対する認識はなく、ヴァンとエレインは非常に曖昧な感覚でしか残らなかったが、このままではまずいと感じ取ったヴァンが思わず声を掛けてきた。
ヴァン自身も確証はなかったため適当にはぐらかしてその場は見送ったが、何かあると感じ取ったアニエスはその後ルネに連絡を取り、彼と共に現地合流する。
今度はアニエスが傍にいたお蔭でヴァンもグレンデル化して戦えるようになり、更にはスウィンとナーディアの助太刀もあってヴァン達の死の運命を回避することに成功した。
その後、第八のゲネシスやグレンデル=ゾルガの行方を追うためにヴァンは首都を離れることなる。
アニエスも同行したかったが学生であるために断念、代わりにヴァンや裏解決屋を代行することになったスウィン、ナーディアにゲネシスを預け、自身はスウィンとナーディアのサポートに回ることに。
ヴァン不在の際に携わった4spgではアニエスなりの判断を下す場面もあり、昔の彼女からでは考えられないようなグレーな意見も出せるようになっている。
また第二部のBルートでは前作であまり描かれなかったアラミス学生としてのアニエスが描かれており、特別編入生としてアラミスにやってきたスウィンやナーディアと交流を深める。
第八のゲネシスを巡る騒動の中で何度も襲い掛かる自身や大切な人の死に時には涙、時には恐怖しながらもゲネシスによる「巻き戻り」もあって最後まで折れることなく戦い抜き、遂にはすべてのゲネシスを取り戻すことに成功した。
これによって裏解決屋に通う口実が無くなってしまったがなんとヴァンの方からアニエスのアルバイト継続を求められることに。勿論アニエスは満面の笑顔で受け入れた。
そしてヴァン達のサポートを受けながら遂に学藝祭当日を迎える。
この時、ヴァンと共に学藝祭を巡るパートナーとして選択することが可能。アーロンからは援交デートと冷やかされる羽目に。
初日の目玉である特別ステージでは序盤の主役としてキレッキレのダンスを披露し、観客たちを沸かせた。
ところがヴァンはステージの最中、《C》の正体こと黒コートの人物からの呼び出しを受けてていたため一人こっそり抜け出してしまう。
そんな彼を仲間達と共に追いかけ、ヴァンとの合流に成功した。
合流するや否や、アニエスは
プルプルと震えながらヴァンに近づく。
………何で、じゃありません。
いつもいつも、いつもいつもいつも……
そう、前作より大分マシになったとはいえ「一人で抱え込む」という悪癖を直せていなかったヴァンにブチ切れていたのだ。
あまりの迫力にヴァンは思わず後ずさってしまったが、アニエスは目に大粒の涙を浮かべながら―――。
反 省 し て く だ さ い 、
ヴ ァ ン ・ ア ー ク ラ イ ド 所 長 !
………………はい………………
ヴァンの助手として、なんと彼の胸倉を掴み上げながらマジギレの説教をかましたのである。
これまで反論こそすれど、自分から直接手を出すことは決してしなかったアニエスからは考えられない行動だった。
それだけヴァンを心配していたこと、そして彼女の成長を示すシーンでもある。
これにはヴァンも情けなく反省し、素直に助力を請うこととなった。
そしてヴァンや裏解決事務所の仲間達とその協力者と共にゲネシスが作り出した異空間を突き進み、その奥に対峙する黒コートの人物こと《グレンデル=ゾルガ》と対峙。
彼から語られる一連の事件の真実と、悲しき最終決戦を乗り越えて掛け替えのない今を手にする。
その後は急いでアラミスへと戻り、最後の出番である特別ステージに間に合わせることに成功。
レンや学友、解決事務所の仲間達や飛び入り参加のゲストたちを巻き込んだダンスを踊り切り、学藝祭の特別ステージを大成功へと導いた。
その夜のフォークダンスでは仲間達のダンスを眺めながらゲネシスを手にしてヴァンと会話を交わす。
まだ危機は去っていないこと、ゲネシスのこと、これからのこと――。
そして最後に彼女はヴァンに対し、顔を赤らめながらも。
勝算が無かったとしても、いつかこの想いを、大切な人に――
そんな一歩を踏み出せる、勇気を。
遂に告白めいたセリフを告げたのである。
これにはヴァンも気付いたかのような素振りを見せたが、直後に仲間達に呼ばれたこともあって一緒にフォークダンスに興じるのだった。
二年生に進級し、学業なども更に忙しくなっているものの学藝祭が終わったこともあってバイトの日数も増やしながらヴァンのサポートに勤しんでいる様子がエンディングにて描写されている。
ゲネシスに隠された秘密やそれにまつわる危機、彼女に残された謎、そしてアニエスのヴァンに対する想いの行方。
それら全ては次回作―――「黎の軌跡 Final Chapter」に持ち越されることになった。
【界の軌跡】
「黎の軌跡Ⅱ」から約三ヶ月後を描いた本作にも勿論ヒロインとして登場。
作中は7月と夏真っ盛りということもあってまた衣装を一新しており、より涼し気でありながら清楚さも忘れないデザインとなっている。
また本作ではアニエスの誕生日である7月12日が目前にまで迫っており、事務所の面々及びモンマルトのビクトル一家はアニエスの誕生日パーティーを計画しているなど非常に愛されている様子。
前作の真のエンディングにて大統領府が「ゼクー宇宙軍基地」の存在を発表し、その翌日には人類初の有人宇宙飛行を成し遂げるという「スターテイカー計画」が発表され、事務所の仲間たちと共にそれを見届ける。
この計画の発表により共和国がより慌ただしくなることから激化する裏解決業務を皆で乗り切ろうと決意を固めた直後、とある人物から連絡を受け取っている模様だが……。
そしてヴァン達と共に様々な裏解決業務に携わる中、大統領府は突然「スターテイカー計画」の前倒しを発表。
第三段階である有人宇宙飛行本番は奇しくもアニエスの誕生日と同じ7月12日となることが発表された。
それと連動するかのように共和国各地でD∴G教団を模したかのようなA∵Dなる連中その背景に存在するゲネシスのレプリカこと《アルターコア》、それを用いて「ありえない事件」を起こし続ける《残滓》と名乗る仮面の人物などにも遭遇し、事態は混迷を極める。
その最中、アニエスの誕生日が残り二日まで迫り、彼女への誕生日プレゼントに悩むヴァンは夜回りのついでに彼女に何がいいか直接訊ねることに。
すると彼女は「思い出が欲しい」としてヴァンがいつも行っている夜回りに付き合わせてほしいと願い出てきた。
そんなことでいいのならとヴァンも了承し、アニエスと合流するがなんと彼女は制服姿。
曰く、昼間来ていた服を洗濯してしまったために制服しかなかったとのこと。
そんなアニエスを車に乗せ、彼女の希望もあって「デートの予行演習」を行うことになった。
二人で夜の首都を回り、家族との思い出を語らったり、観覧車に乗ったり、4spgを解決したりと思い出を重ねていく。
最後にアニエスは本日の締めくくりとして「解決事務所の屋上へと連れて行ってほしい」と頼んできた。
事務所の屋上から見える星々は美しく、ランドマークであるトリオンタワーも煌びやかにライトアップされている最高の空間。
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そして彼女は遂に、「一歩」を踏み出す―――。 |
貴方が好きです――ヴァンさん。
明後日17歳になるとはいえ、
まだ学生の身で、それ以前に子供で……
釣り合いが取れるなんて
自分でもまったく思えませんけど。
それでも……我が儘のついでに
こうして伝えさせてもらいました。
貴方が好きです――愛しています。
とうとうアニエスはヴァンに自分の想いを告白した。
彼女の中にあるヴァンを好きになった理由を余すことなく伝え、彼の返事を待った。
さすがのヴァンもいつものように茶化すようなことはせず、むしろうろたえて失礼なことを言ってしまったが、覚悟を決めてアニエスに向き合う。
ヴァンにとってもアニエスは「特別」だった。
孤独で生きていくものだと覚悟を決めていた中、アニエスは強引に張り込んで、それがきっかけで事務所も大所帯になり、
二人の幼馴染との距離感も改善されたのもアニエスのおかげなんじゃないかと思うほどであり、嘗て「魔王」として封じられようと決意していた自分を引き戻してくれた。
そんなアニエスに想われていることに対し、ヴァンも嬉しさは感じていた。
だが悪い、アニエス――
お前のその気持ちには、応えられねぇ。
しかし、ヴァンの気持ちが彼女に向くことはなかった。
この返事にヴァンはエレインの存在は関係ないこと、また自分の中に残る「魔王」の問題が解決していないこと、彼女が学生であることや雇用主としての関係など細かい理屈こそ幾つもあったが、
要約すれば「アニエスを恋愛相手としては見られない」ということを今の自分が出せる唯一の答えとして、彼女の告白を断った。
アニエスは涙を堪えながらも、逃げずにしっかりと答えを出してくれたヴァンに感謝を述べる。
と思えば「エレインとも二股すればいい」だの「リゼットやジュディス、レンやサァラ、そしてシズナにも手を出せばいい」だのと子供っぽく喚いたりもした。
それでもまだヴァンを想い続けることを悪戯っ子のように仄めかしたりもする一方、ヴァンの幸せを願っているような発言も残し、その日は別れて地下鉄で寮へと戻っていったのだった。
その後も彼女はコネクトイベントなどで自身よりもヴァンの幸せを一心に願う一途な姿勢を貫いている。
こうしてアニエスの一世一代の告白は失敗という結果に終わってしまった。
ヴァンも自分の気持ちこそ素直に伝えたものの、彼女をあんな風に振ってしまったことについてはさすがにダメージも大きかった模様。
とある人物に「おやすみなさい、いい夢を」と言われた際にも、アニエスに告白された屋上と星空を見上げて「あんな振り方をしていい夢なんてありえねぇけどな」と思ってしまうほどだった。
しかしこの告白だが、疑問符が付くシチュエーションだったことも事実である。
まずアニエスが着ていたのは未成年の象徴とも言える制服であり、どうしてもヴァンが彼女のことを子供だと認識してしまうのも仕方がない。
アニエスと夜回りしている最中に警察官に話しかけると職質までされてしまう。
デート中のアニエスの言動もどこかいつもに比べて年相応感が出ており、年上のヴァンが魅力的に感じにくくもあった。
定番スポットとも言える観覧車に乗っている時でさえ「エレインさんとは乗らなかったんですか?」と元カノの話題を自分から話題を振っている。
二人が恋人同士だった時はまだ観覧車は建設中であり完成したら乗る約束をしており、ヴァンは一方的に約束を破ってしまった事をどう謝ればいいのか悩んでいる状態である。
これについても「私なんかに付き合う前にそちらを考えるべき」と苦言を述べているのだが、わざわざこのタイミングで言う必要は全くない。
何より告白したのは誕生日の二日前という中途半端な日付であり、特別感を演出するものが何もなかった。
アニエスは父親と母親が8歳差であることをずっと意識していたが、両親の関係性に肖りたいのならばそれこそ二日後の誕生日に告白すれば多少なりともムードは出たはずである。
にもかかわらずフラれた直後にエレインとの関係を後押しして「ぐずぐずしてると諦めの悪い子にまた迫られる」「母は12年かけて父を落とした」「あと数日で二人と同じ8歳差に戻る」と具体的かつリアルな脅迫をしている。
ヴァンからの通話に託けていきなりデートから告白まで持ち込んだのでは彼を意識させることも出来ないのは当然である。
勝算がないかもしれないと以前は口にしていたが自分から勝算を下げに行っているようにも思えてしまう。
普段は思慮深いアニエスがこのような強引な展開に持ち込んだのは、アニエスに人生経験が足りてなかったゆえの失敗なのか……。
ただヴァンも上述した通り、アニエスのことは「特別」だと見ていたのは事実。
そして彼女を振った際も「“今の俺”が返せる唯一の答え」という発言からしても、今後の展開次第で関係性が変わる可能性もまだ十分にある。
この時点で「界の軌跡」もまだ中盤であるため、二人のこれからについては今後を見守っていくしかないだろう。
ただ言えるのはこの日、ヴァンに想いを伝えたことでアニエスの中で大きな区切りがついてしまったということだけだった……。
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翌日、彼女は何事もなくレンと共に合流し裏解決業務としてアンカーヴィル市へ向かうことに。
ヴァンとアニエスも昨晩の顛末による影響を持ち込むことなく普通に会話を交わせており、アンカーヴィル市での解決業務を熟していく。
しかしその日の夜、《残滓》を退けた直後に合流したルネの手回しによって「大統領府での宿泊及び翌日の打ち上げセレモニーに参加、大統領令嬢としての立場の披露、そしてすべてのゲネシスの持参」を言い渡されることに。
当然ヴァンはそんなことを許さずに「まずは所長の俺に話を通すのが先」とルネに立ちはだかるが「国家元首の身内をこの場に留めるリスクを理解しているはず。それを押してもアニエスに残ってほしい個人的な理由でもあるなら話は別だが何かあるのか」と言われて、ヴァンは昨夜のアニエスを思い出して何も言えなくなってしまう。
ヴァンだけではなく周囲の者達も反対するのだが、結局アニエスが承諾してしまいその要請に従うことになった。
大統領府なら安全だろうという安心感もあったが、念のため彼女の護衛としてレン、そして首都に用事があるついでということで初代グリムキャッツにしてジュディスの祖母ことドミニクが同行を志願。
二人にアニエスを任せ、もしセレモニーが早く終わるようなら事務所で書類整理でもして待っていてくれとヴァンも言い残す。
アニエスも笑顔でそれに応え、彼女は一足早く首都へと戻っていった。
しかし遂に迎えた「スターテイカー計画」当日、ゼムリア大陸の未来に関わる驚愕の事態が待っていた……。
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本作最大級のネタバレ注意!! |
残された“嘘”、そして――
エプスタイン博士――貴女の曾お祖父様は
世界に換えの利かない“保険”を掛けたのです。
ただし……その保険は、貴方がたが受け継いだ
ある“因子”を通じてのみ本来の機能を発揮します。
実はアニエスは、本作の最初からヴァン達に嘘をついてしまっていた。
本作及び「黎」シリーズで起きた事件の(結果としてではあるが)真の元凶でもあるラトーヤ・ハミルトン博士からとある「保険」への協力を要請されていたのである。
これが作中冒頭から受けた呼び出しであり、その後「スターテイカー計画」三日前の夜、ヴァンがトリオンタワーに入っていくアニエスを目撃していたのは誰もいないタワーの展望台でハミルトン博士から事の詳細を聞くためであった。
詳しい描写は省かれているものの、アニエスはこれを承諾してしまい、結果自身の計画を悟られないためにヴァン達に「何も知らないという嘘」を吐き続けてきたのである。
ただし聞かされているのはその「保険」における自分の役割と、その兆候として《残滓》と名乗る人物及びA∵Dという一派が出現するという情報のみであり、彼女自身が事件に関わっているわけではない。
そしてこの「保険」こそが最大の問題であり、アニエスに何らかの犠牲を強いるものだったらしい。
ロイはそれを察知しており、ハミルトン博士の「保険」を封じるためアニエス及び必要となるゲネシスを自分の元へと移動させたというのがアンカーヴィル市での突然の帰還命令の裏側である。
これらの衝撃的な事実を、《残滓》の一人として復活したメルキオルから聞かされたヴァン達はアニエスとロイの真意を確かめるため急ぎ首都へと戻り、彼女と大統領がいると思われる大統領府の地下、コントロールセンターへと侵入する。
そこではこの世界全てを根底から揺るがす、恐るべき真実が明らかになるのだった……。
“すべての終わり”
――このゼムリアは
ある意味において“守られて”いる。
滅びというエントロピーから。
《大崩壊》のようなカタストロフィーから。
それを可能にしてきた“セキュリティ”、
――いや“セーフティ”が存在するのさ。
今作の、そしてゼムリアの真相を知る上でまず語らねばならないのは、エプスタイン博士の手記にも書かれていた「全てが終わる」という一節。
これを齎すものは大気圏を突き抜けた先の宇宙にある。
現在、ゼムリア大陸から見える空にあるものすべては何らかの存在によって世界全土に施された虚像である。
月も太陽も星空も、宇宙空間には何一つとして存在しない果て無き虚空しかなかった。
敢えて言うならば小惑星やこれまで打ち上げた無人探査機が浮かんでいるくらいのものである。
だが、その虚空の中に隠れ潜んでいる存在があった。
それこそが、女神の七至宝の一つにしてすべての終わりを齎す刻の至宝《レーギャルンの匣》である。
この至宝はその名の通り巨大な立方体と言える形状をしており、宇宙空間からゼムリア大陸を観測し続けていた。
そして「SiN値」というものが一定水準を超えるとゼムリア大陸全土を1200年以上前の大崩壊直後へと巻き戻す「グランドリセット」を発動するというとんでもない代物であった。
この基準値についてだが、どうやら科学技術の発展で上昇するらしく、人類が宇宙に到達すると一発でアウト、「グランドリセット」を発動してしまうのである。
またこの「グランドリセット」は今回が初めてではないらしく、これまでも約1200年単位で発動しており、「界の軌跡」までに19999回も巻き戻しが発動されていたらしい。
メルキオルはこれを「世界を守るある意味のセーフティ」、「呪いにして祝福」と称している。
この「グランドリセット」によって科学技術の発展、暴走による世界滅亡は最低限食い止められていることから確かに「セーフティ」とも言えるが、同時に人類のその先が閉ざされてしまう「呪い」と言えるのも納得である。
そしてこの《レーギャルンの匣》及び「グランドリセット」によるループを突き止めた人物こそクロード・エプスタイン博士であった。
彼が観測した結果、今回の世界線における「グランドリセット」の発動日こそが1209年の八月中であることを突き止めた。
これこそが彼が手記に記した「全ての終わり」である。
彼はこの至宝に対抗するための措置及び計画を自身の弟子である三高弟のうちラトーヤ・ハミルトンだけには明かしており、また幾つもの協力者を募って対策を練っていった。
このために開発された装置こそが《オクト=ゲネシス》であり、またそれに必要な存在がリリヤ、ソフィー、そしてアニエスに受け継がれてきた「とある因子」である。
その後エプスタイン博士は死去、その意思と計画を受け継いだハミルトン博士が《アルターコア》の開発や保管していたゲネシスを各地にバラまくなど「保険」に向けて動き始めた。
しかし、ハミルトン博士とは別にこの《レーギャルンの匣》の存在を知り、それに対抗しようとする人物が現れた。
それこそがカルバード共和国第二十三代大統領―――否、アニエスの父親であるロイ・グラムハートであった。
人類による“神殺し”
《レーヴァテイン計画》は3年前の大統領選で、
グラムハート閣下が当選した直後からスタートした。
その主目的を一言で言うと――
『ゼムリア世界の未来を閉ざす存在の破壊』だ。
ロイは妻であるソフィー及び彼女の母であるリリヤから《レーギャルンの匣》及び「グランドリセット」のことを知ることとなった。
そしてハミルトン博士が推し進める「保険」にはクローデル家に受け継がれる「とある因子」が必要不可欠なのだが、作中の描写ではこれに起因してリリヤとソフィーの寿命が縮んでしまったような描写がある。
家族を何よりも愛するロイにとって、残されたアニエスを犠牲にするような道は当然選べるはずもない。
ロイは愛娘を救うため、その延長線上として世界を救うために行動を起こすことを決意する。
ロイが無理矢理に推し進めてきた「スターテイカー計画」。その内容は人類初の有人宇宙飛行となっているが、これはあくまで世間一般に向けたカムフラージュ。
その計画の真の名は「レーヴァテイン計画」と言い、その概要は宇宙空間に隠された女神の七至宝の一つである刻の至宝《レーギャルンの匣》の完全破壊である。
共和国最高峰パイロットであるエミリア・ハーリング少佐と世界最高峰の機体《エクスキャリバーAX》を宇宙空間に送り込み、その戦闘力を以て《レーギャルンの匣》を物理的に破壊しようという、まさに人類の手による“神殺し”の計画であった。
ただこの《エクスキャリバーAX》も凄まじい機動力や数々の強力な兵器や支援ユニットエクセルチェイサー、そしてあの「反応兵器」を搭載したミサイルなどを有してはいたものの、《レーギャルンの匣》は巨大すぎてそれ単体では効果がない。
そのため本命はゼクー宇宙軍基地から打ち上げる「アンサラー」という反応兵器の1000倍の威力を誇る巨大ミサイルであり、エミリア少佐の役割はこのミサイルの誘導及び導線確保である。
勿論、これだけの壮大な計画をロイ個人で行えるはずもなかった。
そのために彼はあらゆる策謀で当時まだ人気もあったロックスミスを追い落として大統領に就任し、共和国のトップとなった。
その後、ヨルムンガンド戦役の失敗及び当時帝国の全権を握っていたギリアス・オズボーンの死亡で帝国が一気に衰えたことや莫大な賠償金によってロイは世界のイニシアチブを握ることに成功。
裏で《レーギャルンの匣》の調査を進めることで軍部もその存在を認めさせて自身の計画に協力させることにも成功し、ロイは得た力全てを注いで刻の至宝を破壊するための「レーヴァテイン計画」実行に向けて動き出す。
因みに結社との相互不干渉協定もこの計画に向けてのための布石であり、不確定要素でもある結社に邪魔をされたくなかったため。
結社という危険な存在が共和国を闊歩することを半ば黙認してでも彼は計画達成による愛娘救済のために何もかもを費やしたのである。
ロックスミスはロイを彼の理念は正義のためではなく人と世界のため、そこは一切ゆるぎなく情に篤いので“家族”を守るためなら世界ごと救ってのけようとすると評したがそれは正しかったのだ。
また計画実行をかなり前倒ししたのも実はアニエスの誕生日に合わせるため。
これの真意は作中では明かされていないが、何かしら重要な意味があると思われる。
最後にロイはアニエスを犠牲にしないように建前を使って計画前夜に彼女及び同行していたレンとドミニクを丁重にもてなしつつも軟禁。
同時に「保険」に必要なゲネシスをすべて取り上げ、アニエスが自らを犠牲する道を無理矢理選べないように仕向ける。
そしてその取り上げたゲネシスも計画のダメ押しの一手として計測装置に取り付けて手元に置くことで万全を期した。
長くなったが、アニエスを犠牲する必要があるハミルトン博士とそれを認められないロイは対立関係にあった。
ただし、ハミルトン博士自体はあくまでロイの「レーヴァテイン計画」の失敗に備えて動いていただけであり、彼の計画達成そのものは寧ろ彼女も望んでいたことである。
しかし例え保険でも、万が一でも、娘を犠牲にする計画などロイには認められるはずもないため彼女を極秘裏に指名手配するなどして徹底的にハミルトン博士の動きを封じようと画策した。
肝心の博士自体は確保できなかったものの、計画そのものに揺るぎはなかった。
「レーヴァテイン計画」、発動
『レーヴァテイン計画』最終フェイズへ!
目標“刻の至宝”――
《レーギャルンの匣》を完全機能停止せよ!
そして「レーヴァテイン計画」―――神殺しの計画が遂に実行に移される当日。
ヴァン達は数々の警備を潜り抜けてまずはアニエスの元にたどり着こうとする。
ところがヴァン達が辿り着く一時間も前、実は計画の協力者でもあったドミニクが隠し持っていたコンパクト版《アルターコア》の力によって時空間跳躍し、アニエス共々その場から脱出してしまっていた。
ロイも彼女の脱出にはほとほと呆れた様子だったが、ハミルトン博士が画策する「保険」に必要なゲネシスは手元にあるため彼にとっての「最悪な事態」は避けられるからと捨て置くことに。
そうしてロイの元へたどり着いたヴァン達は何か嫌な予感を覚えたため計画を止めさせようとするも間に合わず、遂にエミリアを乗せたロケットが発射される。
宇宙空間に到達したエミリアと《エクスキャリバー》は見事虚空から《レーギャルンの匣》を引きずり出し、神殺しを実行。
《レーギャルンの匣》も、人類が宇宙に到達したことで「グランドリセット」を前倒しで実行し、巻き戻しへのカウントダウンを開始。
同時に邪魔させないために数多くの無人機による攻撃を仕掛けてくる。
だがこれまでの入念な準備が功を奏し、遂には《レーギャルンの匣》の完全破壊に成功した。
計画達成に一同は沸き立ち、ロイも悲願達成及びアニエスの救済成功に打ち震える。
―――ところが事態は謎の機体の登場によって急変。
「創の軌跡」でも登場した零の機神《ゾア=ギルスティン》によく似た謎の機体によって《エクスキャリバー》は撃墜され、しかも完全破壊したはずの《レーギャルンの匣》が一瞬にして復活してしまった。
当然、「グランドリセット」までのカウントダウンまでもが再開。
《エクスキャリバー》を失ったことで人類は神殺しに失敗し、打つ手が無くなってしまう。
更に手元に置いていたゲネシスに異常が発生したという報告にロイが慌てて目を向ければ、そこにあったはずのゲネシスが全て一瞬にして《アルターコア》へとすり替わってしまった。
実はハミルトン博士側の人間であったルネ・キンケイドの仕業であり、彼は「レーヴァテイン計画」が失敗した際にはそれをアニエスたちの元に送り届けるように仕込んでいたのである。
つまり、アニエスが自らを犠牲にするというロイが最も恐れていた状況が出来上がってしまっていた。
突然裏切ったルネを問い詰めようとするヴァン達であったが、彼は隠し持っていた《アルターコア》の力で第三の魔装鬼《グレンデル=シャダイ》へと変身。
その圧倒的力でヴァン達を一周し、アニエスの覚悟を見届けるためにその場から「跳躍」して去ってしまった。
女神の唄
当タワーによる《オクト=ゲネシス》を使用した
『グランドリセット』へのハッキングを開始しました。
調律者モードを解放してください、
《適合後継者》――tyreクローデル。
はい……!
ルネが「跳躍」した先はトリオンタワーの展望台。
そこにはすべての準備を終えたアニエスとドミニク、そして通信によるホログラム映像状態のハミルトン博士が待っていた。
そして展望台にはすべてのゲネシスがはめ込まれており、タワーそのものが一つの装置として機能しつつあった。
そもそもトリオンタワーもエプスタイン博士が設計したものであり、その神髄はゲネシスの力を増幅し、《レーギャルンの匣》へとハッキングを仕掛けるためのものであった。
だがこれだけでもまだ足りない。最後のピースであるアニエスの存在があって、初めて「それ」が成立する。
協会、結社、そしてMK社。あらゆる勢力が立ち会う中、アニエスは最後のプロセスを実行に移そうとする。
そこに通信で待ったをかけるのはロイとヴァン達裏解決屋の面々、そして今共和国各地で散らばっているアニエスの仲間たち。
彼女を説得しようとする者、ヴァンへの想いを諦めるなと発破をかける者、ハミルトン博士の行動を非難する者。
皆がそれぞれの方法でアニエスを引き留めに掛かるが、そうしている間に無情にも「グランドリセット」のカウントダウンが迫ってくる。
裏解決事務所の助手失格ですね―――
どうか、クビにしちゃってください。
クビってのは雇用主がやるもんだ、勝手は許さねえぞ!!
アニエスは涙を浮かべながら詫びつつも、その決意を覆すことはなかった。
そんな彼女にヴァンも負けじと憤りながら引き留めに掛かる。
それと同時に気づいてしまった。一昨日の夜、彼女が稚拙な告白をしてきたその真意を。
それにお前――一昨日わざと制服を着て来やがったな!?
俺が断りやすいように――!
お前自身が、覚悟を決めるためだけに!!
あはは、バレちゃいました……
少しはズルく、喰えなくなったでしょう?
そう、あの告白も自身を犠牲する覚悟を決めるためのもの。
自分の想いを告げ、同時に自分の未練を断ち切るためにわざと振られるように仕向けていたのである。
この事実をもとにアニエスの告白を振り返ってみると、「学生の身でそれ以前に子供」や「自分でも釣り合いが取れるとはまったく思えない」などヴァンが断りやすい様に言葉を選んでいるのがわかる。
そもそも告白をした際の流れはヴァンに「若いうちは多少痛い目にあっても人生経験になる」と言われて、アニエスはチャンスが来たと言わんばかりにヴァンの言葉を遮り「じゃあ人生経験させてください」と言って告白を切り出している。
これでは振ってくださいと言っているようなものだろう。
もちろん制服を着ていなければ必ず想いが成就していたとまでは言えないのだが、ジュディスも「その内嫌でも無視できなくなる」と言い切るほどヴァンにとってアニエスが特別なのは周囲の目から見ても明らかだった。
とにかく何としても止めさせようとするヴァンであったが、既にカウントダウンは残り30秒しかない。
アニエスは迷うことなく、ゲネシスから飛び出た八つの光を取り込み、その光は蕾となって彼女を包み込む。
光の花が開き、そこから出てきた彼女は神秘的な白装束に身を包み、頭に天使の輪を浮かべる女神を思わせる姿になっていた。
この姿のアニエスこそ、今作のタイトルロゴに描かれていた女神のような人物の正体である。
そして遂に、カウントダウンがゼロになってしまった。
そこへ重ねるようにアニエスは「再構築」を宣言。
更には「ゼムリア時空の一時保存及び限定回帰の実行」に移る。
その瞬間、人も、物も、街すらも次々と光に包まれて消えていく。
地下にいたはずのヴァン達もいつの間にか地上に舞い戻っていた。だが、そんなことを疑問に思う暇などない。
アニエスが取り返しのつかなことをしようとしている―――居ても立っても居られなくなったヴァンが、彼女の元へと走り出し、アニエスの名を叫びながら手を伸ばす。
その瞬間、彼の脳裏に浮かんだのはアニエスと共に築き上げてきた思い出の数々。
走馬灯のように映し出されたそれが逆再生され、ヴァンは悲痛な表情を浮かべながらも光に包まれて引き離されていく……。
そして最後に映し出されたのは、七耀歴1208年8月27日の記憶。
あの運命の日、手土産を手に事務所を訪ねてくれた一人の少女との出会い。
そしてその少女が顔を上げて微笑んだ瞬間に、光となって消え去った光景―――。
淡い光の中、一人残ったアニエスは安らかな表情浮かべながらそっと目を閉じる。
そうしてアニエスは大切な人を想いながら眠りに着いてしまうのだった……。
ここで「界の軌跡」は幕を閉じる。
果たして「再構築」が行われた後の世界はどうなってしまったのか?
《レーギャルンの匣》に対抗する術はあるのか?
そしてヴァンとアニエスは今後、いったいどうなってしまうのか?
全ての決着は次回―――「Van's Final Episode」を待つことになった。
余談であるが、彼女が最後に呟いたあのセリフは「黎の軌跡」の最終章のサブタイトルでもある。
また、本作のEDテーマは「女神の唄」。女神を思わせるような姿となったアニエスを考えれば、意味深な曲名でもある。
これが一体どんな意味を齎すのだろうか……。
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【余談】
共和国編ではアニエスにも焦点が多く当てられ、作中を通しての成長や行動などからヒロインであると同時にもう一人の主人公ではないかという声もある。
黎の軌跡のとあるイベントで流れる「愛おしき色、貴方だけの」はアニエスから見たヴァンをイメージした曲名となっている。
軌跡シリーズでは作中の書籍と関係のある人物が登場することがあるが、アニエスは「陽だまりのアニエス」とは無関係。
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に、思われたが……? |
「界の軌跡」ではこの小説の舞台となったアンカーヴィル市を訪れることになり、更にこの小説の作者を調べてほしいという4spgが発生。
碧の軌跡で初登場して黎の軌跡でも度々名前が出てくるこの本が掘り下げられることになるのだが地名や登場人物が多く現実をモデルにしている一方で明らかな相違点がある。
それ故に陽だまりのアニエスの類似性の研究はもはや学問と言ってもいいと断言する人物まで登場する。
作中では導力スクーターが登場するが、この本が出版された時はそもそも導力スクーターどころか導力バイクすらが実用化されていない。
調査の末にヴァン達は本のモデルになったと思われるイートン通信社の記者エドウィン・アーノルドが作者ではないかと思い彼に直接訪ねてみる事に。
しかし作者そのものは不明であり、6年前に原稿が匿名でイートン通信社に送られてきて、その匿名の作者の希望で『イートン通信社刊』となった。
その際にエドウィンは6年前に原稿と一緒に少し不思議なものが同封されていた事を思い出すとそれをヴァン達に見せてくれる。
それは一通の手紙と何かのメダルだったのだが……
『今は分からなくても構いません。
時が来れば、彼女は必ず現れます。
このメダイユはどうかもう一人の
“別のアニエス”へ渡してください。』
という内容だった。
この依頼を受けた当時、アニエス本人は不在だったがヴァン達はエドウィンにアニエスという仲間がいる事を明かす。
ちなみに陽だまりのアニエスに登場するアニエスはクリーム色の巻き毛であり、ヴァン達の知るアニエスとは別人である。
どう考えても理屈が合わず答えが出ない状態だったが、エドウィンの希望により“アニエス”さんに渡してほしいとヴァン達がその手紙とメダイユを預かることとなった。
果たしてこのメダイユが次回作で何らかの役割を果たすのだろうか……?
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追記・修正は彼女よりメンタルが強い方にお願いします。
最終更新:2025年04月10日 04:55