消しゴム落とし

登録日:2022/07/16 Sat 23:19:15
更新日:2024/12/10 Tue 14:01:24
所要時間:約 6 分で読めます



消しゴム落としとは、主に小学校の休み時間に行われている遊びである。
消しゴムバトル」「消しピン」等とも。
消しゴムを用いたおはじきと言えるが、ガラス製のおはじきに対し、消しゴムは摩擦が大きいので狭いスペースでのプレイに向く。

~目次~

概要

アニヲタ諸君は小学校に通っていた頃、外で遊ぼうにも雨が降っていて遊べない事があったであろう。
アニヲタになるような陰キャだから外じゃなくて中で自由帳で絵描いてた?大丈夫、僕もだよ。
かつてはそんな時、無理矢理遊ぼうと教室で走り回って先生に怒られたり、本を読んだり、出そうな宿題を先読みして休み時間中に終わらせて帰って楽しようとしたりとクラス中の一人一人が自由に行動していた。
しかしいつ、どこで、誰が生んだのかはわからないが、突如消しゴム落としという遊びが生まれた。
その基本的に学校にいればいつでも遊べるお手軽さと、見た目以上の奥深さから瞬く間に日本全国に広まった。

ルール


 用意する物:基本的には消しゴム。以上。

①対戦者それぞれが、机の上に自らの消しゴムを設置する。

ジャンケンで動く順番を決める。

③順番が来た人は自分の消しゴムをデコピンではじき、消しゴムを動かす。

④相手の消しゴムを机から落としていき、自分が最後まで生き残れば勝利。


基本的にはこれだけだが、当然ながら正式なルールは決まってないので大富豪かよってレベルでローカルルールが多い。
ローカルルールは大体こんな感じ。

  • フィールドが机じゃなくて筆箱やノートや下敷き。
  • 残機制。机から落とされても何回か復活出来る。
  • タッグ・チーム対抗。自分が落とされても残りのチームメイトが無双すればまとめて勝利出来る。
  • ショットにデコピンではなく、鉛筆を使ってビリヤードのように飛ばしたり、ノック式のボールペンなど他のアイテムを使ったりする。
  • 負けたら罰ゲーム
  • 障害物あり。酷い時は消しゴム以外の文房具が総動員される。
  • 自分のターンで相手を倒せたが、一緒に自分も落ちてしまった場合、相手の勝利になる。
  • レイドバトル。1VS多数で一人側は巨大な消しゴムや筆箱を使用。
  • 消しゴム落としの勝者は、その日の給食の残りのプリンを得られる。
  • 必殺技。そのターンのデコピンを犠牲にして、一試合に一度だけ発動可能。「自分と相手の消しゴムの位置を入れ替える(イリュージョン)」「好きな位置に自分の消しゴムを配置しなおす(ワープ)」「消しゴムのカバーを取り外して分身、相手は両方倒さないと勝利出来ない(分身)」「数秒机を動かし双方の消しゴムを揺らす(地震)」等創作性の強いチート能力が多い。

主なテクニック

  • 通常ショット
普通にデコピンでシュート。大した効果は得られないがローリスクで、基本はこの動きになる。

  • 回転ショット
消しゴムの端っこを打つ。回転しながら移動する為絶大な攻撃力を誇るが、移動の向きや速度の調整が難しい。
また相手の消しゴムに当たった時に自分が受ける反動も大きいため、ハイリスクハイリターンな技である。

  • ツバメ返し
消しゴムが机からはみ出ている時に使用可能。
机の下からデコピンし、立体的に移動する。
見た目はカッコいいが非常に事故りやすく、また相手の消しゴムの上を飛んでいく為攻撃力もゼロ。

  • トリックショット
消しゴムのカバーを外していてかつ消しゴムをある程度消費している状態で通常シュートを打つとこれに派生。
消しゴムの絶大な摩擦を利用し不規則な軌道を描いて意外な方向から相手を攻撃する。
まず事故しかしない。

  • 道連れ
わざと机の端の近くに移動し相手の自滅を誘う。
ローカルルールの「自分も自滅すると相手が勝利」が採用されているか、チーム戦の時によく使われる。

  • 大回転
両手を使って超回転させる。
非常にコントロールが難しくもはや運ゲーまであるが、当たればほぼ即死。自分も反動で即死。

  • 筋肉
MONOなどの粘着性のある消しゴムを思いきり机に押し付けてその場に貼り付ける防御技。

使用される消しゴム

スタンダードタイプ。カバーを付けているごく普通の消しゴム
これといった長所も無いが、その分初心者にも扱いやすい。

パワータイプ。こちらもカバー付き。
重量で相手を圧倒するがその分デコピンの力の調整が難しいため、中級者向け。

スピードタイプ。カバーを付けておらず、360度ありとあらゆる方向から消費され丸くなった消しゴム
小さい為当たり判定が小さく、少しの力で転がっていくので機動力が高いが、それは事故りやすいという事でもある。上級者向け
基本的に相手の自滅を狙っていく事になる。また軽いので道連れもしやすい。

歯医者やファミレスとかのおまけでもらう、何かの身の回りの物を模した消しゴム
消しゴムとはいうものの文字を消す性能は皆無。
形状が様々である為全てが未知の性能を持つ。使いこなせるのであれば、相手を圧倒できるだろう。
車の消しゴム等といった使いやすい物もあるにはある。

見た目は普通のカバー付き消しゴムだが、実は小さい消しゴム2つをカバーを使って1つに見せかけており、中のスペースに鉄球を入れて重量増加、または何も入れずに軽量化したりといった不正な改造を受けた消しゴム。
鉛筆を突き刺せるように中に丸い穴を貫通させ、鉛筆を装着させて戦ったり、先述のように2つに分けて中に消しカスを仕込み、相手の攻撃を受けて分離した時に消しカスをばらまいて足場を悪くしたり等といった、小学生達のセンス(?)が光る。そして大体家でお母さんに改造がバレて、物を大切にしろと怒られる。

もはや消しゴムじゃない。
非常に軽い為攻撃力は皆無。しかし異常なまでに軽いという事は、相手が消しゴムをぶつけてきた際相手に全く反動が無い(=相手の消しゴムと自分のカバーが密着して移動する)という事であり、非常に道連れが成功しやすい。

  • ものさし・定規
消しゴム落としって何だっけ。
機動力は低いがそれ故に事故りにくく、端を打ってもう一方の端を中心として回転し、遠心力を利用して相手を吹っ飛ばしたり、ツバメ返しでの逆転が現実的だったり、ものさしの長さを測る部分は大体線が引きやすいように坂になっているのを利用して、坂の角度が小さいものさしなら真正面から突っ込んできた消しゴムがものさしをジャンプ台として飛んで行ったりと大体強キャラ扱いされる。
意外と重量も申し分ない。
また、地域などによっては消しゴムを弾く際にデコピンの代わりに定規を使う場合もある。加減しないと凄い速度でブッ飛んで行くのでケガや消しゴムの紛失には要注意。

これのみで作られた定規の消しゴム落としは「定規戦争」略して「定戦(じょうせん)」と言い、素手で定規に触れず定規の末端に消しゴムを当てて倒すことで押し出す。
定規の薄さ故に「定規が重なったら下の定規は3回弾く内に抜け出ないと負け」、長さ故に「机からはみ出した部分を下から突き上げるのも有効」という独特のルールもあるがルールも変わらず、陽キャがよくやっている。なぜだ?

まあ一応消しゴムだけどさ...
形、重量を自由に決められる為改造好きな少年たちに人気。
しかし消しゴムをひたすらに擦り続け、消しカスをまとめ、形も整え、途中で先生にバレたらイチからやり直しと、製造過程がかなり過酷。普通に最初から消しゴム使えばいいのでは...?


余談

と、このようにシンプルに見えてかなり奥深いこの遊びだが、やはり消しゴムを机から落とすという事もあって消しゴムを紛失するリスクもある。
その為校則で「文房具を遊びに使ってはいけない」として消しゴム落とし自体を禁止する学校も少なくない。それでも小学生たちは先生の目を盗んで遊ぶけどね。消しゴムだから没収する訳にもいかないし。

1970年代後半のスーパーカーブームの際は、まるっきり消しゴム機能のないスーパーカー消しゴムが大ヒットし、消しゴム落としで負けると没収されるというギャンブルのような遊びが大人気を博した。それ故にPTAスーパーカー消しゴムの持ち込みを禁止としたなんでギャンブル自体を禁止しないんですかね...
また、「消しゴムを弾くのにBOXYのボールペンが最適」という話がインターネットも無い時代にもかかわらず全国的に広まり、予想外の大ヒットを飛ばしたなんて話も。

ちなみにSAT-BOX*1という所から、「消しゴム落とし」というアプリがiOS・AndroidNintendo Switch等で配信されている。
無料*2なので当時を振り返りたいけど一緒に遊ぶ友達がいないというアニヲタ諸君は、試しにダウンロードしてみてはいかがだろうか?

追記・修正は消しゴム落としを極めた人にお願いします。
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最終更新:2024年12月10日 14:01

*1 定規バトルや靴飛ばし、机で球技系など変わったゲームを多数制作しているメーカー

*2 Switch版は有料