放浪者/The Wanderer(MtG)

登録日:2022/07/11 Mon 23:55:00
更新日:2025/03/03 Mon 10:52:34
所要時間:約 3 分で読めます





放浪者は多くの道を歩く。彼女の刃が進む道はただ一つ。


放浪者/The Wandererとは、世界初のTCG『Magic the Gathering』に登場するプレインズウォーカーの一人である。
初登場したセットは「灯争大戦(WAR)」。



解説

正体不明のプレインズウォーカーの女性。「放浪者」というのも当然本名ではない。

彼女の最大の特異は持っているプレインズウォーカーの灯にある。
通常プレインズウォーカーは灯の覚醒時に起す突発的なものを除けば、意識することでプレインズウォーク(次元間移動)を行い次元を渡り歩く。
しかし彼女の場合その灯が不安定で、逆に意識して制御しないとどこかの次元へ勝手にプレインズウォークしてしまうのだ
これが彼女の灯に何か特別な力があるのか、それとも誰かの呪いによるものなのかは初登場時点では不明。
強制的に多くの次元を渡り歩くためか、プレイズンウォーカーの間に知り合いが多い。かのサルカンとも知り合い。

刀を武器としており、これを利用して敵を一刀両断にする戦い方を見せる。
また、自らへの物理攻撃をマナに変える魔法を持つ。ギデオンに自らを殴らせて、その衝撃でマナを回復させるというトンデモない手段を取ったことも。

「灯争大戦(WAR)」のストーリーでは、悪のプレインズウォーカーであるニコル・ボーラスによってラヴニカに呼び寄せられる形で登場。
ラヴニカとプレインズウォーカー達を襲うボーラスの軍団との戦いに協力する。
この際、プレインズウォーカー達はボーラスの策略により「不滅の太陽」の効果でラヴニカからのプレインズウォークが封じられていた。
そのため放浪者も上記の特性を無視して長居ができており、この性質に苦心している彼女にとっては求めていた理想の状態だったともいえる。
しかしプレインズウォークが可能になった後も気を集中してまでラヴニカに残り、ボーラスと戦うことを選んでいる。
これらの行動から、テゼレットやドムリのような自らのために争乱に手を貸す悪人ではないと思われる。

その後の動向は不明だったが、「イコリア:巨獣の棲処(IKO)」にて再度登場。
イコリアにプレインズウォークしており、ビビアンの窮地を救った。
しかしその後、自身の性質により再びどこかの次元に移動してしまった。



カード性能

放浪者/The Wanderer (3)(白)
伝説のプレインズウォーカー
あなたや、あなたがコントロールしている他のパーマネントに与えられる、戦闘ダメージでないダメージをすべて軽減する。
[-2]:パワーが4以上のクリーチャー1体を対象とし、それを追放する。
初期忠誠度5

「灯争大戦(WAR)」で収録された白のPW。レアリティはアンコモン。
「灯争大戦(WAR)」のアンコモンのPWに共通する、マイナスの忠誠度能力1つと忠誠度能力でない能力1つのみを持つ形である。
他のPWと異なる特徴として、プレインズウォーカー・タイプを一切持たない
正体不明な人物であることが分かりやすく表現されている。

保有する能力は、まず常在型能力で他のパーマネントへの戦闘以外のダメージの無効化
バーンに対して有効……と思いきや、本人へのダメージは軽減できない。
そのためまず本人が狙われるので、若干ライフが削れるのを遅らせることしかできない。
とはいえそちらに集中している間にライフを回復すれば時間稼ぎにはなるし、その分クリーチャーや他のPWは生き残るので無駄にはならない。
忠誠度能力はマイナスでパワー4以上のクリーチャーの追放除去。
単体では忠誠度能力を得るすべがないため、素で撃てるのは2回。あまり連発はできない。
しかし脅威度の高いクリーチャーを処理できるため使い勝手は悪くない。「追放」なので死亡時効果や墓地利用を防げるのも嬉しい。



関連カード

Wanderer's Strike/放浪者の一撃 (4)(白)
ソーサリー
クリーチャー1体を対象とし、それを追放する。その後、増殖を行う。(望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、その後すでにそこにあるカウンター1種類につき、そのカウンターをもう1個与える。)
「灯争大戦(WAR)」で収録された白のソーサリー。
同セット内に多く存在する「登場するPWの名を冠した」カードの1枚である。
実際上記の本人と合わせると、パワー3以下のクリーチャーにも対処しつつ増殖でもう1回忠誠度能力が使えるようになる。
リミテッドで狙ってみても良いだろう。

刃による払拭/Blade Banish (3)(白)
インスタント
パワーが4以上のクリーチャー1体を対象とし、それを追放する。
「イコリア:巨獣の棲処(IKO)」で収録された白のインスタント。
同セットでは本人はPWとして収録されなかったが、ストーリーには登場したため関連カードとしてこれが収録された。
効果自体はよくあるリミテッド用のコモンの除去インスタントだが、上記の本人の忠誠度能力がモチーフとなっている。
マナコストが彼女と同じなのも芸が細かい。
「PWでない関連カードが1枚だけ収録」というのはストーリーのように突然現れ突然去っていく表現としてピッタリとはまっている。
今後もカード1枚でだけ登場、という事があるかもしれない。
ちなみに冒頭のテキストはこのカードのフレーバーテキスト



追記・修正は不安定な灯を持つ者にお願いします。

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放浪者の登場から4年近い年月が経ったMtGにおいて発表された「神河:輝ける世界(ONE)」。
変わりに変わった神河にて、ついに彼女の正体が明らかとなった。



放浪皇/The Wandering Emperor

登録日:2022/07/11 Mon 23:55:00
更新日:2025/03/03 Mon 10:52:34
所要時間:約 4 分で読めます




放浪皇/The Wandering Emperorとは、世界初のTCG『Magic the Gathering』に登場するプレインズウォーカー
そして日本風のサイバーパンク次元である神河次元を統べる統治者、「皇/The emperor」である。
皇としての初登場セットは「神河:輝ける世界(ONE)」。



皇としての解説

神河の皇を決める神、香醍(きょうだい)によって神河の皇に選ばれた人物。
神河の皇には「自らの名前を明かしてはならない」という掟があるため本名は不明。
「放浪者」のときに名称不明だったのはそのため。というか今回も名前は公開されていないし今後もされないだろう。

「神河:輝ける世界(ONE)」のもう一人の主役である漆月魁渡(しづきかいと)というプレインズウォーカーとは幼馴染。
かつては皇とその訓練相手という関係でありながらも、大人達には秘密の親友として成長していった。

しかしその関係はある事情によって終わり、そしてその夜の侵入者によって魁渡とは離れ離れになる。
その侵入者の正体は邪悪なプレインズウォーカーであるテゼレット
香醍の支配を企む彼は「現実チップ」という装置の試作品を香醍に使用。
しかし試作品故か上手く作動せず、その誤作動により香醍と繋がりを持つ皇のプレインズウォーカーの灯が変則的に覚醒。
灯が不安定なのは、特殊な装置によって意図せず変則的に灯が覚醒したためだったのだ。
灯の覚醒によって彼女はプレインズウォーク、さらにその不安定な性質のせいで神河に戻れず失踪することになってしまう。
魁渡は前述の事情もあり、皇を見つけ出すべく覚悟を決め独りで捜索を開始。
そしてその過程で灯の神の力でプレインズウォーカーに覚醒し、数多の次元を巡るようになる。
彼女もそれは把握していたようだが、自身の性質のせいで彼と会うことはできなかった。

その後は彼女の方も次元を転々としながら*1テゼレットを追っていたが、ある時神河へプレインズウォークし、魁渡と邂逅。
そしてその時彼が確保していた完成品の現実チップによって、一時的ながらも灯を安定させることに成功。
失踪から10年、神河に皇が帰還したのだ。

ただ10年もの統治者の不在は情勢不安を否応なしに招いてしまっており、当時特に「浅利の蜂起軍」と呼ばれる勢力が活発化。
さらに神河に居るテゼレットの協力者が攪乱のためにその蜂起軍に皇の帰還を伝え、機を急がせて反乱を起こさせてしまう。
テゼレットの追跡は魁渡と協力者のタミヨウに任せ、自身は軍の指揮を執らざるを得なくなる。
しかし彼らはテゼレットとその協力者……神河に来ていた新ファイレクシアの法務官たるジン=ギタクシアスによって追い詰められてしまう。
そのことを現実チップの機能で察知した皇は、香醍の助けも借りて灯を更に制御し連続プレインズウォークを応用したワープを決行。
ジン=ギタクシアスに深手を負わせ、彼らを助けることに成功する。

しかしこの戦いでテゼレットの操作により現実チップが不安定化し、彼女の灯は再び安定性を失っていく。
現実チップをタミヨウに外してもらい、香醍との繋がりでどうにか停留を維持して蜂起軍の鎮圧を指揮するも、限界が近づいていた。
そんな中、彼女は不在となってしまう自身の代わりの統治者として、皇の助言者であった狐人の軽脚(けいぎゃ)を摂政に任命。
そして魁渡に感謝の言葉を述べようとした瞬間、限界を迎えたようにどこかの次元へとプレインズウォークしてしまった……


皇としてのカード性能

放浪皇/The Wandering Emperor (2)(白)(白)
伝説のプレインズウォーカー
瞬速
放浪皇がこのターンに戦場に出たのであるかぎり、これの忠誠度能力を、あなたがインスタントを唱えられるときならいつでも起動してもよい。
[+1]:クリーチャー最大1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。ターン終了時まで、それは先制攻撃を得る。
[-1]:警戒を持つ白の2/2の侍(Samurai)クリーチャー・トークン1体を生成する。
[-2]:タップ状態のクリーチャー1体を対象とする。それを追放する。あなたは2点のライフを得る。
初期忠誠度:3

「神河:輝ける世界(ONE)」で収録された白のPWカード。レアリティは神話レア。
前述の「神河の皇は自らの名を明かしてはならない」と言う事情から、今回もプレインズウォーカー・タイプは無い。

忠誠度能力はプラスで一部永続的な単体強化、小マイナスでトークン生成か追放除去+ライフ回復。
大マイナス(奥義)は持たないが、どれも汎用性が高く、一番目マイナスとプラスで自己完結しているため腐りにくい。
さらに忠誠度以外の能力として相手ターンだろうと好きなときに唱えられるようになる瞬速を持ち、出たターンであれば忠誠度能力も同じように使える。
これにより各忠誠度能力をコンバット・トリック、ブロッカー追加、突然の除去とその場に応じた行動として奇襲的に使えるようになる。
また相手の攻撃クリーチャー指定以後に出したりフルタップを確認してから出すことで、安定して能力を通すこともできる。
弱点としては初期忠誠度が低いところか。軽い火力でもすぐ落ちるため、あまり維持を考えすぎない方が良いかもしれない。
総じて神河の統治者たる皇らしく、非常に汎用性が高い。登場時のスタンダードでも【白単】をはじめとして活躍機会は多い。

ちなみに同セットではイラスト違いバージョンが2種類存在し、その両方が日本人アーティストによって描かれている。
特に「侍フレーム・カード」バージョンはMtGらしからぬ萌え系のイラストでとても美しい。
「ボーダーレス・プレインズウォーカー・カード」バージョンはこれまたMtGらしからぬ力強いイラストが特徴的。
後にイベントの優勝賞品として更なるイラスト違いバージョンが登場した。こちらもMtGの質感との折中といった趣で非常に美しい。
どれも前述した汎用性と希少性が合わさって非常に高値になっている。
また「神河:輝ける世界(ONE)」の公式アニメーションPVでもかなり日本的な美少女として書かれている。
「MtGは萌え要素が薄い」という人にはぜひ一度見てもらいたい。単純に出来も良いので。

関連カード

永遠の放浪者 / The Eternal Wanderer (4)(白)(白)
伝説のプレインズウォーカー
各戦闘で、2体以上のクリーチャーでは永遠の放浪者を攻撃できない。
[+1]:アーティファクトやクリーチャーのうち最大1つを対象とする。それを追放する。次のそれのオーナーの終了ステップの開始時に、そのカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
[0]:二段攻撃を持つ白の2/2の侍クリーチャー・トークン1体を生成する。
[-4]:各プレイヤーにつきそれぞれ、そのプレイヤーがコントロールしているクリーチャー1体を選ぶ。各プレイヤーはそれぞれ、自分がコントロールしていてこれにより選ばれなかったすべてのクリーチャーを生け贄に捧げる。
初期忠誠度:5

『ファイレクシア:完全なる統一』でプレインズウォーカー連合の一員として登場した放浪者。やはりPWタイプは所持していない。
なお、同エキスパンションでは登場するプレインズウォーカーがファイレクシアの油で汚染され洗脳悪堕ちした完成化したイラストバージョンも刷られ、しかもそのうち五人は本当にストーリーで完成化してしまうことがアナウンスされていたが、彼女は魁渡&タイヴァー・ケル&ケイヤ&コスとともに完成化を免れ終始善玉として戦った。*2

常在型能力では、2体以上で自身に攻撃することを禁止する。すなわちトランプルでもない限りブロックされ続ければ攻撃が通らないということであり、非常にいやらしい能力。後述の[-4]と共に、このカードを戦闘で倒すのが困難なPWとしている。
[+1]ではアーティファクトや生物を明滅させる。単体では疑似的に警戒を付与する程度なので、出た時にドローする《神憑く相棒》などを再利用したい。変わったところでは相手のトークンに使い、そのまま追放させることもできる。
[0]はシンプルなトークン生成。2/2二段攻撃と性能は優秀だが、《切り崩し》や軽量火力の範囲内であることには注意したい。
[-4]はこのPWの目玉とも言える能力であり、各プレイヤーの生物を1体残して生け贄にする。残す生物を選ぶのは自分であるため、場に残った生物同士のにらみ合いに持ち込みやすい。ただし自分の生物除去されれば忠誠度1のPWが残るだけなので警戒が必要。

放浪皇とは方向性こそ違えど生き残りやすく、登場直後の環境では皇と共に【白単ミッドレンジ】で採用されている。

放浪する救い手 / The Wandering Rescuer (3)(白)(白)
伝説のクリーチャー — 人間・侍・貴族
瞬速
召集(あなたのクリーチャーが、この呪文を唱える助けとなる。この呪文を唱える段階であなたがタップしたクリーチャーはそれぞれ(1)かそのクリーチャーの色のマナ1点を支払う。)
二段攻撃
あなたがコントロールしていてタップ状態でありこれでないすべてのクリーチャーは呪禁を持つ。
3/4

『ダスクモーン:戦慄の館』での放浪者で、PWの灯を失い伝説のクリーチャーとなった。
副産物として不安定な灯によるプレインズウォークから解き放たれたため神河をその目で見るために旅していたが、ナシ救出隊へと参加しダスクモーンに向かう。

能力は瞬速と召集によって不意に現れ、タップ状態の自分のクリーチャーを守りつつ3/4二段攻撃で迎え撃つというクリーチャー。
救い手自体には付与されないため、一度相手の除去から守った後は自身が除去を引き受けることになるだろう。
警戒持ちならば攻撃と救い手を出すことを両立できるが、出した後の呪禁付与には他のタップ手段が必要となる。


余談

  • 放浪者は担当のデザイナーが何となくデスク近くの壁に貼り付けたイラストが採用されて産み出されたキャラクターである。
    そのデザイナーは最終的に自身のイラストが1つの次元のトップのキャラになったことを喜んだそうな。



アニヲタは多くの道を歩く。彼らの追記・修正が進む道はただ一つ。

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最終更新:2025年03月03日 10:52

*1 上述の「放浪者」としてカード化されていたのもこの時期

*2 完成化したのはジェイス&ヴラスカ&ニッサ&ナヒリ&ルーカ。