ベイカー(ゴルゴ13)

登録日:2023/08/12 (土) 01:15:55
更新日:2025/04/16 Wed 14:40:09
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チャンスだぞ、戦え、殺し合え!




ベイカーとは、『ゴルゴ13』の148巻に収録されたエピソード「装甲兵SDR2」に登場するゲストキャラクター。
なお、ベイカーという名前はテレビアニメで新たに設定された名前で原作には存在しないが、便宜上本項目名と項目内では「ベイカー」と記述する。

CV:佐々木勝彦

概要

SDR2計画の最高責任者であり、SDR2の性能に魅了され狂った実験を発案したアメリカ軍の男性。
体つきは華奢だが武官で、ベトナムにて女・子供までもが銃と刃物を持って襲い掛かってくるという地獄のような状況を経験している。
パリとベルリンの距離を一瞬で思い付く、日本軍の神風特攻隊の覚醒剤使用のエピソードをすぐにたとえ話として引き出す、ゴルゴのSDR2対策に気が付くなど知識や戦闘テクニックも豊富な描写が多く見られる。

SDR2の実験をするために「無人島に世界各地から過激なテロリストを集めてバトルロワイヤル風の殺し合いをさせる」という狂気の発案に至った。
アメリカ軍人からすれば憎き殺人者とは言う価値観はあるだろうが、テロリストが惨たらしく死んでいくグロテスクな姿を見ても一切心を痛めないどころか楽しむような冷酷さを持つ。

このように過激な思想と発言が目立つが、軍が直面している矛盾に鋭い指摘をしている*1辺り、全くの無能というわけではないようである。
最終的に「戦場に最初から正気など無い」と開き直っていた辺り、あるいは彼自身もとっくの昔に戦争の狂気によって毒されていたのかもしれない。
腐っても軍人だからなのか完全な畜生という訳でもなく、ミロセビッチ*2によるアルバニア人虐殺を止められなかったことを悔やんでいたりと、一般人の被害を生んだことに憤る正義心もあったようだ。
また、日本企業のONDの二足歩行技術を素直に称賛していたのでゴルゴ作品に登場しがちな「黄色人種を差別するアメリカ人」と言う訳ではないようだが、SDR2の実験に付き合いきれずに退場する社員を見て「平和ボケの輩」とも罵っているので見下してはいる模様。

ただし、ベイカーの最大の疑問点としては、世界中から有名なテロリストを集めてた割には、ゴルゴの顔さえ全く知らなかったというある意味とてつもなくマヌケな一面を見せているところだろう。
また、ゴルゴ世界の政府高官や権力者、大富豪は大概独自にゴルゴにコンタクトする方法を持っており、ゴルゴを使って似たような実験をした米軍幹部もいる(『バイオニック・ソルジャー』『メジャー・オペレーション』など)のにである。
メタ的に見れば従来通りに知っているようなシチュエーションだった場合、話が成立しなくなってしまうためにそうされたのだと思われる。まぁ、突っ込むのは野暮だろう。
この件に関しては一部からは「狂気的な思想から他の武官から疎まれており、ゴルゴの存在を知らされなかった」という説も出ており、過激な思想は遅かれ早かれいずれはゴルゴのターゲットになっていた可能性は高い。
唯一の救いとしてはSDR2に対する戦闘技量を見たこともあってゴルゴを一切侮ることはない程度には節穴ではなかったということくらいか。

劇中の活躍

当初は兵士への精神的負担を与えないことが売りのSDR2だったが、実際はむしろ搭乗者を狂わせてしまう欠陥が発覚する。
ところがベイカーは狂ったかのような笑い声を出した後に「もともと戦場に正気など無い」「これからの兵士はあれくらいでなければならない」と大いに満足し、挙句「今の腑抜けた兵士どもを全員アレに載せて叩き直してやる」とまで言い出した。
最早安定した精神で殺人を出来る兵器が欲しいという要望から外れつつあり、主催側はもはや誰も彼もが狂気に囚われていた。

ところがその後飛び入り参加したゴルゴの実力に感心し、SDR2の破壊を達成したゴルゴをゲームの勝者として船に招く。
ゴルゴの分析力の高さに驚き、「SDR2など無くとも、あなたが軍の顧問となれば地上戦の弱さを克服できる」と申し出るが、ゴルゴは当然拒否する。
「依頼ではなく命令」として部下に拳銃を突きつけさせて拒否権が無いとして脅すが、ゴルゴにそんな行為が通じる訳もなく部下は全員射殺される。
逆に拳銃を付き付けられる絶体絶命の中、ゴルゴにある問いかけをされる。

「なぜ……テロリストを選んだ?」

「奴らは、我が兵士が血を流し、
中東で、南米で、アフリカで築き上げた秩序、正義を
たった一発の弾丸、たった一つの爆弾で、
いともかんたんに崩壊させる
許されざる者たちだからだっ!!」

「その〝正義〟とやらはお前たちだけの正義じゃないのか?」

──そんなゴルゴの問いかけに対する返答は、「アメリカの正義は、世界の正義だっ!!」という傲慢極まるものであった。
ゴルゴは狂っている相手を*3を殺害すると、島を後にする……。

基本、人種絡み(自分が日系であること関連)でなければそこまで口を尖らせないゴルゴにしては珍しくそれ以外で相手の思想を批判するような言葉だが、彼から見ても発案者の思想と言い分は腹が立つものだったのだろうか?






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最終更新:2025年04月16日 14:40

*1 「国民は勝利と自由を望むくせに手を汚すことを嫌う」「空爆だけでは戦争に勝てないのに、歩兵を汚れ仕事として批判する」。

*2 多分元ネタは元セルビア大統領のスロボダン・ミロシェヴィッチ

*3 殺害描写があるのは軍人のみで、技術者に関しては殺害描写が無い。