SCP-7726

登録日:2022/09/22 Thu 22:52:16
更新日:2025/06/24 Tue 02:52:36
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SCP-7726とは、シェアードワールド「SCP Foundation」において登録されたオブジェクトオブジェクトクラスはSafe。

初めに

本家記事にも忠告があるが、この記事には自殺にまつわる言及がある。
直接的な描写があるわけではないものの、そういったものにトラウマを持っている方はブラウザバックすることを推奨する。

退職防止部門とは

レックスへ、

こんな私を見つけるのがあなたなのかは本当にはわからない。だけど誰かが私を見つけるとしたら、それはあなたなんだって思ったんだ。話がそれたね。

退職防止部門 / Fire Suppression Department*1とは、財団職員の退職及び自殺を防ぐための部門である。
たとえば、Tale『生命保険契約 / Life Insurance Policy』では、筋ジストロフィーを患っている妻と多くの時間を過ごすため財団を退職しようとしているロドリゲス氏を、あの手この手を使って退職させまいとしている。
SCP-6630では精神的苦痛から財団を退職したヘンリエッタ博士に対して様々な心理的・経済的嫌がらせを行うことで財団に引き戻すという恐ろしい所業にも手を染めている。
しかし本記事における同部門はそこまでエグいことはしないのでご安心願いたい。

ちなみに、「退職防止部門」という部門は2022年本部で行われた部門コンテスト2022の参加部門である。
これは3人でチームを組み、新しい財団の部門を考えてその部門が登場する記事を作成するというルールのコンテストである。
そして、退職防止部門はこのコンテストで見事優勝を飾り、以降も様々な記事が作られている。

退職防止部門ケースID-7726XP

あの収容違反で生き残るべきじゃなかった。皆、片腕が無事で逃げられたのは幸運だったって言ってるけど、私は信じない。50人が死んで1人が負傷した? お願い。死ぬべきだったのに死ななかったってわかってるのに幸運なんてことない。

ジャスティン・エバーウッド博士は、50人が死亡した大規模な収容違反である収容違反562341673444WTXで、不運にも生き残ってしまった。
生き残ったら幸運じゃないかと思う方も多いかもしれないが、多くの仲間が死んだ事故で自分が生き残ってしまうと、死亡した人物に対して罪悪感や申し訳なさを抱くことがある(サバイバーズ・ギルト)。
そして、エバーウッド博士もサバイバーズ・ギルトになってしまったのである。
そのため、退職防止部門は心理学職員を用いてあえて自殺傾向を強め、その後SCP-7726を使用して解決しようとしているらしい。
SCP-7726の正体とは…?

更新

私のために一生懸命働いてくれてありがとう。あなたが私たちの部門の中で一番働き者なんだから、昇進はもうすぐだって確信してる。でももっと大事なことは、友人でいてくれてありがとう。あなたのおかげでここで働くのがずっと楽しくなった。

心理学職員を使用した結果、エバーウッド博士は今週のどこかで自殺を試みると予想されるようになった。
そのため、退職防止部門はラッキー・ヘア・プロトコルに従いSCP-7726の利用を許可することとした。
ラッキー・ヘア・プロトコルについては後述するのでお楽しみに。

SCP-7726

SCP-7726とは、人に向けて撃つと必ず弾詰まりを起こす拳銃である。以上。






「それだけ?しょぼくね?」と思った方も多いだろう。しかし、これがSCP-7726のすべてである。
これを使って退職防止部門はどうやってエバーウッド博士の退職を防ぐのか。勘付いた方も多いかもしれないが、続きを見ていこう。

ラッキー・ヘア・プロトコル

この罪悪感を抱えて生きるだなんてもうできない。

ラッキー・ヘア・プロトコルとは、職員に自分は幸運なんだ、つまり神に守られている特別な存在なのだと思わせることで職員の自殺を防ぐためのプロトコルである。
このプロトコルにはカウンセリングや投薬を使用したものも含まれるが、エバーウッド博士のような職員にはより直接的な処置をとる。
その中の一つに、SCP-7726を使った方法があるのだ。

種明かし

さようなら、いままで魚をありがとう、かな。

ージェイ・エバーウッド

例えば、エバーウッド博士が自殺を試みたとする。
そんな時、エバーウッド博士はたまたま偶然SCP-7726が置いてある場面に遭遇する。SCP-7726は外見的には普通の拳銃なので、当然エバーウッド博士はそれを使って自殺を試みるだろう。
エバーウッド博士は試し打ちをする。この場合、対象が人ではないので普通に弾が出る。
そして、ついにエバーウッド博士は自分に向けて発砲する。
しかし…弾は出ない。
何度も繰り返し発砲するが、毎回弾詰まりを起こす。
しかし、試し打ちだと普通に打てるのだ。
こうして、エバーウッド博士は自分がとんでもなく幸運だと“勘違い”し、死ぬ気が失せるのだ。

更新

エバーウッド博士は7月26日に自殺を試みた。そして、上記の通りになった。
現在エバーウッド博士はフォン・チューネン博士によって心理療法措置を受けており、このケースについては解決したものとなった。
ちなみにSCP-7726、もとい玉詰まり拳銃は「警備員の不注意により残されていた」ものと説明がされた。
勿論、実際には退職防止部門がわざと置いたものである。



SCP-7726
So long, and thanks for all the fish.(さようなら、いままで魚をありがとう)



余談

↑のメタタイトルやエバーウッド博士の遺書を見て「いや魚ってなんやねん!」って思ったかもしれないが、これはダグラス・アダムズの名作『銀河ヒッチハイク・ガイド』に出てくる別れのあいさつで、現実でも会社を畳むときなどのあいさつで使用される。
なお、このSCPは作者であるUncle Nicolini氏が、12年前の誕生日である7月26日*2に自殺未遂を起こした経験に基づいて書かれたものであり、その時銃が弾詰まりを起こしたのも事実である。
さらに、この記事に断片的に書かれているエバーウッド博士の遺書のシメもその時作者が書いた遺書で使ったものと同じである

さようなら、これからも追記・修正をよろしく、かな。

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最終更新:2025年06月24日 02:52

*1 2025年現在のSCP-JPにおいては「火急鎮静部門」という和訳で統一されているが、本項目では立項時の訳である「退職防止部門」で統一する。

*2 エバーウッド博士が自殺しようとした日、この記事の投稿日、このオブジェクトの番号もこの日付からとられている。