水戸黄門

登録日:2016/01/10 (日) 01:00:14
更新日:2024/04/11 Thu 17:53:40
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この紋所が目に入らぬか!

畏れ多くも前副将軍(さきのふくしょうぐん)

水戸光圀公にあらせられるぞ!


『水戸黄門』とは幕末に創作された講談の演目であり、後の世ではこれを元にした時代劇なども演じられている。
元々は『水戸黄門漫遊記』という題名で数多の舞台や映画化がされていたが、現在では専らTBSで1969年から『ナショナル劇場』→『パナソニックドラマシアター』枠で放送されたテレビドラマ版の題名である『水戸黄門』で定着した。


ここでは、上記テレビドラマ版を中心に解説する。


概要

徳川御三家の一つである水戸藩の先代当主・水戸光圀が素性を隠し、家臣の2人と共に諸国漫遊をしながら悪人を懲らしめる典型的な勧善懲悪のストーリー。

制作と著作は会社は株式会社C.A.L、撮影協力に東映、放送局はTBS。この関係は同じ番組枠で放送された「大岡越前」「江戸を斬る」「翔んでる!平賀源内」といった時代劇も同様。

主要人物は実在する人物をモデルとしているが、家臣などの名前に関しては元の名前が分かる程度に捩ってある。
人名の捩りはこの手の創作でしばしば見られるパターンで、
他に有名なものとしては赤穂浪士の討ち入りを題材にした歌舞伎の演目『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』の登場人物で「大石(おおいし)内蔵助(くらのすけ)」をモデルにした「大星(おおぼし)由良助(ゆらのすけ)」などがある。

戦前から戦後にかけて上映された映画作品『水戸黄門漫遊記』は複数シリーズが出ており、多くはお家騒動に巻き込まれたり、お犬様を偏重する徳川綱吉を諫めたり、暗殺者に狙われたりなどのシリアス作品だが、中にはニセ黄門一味が主人公のコメディもあったりする。
映画作品は特に月形龍之介主演のシリーズが有名だが、悪代官や悪徳商人のみならず人食い狒々や巨大ゴリラと戦う怪獣映画や、本物の化け猫や怨霊が登場するオカルトものといったキワモノも存在する。

TBS版の時代劇は初期こそ人間の悲喜こもごもを描いた群像劇の形をとっていたが、高齢の視聴者から「私らは生きて一週間先の番組を見られる保証がない」という声があったためか、
次第にシンプルなストーリーにパターン化していき、「変わらない安心感」、「大いなるマンネリ」の代名詞としてしばしば引き合いに出される。
良くも悪くも「アホ強い助さん格さん」「百発百中の弥七とお銀」「最強のコネクションこと御老公」の三大戦力の下に悪代官その他悪者を蹂躙していくストーリー。相手が悪代官でなければよく考えると無理矢理な話も割とあったりする。
また、かつてはプロ野球中継と並んで居間のテレビを乗っ取る常連でもあった。子供時代、家族にリモコン取られて泣きを見た経験のある人も多いことだろう。

1978年には10周年記念としてテレビ版のキャストで劇場版も公開しており、加賀藩のお家騒動から端を発した藩乗っ取りを防ぐために水戸藩から加賀藩へ向かうという1シーズンを濃縮したような内容になっており、劇場版ならでは広大な外ロケや大セットでの立ち回りなど見所多い作品となっている。
この劇場版と色々とカオスで有名な「水戸黄門のお年寄りの交通安全」は著作が東映が持っており、現在では東映側の配信サービスで視聴可能となっている。

長年TBSの看板番組として親しまれてきたが、2011年12月に終了。
番組が終了した理由は唯一のスポンサーであるパナソニックの都合によるもので、視聴率不振ではない。
それどころか2000年代後半にはこれの再放送がTBSの全日視聴率一位になることもしばしばあった。
番組は特にお年寄りに大人気であったが、お年寄りはパナソニックの主力製品であるテレビを買ってくれないため、水戸黄門の合間にCMをいくら流しても宣伝効果が薄いのであった。これは一社提供の弱点とも言える。

TBSとしても人気番組を打ち切ることに心苦しいものがあったようで、2015年には複数社提供のスペシャル版という形式で復活し、2017年と2019年にはBS-TBSにて放送された。

地上波のレギュラー放送終了後も平日の夕方に全国各地の系列局や系列外局にて再放送されていたが、2010年代に入ってからは報道・情報番組の需要が高まったためか再放送枠が減少傾向にあり、現在はBS-TBSおよびCSの「TBSチャンネル」での再放送が主流となっている。
映像ものの再放送ではよくある「一部不適切な演出がありますが、当時の作風を尊重してそのままお送りします」というテロップがついてくる。
ただそのテロップ込みでも無理だった台詞があるようで、苦肉の策としてその前後は無音にカットされている。
セクハラや身分的な偏見はセーフらしいので基準がイマイチ分からないが。

【作風】

ストーリーを大雑把に説明すると、

  1. 旅の途中、悪漢に絡まれた庶民を見つけ助ける(場合によってはすでに瀕死で一行に後を託してそのまま亡くなる)
  2. 助けた庶民と仲良くなり、悪漢に絡まれる事情を教えてもらう。
  3. 困った人を見捨てられないご隠居が協力を申し出る。
  4. 予め誰かが悪者共の一味に探りを入れた上でご隠居様一行が乗り込む。
  5. 怒って襲い掛かってくる一味をボコってから印籠を見せ付ける。
  6. 悪者共は手下含め一同ひれ伏し、万事解決。ご隠居様一行は次の目的地へ旅立つ。

と言った感じ。

序盤にも軽く殺陣が披露されることも多いが、終盤には必ず殺陣が披露され、大立ち回りになる。多勢に無勢にもかかわらず一行は圧倒的な強さを見せ付け、相手をバッタバッタと倒しまくる。
そして相手がある程度疲弊したら印籠を見せ付け、悪人共は震え上がって頭を下げるまでがパターン。御老公は悪人共に「藩主殿が裁きを下すから観念しろ」(大意)等と言いつけ、一件落着となる。

第1部で初めて印籠を見せ付けたときは御老公様が自ら印籠を見せて素性を明かしていたが、
途中から格さんが御老公から印籠を取って見せるようになり、以後印籠=格さんが定着した。

なお印籠自体は身分を示すためのものではなく、いわば旅行用の携帯薬箱で、一定の身分以上の人が使うことを許された道具である。
作中で正体を明かすための道具として使われている理由は、単純に家紋が入っているからに過ぎない。
三つ葉葵は徳川家の人間しか使えない紋であるため、葵の御紋の入った印籠を持っている=徳川の人間という証明になっている(ちなみに黄門様や格さんも、作中ではあの中に実際に薬を入れており、時折病人に薬を譲る際に家紋の部分を上手く隠しながら薬を取り出す場面がある)。


悪人には様々な者がいるが、悪徳商人、悪代官、奉行、家老などが多い。
いずれのケースでも藩主(大名)は悪者として描かれず、御老公とは参勤交代の際に顔を合わせているという設定がパターンとして確立されている。
いずれの藩主も善良な人物であるが、病気療養中、参勤交代で江戸にいるなどで家臣の監視が疎かになっており、役目を代行する家老などの悪事を意図せず見逃してしまっている。
稀に藩主の乱行により藩取り潰しまで行ったり(当然行うのは幕府の決定によるものだが)、藩主の横暴に対し直々に痛い目を見せたりしている。
また目に余る乱行を行った藩主には公儀による藩取り潰しを盾に藩主の座を息子に譲らさせ強制隠居させるなど、やる時は容赦なく処断する(それでも即藩取り潰しじゃないだけ温情裁きである。なにせ実際の江戸幕府は大名の力を削ぎ天領(幕府直轄領)を増やすために、虎視眈々と大名の落ち度を探していたのだから(『忠臣蔵』陰謀論とか『超高速!参勤交代』とか))。


また、稀に公家や南蛮商人、将軍家直参旗本など、身分や国籍の関係で御老公に頭を下げる必要のない連中も登場する。
この場合、御老公は連中よりも立場が上の人間(上位公家や当時の南蛮商人達の元締めである『オランダ商館』関係者など)に予め悪事を伝えておき、助っ人として呼びだして連中の始末を頼む形となる。

ネット上では「麻呂」の名前で有名な一条(いちじょう)三位(さんみ)(第18部23話)とその元ネタとなった六条(ろくじょう)三位(さんみ)(第10部15話)がその代表例。
「麻呂は御門(みかど)(すなわち天皇)の臣であり、徳川の家来ではおじゃらん!!」と開き直り、
「我が屋敷における狼藉(ろうぜき)、御門に言上(ごんじょう)致す(現代風に言えば、「俺の屋敷に勝手に押し入って暴れまわった事を天皇に言いつけてやる!」)」と完全に自分の悪行は棚に上げて、黄門一行を一方的に罪人扱いしながら、幕府と正面から事を構えるのも辞さない勢いでデカい態度を取り続けた*1(これに加え、六条三位に至っては光圀の事を「朝敵、謀反人、逆賊」とまで言い放った)。
しかし御老公の味方であり、一条(六条)三位より官職が上の梅小路(うめのこうじ)大納言(だいなごん)菊亭(きくてい)左大臣(さだいじん))が事前の報せを受けて現れ、一条三位の悪行とその往生際の悪さを「公家の面汚しじゃ!」と一喝した上で「この上は身を清め、御門の沙汰を待つが良い(現代風に言えば、「おとなしく罪を認めて、天皇から処分が下されるのを待っておれ)」と告げたため、一条(六条)三位も観念せざるをえなくなった。

尚、前述のとおり、御老公も朝廷内部では従三位中納言の地位にある為、中納言より官位が低い公家相手であれば、直接この官位を用いて頭を下げさせる事ができる。
そもそも「黄門」とは中納言の別名「黄門侍郎」の事である(中国で皇宮の門が黄色に塗られていた事から、皇宮の中から外へ勅命を下す地位)。

そもそも、封建制社会では室町幕府の侍所別当、江戸幕府の大目付の様に大名の監督の担当者か、正式な後見人(生駒騒動では藩主の叔父・藤堂高次、伊達騒動では大叔父・伊達宗勝)でもない限り、如何に悪政であっても余所の藩の政治に介入する事は違法であり、隣藩に集団逃亡する人間が出て漸く「他領にも問題が波及した」と交渉のテーブルに持ち込む事が出来るのがルールである。寧ろ、自領に火の粉が掛からない範囲で悪政を働いてくれていると、「あそこの藩よりはうちの殿さまはマシだ」と領民の支持率の向上に繋がる一面も有るからである。格式が高い大名家とは言え、余所の元藩主が政治干渉していたら幕藩体制そのものが崩壊しかねない。


【登場人物】

水戸(みと)光圀(みつくに)
我らが黄門様でご老公。主に越後のちりめん問屋の隠居・光右衛門と名乗り、諸国漫遊の旅を行っている。ちなみにちりめんとはちりめんじゃこのことではなく、布地の一種。
(ちなみに越後を旅するときは水戸など別の地方のちりめん問屋の隠居を名乗る。また石坂浩二が演じた時には「江戸の戯作者・日進斎」と名乗る事も少なくなかった)。
白い髪とお髭が特徴で、黄色い着物と頭巾、灰色の袴、紫のちゃんちゃんこがお馴染みのスタイル。ナレーターからの呼称が「光圀」→「水戸老公」→「ご老公」→「黄門様」と時代によって変わっていたりする。

性格はお節介焼きの頑固者で好奇心旺盛。割と突拍子ない提案をしては助さん格さんに「遊興or酔狂が過ぎます」と窘められる。まあ聞き入れはしないが。
意外と短気な一面もあり、年寄り扱いされたり、「ケチ」、「頑固者」と言われると大体怒る。
そして怒って一人で行動した結果、崖から落ちて農家の娘に助けられたり、野盗に拉致されたり、食道楽のし過ぎで腹を壊すなど、危険な目によく合っている。
演じる役者によって性格はバラバラだが、これらは役者が黄門様のイメージを崩さずなおかつ新たな黄門様として受け入れられるように考えて練ったものであり、どの俳優も四苦八苦したらしい。
光圀を演じた俳優が過去のシリーズに別人役で出ていることがあるが、これは後任を選ぶテスト撮影も兼ねているとか。
多くの歌舞伎役者やスター俳優が演じてきた映画時代の『漫遊記』からは一転、TBS版では初代二代目と悪役が専門だった俳優が光圀を演じているが、三代目の佐野浅夫から善人役を多く演じてきた俳優が演じるようになった。

悪人との戦闘は専ら助格に任せているが、戦闘中は主に女性や子供を壁際に避難させて守っており、近づく雑魚はを用いた棒術で追い払ったり、黒幕に一撃加えて制裁を与えるなど、腕っ節もそこそこ強い。ちなみに杖にはを仕込んでいる。他にも時に火縄銃や長弓を扱う事もあるが、いずれも秀でた腕前を披露している。
演じる役者次第で動きの派手さは変わり、特に演者が里見浩太朗のときは助さん、格さん並か、それ以上に大殺陣での見せ場が多い
というか助格の原田龍二、合田雅吏や東幹久、的場浩司よりも圧倒的に殺陣が上手いと言われ、(演者の芸歴を考えれば至極当然ではあるが)「武闘派黄門様」と評された程。流石に二刀流で悪人を皆殺しにはしない。*2

悪人を懲らしめた後は独特の笑い声を上げるのがお約束となっている。…が、この笑い方も各黄門様を演じた役者は大変苦労したらしい。
初代の東野英治郎は笑い声が確立できず、そのストレスから共演者や周囲のスタッフに当たり散らし(初期の役者は殴られた事もあるとか)、見かねた息子の東野英心が付き人になって笑い声の考案に協力する等し、3年懸けてようやく笑い方を会得し、
二代目の西村晃も散々悩んだ挙句独特の発音を交えた笑い方(ほっほっほ……の「ほ」と「っ」の間に極僅かに「ぁ」を含めるような発声との事)を会得した。

正体を明かす前の肩書が「越後のちりめん問屋の隠居」なのは、越後国を含む日本海側の地域が北前船の交易で賑わっており、越後のちりめん問屋の隠居と名乗っておけば豪商の元親方で大金持ちが付き人を連れて旅をしていると相手が思い込んでくれるからである。

モデルは言わずもがな水戸徳川家二代目当主徳川光圀公。
なお、徳川幕府に副将軍という地位があるわけではなく、「(さき)の副将軍」とは徳川御三家である水戸家が天下の副将軍と呼ばれていたことに由来する。
(当主の地位を降りたから「前水戸家当主」=「前副将軍」。)
なお、官位は慣例的に「の」を省略表記できるため、「前副将軍」でも「さきのふくしょうぐん」と読める。


佐々木(ささき)助三郎(すけさぶろう)
光圀のお供その一。軟派な色男で女性にモテモテなのが特徴。光圀曰く「名前通りの助平の遊び人」、八兵衛曰く「助平の助さん」。
悪人共に印籠を見せ付けるシーンでは向かって左に立ち、を斜めに構える。なお、初期には格さんではなく助さんが印籠を出したこともある。

なお助さん自身も役者によって性格が異なる。
部によって変わるが二代目の里見浩太朗や、五代目の原田龍二・六代目の東幹久が演じる助さんは途中で結婚している。
一方で、三代目のあおい輝彦が演じる助さんは軟派な色男ぶりが強調された独身貴族ならぬ独身士族である。
ついでに歴代助さんの中で一番助平で、御老公に黙って八兵衛と遊びに行く事も多々ある。
八兵衛程ではないが一言多い一面もあり、些細な事をきっかけに御老公の機嫌を損ねたり、ヘソを曲げさせてしまう事がしばしばある。
反面、遊び好きな一面や妻の志乃との仲を、御老公にからかわれてしまう事も多い。
また、為替両替などの大事な役目を任されて、一時的に一行を離れた際に、八兵衛や行きずりに出会ったゲストの遊び人の甘言に唆されて、つい羽目を外して、遊びにうつつを抜かした結果、肝心の用事を忘れてしまったり、遅くなってしまう等して、御老公達を苦労させる事となり、最終的に遊び呆けている所を偶然、お銀(お娟)に見つかったり、遊んでいた旅籠や料亭に御老公達がやって来てしまうなどして、遊んでいた事が御老公にバレて、こっぴどく叱られてしまう事も(特にあおい輝彦や原田龍二が演じた時などに)しばしばある。

素手で戦うことも多いが、終盤の大立ち回りでは自前の脇差し、または奪った日本刀による峰打ちや真剣を使用。やたらと棒を使うシーズンもあった。
剣の腕だけなら格さんをも上回る剣の達人で、初期に一度剣客に剣術勝負で負けた格さんがリベンジの為に助さんに指導を乞うている。
反面、スタミナ、筋力では格さんよりは劣る為、剣を使わずに豪腕を武器とする巨漢を相手にする際には、積極的に渡り合おうとせずに周囲の地形や物を利用した戦法を用いる。
基本的に普段から御老公の側で活動するが、後述する格さん同様、悪党一味に剣豪として潜入するエピソードでは御老公の側を離れて潜入役となる。

モデルは水戸藩士佐々(さっさ)介三郎(すけさぶろう)こと佐々(さっさ)宗淳(むねきよ)


渥美(あつみ)格之進(かくのしん)
黄門様のお供その二。助さんとは対照的に硬派で実直。光圀曰く「見た目の通りガチガチの頑固者」、八兵衛曰く「堅物格さん」。一方、六代目・的場浩司が演じる格さんは硬派に加え、生真面目に振る舞おうとして逆に大失敗を犯してしまったり、早とちりから騒動を起こしてしまったりするややドジで脳筋な一面も目立っていた。
悪人共に印籠を見せ付けるシーンでは向かって右に立ち、懐から印籠を出す役目。

また日誌を書くのも役目で、特に五代目の合田雅吏が演じる格さんはよく日誌を書いてるシーンが挿入されている。
なお「格さんが日誌を書く」のは初期の頃から決まっており、三代目の伊吹吾郎は偶に、初代の横内正も極稀に日誌を書いているが後者は激レア映像レベル。
これは助さんと格さんでは武士の身分上では助さんのほうが上役である為、黄門様ご一行の武士の中では一番下である格さんが日誌を書く事になっているから。

初代の横内格さんには幼少時に父親が悪人に謀殺されて光圀に育てられたという主人公っぽい設定があり、助さんより目立っていた。
ちなみに初代の頃は妻子持ちで息子の名前は格太郎であるが、二代目以降は基本独身。
しかし、6代目の的場格さんは最終回スペシャルにおいて光圀の旧臣 安積厳兵衛の婿養子となり、厳兵衛の娘で妻の深雪や長女 さえ、長男 平太郎(更に妻は第三子を身籠っている)の妻子持ちとなっている(因みにこの時、厳兵衛を演じたのは初代の横内である)。つまり、この時の正式名称は『安積格之進』であると思われる。

殺陣のシーンでは柔術を使って悪人を懲らしめることが多いが、剣術の腕も超一流。剣豪に扮して悪党一味に潜入する時やその腕前が披露される。
また、刀剣以外にも一通りの武器をオールマイティーに使いこなせる為、大殺陣の最中に雑魚から奪い取った、薙刀、角棒、六尺棒、金棒、火縄銃を用いて戦う事もある。
大和田伸也までは体術剣術ともに良く使っていたが、体格の良い伊吹吾郎に変わってから更に見映えのする柔術がクローズアップされた。
またこれ以降は劇中で幾度か「そなたは剣術よりも柔術が一番の得意手であるか」と各地の達人たちに指摘されている他、相撲大会などの格闘技の腕を競う場などでは御老公一行の主力的存在に立つ事が多くなる。
格さんによって見せつける時の印籠の持ち方が違い、5代目格さん役の合田雅吏はかっこよく見せる為に鏡の前で延々とポーズの試案をしていたとの事。

モデルは水戸藩士安積(あさか)覚兵衛(かくべえ)こと安積(あさか)澹泊(たんぱく)


風車(かざぐるま)弥七(やしち)
最初期からのレギュラー。
伊賀出身の忍者だが抜け忍後に義賊をし、光圀の情けで足を洗った後は仕え始めたという中々複雑な経歴の持ち主。
風車の付いた手裏剣がトレードマークで、通り名の「風車」はこれに由来する。
飄々とした性格だが根は熱く、困ってる人を見過ごせない好人物。八兵衛は義賊時代からの押しかけ弟子で、親分と呼ばれて当初は嫌々だったが後に受け入れた。

ちなみに普段所持している風車の数は4本…なのだが、作中では割とそれ以上投げまくってる。
黄門様一行とは別行動を取っていることが最も多く、姿を見せずに伝書を手裏剣に結びつけて飛ばすことも多い。
戦闘では普段と同じ格好のまま、煙玉や短刀、風車の手裏剣を使って戦う。
まるで仮面ライダーのようなアクションが多く、初期では空中二回転して現れる。(ごく稀に三回転)
なお潜入の際には忍び装束を着用している事が多い。
助さん格さんの両方が敵の一味に潜入するときは姿を隠さず御老公の側に付いていることもある。


うっかり八兵衛(はちべえ)
ご存じ食いしん坊のうっかり八兵衛。知名度の高さでは光圀一行でもトップクラスだろう。
初登場時スリをしていたのを助格に捕まり、そこから親分と勝手に慕う弥七の追っかけをしている内に光圀一行に加わった。普段は西山荘に住み込みで奉公人をやっている。

一行の中では唯一の平民で、武士だらけの一行のカムフラージュ的な役割。光圀からは平民視点を特に気に入られている。
メンバーの中では特に助さんと仲が良く、片や女遊び、方や食道楽が高じてこっそり宿を抜け出して遊びに行くことも多い。
助さん格さんからは「八」と呼ばれており、お新や、お銀と飛猿からは「はっつぁん」と一応敬称づけ。

食い意地の汚さに定評があり、ご当地名物(食べ物限定)を語らせれば右に出る物はおらず、よく食べ過ぎで腹を壊して怒られる。
基本的に色気より食い気だが、色気にも割と釣られる。大体トラブルメーカーで、KY発言で光圀の機嫌を損ねてしまう事もある。
臆病で武芸もからっきし(弱いというイメージが強いが、これでも元盗賊である為、『丸腰の相手』と『一対一』の条件であれば、勝てるだけの最低限の喧嘩の腕はある)だが、一方で身を挺して弱者を守ろうとする気概を持った正義漢。
大殺陣の時はもっぱら拘束した悪党を連れてくるか、一般人を避難させるのが役目。また、悪代官等に反発した民衆などの多数のモブが参加する大殺陣などでは群衆の先導役に立って最前線で戦ったり、助格・弥七不在時に光圀が狙われた時は、光圀を庇いながら敵に立ち向かっている。
2度ほど印籠を出したこともあるが、そのうち1回は、お控えなさってぇ~、お控えなさってぇ~!」と芝居がかって滑稽な口上と、あまりにも締まらない出し方だった為、見かねた格さんにやり直されてしまった。

第28部終了後、暫し空白期間を空けて(その間も八兵衛と似た役割を担う人物が登場したり、八兵衛自身もスペシャルで一度登場した事がある)、
第40部で久々に登場した際には、同じ名前を持つちゃっかり屋を養子としており、二代目八兵衛の「ちゃっかり八兵衛」として御老公一行のお供に同行させた。
明らかに光圀よりも老けているのは突っ込んではいけない。


(かすみ)のお(しん)
弥七の恋女房で姉御肌。彼女もまたくの一で、弥七の義賊時代の親分だった野ぶすまの仁平の娘。
通り名の由来は霞玉という名の煙幕を使う事から。
お新に横恋慕していた夜鴉の藤吉の策略で、当初は恋人の弥七を父親の敵と思い込まされ命を狙っていたが、後に和解し復縁。
弥七にベタ惚れだが嫉妬深く、弥七が女を連れていると嫉妬の炎を燃え上がらせる困った面がある。
弥七との間に娘を一人授かっており、お銀加入後は江戸で蕎麦屋「田毎庵」で留守を預かることが増え、基本的に御一行の旅の始まりと終わりを担う事が多い江戸での騒動に際して光圀達のバックアップを務めたり、稀に忍びとして同行することがある。お銀や飛猿からも姉さん的存在として慕われている。
やはり潜入時には忍び装束を着ている。


かげろうお(ぎん)/疾風(はやて)のお(えん)
第16部から登場。風呂に入ると視聴率が上がることに定評があるお色気担当。
伊賀忍の三頭領の一角である藤林一族の孫娘で、棟梁の祖父の役者は何と三代目黄門様の佐野浅夫。
なお助さんに惚れており、よく周りからからかわれる。
第16部で報奨金狙いで相棒・煙の又平と共に光圀を狙う暗殺者として登場。後に和解して又兵と共に仲間になるが、又兵は大人の事情で第17部の第一話で殉職してしまった。
敵側にいた飛猿を仇と狙うが、実はスパイで又兵を助けようとしていたと発覚し和解。

諸国を旅するときは鳥追い(三味線の旅芸人)の格好をしている。光圀一行と一緒に行動していることも多いが、弥七や飛猿と一緒に行動していることも多い。
悪者の親玉の会話を障子越しに盗み聞きするが、見つかってもその美貌ゆえ成敗されず、むしろ気に入られるのがお決まり。
相棒となった飛猿と共に悪党一味に潜り込むのが主な役目で、芸者や侍女に扮して色仕掛けを図る。
時々お風呂に入っているシーンがあるが、鼻を伸ばした悪代官や悪徳商人が一緒に風呂に入ろうとすると、大量のお湯をぶっかけられてしまうのがお決まりのパターン。

戦闘になると忍装束に着替えて現れ、刀を使うのみならず素敵な御御足で悪人共を蹴ることも多い。
忍装束は紺色をベースにしつつ、両腕や御御足の部分は網タイツになっているのが特徴。これは演者の由美かおるが得意のバレエから衣装や立ち回りを考えたことによる。
一行に同行したまま大殺陣に入った場合は鳥追いの姿のまま戦うっており、この場合は三味線で悪人をぶっ叩いたり簪を手裏剣のように投げて攻撃する。

その人気の高さから、1995年に彼女を主役にしたスピンオフ『かげろう忍法帖』まで作られたほど。ぶっちゃけ水戸黄門ファンにとっては黒歴史だが
第29部からは役名だけ変わり、疾風のお娟と言うくノ一になった。
「日本一有名なくノ一=お銀」と言っても過言では無く、餓狼伝説不知火舞など彼女をモチーフにしたくノ一は多い。


柘植(つげ)飛猿(とびざる)
第17部から登場、二つ名の通り柘植の出身の忍び。初登場時はお銀のお付きである又平を殺した黒谷の道鬼一味だったが、
実は最初から味方であり、光圀の命を狙う道鬼から光圀一行を守ることが一味に潜入する目的であった。道鬼一味壊滅後に改めて光圀一行の仲間となり、諸国漫遊の旅に同行するようになる。
寡黙でワイルドだが男前で心優しい大男で、いろいろとぶっ飛んだ怪力と頑丈さの持ち主。実はお銀に一目惚れしており、第17部で惚れられていたくれないお連とは三角関係が展開していた。
諸国漫遊の時は行商の薬屋の格好をしており、薬関係の知識は深い。弥七を尊敬しており、彼の不在時は荷物に風車をぶら下げている。
黄門様一行とは別行動を取る場合が大半で、登場の際はお銀と、その地から去る時は弥七と一緒にいる事が多い。3人で動いている事もあれば、黄門様一行と共に動くこともある。

主にサポート役がメインで、お銀が接触を図る悪人の酒に天井から睡眠薬を混ぜるという離れ業を見せたり、風呂場でお銀のお湯攻撃に怯んだ悪人を気絶させたりする。
また、薬師としての知識から仲間や悪人に傷を負わされた人間の救助によくあたる。お銀と一緒に街の悪党の懐に潜入する事も多く、その際はもっぱらお銀のサポート役。
また飛脚や馬に乗っての遠距離の伝達や確認など、持久力の必要な仕事も大体飛猿が請け負う。弥七が不在の場合は、風車の代わりに猿面を投げ込み情報を流している(そして大体八兵衛の頭に猿面が直撃する)。

また牢屋の鍵を力ずくで壊す、牢屋の格子を力ずくで破壊する、牢屋の壁を外部から力ずくで破壊するなどピッキングいらずの離れ業を見せる。
しかし偶に針金でこじ開けたりもするなど手妻にも通じており、その時の気分や状況次第で牢破りのやり方は変わるらしい。

戦闘時には忍装束姿となって現れ、開けた胸元からはたくましい胸板が見えている。最初期は忍者刀で戦っていたが、19部からは戦闘手段は基本的に徒手空拳となる。
格さんの柔術と違い、こちらは空手や拳法といった打撃技と怪力を活かした力技がメイン。壁などをぶち破る、相手にチョップをかます、巨大な岩や丸太を持ち上げて投げ飛ばす、跳び回し蹴り、悪人共の頭と頭をごっつんこさせてノックアウトするなどが定番の立ち回り。
2人か3人くらいまとめて倒してしまうのはもはや定番。野村将希の体格や動きのキレと合って見映えが大変良い。
なお、稀に一行と同行して薬屋姿のまま大殺陣に入ることもあるが、この場合は蹴り技を使わずに腕力に物を言わせることが多い。

お銀や弥七とは被る部分も多い立ち位置でありながら、2人とは全く違う個性を発揮するキャラクターである。
弥七役の中谷一郎の体調不良による負担軽減の為の代役として登場した経緯があり、弥七不在の際は飛猿が切り札として活躍する事も多い。
ただ残念なことにお銀の人気があまりにも高すぎるため、その陰に隠れがち。
第28部を最後にリストラされるがその後のスペシャルなどでは登場しており、ドラマ終了後も里見浩太朗が演じた舞台版において、弥七を差し置いて登場するなどそれなりに優遇されている。


【定番の台詞】

◆「○○の名産と言えば何といっても△△でしょう。」
御老公や八兵衛が冒頭で良く言う台詞。
その地の名産や名物をクローズアップする台詞で、現代のその地に住む視聴者にはニヤッとする一幕。
水戸黄門の人気の一端でもある全国各地を巡るという行為を、ダイレクトに其処のご当地視聴者に伝えてくれる貴重なシーンとも言えるだろう。
話の導入で話題になるだけのこともあれば、実際にみんなで舌鼓を打ったり、またはトラブルの火種になっていたりとバラエティに富んでいる。
トラブルの場合は頑固者の職人が家族を省みず悪人と孤立していたり、藩の高官と悪徳商人が結託して安く買い叩いた上で専売で利益を得ようとしているなど、パターンはだいたい決まっている。

◆「ただの旅の隠居ですよ。お節介焼きが玉に瑕と供の者に言われますがね。」
御老公が本格的に代官や家老たちに対抗しようとする時に、「御隠居様は一体どのような御方なのですか?とても尋常な方とは思えませんが…。」と訊ねる被害者に返す言葉。
一介の旅の隠居が藩の重役たちに臆面なく立ち向かう事を不思議がる人たちの心情が良く分かる。
言葉に反して「私はただの隠居ではありません。あなた方の窮状を救える者です」という宣言であり、「それは後で分かる事です」などと更に露骨な言い回しをすることも。
物語のターニングポイントとなる台詞であり、だいたいここらへんでCM入りするパターンが多い。

◆「助さん、格さん、懲らしめてやりなさい!」
大立ち回りが始まる際に御老公が発する台詞。これを言う前に殺陣が始まり、途中で改めてこれを言うパターンもある。
メタ的な言い方で説明をすれば、「ここからが今日一番の見所ですよ」といった所か。
「懲らしめてやりなさい」の台詞が出ると、殺陣のBGMも変わる。

◆御老公「助さん、格さんもういいでしょう。」
助「鎮まれい!」
格「鎮まれい!」

助「ええい、鎮まれい!」
格「鎮まれ鎮まれい!」

格「この紋所が目に入らぬか!」
(デーン!)
(一同ビックリ)
格「こちらに御座(おわ)す御方をどなたと心得る!畏れ多くも(さき)の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ!」
「水戸の…!?」
「御老公様…!?」
助「一同、御老公の御前である。()が高い!控え居ろう!」

印籠を見せつけて一同をひれ伏させるときの台詞。
当初は色々形があったが、格さんが大和田伸也に交代した頃から「もういいでしょう」から「控え居ろう!」までがパターンとして確立された。
助さん格さんがそれぞれ一回「鎮まれい!」と言ってから印籠を出すまでのセリフや印籠を出したときの一同の反応はその回や演者によって微妙に変わる。
一同をひれ伏させた後で御老公が悪党の親玉に対して、
「××の身にありながら、庶民を甚振るその方らの行為は言語道断である。藩公○○殿(藩主の名前)より、追って厳しいお沙汰/お裁きが下されるであろう故、覚悟致せ(要約)」と言って観念させ、悪党共に迷惑していた領民には優しい言葉を掛け、時には何かしらのご褒美が与えられる。
また被害者側に酒に溺れて働かない、博打狂いなどの悪癖がある場合はこの時に更生を誓うことが多い。


【お約束・よくあるパターン】

◆往生際の悪い悪人
正体を明かした黄門様から、悪事を糾弾された悪人達の多くは素直に認めて、「恐れ入りました!」「申し訳ございません!」と観念するが、たまに黄門様の正体を知って尚も自分の悪事を認めずに、言い訳をしたり、しらばっくれたりする。
その際の口ぶりは「恐れながら申し上げます」「御老公様の御言葉ではございますが…」のどちらかで始まる事が多く、「(それがし)、(※行った悪事の内容)など、一切身に覚えはございません」「どこでそのような事をお聞きなされたかは存じませぬが、何かのお間違いではないでしょうか?」などとしらを切ったり、「全てはこの○○屋や××一家が勝手に行った事!寧ろ、この私もこやつらに誑かされた被害者です!」と自分の悪事を共謀者達に全て押し付けるなどして、言い逃れようとする。またひどい時には「私はこやつらの怪しい噂を聞きつけ、彼らに取り入って情報を得ようとしていたまで」などととんでもない嘘をついたり、御老公の面前で共謀者を斬り捨てる事で、強引に身の潔白の証しとしようとするなど、形振り構わぬ行動に打って出ようとする。
しかし結局は黄門様から決定的な証拠を突きつけられたり、生き証人として身柄を押さえられた悪人を連れてこられ、観念せざるを得なくなる。
なお(主にかねてより徳川家に敵意を持っていた者は)悪事を糾弾されて「もはやこれまで」などと自棄を起こして、自害を図るフリをして黄門様に斬りかかろうとするパターンもあり、この場合は助さん、格さんが刀を払うなどして「痴れ者/戯け者!」などと一喝されるのがお決まりのパターンである。

◆お銀の潜入
動かぬ証拠を抑えるべく、お銀が悪党共の屋敷に潜入して親玉の持つ書状や証文などを盗む。
主なパターンは芸者で、大抵の場合「銀奴(ぎんやっこ)/娟奴(えんやっこ)」と名乗る。
侍女など芸者以外の場合はそのまま「お銀/お娟」と名乗る。
盗み聞きをしてわざと見つけられる場合が多いが、芸者の場合は新入りと称して他の芸者と共に座敷に上がるかのどちらかで悪党の気を引くこともある。
いずれのパターンでも美人であるため新顔にもかかわらず即座に気に入られ、親玉に接近することに成功する。
その後は風呂か酒を使って親玉を気絶させ、書状などを盗むパターンが多い。
  • 風呂の場合…「お風呂に入りたい」と言って席を外し、悪党は一緒に風呂に入ろうと後から風呂場にやってくる。
    しかし風呂場の扉を開けた瞬間に洪水のような大量のお湯をぶっかけられ、更にいつの間にか背後に現れた飛猿によって気絶させられる。
    狙った相手が悪代官や悪徳奉行の場合、風呂場の扉を開けたら風呂に入っている女性が奥方、最悪飛猿に入れ替わっていると言うオチもある。
  • 酒の場合…お銀が悪党の気を引き、その間に天井裏に控えた飛猿が酒の入った徳利に睡眠薬を垂らして盛り込む。
    お銀がお酌をした酒を飲んでいい気になった悪党はお銀を床に誘い、良からぬことをしようと襲ってくるが、その頃には薬が回っており、突如として意識を失ってしまう。
    気絶した所でお銀は書状などを懐から取り出し、天井裏に控えた飛猿に預ける。また、なかなか薬が回らず悪党が気絶しない事にお銀が焦り、ギリギリのところでやっと悪党が気絶すると、飛猿に対して抗議し、それに対して飛猿が「ちょいと薬の量が足りなかったかな?」と茶目っ気を含ませながら詫びを入れるやり取りもよく見られる。

◆お銀の壺振り
お銀が賭場に潜り込み、壺振り師としてサイコロを振る。
お銀は美人であることに加え卓越した壺振りの技を持っているため、
悪党共は彼女を疑うことなく期待の新入りとして歓迎する。
だいたい賭場の下に別の壺振り師が弥七か飛猿と一緒に潜り込んでおり、
手裏剣などを突き付けられ、脅迫される形で出目を操作する。
意図的にトラブルを引き起こすため、イカサマを使って狙った相手を敢えて勝たせると言う戦術。

◆家族問題
嫁姑、碌でなしの息子に頭を抱える母と妻、後添えの妻子と元嫁の娘や息子との確執などなど。
武家の家に嫁いだ嫁が気に入らない姑の嫁いびり、逆によく出来すぎた嫁にいじける商家の息子、自分の息子or娘可愛さに元嫁の子をいびる(夫は大体死亡・病身・職人気質で聞く耳持たない)などのパターンがある。
どれも大体黄門様に取りなされて大立ち回りの前くらいに自分の行った仕打ちを反省し、改心・仲直りする。

が…中には印籠を見せつけるまで納得しなかった頑固な姑もいたりする。
この際、格さんが提示した印籠の紋所をちゃんと見ていなかったとはいえ、武家の者(それも徳川家縁の三河武士の関係者)でありながら「そのような紋所など目に入りませぬ!」と暴言を吐きながら葵の印籠を格さんの手から払い飛ばすという暴挙を行った事も(幸い印籠は床に落ちる前に助さんがキャッチして無事だった)…痺れを切らした黄門様が自ら名乗り出る形でようやく御老公の正体を知ると自分が今しがた犯した暴挙を含め、たちまち顔を青ざめながら、大慌てでひれ伏しながら詫びたものの、万が一印籠がそのまま床に落ちていた場合、姑は勿論のこと家長である息子も(切腹)自害して侘びねばならぬ程の大事になる*3事は間違いなく、ましてや上役が見てたら家名大事どころか全員死罪の上お家取り潰しになるレベルである。

また、後添えの妻の場合は性質が悪いものになると代官や家老と組んで夫を毒殺などして乗っ取りを企んだりした事もある。
この時ばかりは商家は闕所、後添えの妻も他の悪人共々引っ立てられる顛末を迎えた。
元嫁の娘は当然御咎めなしだが。

あくまで家の中の問題であるため、この話が大立ち回りの黒幕たちとは直接関わらない事もがある。

◆お世継ぎ問題
大体1クールに1~2話くらいある各大名家のお世継ぎ騒動。
場合によってこの話を解決する為に諸国漫遊に出る事もある。
この場合は問題の地から姫君などが従者を伴ってお忍びで水戸を訪れ、直々に黄門様へ助けを求めてくる。
そして問題の地に着くまで姫君と従者が世直しの旅に同行するか、黄門様に後を託してその場で力尽きてしまう。
事が表に出ると大事であり、事情が事情なので出てくる悪人も筆頭家老・次席家老・城代家老、藩主の側室など大物ばかり。
大体お世継ぎにかこつけて家老と側室が藩の実権を握ろうとしている。
若様が兄弟であるなど藩を二分する争いになってる事も少なくなく、悪人と対立してる家老・教育係の爺・忠義者の下級武士などは大体藩主の勘気に触れて閉門・蟄居・謹慎中。
また兄弟が後継の場合は仲が良いというパターンが多く、悪人が持ち上げている当の本人は「兄上(あやつ)が後を継ぐべき」などと全くその気がないことが多い。
なお藩の若い侍達が勢い任せで悪家老の首を狙う場面も多いが100%失敗する。
最終的に黄門様によって悪家老が断罪されると進退窮まった共謀者の側室は自害しようとするが黄門様や藩主に止められ、「其方は息子への愛情ゆえに周りが見えなかっただけ」などと諭されて改心し、処分に関しても出家などの比較的寛大な裁きを下される事で収まる。

◆仇討ち
これも大体1クールに一回くらいある。
水戸黄門の中でも特にバリエーションが豊富な題材で、親兄弟の仇討ちだったり主君の仇討ちだったりするし、対象の仇も已むに已まれず相手を討ったり、別人(その事件の黒幕)によって汚名を被せられた善人である事もあれば、私利私欲で相手を殺害した悪人の事もある。
特に相手が悪人だった場合はその相手が非常に悪辣非道な事が多く、黄門様たちの手助けで仇討ちを成功させる時は実に爽快。
一方で仇相手が善人だった場合は黄門様の執り成しにより仇討ちを取りやめる事がほとんど。
仇討ち免状が藩主の許しから発行されるのでそれを反故する理由の説明役として黄門様の出番となる。
初期の頃は容赦なく切り捨てたが中期の後半くらいからは直接的に殺害する事は少なく、当地の藩主に裁きを任せる事も多くなった。

◆芝居小屋
悪党一味の前で芝居を披露する。実名で劇を演じ、代官などの悪行を暴露する。
代官などの悪党は根も葉もないことを言ってコケにされたと怒り、代官とつるんでいる悪徳商人などが用心棒共に御隠居達を切り捨てろと命令し、お馴染みの大立ち回りが始まる。
大体御老公は本人役でこの芝居に出演し、「恐れ多くも水戸の御老公の御名を語る(または「このような酷い芝居に水戸の御老公の御名まで用いてこよう」)とは不敬にもほどがある!」と悪代官などが叫んで、黄門様が「いえいえ本人が自分の名を語るのだから良いのですよ」と返す事が多く、その発言にさらに腹を立てた悪代官が「不敬な連中を切り捨てろ!」と言って大立ち回りに発展するケースもある。

◆印籠紛失事件
持ってた印籠を紛失してしまう事件。
大体掏り取られるか、風呂に入ってる間に奪われたりして失ってしまう。
場合によっては更に黄門様と助さん格さんが囚われの身になってしまうパターンもある。
後は盗人が売り払ったり賭場で駒に変える時に藩の重役につるむ商人や悪党から藩の重役へと渡され、印籠を手に入れた藩の重役はそれを悪用(『印籠を使って公儀または徳川家縁の者と偽の使者を立てて、城下の商家から金を巻き上げる』『印籠を公儀からのお墨付き代わりにして、自身の行う悪事を正当化させたり、強行しようとする』等)しようと企てたり、印籠を餌に将軍家に取り入ったり、たかりを謀ろうと目論む。
なお盗人は大体口封じされるか、弥七・お銀・飛猿に捕まえられ、拷問じみた事を受けて印籠の行方を白状させられ、最後は悪党一味と共にお縄になる等の暗い未来が待っているが、盗人がその回で黄門様と関わる現地の人間の血縁者(放蕩の末に家出した息子・娘など)の場合は、印籠を持っている事に気づいた藩の重役や商人達から、公儀関係者や御老公一行の御先払いと勘違いされ、甲斐甲斐しくもてなされる事となり、最初はそれをいい事に豪遊するが、やがて藩の重役や商人達の悪事や、自分の家族を含めた故郷の人々の苦しむ姿を目の当たりにしたり、印籠の在り処を知った黄門様から諭されるなどして、悪党達の悪事を暴くのに協力し、最終的にその奮闘・手柄に免じて、印籠を取り戻した黄門様からお咎めなし(または真面目に家業を継ぐ事を条件に放免)になる。
また、印籠や、売り飛ばされた荷物などは最終的に弥七か飛猿がこっそり忍び込んで奪い返すのが大体のパターン。
囚われの身になっていた場合、ここで天井裏から弥七か飛猿が印籠をこっそり黄門様に渡し、
黄門様が印籠で身分を証明することで相手は震え上がって一行を釈放する。

また印籠を持つ格さんが責任を感じて無茶をする事は多い。
御老公から格さんへの親子にも似た信頼関係や助さんとの友情を再確認するエピソードも多い。

一方で黄門様が博打に嵌って巻き上げられたり、みんなで風呂に入ってる間に奪われたりした時などは何の呵責も無い。
まぁ格さんのせいじゃないしね。

末期では、格さんが腹痛で寝込んでしまい、黄門様と助さんの2人だけで悪党の本陣に乗り込んでいくが、その際に格さんはうっかり印籠を黄門様達に渡し忘れ、手元に置いたままにしてしまっていたというレアケースもある。
この時、黄門様は将軍綱吉公の代理で参拝していた伊勢神宮の参拝証文(徳川家の家紋と綱吉の名前入り)を、印籠の代わりに見せる事で身分を証明し、悪党達を成敗した。

なお、黄門様が持つ刀の柄や紐止めなどの小物にも葵紋は使われており、印籠を奪い返された悪党がそれに気づいて、印籠の真の持ち主である事に気づいたり、初期の頃には悪党から無理矢理にかっさらう形で奪い返し、悪党の目の前でそれと示し合わせる事で印籠の真の持ち主である事を証明したパターンもある。

◆偽黄門様御一行
とある老人が諸国漫遊の黄門様に扮して、悪事を解決しようとしたり、些細なきっかけから黄門様と誤解されてしまうパターン。
黄門様は敢えて文句を言わず、偽黄門様御一行を本物として立てる。
老人はその土地の人間なので、だいたい途中で正体がバレるのがお決まり。
また、敵の目を欺くために影武者の一行という形で黄門様公認の場合もある。
光圀役が交代される頃に放映されることが多く、数年後に新黄門様役となる人が偽黄門様役を演じることが多い。
特に三代目となる佐野浅夫は黄門様役を演じる直前に「悪政を正すために光圀を騙る」という目的を持った元宇和島藩士を演じており、この時は助さん格さんが納得するほど本物らしい振る舞いであった*4

◆そっくりさん
黄門様御一行の誰か*5と瓜二つの人物が現れて、人違いから物語が発展するパターン。
特に黄門様のそっくりさんは本物と対照的な性格であるパターンが多い。
そっくりさんは当然ながら1人2役となる。

なお、第40部では原田龍二演じる助さんによく似ているという宮大工役で原田の弟である本宮泰風が演じるという変わったパターンもある。


【よく言われる(野暮な)ツッコミ】

◆明らかに元禄時代のものではない風俗が次々出てくる(レギュラー陣の身なりからして明らかに江戸後期のもの)
→そもそも原作が江戸末期。

◆世直しとのためとはいえ、公的な身分を退いた身で、しかも身分を故意に偽った上で他藩の内政に干渉するのは問題があるのではないか
→そもそも原作が江戸末期、現在の助さん格さんがある同行する形になったのも明治期で、当時の庶民にウケが良い筋書きにしただけにすぎない。
→身分を偽らないと武家の棟梁である徳川家の人間として、即ち公的な形で裁かなければならなくなり、下手すると藩取り潰しになりかねないレベルの失態もあるので、そちらのほうが徳川幕府やその藩としても都合は良い

◆「懲らしめてやりなさい」つったって、ただ上の指示で仕事をしているだけであろう小役人たちを懲らしめたって仕方ないのでは
→下っ端を蹴散らさなければ親玉も始末しにくい
ちなみに、最初期の話では助さん格さんも手向かってくる敵は容赦なく斬り捨てており、ある話では光圀を『騙り者』と見做したある藩の若藩主が、お付きの側用人や藩士達に光圀達を斬り捨てる様に命じるが、この時、この場には悪臣はおらず、全員が藩主に忠実なだけの家来であったが、状況が状況だけに助さん格さんはやむなく斬り掛かってきた藩士達を全員返り討ちにし、最終的に側用人までも斬られたところで、事情を正しく把握した家老が駆けつけ、やっと若藩主も光圀が本物であった事を気づくが既に時遅く、側用人はじめ大勢の家臣が助格の手で討ち果たされ、その場は死屍累々の様相へと変わり果て、光圀から「そなたの浅はかさな振る舞いが大勢の忠臣を失う結果になった」と窘められた若藩主は、己の短慮さを悔いて涙を流す…という、若藩主側は勿論、光圀一行としても釈然としないオチに至った話もある。
この一件は助さん格さんにも少なからず影響を与えるきっかけとなったのか、この回以降助さん格さんは、単に上の命令に忠実なだけの雑兵達は峰打ちにする事が増えていき、基本的に敵は峰打ちに徹する様になった中期・後期以降は上述のようなケースは皆無になった。

そもそも最初から印籠を見せて身分を明かして動けばもっと簡単に事件は解決するだろう
→解決を図る前に警戒されて証拠を迅速に隠滅される可能性が出てくる
→実は、初期の話ではいきなり身分を明かす回がちらほらあるが、証拠がそろってない段階で公表してしまうため、悪党がはぐらかしてしまい、「恐れ入りました」させるに至らず、むしろ証拠隠滅に奔走させてしまい、町人や善良な武士等に被害が出たり、光圀自身口封じに謀殺されそうになるケースまであった。
これは初期のシリーズや話で情報収集に奔走する忍者組が居なかったりするのでよく起きていた。
弥七一人では情報収集と口封じで狙われている町人の護衛が追い付かなかったりすることも。
捜査中に被害者がほぼ出なくなるのはお銀、さらに飛猿も参加したことで悪代官・手下のヤクザ双方を同時に調査できるようになってからである。

【出演者】

42年も続いたシリーズであるため当然ながら同じ人が延々と出演できる訳はなく、
年齢が上がって体力が落ちたため降板した人や、亡くなった人も少なくはない。
1部あたり20話近く毎回出演することもあり、特に忍者役はアクション系の演技も行うため、
場合によっては単純な時代劇のレギュラー出演よりも体力を要する場面が多い。

なお、出演者は俳優としての実力を問われるため、ジャニーズ系は退所者を含めても殆どおらず、メインキャストではあおい輝彦が唯一の該当者となる。
あおい輝彦はジャニーズ事務所の初代グループ「ジャニーズ」のメンバーで、デビューしたての頃は童顔の爽やか系イケメンであった。最近のジャニーズ系では嵐の大野智に雰囲気が近いと言えば分かって頂けるだろうか。
当然ながら昨今のジャニーズ系とは違って初出演時から演技力は高く、殺陣の見映えも素晴らしいと実力も十分備わっている。

◆水戸光圀
演:東野英治郎/西村晃/佐野浅夫/石坂浩二/里見浩太朗/武田鉄矢

  • 東野英治郎
  • 第1部時点ではまだ62歳であったが、老け顔であったため老人役がよく似あっており、時として怖そうに見える風貌が印象的であった。
    物語の締めの呵々大笑は黄門様の決めポーズとなり長く愛される一因となった。
    通称じゃがいも黄門。

  • 西村晃
  • 初代よりも若々しく、穏やかでどこか上品な振る舞いが特徴。そのためシティーボーイ黄門と呼ばれた。
    お茶目な感じでもあり悪人たちと相対した時、歴代黄門様の中でも特に飄々とした演技でからかう。
    また後のレギュラー陣の多くが彼の時に集まっており水戸黄門の代名詞と親しまれた。

  • 佐野浅夫
  • 歴代の黄門様の中で最も「好々爺」たる雰囲気が出ている。またやや高圧的な初代、高貴な感じのする二代目と違って庶民的で慈悲深い。
    よく感激して涙するシーンが多く、泣き虫黄門様(当然悪い意味では無い)と呼ばれ親しまれていた。

  • 石坂浩二
  • 当初、史実に沿った(水戸黄門の生きた時代である将軍綱吉の時代には武士は髭を生やすことを禁じられていた。)髭無し黄門様を試みたが、結果は不評であった。
    第29部の最後に作中で色々とあった事から髭を伸ばす。

  • 里見浩太朗
  • 元・二代目助さん役。歴代黄門様の中で最も男前で体格が良く、時代劇のベテランである上に、助さん役で養った経験から殺陣でも助さん、格さんに引けをとらぬ程に見せ場が多い他、往生際の悪く言い訳をゴネたり、自棄を起こして刃を向けてきた悪人を助さんに任せずに自ら杖でぶっ叩いて制裁を加えるなど、歴代中でも群を抜く武闘派。あと元が助さん役なせいか、遊郭や京遊びなどに行きたがる等、何かと羽目を外してしまう場面も多い。
    水戸黄門では黄門様の過去は余り語られないが、この頃には何度か過去が語られている。
  • 三代将軍家光公の甥御様ではないため、お付きの爺やと共に二刀流で悪人どもを切り伏せるような物騒な事はしない。
    また、肩に桜吹雪の入れ墨なんて入ってないし、鼠小僧治郎吉の取り調べを行った北町奉行でもない。
    どれにしても悪人どもは迷わず地獄に送られるが。
    だが、レギュラー放送終了後に放送されたスペシャル版では、悪役のあまりの悪辣ぶりに激怒し、助さん、格さんに任せず、自ら切り伏せて成敗を下した。
    その際、黄門様に歯向かおうと刀を抜いた悪役に対して即座に脇差しを用いた居合抜きで返り討ちにするという「武闘派」の名にふさわしい鮮やかな太刀筋を披露した。
  • 2022年6月11日に放送されたNHK・Eテレの番組「ワルイコあつまれ」のコーナーである「慎吾ママの部屋」で、香取慎吾扮する慎吾ママと共演している。チャンネル的にカオスである。
  • なお、里見浩太朗は二代目助さん役時代を含め、初代から六代目までの格さん全てと旅に出かけている。
    実は助さん時代の14部で黄門様に変装した事もある。

  • 武田鉄矢
  • 以前は『3年B組金八先生』の主人公・坂本金八を演じていた事もあって「金八黄門」とも呼ばれる。『金八先生』に出演した俳優・女優数名がゲスト出演しており、加藤優役で出演していた直江喜一も六代目黄門各シリーズの初回にゲスト出演している。
  • ゲストに浅野温子が出演した時、ドラマ「101回目プロポーズ」を思わせるシーンも登場している*6

◆佐々木助三郎
演:杉良太郎/里見浩太朗/あおい輝彦/岸本祐二/原田龍二/東幹久/財木琢磨

後述する格さんにも言える事だが、いずれも放送当時若々しくて二枚目の俳優と言う顔ぶれである。
こちらはいずれも放送当時、スラッとした体躯に爽やかな雰囲気の好青年であり、格さんと並ぶと色男ぶりが際立つ。

◆渥美格之進
演:横内正/大和田伸也/伊吹吾郎/山田純大/合田雅史/的場浩司/荒井敦史

助さん役に負けず劣らずの若々しく男前の俳優ばかりで、こちらは屈強な肉体で精悍な風貌に定評のある人物が多い。
単体では感じにくいが、俳優の演技も相まって助さんと並ぶと堅物っぷりが強調される。
なお、最終回後に放送された2015年のスペシャルでは、六代目ペアではなく五代目ペアが出演している。
ちなみに、初代・2代目の格さんは後年「暴れん坊将軍」で大岡越前役を演じている。

◆うっかり八兵衛
演:高橋元太郎
オンリーワンの存在であり唯一演者が変わっていない。
後のシリーズではよろず屋の千太、おけらの新助等同じようなコメディリリーフが登場しており、第40部以降ではうっかり八兵衛の養子として林家三平演じるちゃっかり八兵衛なるキャラが登場した。

高橋氏は水戸黄門と同じくナショナル劇場枠で放送されていた時代劇「大岡越前」の岡っ引き・すっとびの辰三役*7をはじめとして、TBSのこの時間枠のドラマに多数出演している同枠の顔でもあった。

◆風車の弥七
演:中谷一郎/内藤剛志/津田寛治
人気がある上に黄門様が代替わりしてもこちらは代替わりしないため、演者の中谷一郎の年齢が上がって徐々に負担が大きくなっていった。
後述するお銀や飛猿は中谷の負担を減らすために投入されたキャラクターである。
また、第22部10話に至っては爆発に巻き込まれて重傷を負い、療養による離脱を余儀なくされるという展開が描かれ、制作側が中谷を休養させている。
初代の中谷が最後に出演してから内藤剛志が二代目として出てくるまで8年程の間が空いている。
内藤剛志は面長なので役者の素顔から抱くイメージは中谷一郎とは違ったものになるが、劇中での雰囲気は中谷一郎の弥七をしっかり受け継いでいる。

◆霞のお新
演:宮園純子
中谷一郎が弥七を務めていた頃のみ出演している。
弥七は二代目になったが、お新は誰にも引き継がれなかった。一応演者の宮園純子はレギュラー降板後、度々別役で登場しており、最終回スペシャルでも別人ではあるが、お新を思わせる役どころで登場している。

◆かげろうお銀/疾風のお娟
演:由美かおる
飛猿共々当初は弥七役の中谷一郎の負担を減らすために投入されたキャラクターであったが、
結果的にシリーズの中では最も人気の高い人物となってしまった。
50歳を過ぎても尚、若かりし頃と変わらぬ色気を漂わせる事に定評がある。
歳を重ねても美しいプロポーションとしなやかな身体を維持し続けており、
入浴シーンではきめの細かい肌、大殺陣では年齢を感じさせない華麗な動きを見せ付けて長年に渡り非常に人気が高い。
女優としてプロポーションを維持する為に出産経験も無く、2013年まで未婚である。ちなみにスリーサイズは15歳のデビュー当時から65歳を過ぎた現在もほぼ変わっていないとの事。半端じゃねぇ…。
ほぼ毎回のように入浴シーンがあるが、エロいと言うよりも色っぽい。
正統派入浴シーンでありながらエロくないため非常に人気が高く、29部のレギュラー総入れ替えの際にも唯一続投した。
シリーズ終盤では体力的な負担から降板し、雛形あきこが演じる楓というくノ一が登場した。
BS-TBS版では類似ポジションとして篠田麻里子演じる誌乃というキャラが登場している。

◆柘植の飛猿
演:野村将希
40を過ぎても年齢を感じさせないパワフルなアクションを披露し続けた。
スペシャルで再登場した頃には50を過ぎており、2015年には63歳を迎えたが、やはり衰えは感じさせない動きを見せている。
筋骨隆々とした非常に逞しい体であるが、肩幅が広く長身で腕が長いため、力強さを見せ付ける場面でも動きがもっさりした感じにならず、むしろ綺麗でキレが良い。
飛猿は第29部以降レギュラーを降りるがやはり人気があった為、少し後に類似ポジションで風の鬼若(演:照英)という怪力の忍者が登場する事になる。


【オープニング曲】

『ああ人生に涙あり』
作詞:山上路夫、作曲:木下忠司
「〽人生楽ありゃ苦もあるさ~」で始まるお馴染みの曲。
初代から一貫して歴代の助さん格さん役の俳優が歌っている。


【余談】

  • 本編は1話完結の話がほとんどだが、初期は2話完結の構成になっていた。
    所が視聴者のお年寄りから「後編を見逃したまま死んだら死んでも死に切れない」と苦情があり、1話完結の流れになったという。
    また、ある大御所が視聴中、殺陣の最中に電話が来て肝心の印籠シーンを見れなかったとのことでそれ以降印籠シーンは夜8時43分頃に統一されたという。
    • 妥協点として、長編エピソードは2時間枠のスペシャルで放送するという措置が取られている。
    • 北海道出身のため暑がりで冬でも冷房を付ける伊吹吾郎と寒がりなあおい輝彦はよく冗談交じりでケンカしていたという。
  • 実は水戸黄門一行の方が明らかに悪者となった回がある。
    • その回では最後の殺陣の相手はある藩の藩士一行であり、水戸黄門一行はその藩士が狙う男女を守る形で殺陣を行っているのだが。
      男:その藩の特産品を生産している一家の息子で脱藩しようとしている最中に藩士一行に追い付かれた
      女:男に本気で惚れて抜け忍になったとは言え、その特産品を盗作しようと近隣の藩の命を受けて潜入したくノ一
      …そら追いかけるわ。
    • さすがに黄門様も後ろめたい物はあったのか、いつもの口上が「懲らしめてあげなさい」ではなく「手加減してあげなさい」になっており、
      助さん格さん達が時間を稼いでいる間に予め弥七に命じて藩主に届けていた手紙を見た藩主が駆け付けると言う形であり印籠も見せていない*8


【アニメ化】

1981年には『まんが水戸黄門』のタイトルでテレビアニメにもなっている。制作元はナック
…そう、 あの『チャージマン研!』のナックである

内容の方は制作会社でお察しの通り。
黄門様が空気だったり、助さん格さんが必殺技を連発したり、文字通り人間離れしたパワーを持った超人になっていたり。
ただ、「ナックの音楽にハズレなし」の例に漏れず、OPテーマの『ザ・チャンバラ』をはじめ、BGMは評価が高い。



【ゲーム化】

そして1987年にはファミコンソフトにもなっていたりする。制作はサン電子。
…そう、あの『いっき』のサン電子である。
失敗した時の悪代官の「残念でしたなぁ…黄門様!」の台詞は往年のゲーマーの間ではかなり有名。
一定時間内に、襲ってくる悪党の手下を懲らしめる、人々から話を聞くなどして様々な悪事の証拠を集めて黄門様に報告し
印籠を見せ付けて一件落着。

一作目『天下の御意見番 水戸黄門』はテレビシリーズと同様、日本各地*9を巡りながら悪党を懲らしめるストーリーだったのだが、
二作目の『水戸黄門Ⅱ~世界漫遊記~』では、タイトル通りに海外へ足を延ばし、
西部開拓時代のアメリカでアウトローを成敗したりドイツで吸血鬼ドラキュラ相手に立ち回ったりというデタラメな内容になっていた。
外国で三つ葉葵の印籠が通用するのかというツッコミは野暮。
ドラキュラはドイツじゃなくてルーマニアだというツッコミも無粋。


【アニヲタ関連】

2013年には水樹奈々が自ら座長を務めるライブイベント『水樹奈々大いに唄う 参』で『光圀-meet, come on!-』として舞台化。
水樹が女体化お祭り好き黄門様を演じ、お供として保村真(助さん)・小西克幸(格さん)・杉田智和(うっかり八兵衛)・沢城みゆき(かげろうお銀)・浅沼晋太郎(風車の弥七、本作の脚本・演出家でもある)が出演。
他には敵役の悪代官として松本保典、その部下役で名塚佳織、謎の青年役で宮野真守、黄門様に助けられるヒロインとして能登麻美子福圓美里が登場。ナレーターも本家地上波版末期と同じ槇大輔となっていた。
筋立て自体はシンプルなアクションコメディものだが、背景に『竹取物語』があったり、一応時代劇なのに現代のネタや中の人ネタが出てきたリとハチャメチャだった。




「助さん、格さん、アニオタさん、追記・修正してやりなさい」

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最終更新:2024年04月11日 17:53

*1 なお、一行で一番偉い黄門様と一条三位はどちらも従三位中納言であり、官位の上では“同格”である以上、三位が頭を下げる必要はなく、それ故に光圀も菊亭左大臣に出張って貰い、裁きを委ねることにした。ちなみに余談ではあるが、公家は日本で最も偉い天皇直属の家来、武士は天皇の家来である将軍の家来なので、必然的に武家よりも偉いということになる…っというのが表向きの建前であったが、現実の江戸時代では実質的には徳川家の方が天皇家より位が高い扱いをされていたのが実情だった。そして光圀自身は徳川家では珍しく強い尊王思想を持っていたことから、帝からの信頼も厚かった為、通常の中納言以上の待遇や権限を与えられていたという。

*2 非常にレアなケースではあるが、敵の親玉を自ら一刀のもとに斬り捨てたシーンは存在する。詳しくは後述。

*3 徳川家の家紋『葵の御紋』が付いた品を幕府関係者の面前で粗末に扱った場合、不意、故意問わず、当事者(特に武家の人間)は切り捨て御免か切腹or自害を求められる程の不祥事であり、ましてや『葵の御紋の入った品をわざと床に払い落とす』行為は『徳川家への叛逆を宣言している』にも等しい不敬極まりない行為として扱われる。

*4 第21部・第14話『瞼の父は偽黄門』

*5 大抵は黄門様、助さん、格さんが多い。

*6 ドラマ共演も「101回目のプロポーズ」以来である。

*7 ちなみにこの辰三役を演じていたのが好評で、水戸黄門でうっかり八兵衛が作られた。

*8 藩主が黄門様一行に切り掛かっている藩士を慌てて止めに入り、黄門様の正体を明かす形

*9 第16部のルートを踏襲している