龍札(遊戯王)

登録日:2022/07/04 Mon 03:46:02
更新日:2025/03/23 Sun 15:43:04
所要時間:約 7 分で読めます





龍札(ドラゴン・カード)とは、漫画『遊戯王』に登場するオリジナルゲームである。


【概要】


原作第46、47話「魔の龍札(前編・後編)」にて、遊戯のクラスメイト井守が持参したカードゲーム。
トランプや花札の様に一揃いのカードセットを用いて遊ぶゲームである。

カードは木製の匣に入れられており、小さな壺と共に縄で縛り付けられる形で「封印」されていた。

作中では「中国に古くから伝わる伝説のカードゲーム」という設定。
なのに、なんで「ドラゴン・カード」と英語読みなのかは気にしてはいけない。
道教を学ぶ風水師達の修行の最終試験に用いられたらしく、

「封印を解くと溢れ出る闇の力によって陰と陽のバランスが崩れ、その土地に災いをもたらす」
「封印し直すためにはゲームを執り行い、敗者の『心』を壺に捧げるしかない」

など物騒な謂れが並んでいる。
確実に死人が出る仕組みで試験を執り行う鬼畜スタイル。


井守は元々ゲームコレクターであった祖父の蔵からこれを見つけ、「ゲームに詳しい遊戯や双六に見せれば何か分かるかも」と考え亀のゲーム屋を訪れた。

当初は何も知らなかった井守だが、双六の解説や古代中国の文献にあった「『闇』の力」というワードに厨二心をくすぐられ魅せられ、千年パズルによって闇の力を手に入れた遊戯に対抗心を燃やし封印を解いた龍札で戦いを挑む。


【構成物】


・札

ゲームに使用するカードの束。後述の匣の中に入っている。
各カードには「属性」と「レベル」が書かれている。
属性は木、火、土、金、水の5種類、レベルは一〜五の5段階。
これら5×5=25通りのカードがそれぞれ3枚ずつ含まれているため、全部で75枚になる。

心鎮壺(シン・ツェン・フー)

両手に収まるくらいの小さめの壺。
ゲーム終了後、敗者の心がこの壺の中に捧げられる事になる。
なお壺に入る心は一個まで。
取り込んだ心は三ヶ月ほどかけて消化される。

・匣と紐

カード収納用の木箱と封印する為の紐。
壺に蓋をする形で匣が乗っかり、纏めて紐で縛られている。
匣には意味ありげなお札が貼られてたり四神らしき意匠が施されてたり、儀礼的な雰囲気を感じさせる。
封印を解くと大変な事になる割に紐の結び方はユルめ。


【龍札のルール】


ざっくり言うと麻雀ポケモンのダブルバトルが合わさった様なゲーム
手札を揃えて龍を呼び出す前半、召喚した龍を戦わせる後半の二部構成になっている。

●前半:「召龍」フェイズ

手札交換を繰り返し、「役(=属性もレベルも同じカード3枚のセット)」を作っていく。

①中央に山札を置き、両プレイヤーはカードを6枚引く。

②先攻プレイヤーから順に山札のカードを1枚引き、不要なカードを1枚表向きで捨てる。
 これを交互に繰り返す。
 (なお相手の捨て札を用いて役を作る事が可能な場合、(ロン)の宣言と共にその捨て札を取得する事ができる)

③手札に役が2つ揃ったプレイヤーは、召龍(しょうりゅう)の宣言と共に手札を公開する。
 例)「火龍 レベル四」×3枚 と「木龍 レベル二」×3枚、など
 ここは別に中国語読みではない。

④もう一方のプレイヤーも役を2つ作れるまで②を繰り返す。
 その間既に召龍が済んでいるプレイヤーの龍は少しずつパワーアップしていく。

⑤お互いの役が2セットずつ揃ったら後半戦の「交龍闘」開始。
 なお、役が出来るまでに山札が尽きた場合の処理は不明。
 恐らくは仕切り直しか、捨て札を合わせてシャフルして山札にし直すと思われるが。

役に従って後半戦で呼び出される龍の属性やレベルが決まるので、捨て札から相手の手札を予想して有利となるようなカードを揃える事が求められる。
また、先制して龍を召喚できればパワーアップできて有利だが、属性やレベルを晒すことになるため、後攻側がより有利な龍に切り替えるスキを与えることにもなりかねない。


●後半:「交龍闘」フェイズ

作った役に従って両プレイヤーの前に龍が2体ずつ具現化する。
それぞれが喚び出した龍を戦わせ、先に相手の龍2体を倒した方の勝利となる。

戦闘では龍の属性が大きく影響し、属性次第でレベルが自分より上の龍を倒せたり、別の龍を強化させたりできる。
この属性による影響は五行思想(木火土金水)の相剋・相生に基づいている。

  • 相剋
特定の属性が別の属性を滅ぼす関係。
一般的なRPG系のゲームで「相性」「有利不利」と呼ばれる様な概念である。
木>土>水>火>金(>木)という有利関係であり、レベル差を覆して戦闘に勝つ事ができる。

  • 相生
特定の属性が別の属性を生み出す(強める)関係。
木⇒火⇒土⇒金⇒水(⇒木)に力を与えパワーアップさせる。
この際、力を与えた側の龍のパワーがちょっと下がる。
この効果は自動的に適用されるうえ味方だけでなく敵にも及ぶ為、「自分の龍が身を削って相手の龍を強化してしまう」みたいな事も普通に起こる。


ちなみに交龍闘においてターンや先攻後攻の概念は無いらしく、ノリと勢いで進行していく。


【龍】


プレイヤーの指示に従って敵を攻撃し、敗北したプレイヤーの胸から心を抜き取る。
属性とレベルによって見た目が異なる。
どの龍も、頭部に漢数字でレベルが記されており非常に分かりやすい。

木龍

作中に登場したのはレベル五で、まさに樹木といった風貌をしている。
必殺技名は明かされていないが、ツルを敵の身体にブッ刺して養分を吸い取るというまあまあエグい攻撃を披露した。

火龍

作中に登場したのはレベル五。
炎で出来た長い身体を持ち、見た目は東洋でポピュラーな龍に最も近い。
作中では攻撃を行う間も無く相性不利な水龍に瞬殺され、まるで良いところの無いまま退場した。
登場コマ数はたった2コマとぶっち切りで不遇な龍。

土龍

作中に登場したのはレベル四で、土か岩で出来た無骨で硬そうな質感が特徴。
必殺技は大地を揺るがす地裂隆起(ちれつりゅうき)
地盤を隆起させて作った壁で身を守ったり、地割れを起こして敵を攻撃したりする。

金龍

作中に登場したのはレベル四とレベル五。
レベルで大きく見た目が異なり、レベル四は丸っこい体からロボットアームみたいな四肢と頭が生えた姿。
レベル五は流麗で鋭そうな姿をしている。
必殺技は鋭い翼で斬撃を放つ斧翼断砕(ふよくだんさい)
レベル四の方は翼とか無さそうだけどどうするんだろう。(レベルによって技名が違うケースもあるのだろうか?)

水龍

作中ではレベル三、四、五と3種類も登場した。
水そのものというよりもエラやヒレを生やした深海魚チックな若干キモめの外見が特徴。
必殺技は水を操って敵に叩きつける流水撃(りゅうすいげき)


【関連人物】


  • 井守はじめ
龍札を亀のゲーム屋に持ってきた男子生徒。
モッサリした髪型が特徴で、初登場時には「ドロドロ」と陰キャっぽい擬態語を伴っていた。
祖父の家の蔵から龍札を見つけ、ゲーム屋を営んでいる遊戯の元に持ってくる。
下の名前は東映版アニメで名付けられた。

実は以前から遊戯の事を千年パズルの所有者であると知っており、「ただのいじめられっ子」から「闇のゲームによって悪を裁く番人」になった遊戯に憧れともライバル心ともつかない感情を抱いていた。

体育のプールの授業中に盗んだ千年パズルを賭けて表遊戯と龍札を行い勝利する。
しかし、表遊戯が咄嗟に千年パズルに手を伸ばしたために入れ替わる形で現れた闇遊戯と2戦目を開始。
接戦の末に敗れ心鎮壺に心を取り込まれてしまった。

闇遊戯の罰ゲームは基本的にどんな極悪人でも命だけは助かっている物が多いのに対し、彼が受けた罰は龍札によるものなのであの後も心が壺に封じられたまま戻って来る事が出来ないらしい
一応単行本のおまけでは壺から顔を出してたりGXでは童実野町の名簿に名前が確認されてたりしている為、何らかの形で生存してはいる様子。

初心者だったとはいえ表遊戯に一度は勝利しており、闇遊戯もかなりの所まで追い詰めるなど、小者っぽい見た目に反してなかなかの強キャラ。


  • 井守の祖父
直接は登場しない。
ゲームコレクターとして様々なゲームを自宅の蔵に保管していた。龍札は彼が戦時中の中国で手に入れたもの。
蔵の中には龍札に関する文献はもちろん、千年アイテムや闇のゲームに関する資料も揃えられていた。
井守が遊戯の闇の力を知ったのも蔵の中の資料から。
世界中のゲーム事情に詳しい双六でさえ現物を目にした事の無かった龍札や、古代エジプトの秘術である千年アイテムにまつわる文献など、一般人にはまず手に入らないであろう物品や情報を所有している。
ただのコレクターにしてはかなり底知れない人物。


【東映版アニメにおいて】


比較的原作初期のエピソードが多い東映版でもアニメ化されているが、設定や展開が一部変更されている。

《ゲーム自体に関して》

  • 「龍札」が「龍牌(ドラゴン・ブロック)」という麻雀に似たゲームに変更。
  • 井守の祖父によってか地下の隠し部屋に収納されており、壁の一部を動かして解いていくスライドパズル式の鍵を解かなければ取り出せないよう厳重に封印されている。
  • レベルの概念がなくなり、龍が属性別の五種のみになっている。
  • 一戦目で遊戯が呼び出した龍が火龍×2に変更。
  • 龍を呼び出す際のセリフが「召龍」ではなく「召喚」。
  • ゲーム開始前に日本地図上を広げて陣地を決めるフェイズが追加。
  • それによって自陣とした現実世界の場所にはゲームの展開によって影響が及ぼされる(水龍の力によって津波が起こりかける等)。

《登場人物に関して》

  • 井守の初登場が不良二人組に絡まれてるところを遊戯たちに助けてもらうシーンに変更。
  • 龍牌を持ってくるシーンは助けてもらった後日。
    お礼として遊戯を自宅に招き、そこで地下の隠し部屋に収納されていた龍牌を遊戯と共に見つけて双六に見せに行く。
  • 龍牌の封印が解かれた理由が上記の不良に再度絡まれて突き飛ばされた際に紐が解けてしまったことによる不可抗力となり、井守本人に封印を解く気が全くなかった。
  • その不良たちはその場で井守に龍牌で敗北して病院送り。
  • 封印解放後の井守の描写が増え、龍牌の影響で別人のように傲慢になってしまったことが強調されている。
  • 敗北後の井守は傲慢な心だけが封印されて正気に戻り、闇遊戯に再度龍牌を封印してくれるよう頼む。

敗北した井守への罰が死も同然だった原作に対し、アニメでは「傲慢な心」だけが抜き取られると大分マイルドになっている。
井守本人も悪意を持って龍札を開放した原作と違い、彼もまた龍牌に振り回された被害者と言える立場となっているため、罰もマイルドになるのは自然な流れと言えるだろう。


【OCG化】


2004年に発売されたRISE OF DESTINYにおいて、心鎮壺が明らかにTCGと親和性高そうな龍札自体を差し置いてカード化された。

効果は以下の通り。
心鎮壷(シン・ツェン・フー)
永続罠
フィールド上にセットされた魔法・罠カードを2枚選択して発動する。
このカードがフィールド上に存在する限り、
選択された魔法・罠カードは発動できない。

伏せカードに対して発動を封じる効果の永続罠。
なぜか「壺」の字が「壷」に変わっている。
かつてはロックデッキに起用されたり神炎皇ウリアの打点の種になったりした。
後にロック対象が1枚になった代わりにチェーンされなくなった「心鎮壷のレプリカ」が登場した。




井守!罰ゲームだ!
今度はお前が「追記・修正」を行う番だぜ!


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最終更新:2025年03月23日 15:43