カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義

登録日:2022/06/28 (火曜日) 01:06:19
更新日:2022/07/21 Thu 15:24:14
所要時間:約 4 分で読めます





そこのアナタ、カモられてませんか――?

「カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義」とは、グランドジャンプで連載中の漫画である。
単行本は2022/4時点で既刊1巻

作画は「ONE_OUTS」「LIAR GAME」の甲斐谷忍氏
漫画原作者は「正直不動産」「任侠転生-異世界のヤクザ姫-」の夏原武氏

概要(公式サイトより引用)

「カモリズム経済理論」が世界的に評価されている天才経済学者・加茂洋平。
“フィールドワーク”と称して様々な姿に成りすます「変人」だが、
経済弱者が搾取され、騙される社会で、自らの経済理論を実践し、ペテン強者たちに毒を喰らわせる――!!
甲斐谷忍×夏原武の強力タッグで描く痛快経済エンターテインメント!!!


要は、主人公が変人ではあるが正義の味方のLIAR GAME
加害者は「LIAR GAMEの福永ユウジ(キノコ頭の煽り野郎)の如く図に乗って、教授の「お金の力」によって容赦なく叩き落される」という水戸黄門的な犯人ざまあ物語である。
ただし、基本的に不当なプラスや理不尽なマイナスを0に戻すだけに近いため、勧善懲悪によるスカッと展開はあまり期待してはいけない*1

また、本作に登場する敵は「近年現れるようになった、弱者を対象とした詐欺ビジネス」であるため、犯罪啓蒙漫画としての側面もある。
が、主人公のように「お金の力で叩きつぶす」ことは読者である一般人には不可能であるので、
あくまでも戦おうだなんて考えず「こういう人間には近づかないでおこう」程度に捉えよう。カモリズム的に半端に賢くなったつもりの奴が一番危険なのだが、自分から近づこうだ戦おうだと思わない限りは大丈夫である。間違っても「撃退してみた」とか動画ネタにしないように


また、作中で新型コロナウイルス(COVID-19)やその給付金などの話が出てくる通り、「2022年現在の日本国」を舞台にしていることも念頭に入れておくべきである。


登場人物

「つくづく今の経済社会はヤバいと思ったね」「深刻なカモリズム社会だ」
  • 加茂洋平
本作の主人公でありダークではないヒーロー。だが変人。
口先だけの知識に意味はないと考え、まともに講義を開くことがなく、姿さえ生徒に知られていない。
毎回一聴すると意味不明なテーマのレポートを提出させるため顰蹙を買いまくっているが、何だかんだでやってきてくれる。
「究極の経済弱者であるホームレスになってみよう!」という思い付きで本当に二か月間ホームレスをやっていたり
被害者の目前で「俺は単に他人をカモにする人間を観察したいだけ」と笑顔で言い切るなど、完全な変人である。
経済学者の癖にこの世で一番役に立たない職業は経済学者と公言する
ただ、いざという時は「5億円ポンと提示する」「複数のファンドを買い取る」「ホテルを買い取る」など、
富豪刑事さながらに金の力でごり押し悪人を成敗していく様はまさに水戸黄門である。
その金の大元は一兆円オーバーの貯金。経済学者が金を稼げないようではだめとして、その知識で稼ぎまくっているが、貯金して停滞させるのも経済学者としてアウトなので必要な時にはポンと出す。
「『カモのネギにも毒があるかも』という疑念を抱かせればカモにされる人間は減る」とし、一旦詐欺師が食いつく状態を作ってから攻めに入る。
決して義賊とか正義の味方ではなく、その有り余る金で直接被害者をフォローすることはせず、あくまで詐欺師から奪還した金の再配分や成果物の利用といった形で救済する。
詐欺師に対しては、不当に得た金の奪還や詐欺をできる状況の破壊だけにとどめており、暴力など過剰な報復は行わない。


「うそ…まさかこの課題 ホントにただの嫌がらせ?」
  • 名取三咲
大学生三年生。本作の語り部であり、常識人。そして苦労人。
彼女自身騙されたことは無いが、彼女の実家で経営している旅館がコロナ禍の不況に遭い、その上で詐欺ファンドに引っかかってしまった。
しかし、教授によって実家ともども救われたことで、加茂教授の研究室に所属することとなる。
よく言えば人情家で、教授には義賊的な振る舞いを期待している所がある。カモリズム的には間違いなくカモられる人。
とはいえ、給付金が正しき者の手に渡らず悪人の手に渡っている現状を見て純粋に怒りを燃やすなど、感性は殆ど一般人に近い。
もっぱら珍レポートの出題&回収役をやっている。

「変人で性格の悪い教授のために もっぱら助手的な事やってます」
  • 高瀬泉水
大学院一年生にして苦労人その2。そして鉄面皮。
ただし、教授の奇行を割と楽しんでいる節があり、名取と違って余裕がある。
加茂教授が何をやったのかを名取に解説する係。
当然以前から所属しているわけだが、名取がやっているレポートの案内人は一切やってない。


本作で登場、解説される詐欺


たんぽぽファンド

今の法律では存在出来ないがかつて存在し信頼もされていた「無認可共済」を、コロナ禍を境に投資ファンドが復活させたもの。
だがロゴマークは共済時代から変わっておらず、名前のフォントを弄って微妙に分かりにくく、配当金は貰えないように小さい文字で注釈を打っているなどの悪意マシマシのファンドである。
当然、出資金を集めるだけ集めたらトンズラする予定であった。

そんな中、彼らの元に教授が5億円の投資を提示する。当然目の色を変える悪徳ファンドだったが、最終的な契約の前に投資実績を見せてほしいと要求する。
しかし、彼らが貧乏人ばかりから巻き上げていたため投資実績を持っていなかった。期限は僅か3日。
慌てて教授が残していった資料のファンドに13億円ものお金を投げて実績を残そうとした*2
そのファンドが全て教授が買い上げたものだと知らずに…当然お金の入金を確認した教授は速攻でファンドを畳んだ。
ちなみに、ファンド廃業の理由として、「13億もの大金を適当にぶち込むしょうもないファンド」に投資して焦げ付いてしまったため、としている。*3
「カモのふりして カモにした……ってところかな」

「#ひととき」

要は「肉体関係を持つことを条件にカネを貸すこと」
名取は教授より『年利100%でもいいから10万円を借りたい」って人に会ってみよう』という無茶な課題を出される。
そんな人間早々いるものかと考えていた矢先、なんと名取の親友「ほのか」がそうであった。
ほのかはその後ひととき融資を匿名掲示板にて承諾してしまうのだが、教授の指示により名取が身代わりになることに*4

現れた男はひととき融資の常習犯であり、「今のあんたに身体以外何の価値があるんだよ」と言い寄る卑劣漢だった。
結局名取は男を説得することはできず、ホテルまで行くことになるも、男がシャワーを浴びている間に入れ替わってしまうそして舐めてしまった。
その後、教授は男が自分でセットしていた盗撮映像を武器に「今も「ひととき」の関係が続いている女性との返済免除」を要求。
男は「めんどくさい奴に絡まれながら女と身体の関係を得るより、今すぐ教授と手を切る」ことを選択し、その要求を飲むのであった。
ちなみに、件のホテルは男が度々ひとときに使用していることを掴んでおり、罠にはめるために事前にホテル丸ごと買い取っていた

後に教授が買い取ったホテルは、男とひととき関係を強要されていたシングルマザーたちによって経営を盛り上げた*5
「このホテルに入社してください 母親業をあれだけ完璧にこなせるあなたなら 必ず出来る」
なお余談だが、Twitterで「ひととき」を検索すれば確かにそれっぽいツイートは今なお出ているが、それがヤラセではないという保証はどこにもない。たとえ手持ちに余裕があろうが絶対に手を出さないことをお勧めする


給付金申請代行

本件は、悪党が三段構造になっている。
  • 普通に申請すれば20万円もらえる給付金を、中抜きして5万円だけ渡すという自称正義の味方のNPO法人
  • NPO法人を通じて様々な理由をつけて書類を書かせ、「金に困っている主婦」というリストを作成して上記のひととき融資を企むものなどに売りさばく名簿業者
  • 手に入れた署名を使って被害者らを「架空の企業のダミー社員」に仕立て上げ、「雇用調整助成金」を受け取る産業省のキャリア官僚2人*6

NPO法人は通報によって壊滅したものの、複数の踏み台を経由して金を貪る官僚までには届かなかった。
そこで、口八丁で取り入って「事業再構築助成金」が悪だくみの種になることを仄めかすことで、まんまと教授が張り巡らせた罠へと誘導。
金儲けに使っていた銀行口座の半分以上が凍結を食らう羽目になる。
しかも、金を諦めきれなかった銭ゲバどもは、さらなる罠によってそれまで残さずにいた犯罪の痕跡を残してしまい、とうとう罪が露見して銀行口座が完全凍結し、法の裁きを待つ身となった。
ちなみに、これらの教授の罠は、真っ当な神経を残している人間ほど早く浅い傷で抜け出せるようになっており、骨の髄まで腐っていた官僚2人は何もかもを失う結果となった
なお、2人とも自分たちを陥れるため「だけ」に6000万円ドブに捨てる人間が現れるとは思ってもいなかった模様。現れてたまるか
後書きで強調され名取からも指摘されているが、このエピソードの被害者は税金を納めている日本の全国民であることを忘れてはならない。6000万円払ってでも破滅させる道理は充分にあるのだ。
「だからお前らは 一秒たりとも官僚でいちゃいけないんだ」


起業家集団/風景

街中で街頭アンケートや美味しいお店などの聞き込み、運動不足解消のフットサル会などからカモを呼び込み、師匠を紹介するから一緒に起業のために頑張りましょうとするネットワークビジネス集団
コロナ禍で孤独や将来の不安にあえぐ「18歳の新成人」を対象に、何の価値もないセミナーやサプリを「自己投資」という名目で買わせている。
この漫画において、「明確な元ネタ」が存在する団体でもある。*7


教授の考えはこうよ

*経済学者なんてほぼクソ


*経済学は経済学者に学ぶものじゃない

社会と庶民から学ぶもの

*「カモリズム行動経済論」は

「カモる人」「カモられる人」から学ぶもの


追記、修正はカモられないようにお願いします

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最終更新:2022年07月21日 15:24

*1 例えば、1巻収録の事件3つのうち、逮捕まで行っているのは1つだけ

*2 教授は散々彼らの前で「自信がないから堅実という皮を被って低金利を謳っている」と貶していたが、高金利を謳う詐欺ファンドである彼らからは低金利だからこそ信頼できるファンドだと映った。この場合、教授の5億円投資を受けられれば損失が発生しないうちに13億を引き上げればいいので、安定さえしていれば金利がどれほど低かろうと問題はない。

*3 つまり、たんぽぽファンド自身。当然、文句を言うこともできず、蒼い顔で閉口していた。

*4 本気で体を売るというわけではなく、可能ならひとときを回避して見ろ、という変人教授によるゲームに近い。

*5 彼女たちを雇ったのは、あくまで母としての気遣いの技量を見込んでのこと。なので、当然技量がなければならず、本件に関わったシングルマザー全員を雇ったとは限らない。

*6 名簿業者との間に少なくともバーのママを挟んでおり、黒幕の正体を掴みにくくなっている。

*7 「事業家集団」「環境」「チーム」とコロコロ名前を変える集団