柊一颯

登録日:2022/05/14 Sat 12:57:08
更新日:2024/03/01 Fri 07:44:33
所要時間:約 5 分で読めます




いいか、物事をうわべだけで見るな。本質から目を背けるな。

(ひいらぎ)一颯(いぶき)はドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」の主人公。

【概要】

魁皇高校年3年A組の担任教師で担当科目は美術。痩せ気味で眼鏡をかけている27歳の男性。
「ブッキー」という愛称で呼ばれているなど、生徒らとの関係は良好。
しかしながら普段は物静かで自己主張をせずに振る舞い、生徒に揶揄われても注意をしないことから、学校では陰で「雑魚キャラ」呼ばわりされるなど、はっきり言えば舐められ気味で教師としての威厳はあまりない印象であった。

しかし卒業式が目前に迫った3月1日に半年前に自殺した澪奈のの真相を生徒たち、そして世間に思い知らせるために教室の周辺を爆破して3-Aの生徒たちを閉じ込め立てこもり事件を引き起こし、その様子をSNSで中継する。

実は教職を志す以前は特撮専門のアクターとして活動しており、その名残り故にかなりの戦闘能力を有していた。
他にも教室周辺に爆弾や監視カメラ、盗聴器を設置したり、教室の窓をミラーガラスに付け替えるなど、機械や工学にも精通し、また美術を専攻している故に芸術の腕前も高い*1など、かなりのハイスペック。

更に後述の“ある事情”に加え一部の生徒に反抗されたりするなどして重傷を負い相当疲弊しているにもかかわらず、校内に単身侵入してきた刑事の郡司と互角の格闘戦を繰り広げたり*2、機動隊から強奪したサブマシンガンを威嚇射撃で発砲しても全くたじろがないなどの超人ぶりを見せる
それだけ立てこもり計画への執念が凄まじいということなのだろう。

【人物像】

計画のために生徒らを脅しつけるなどしているが、実際は生徒のことを第一に考える教師の鑑と言える人格者。
劇中では生徒が抱えている悩みを真摯に受け止めて叱咤激励し、それにアドバイスを送ったり、『想像力を働かせる重要性(Let‘s think)』『言葉の暴力の危険性(グッ、クルッ、パッ)』『恥をかかずには強くなれない』といった「授業」に於いて重要な教訓を生徒たちに説いた。


また生徒を犠牲にして私腹を肥やしていた武智の腐った性根を目の当たりにした際には、そのあまりの悪辣さに逆上し『生徒はものではなく人間』『脆くて未完成な人間だから、そんな彼らにレールを敷いて寄り添うのが自分たち教師の務め』と訴えかけた。
そうした彼の誠意ある姿勢を目の当たりにした3-Aの生徒たちは、当初は疑心暗鬼になりながらも澪奈の死の真相を知ったことも相俟って次第に考えを改め成長していき、真心から柊を慕うようになっていく。


この先ネタバレあり































「実は皆に黙っていたことがある。俺にはもう時間がない。『不治の病』ってやつでな、長くは生きられない」

実は末期の膵臓癌を患っており、劇中時点で既に余命は幾許もなく、薬で強引に延命をしている程深刻な状態であった。

柊が事件を引き起こした経緯には自身の寿命が迫っており、そんな自分が亡き澪奈と生徒たちのために何ができるかを考えた末の結論だったことが要因の一つである。

特撮アクターを断念した理由もこれであり、半年前には担当医から余命1年を宣告されていた。そして余命宣告を受けた日は、皮肉なことに澪奈が自殺したその日だったのである

即ち、もし澪奈が自殺しなければ先に死ぬのは間違いなく柊の方だったのである

それ以前から彼女の相談を何度か受けていたにもかかわらず、その悩みに応えきれず救うことが出来なかった彼は当然ながらそれを激しく悔いた。

柊の立てこもり事件は、彼自身の人生を賭けた正に命懸けの計画だったのである。


【事件を起こした最大の目的とその顛末】

「お前たちは…この10日間で…どれだけ自分の意見を変えた?信憑性のない情報を頼りに…どれだけ心無い言葉を…ネットで浴びせた?俺はそんなお前らの…愚かな行動を炙り出す為に!この事件を引き起こしたんだよ!!!」

立て篭もり10日目の午前8時、柊は計画の大詰めとして学校の屋上からライブ配信を行い、澪奈の事件の真相を語り始める。

世間がそれに注目する中、まず最初に彼は前日に公開した自身と澪奈と思われる女子生徒がビルに入っていく動画の詳細を説明する。

実はその動画はフェイク動画であり、澪奈と見られた女子生徒は彼女とは全くの別人の女性だったのである。

彼の立てこもり計画の真の標的は、澪奈のフェイク動画の流出に関わった人物たちではなく、それが公開された際にそれを遊び半分に拡散した挙句不当なバッシングを浴びせたSNSユーザーたちであり*3、一連の行動は、彼ら及び彼女らを翻弄してその醜態と愚かさを知らしめるためであった。

この事実を明言した彼は、最後に「不確かな情報に振り回されてしまう自分たちの愚かさと、言葉の暴力の危険性をこの配信を見ている人、一人でもいいから思い知ってほしい」と息絶え絶えに訴えかけながら配信を終了する。

その直後、柊は塀の上に登るとそのままバックに倒れ飛び降りようとするが、彼の意図を察した3-Aの生徒たちが間一髪のところで駆け付け事なきを得る。

その身を挺した行動は、実は澪奈を救えずに自責していたさくら*4「お前は景山を救おうとしたから自分を責める必要はない」と慰めるためであった。

そして柊は器物損壊、その他諸々の容疑で郡司により手に手錠を掛けられ逮捕される。

校舎を出ると、見送りに来た3-Aの生徒たちの方を見て最後に彼ら、彼女らに向けて一言。

「卒業おめでとう」

そう祝辞を述べると、大人しく警察に連行されていった。

こうして彼の命を賭けた壮絶な10日間は幕を閉じ、生徒たちは柊の教えを胸に教室を巣立つのであった。

そして彼は事件から1年が経った3月9日、闘病の果てにこの世を去った。


【余談】

演者の菅田将暉は「仮面ライダーW」のフィリップ役で有名で、更に本作の脚本を務めた武藤将吾は「仮面ライダービルド」のメインライターだった。
その縁もあって、劇中では「柊、お前の罪を数えろ(投稿者:封筒市民)」というSNS上のメッセージが登場した。本当に罪を数えるのはどっちなんだか





言葉は、時として凶器になる。ナイフなんか比にならないぐらい、重く、鋭く、心を抉ってくる。

他人に同調するより、他人を貶すより、自分を律して、磨いて作っていくことが大切なんじゃないのか!?
(第10話より抜粋)



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最終更新:2024年03月01日 07:44

*1 劇中では、生徒らの写実的な肖像画を澪奈を含め全員描き、事件終結後に其々にプレゼントした。

*2 流石に先述のように満身創痍の状態だったがために苦戦気味ではあったが。

*3 上記の澪奈から受けていた相談の内容も、フェイク動画が出回ったことではなく、自身に四六時中浴びせられていた謂れのない無数の罵詈雑言によって精神的に追い詰められていたことであった。

*4 さくらは澪奈の自殺直前までに彼女と行動を共にしていた故に、実際に自殺の瞬間にも立ち会ってしまっていた。