登録日:2022/11/11 Fri 00:00:00
更新日:2024/11/20 Wed 07:37:19
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【概要】
『ヒックとドラゴン』とは、2010年に公開されたアメリカ合衆国の3D映画作品である。原題は『How to Train Your Dragon』。
製作はドリームワークス、監督はディーン・デュボア&クリス・サンダース。
同名のイギリスの児童文学が原作となっているが、一部の設定を用いているだけで内容はほぼ完全に別物。
好評だったため続編やスピンオフのTVシリーズも作成されている。
【ストーリー】
遥か北の海に浮かぶバーク島。ここに住むバイキング達は、日々襲来しては農作物を略奪していくドラゴンとの長き戦いに明け暮れていた。
族長ストイックの息子にして鍛冶屋で修行中の少年ヒックはある日、ふとしたことから最も危険とされるドラゴン「ナイト・フューリー」を捕らえることに成功するも、森に墜落したそのドラゴンを殺すことができず逃がしてしまう。
自分にドラゴン退治は向いていないことを自覚したヒックだったが、結局父親に命じられてドラゴン退治の訓練をすることに。
やがて「トゥース」と名付けたそのドラゴンとの触れ合いを通じて、ドラゴンに対する思いが変わっていったヒックはなんとかバイキング達の考えも変えたいと思い始めるが……
【登場人物】
主人公で、族長ストイックの息子。臆病で皮肉屋だが心優しい性格。
原語名はヒカップ・ホレンダス・ハドック三世。児童文学(の日本語版)だと本名はモジャモジャゾク・キタイノアトツギ・ヒック・ホレンダス・ハドック三世。長い。
一人前のバイキングになるための気持ちは人一倍強いものの、やる気が空回りしてトラブルメーカーになることもしばしばで、島ではほぼ厄介者扱いされている。
剣もまともに触れないほど貧弱な身体つきではあるが、観察力と思考力は凄まじく手先も器用……どころか、「ナイト・フューリーすら捕らえる捕獲網の発射装置」「トゥースの義翼」といった代物を一人で製作している、何気にとんでもない才能を持っている。
トゥースとの出会いを通じてドラゴンの生態を知り、それらを訓練に生かして一時期ヒーローともてはやされたりもしたが、やがてドラゴンと戦わずに分かり合う方法はないかと考えるようになる。
当初はトゥースのことをなんとか隠し通そうとしたものの、最終的に住民達に知られた上にストイックは巣の位置を知っているトゥースを連れて行ってしまう。
意気消沈しながらもアスティの励ましや仲間達の協力を得て訓練場のドラゴン達と共にストイックらの危機に駆けつける。
高い指揮能力とトゥースとの連携を経て遂にレッド・デスを撃破することに成功するも、代償として
左足を失ってしまった。
それでもめげることなく、トゥースや仲間達と共にドラゴンと共存することになったバーク島を飛び回るのであった。
ドラゴンの中で最も危険視されている「ナイト・フューリー」のドラゴン。漆黒の体躯と金色の瞳が特徴。他のドラゴンの例にもれず凶暴だが、ときたま愛嬌のある目をすることも。ぶっちゃけ全然怖くない、むしろ可愛い
ふとしたことからヒックに捕獲されるも殺されることなく見逃される。その後はヒックとの交流を続けるうちに強い絆で結ばれていく。
捕獲され森に墜落した際に尻尾側の左翼を失ってうまく飛べなくなったが、ヒックが作った翼を装着したことで(ヒックに乗ってもらうという制約つきではあるが)再度飛べるようになった。
原作では「ヘイボンドラゴン」と呼ばれる小さいドラゴン。ちなみに本作では明確に性別が明らかにされていないが、続編でオスだと明言されている。
ヒックの父親。バーク島のバイキング達の族長であり、ドラゴンとも正面切って殴り合える大柄な身体と腕っぷしの強さ、そして島の仲間達から慕われる絶大なカリスマ性を誇る。
反面こうだと決めたら考えを曲げない頑固な一面を持ち、繊細な作戦を立てるのも苦手。
ドラゴンの巣を突き止めるために、一寸先も見えない濃い霧の中を船の群れで捜索という自殺行為としか思えんやり方をしてたり。まあバイキングは基本的に脳筋なのでしゃーない。
ヒックがバイキングには向いていないと考えながらも、ゲップの後押しもあり(ほぼ無理矢理)ドラゴン訓練に参加させることに。
しかし訓練場でめきめきと成績を上げるヒックに、我が事のように大喜びするなど親バカな一面を見せる。
だが、トゥースとヒックが影で結び付いていた事を知ると激しく落胆。トゥースを捕らえると再度のドラゴンの巣への侵攻を計画する事になる。
ドラゴンの巣に辿り着いた時は、想像を絶する巨大さのレッド・デスを目にして戦意を喪失しかけるが、ドラゴンに乗ったヒック達の救援により士気を取り戻した。
沈む船に鎖で繋がれたトゥースと、それを助けようとして溺れ死にかけたヒックを救出し、これまでにした事をトゥースに詫びて和解した。
妻は(本作においては)生死不明になっている。
中の人は
「ディス・イズ・スパルタ!」で知られる人。
ストイックの親友の鍛冶師で、ドラゴンとの戦いで左腕と右足を
義肢にしながらも現役で戦い続ける豪快な男。陽気で冗談好き。
訓練場の教官も務めているものの、訓練の内容は
捕獲したドラゴンとのガチの実戦。当然炎も容赦なく吐いてくる。殺す気か!
変な日本語名だが原語名はゴバー・ザ・ベルチ(「belch」は日本語で
ゲップの事)なので間違ってはいない。
バイキング見習いの少女。
男勝りだがクールさと逞しさも併せ持つ、ヒックにとってあこがれの存在。訓練でもかなり優秀な成績を収めている。
不自然なまでに成績を上げたヒックとトゥースの秘密を知って戸惑うも、彼らと一緒に空を飛んだことで心を動かされ、やがて
ぶっきらぼうながらもヒックに好意を寄せるように。
原作だと原型になったと思われるカミカジという女の子がいる。
他の子供達より屈強な身体つきをしたバイキング見習いの少年。
うぬぼれ屋で無鉄砲だが、ヒックが活躍するようになると嫉妬せず素直に祝福するなど、なんやかんやで良い奴。いわゆるガキ大将キャラで例えると
ジャイアンの腕っぷしと横柄さに、ブタゴリラのおバカさんっぷりと天然さを足して二で割ったような感じといったところか。
アスティに気があるらしく度々アプローチしているが、相手にされていない。
原作だとヒックのいとこ。
- フィッシュ 声:クリストファー・ミンツ=プラッセ/宮里駿
ふくよかな身体つきのバイキング見習いの少年。
温厚だが気弱。ドラゴンに関する知識は豊富だが、訓練中にも空気を読まず独り解説するなど若干ウザい面も。
原作だと近眼で瘦せっぽちでX脚でアレルギー体質とまるで別人。
- タフ&ラフ 声:T・J・ミラー/南部雅一(タフ) クリステン・ウィグ/村田志織(ラフ)
【ドラゴン】
バーク島を度々襲撃しては農作物を奪い去っていく“害虫”。バイキング達と長きにわたって戦いを繰り広げており、互いに多くの仲間を殺し合っている。
口から火炎を放つが、有限の上に頭部を水で濡らされると使えなくなる。またその巨体に関わらずウナギは見ることすら嫌がるほど苦手としている。
ドラゴンマニュアルではアタックタイプ・ホラータイプ・ミステリータイプに分類されており、他にも様々なドラゴンが存在しているようだが、本作では未登場。
冠羽に似た後頭部のトゲが特徴の鳥のようなドラゴン。巨体に反して身軽な他、マグネシウムの炎を吐き、尻尾から無数のトゲを打ち出すなど近寄るのも困難。
後にアスティの相棒となり、「ストームフライ」と名付けられる。
全身イボイボの肥満型ドラゴン。翼が小さいため飛行能力は高くないが、防御力は高い。
岩石を食べ、体内で溶岩状にして火炎弾として吐き出す。ただし弾は6発までしか吐けない。飛びながら居眠りするなどのんびり屋な性格。
後にフィッシュの相棒となり、「ミートラグ」と名付けられる。
一つの身体に二つの頭を持つドラゴン。それぞれの頭に意思があり、時に喧嘩をすることもあるらしい。片方が可燃性のガスを放射し、もう片方が火花を放つという独自の攻撃を行う。このガスに毒性はないものの、自身の姿をくらます効果もある。あと結構臭いらしい。
ガスを吐く方の頭は濡らされても支障はないため、対抗するにはどちらが着火役かを見極める必要がある。
後にタフとラフの相棒となり、「バーフ」と「ベルチ」と名付けられる。
ちなみに正面から見て左の頭(ガスを吐く方)がバーフで、右の頭(火花を出す方)がベルチ。バーフは「ゲロ」の意で、ベルチはゲップと名前被りしている。どっちにしろひどい名前……。
全身に炎を纏い、強力な火炎放射を放つ巨大なドラゴン。しゃくれた顎が特徴。ナイト・フューリーに次ぐ危険性を持ち、戦えるのは最強のバイキングのみとされている。
後にスノットの相棒となり、「フックファング」と名付けられる。
最も小さな身体つきのドラゴンだが、凶暴性は他の個体と引けを取らない。基本的に群れで行動するが仲はあまりよくない模様。
全てのドラゴンの中で最も危険な存在とされており、「稲妻と死神の間に生まれた子供」とも言われる。農作物を奪わない代わりに建造物等に対しての破壊活動を主に行う。
その姿を見て生きて帰った者はいないらしく、後述のドラゴンマニュアルにおいても唯一「戦ってはいけない」「助かりたいなら姿を隠して祈れ」とまで書かれている。
登場したドラゴンの中では最速の飛行速度を持ち、「姿が見えない」「稲妻」という特性はあまりにも素早く飛ぶが故であることがヒックによって明かされている。
本作の時点ではトゥース以外の個体が登場しておらず、元々個体数が少ないと思われる。
他のあらゆるドラゴンを上回る巨体を持つ超弩級の大型ドラゴン。山ほどの体躯を持ち、6つの目を有していて死角は一切なく、吐き出す業火は船を纏めて焼き払うほど。
ドラゴン達が農作物を奪っていたのはこのドラゴンに献上するためであり、逆らえば自分が食われるという絶対的な恐怖を与えて支配していた。
はっきり言ってナイト・フューリーやモンスター・ナイトメアよりもよっぽど危険度が高く見える。
トゥースの案内を受けて巣を見つけたストイックらの目の前に現れ絶望を与えるも、ヒック達が駆け付けたことで形勢は逆転。
最後はヒックとトゥースの作戦にハマって空中で翼を穴だらけにされた状態で口内に火炎を打ち込まれ、そのまま減速できない状態で地表に勢いよく激突・爆散する最期を迎えた。
【用語】
北方に存在する島で、ほぼ一年中雪が降る寒冷な気候。農作物も大した物が育たないため家畜や漁業が主な食料となっているようだが、長年ドラゴンの襲撃を受けては強奪されている。
ヒックとトゥースが協力してレッド・デスを撃破したことで住民達とドラゴンは和解し、両者が共存する島となった。
バーク島に住まう人々で、七代前から住んでいる模様。襲い来るドラゴン達相手にも怯むことなく立ち向かう良く言えば勇敢、悪く言えば脳筋な人が多い。ストイック曰く「山をも砕き、森をも潰し、海をも沈める」のがバイキングとのこと。
おかしな名前の住人が多いが、曰く「変な名前だと怪物トロールが怖がって逃げる」ためらしい。
主人公のヒックも英語では“Hiccup”と書く。つまり「しゃっくり」である。
あらゆるドラゴンのデータが乗っている本。名前・生息地・攻撃方法など様々な情報を纏めており、締めは必ず「極めて危険、見たら殺せ」で締めくくられている。
【余談】
本作の公開後、ドリームワークスのアニメ作品は全世界での配給元の変更が続き、それは日本での展開にも大きな影響を与えた。
第2作の『ヒックとドラゴン2』では、20世紀フォックスの日本支部がアニメ作品の公開に消極的だったという事情が大きく、ゴールデングローブ賞を受賞してアカデミー賞にもノミネートされたにもかかわらず、日本では劇場未公開という前代未聞の事態になってしまった(アカデミー賞を受賞すれば劇場公開が実現していたのではという声は少なくない一方、2010年代後半ごろからはアカデミー賞の受賞または主要部門にノミネートされた映画でも、日本で劇場公開されないケースが稀にある)。
シリーズ第3作にして最終作である『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』は、配給がユニバーサルに移行した事もあってか日本での劇場公開が実現した。第2作が未公開となった事及びシリーズ未履修の観客への配慮としてか、前作と前々作の簡単なあらすじを紹介する映像が冒頭で流れた。
2025年に実写版が公開予定。アニメ版からは声を務めたジェラルド・バトラーらが続投する。
追記、修正はドラゴンに乗ってからお願いします。
- ヒックが魚をトゥースに持っていくシーンで、ナイフを警戒するトゥース→ヒック、ナイフを落とす→トゥース「捨てろよ!」→ヒック、ナイフを遠くへ蹴り飛ばす→トゥース「……マジ?(キョトン)」……という流れが結構気に入っていたり。 -- 名無しさん (2022-11-11 00:06:04)
- トゥース繋がりで広報にオードリーが起用されてた記憶 -- 名無しさん (2022-11-11 01:21:11)
- 未登場のドラゴンはテレビ放送版で数多く発見される -- 名無しさん (2022-11-11 06:52:52)
- ファンタジー好きにはもってこいの映画。私も大好きです。 -- 名無しさん (2022-11-11 07:19:51)
- 2を観るという人は気を付けた方がいい。かなりショッキングなシーンがあって、無印が好きな人ほどダメージが大きいと思う -- 名無しさん (2022-11-11 23:41:20)
- これは素晴らしい名作。絶対に観てほしい。 -- 名無しさん (2024-08-22 18:45:35)
最終更新:2024年11月20日 07:37