*1 『硬電脳』とも。
*2 原作世界では2015年に脳の記憶のメカニズムが解明されている。このこととナノテク技術の発展が電脳化の基礎技術に大きく貢献したと思われる。原作のバトーは外部記憶装置にガブリエルやミハイェルなどの天使の名前を冠した装置を設定しているが、これは飽くまで外部サービスなどへのアクセスキーのことであって記憶をバックアップしている訳ではない。攻殻機動隊SACにはサンセット計画の被害者の身体感覚をシンクロ記録したデータを記録してあったり、麻取の特殊介入班の襲撃に遭って負傷したトグサに対して治療と同時に記憶を抜き出して別の課員が操作に当たるシーンが描写されている。なお、SACにおいて素子の時計やバトーの筋トレマシンのことを「外部記憶装置」と呼ぶ場面があるが、これは文芸的な比喩であって「記憶を呼び覚ますトリガー」くらいの意味でそちらに何かが記録されている訳ではない。
*3 この際に翻訳ソフトとライブラリーが必要になるものの、それを介してネイティブではない言語での意思疎通も可能となる。
*4 記憶そのものや触覚等を伝える演出は原作の脳潜入会議や違法ポルノ製造等でも確認されている。麻取介入班と対峙したトグサの記憶によって感情が伝達されたり、サンセット計画の被害者の感情や感覚まで伝達できる描写はSACシリーズにのみに確認された演出であり、他作品世界でも同様である保証はない。
*5 余談ではあるが、技能習得ソフトは被電脳化者であれば使うことは可能。だがより身体を使うタイプの技能は身体の構造、強度、耐久力などを考慮して適宜最適化はされないため基本的に推奨はされていない。具体的にはサイボーグやアンドロイド用のアプリを生身の人に適用可能だが、技能習得ソフトの方で関節の可動範囲や力加減に関して調整される訳ではないので怪我の元になりがちということになる。
*6 ジーティーオー刊・士郎正宗著『GREASEBERRIES 4』収録の『SLEEP WALKING』参照。※18禁作品集注意!
*7 事実、原作作品の世界では2024年に電脳公害白書論争が巻き起こった。
*8 特に原作作品の日本は2027年に政治の電脳化を謳っている。
*9 代替手段については不明である。
*10 主に原作世界での話。別項目で詳述。ソースは青心社刊・士郎正宗著「PIECES Gem 01 攻殻機動隊データ+α」「PIECES Gem 02 NEURO HARD 蜂の惑星」を参照のこと。
*11 究極の人権侵害として極刑モノである。
*12 border:3ではさらにクザン共和国の中で伝説的な働きをしたスクラサスなる兵士のスキルを模倣し、兵士をインスタントにベテランに匹敵するスキルの持ち主に仕立て上げる様も描かれ、さらにそれがファイアー・スターターに「吸収・バージョンアップ」転用される事例まで起こっている。…一種の茶番劇ではあったが。
*13 パンドーラ・デバイスに使用時間制限があるのはこのため。長時間使用を続けていると電脳マイクロマシンの配列が元に戻らなくなり「実体験したことのない記憶」と本人本来の記憶が混じり合ってどんな変化を齎すのかわからない危険性を避けるための措置である。
*14 詳細は不明。
*15 アオイがネット上で見つけた「笑い男のオリジナル」が記した論文によると初期のセラノ・ゲノミクス製の製品に関しては抑制効果はなかったとされる。アオイがアーネスト氏に語ったように疑獄事件の後に抑制効果があるものが開発された可能性はあるが定かではない。なお村井ワクチンに関しても「理屈はわからないがなぜか効く」といったものであった。
*16 「宗教的理由」は攻殻機動隊SACに、「体質的な理由」については「茶番劇」ではあるものの、RD潜脳調査室に詳しい描写がある。
*17 攻殻機動隊2では貧民街における様が、RD潜脳調査室では詳細が語られている。
*18 RD潜脳調査室に詳しい描写がある。紅殻のパンドラにて電脳について詳しく説明する回にも登場している。しかしいずれの作品も格差を穴埋めするほどのものではないようである。なお「ダイブギア」はRD潜脳調査室においての名称。
*19 イノセンスにおいてバトーがコンビニエンスストアで暴走したケースと、バトーとトグサがキムの防壁迷路に囚われた後の描写が代表的。
*20 状況により『自閉症モード』とされる場合もあるが、意味としては同じである。
*21 SAC_2045における中心的ガジェットであり、あまりに特異な存在ゆえに他作品に対しての考察応用には向かない要素だと思われる。
*22 「脳核」と記述される場合もあるが、意味としては同じである。なお脳殻化施術の際は一度に身体の部位を切除すると神経ネットのフィードバック信号が意味消失してしまうので、神経接続マイクロマシンに置換しつつ「身体が繋がっていると認識させる疑似信号」に置き換える。この技術は阪華精機の社長であるジョン・ジョンジージャック・ジェイムスン氏の発明である。彼は他にもゴーストダビング装置を考案して自ら被検体になったりと、義体や電脳技術に大きな貢献をした人物だったが、ゴーストダビング時のスキャナの光によってニューロネットが少しずつ劣化していき、別人のような犯罪者になり果ててしまった。余談だが、SACに登場するメディテック社の社長とは別人である。
*23 ジェイムスン型義体の始祖である阪華精機の社長は非常に日本のロボットアニメなどが好きなオタク的趣向の人物で自らの身体を人型から乖離させてもこだわらないどころか喜ぶような当時の時代では珍しい人物だったようである。なおジェイムスン社長は公表されているという意味では世界初の全身義体への適合者・アデプタであった。攻殻の100年後の時代になるとアップルシードの主人公の一人であるブリアレオスのような人を外したデザインの義体も出てくるようになる。
*24 攻殻機動隊の原作、イノセンスにはクジラ型の海遊作業に適した義体も登場しているが、これもヒト以上の能力を求めた結果と言える。この海洋生物型の義体は元々は紅殻のパンドラにおいて主人公の主治医である十十八百喜医師が黎明期に考案した「義体に適合できない人物に対してより動作させる部位の少ない義体」を改良発展させたものである。
*25 他者の感覚や技能共有が可能な電脳化と併用することでより高度な能力強化が可能
*26 攻殻機動隊SACでは『パラリンピック』に義体化を施した部門に参加した人物が登場している。紅殻のパンドラには部分義体化を施した人物が参加する『サイバスロン』が登場している。
*27 もちろんメンテナンスは不可欠となるが。
*28 攻殻機動隊ARISE border:3には実際に富裕層においてそのような人物たちが登場している。またRD潜脳調査室の久島永一朗も同様に若い頃の姿のままの姿を模して義体化を施している。
*29 アンドロイドの盗難なので少しニュアンスは異なるが、紅殻のパンドラでは実際に義体やアンドロイドが大量盗難される事件が描写されている。もっとも知らなかったとはいえ犯人は全身義体化している主人公・七転福音をアンドロイドと間違えて拉致してしまったのだが。
*30 それゆえ草薙素子に復讐を企てた相馬亨は公安1課の戦車とシンクロするためにかなりの準備をしていたとする描写がある。
*31 草薙素子はこれらを見越して外見は量産型の義体に入り、内部は民生品では到底及ばない官給品の部品を多数使用している。
*32 子供は一定の時期になると義体を入れ替えるリサイズを行い、年齢なりの身体サイズに合わせるケースが一般的とされている。大人の義体に入ることも可能だが、外見と内面か異なることは、当人の成長の観点から自他共に認識面で好ましくない。
*33 青心社刊・士郎正宗著『PIECES Gem 01』参照。
*34 青心社刊・士郎正宗著『アップルシードid/illust&data』における年表を参照のこと。
*35 可能ならば詳細は各々が青心社刊・士郎正宗著「PIECES Gem 01攻殻機動隊データ+α」「PIECES Gem 02 NEURO HARD 蜂の惑星」を参照して頂きたい。
*36 攻殻機動隊原作1巻P37欄外注釈も参照のこと。
*37 攻殻機動隊原作1巻P343頁欄外注釈参照のこと。
*38 事実ウザル・デリラがゴーストを定義したのは、自ら創造したアンドロイド・クラリオンに「ヒトと同等の複雑さを認めたから」である。ウザル自らがクラリオンに課した「覆るはずのない基底命令を跳ね除けるまでに変質したあり方」はそう認めざるを得ない現象だったようである。この段階でオーバーテクノロジーに匹敵するレベルで構築されていたソロモン級AIのブエルがクラリオンのゴースト相をヒト相当と認定した事実も大きい。
*39 実際のところヒトとAIの融合はこれが初ではなく、アポルシード計画遂行のためにオリオングループによって用意されたソロモン級AI郡の中には計画を乱す要素を排除するためにヒトとAIの融合を監視する存在や融合体の分離、排除を目的とするAI郡が存在している。しかし草薙素子と人形使いの融合体はそれらを出し抜いている特殊な存在である。
*40 人形使いは生物と融合することによって「やがて自分も死を得るわけだ…」としていたが、そうもいかなかったようである。
*41 七転福音がアップルシードの時代まで生き延びているケースもこれに類するものと予測できる。ソースはジーティーオー刊・士郎正宗著『GREASEBERRIES Rough』参照。※18禁作品集注意!参照先の具体的な記述はシリル・ブルックリンの電脳派生体であるマデリーンというキャラクターの説明による。オリジナルのシリル・ブルックリンも発育不全の脳を特殊な電脳マイクロマシンで補っている特殊な存在である。
*42 西暦と同義であるかは不明だが「人類史歴2300年」頃の出来事。西暦換算として攻殻機動隊が西暦2029年~の話なので約300年後くらいか。
*43 ちなみにマンガ作品ではなく「半分マンガ+半分コラムといった体裁の作品」かつ「未完の作品」なのでご了承頂いた上でご覧頂きたい。非常に濃密なアイディアと設定が盛り込まれている作品だが、頁数的にボリュームがある作品とも言い難い。
*44 概念として似ているだけで実際には大きく異なる。
*45 ゴーストダビング装置は本来脳の中にある電脳マイクロマシン網の大まかに位置を読み取り、その電脳マイクロマシン配列を複製対象に再現する機械である。トロスシステムと比較して相当に精度が低いので「おおまかにその人らしい」という大雑把な複製が行える程度の代物だったらしい。ただ本編にてバトーが「大量複写でオリジナルが死ぬので禁止された」と語っている通り、スキャンに用いる高精細の光が脳神経の構造を破壊してしまうので数度のスキャンを行うと対象の脳神経網が劣化してしまい、人格の変容や認知症に似た症状が発生してしまう。紅殻のパンドラに登場したジェイムスン社長と攻殻機動隊本編に登場したジェイムスン社長の性格が異なるのは、発明者であるジェイムスン社長が自らを実験体にして数度の脳スキャンを行った結果、神経網が劣化してしまい人格の変容が起きてしまったためである。
*46 こちらも現在の3Dプリンターに似た概念ではあるが、実際には大きく異なる。
*47 そこに至るまでには「ファイルアウト(マテリアライズ)途中の身体構造に対して圧力や重力の影響をどうするのか」などの相当に難しい課題をいくつも克服する必要があったらしい。
*48 患部をスキャンしつつ「正常な状態」に構成物質を再配列して患部を治療・再生成する。
*49 「物理身体をもサーバー内に内包する究極のメタバース」とでも言うべきものだが、実際には大きく異なる。また映画「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」や「イノセンス」で語られる「均一なるマトリクスの裂け目の向こう側」や、SACでクゼが語る「革命」、ARISE(新劇場版)で語られる「第三世界」やSAC_2045で語られる"N"はこれらと似た概念ではあるが、同一のものではない。前述の映像作品の例は飽くまで「黎明期における実証不能の憧れや理想」や原理不明のSFガジェットでしかない(それはそれでお話は成立しているので問題がある訳ではないが)。実際SAC2ndシーズンでタチコマたちが語っている通り、記憶というデータだけで「電脳的な生物」を再現することは難しいと思われる。なぜなら原作設定によると「生命活動は物理現象の発現にすぎない」ので、依拠する物質構成まで再現できないと記憶・記録は単なるデータにすぎず、そこに独立した存在が成立するとは考え難い。電脳界はサイバースペース内部に物質の構成さえも再現しているので「第三世界」に似た概念のことが成立しているが、「ラプラスの悪魔」が如き演算能力を有している未来のハードウェアなくしては成立しえなかったのだろう。
*50 仙術超攻殻ORION風に言うと「無理なく時を往来できるのは仏質(物質)だけ」ということになるか。
*51 実際これに以外にも理想の身体状態で常にファイルアウトされるので食事の必要がなくなっていたり、地球人類種に本来存在しない異星人にある感覚器官を持てるように自己同一性を保ったまま構成情報を書き換えてファイルアウトしたりと様々なことが可能となっているが、代表的なものだけ取り上げる。
*52 エネルギーの問題もあるが、ここでは取り扱わない。
*53 当然ながら前提として「スキャンした対象生物のデータは必要」になる。物理世界において不幸にも『死ぬ』個体は存在する。そういった状況下に電脳界にスキャンしたデータがある場合、その個体は「スキャンされた時点からやり直す」ことになる。なおスキャンは単純化された上で日課となっているらしい。書き戻しに関しても電脳的・霊能的な手段を用いて齟齬がでないようにできるまでに科学は発達しているようである。まるでゲームの「セーブ&ロード」や「ロールバック」のような状態だが、そういったことが現実に可能になっている世界なのである。よって同時に複数の同一個体を存在させるような「生物の複製」すら可能になっている。実際そういった状態は「蜂の惑星」の中では描写されている。
*54 もちろん知的生物の活動領域に充分なエネルギーと原材料とトロスシステムが存在することが前提にはなるが。
*55 要するに「宇宙時代において探査や活動を継続していく場合、最小限のハードウェアに情報と仮想空間の社会をまるごと積載し、物理世界に干渉する必要が出た場合は状況に応じて現地にある原材料を転化した方がエネルギー効率が良い」という考え方なのだと思われる。それにしては作中のホウセンカ号はそれなりの規模ではあるのだが。