真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

登録日:2023/11/14 Tue 23:35:00
更新日:2024/10/03 Thu 02:02:41
所要時間:約 9 分で読めます




お姫様との幸せいっぱいな辺境スローライフ、ここに開幕!

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』はざっぽんによる日本のライトノベル作品。
2017年10月から「小説家になろう」に投稿され、2018年6月から角川スニーカー文庫より刊行されている。

略称は「真の仲間」

【概要】


いわゆる追放系なろう作品の開祖の1つとなった作品である。
主人公は勇者パーティーの中でも人間関係の中を取り持ったり戦略を立案したりするなど重要な働きを担っていたが、
パーティーメンバーの人間関係や謀略なども相まって追放されてしまった。その後、タイトル通り辺境で争いとは無縁なスローライフ生活を過ごすことで、新たな人脈も生まれるだけでなく、過去に知り合ったヒロインと再会した。結果勇者パーティーにいた頃とはまるで違う穏やかで楽しみのある暮らしを過ごすことができた。この結果、主人公は生きがいを見出していくという流れが1つのコンセプトになっている。


(メディアミックス)


①漫画
池野雅博によりコミカライズされ、月刊少年エースで連載されていた。全14巻。
②ドラマCD
文庫版第5巻特捜版の付録としてドラマCD化された。原作者によるオリジナルストーリーである。
③テレビアニメ版
2021年秋にTOKYO MXやAT-Xなどで第1期が放送。(全13話)
2024年の冬に第2期が放送(全12話)。


【あらすじ】


「君は真の仲間ではない──」
最前線での戦いについていけなくなってしまった英雄・レッドは、仲間の賢者に戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう!
「──はぁ、あんときは辛かったなぁ」レッドが抜けた事で賢者達が大パニックになってるとは露知らず、当の本人は辺境の地で薬草屋を開業しようとワクワクした気分で過ごしていたのだが・・・・・・
「私もこのお店で働いていいかな?住み込みで!」突如かつての仲間であるお姫様が自宅まで訪ねてきて!?

"のんびり楽しい薬屋経営"、"お転婆姫とのイチャイチャ生活"、報われなかった英雄による素晴らしき第2の人生がはじまる!
(アニメ公式HPより引用)


【キャラクター】


(主要人物)


ギデオン・ラグナソン/レッド
CV:鈴木崚汰
本作の主人公。
勇者の旅立ちを守る「導き手」の加護を持っている。
冷静沈着で穏やかな性格。
初期スキルが充実していたことから、6歳の頃からモンスター退治に出かけ、8歳の頃には騎士団にスカウトされて、18歳になるころには副団長になるまで出世している。
一方で自身の加護に固有スキルがなかったことから頭打ちも早く、他の勇者メンバーと比較するとやや見劣りするのも事実である。
しかし、頭のキレる頭脳と人当たりの良さを活かし、メンバー間の人間関係の調整や戦略の立案などを行っていたことから、パーティーには必要な存在だったことが分かる。
いわば『縁の下の力持ち』タイプ。

賢者アレスから「君は真の仲間じゃない」戦力外通告を受け、自身も力量の限界を自覚していたこともあり、パーティーを抜け出すことになる。
その後はレッドと名前を変えてゾルタンでDランク冒険者をしつつ、薬草店を開店することになった。
自身のスキルや勇者時代に培った戦闘能力を使い、村で起きる様々な事件を解決することになるが、基本的には争いごとなどには巻き込まれたくない平和主義を貫き、ヒロインであるリットと穏やかな暮らしをしたいと考えている。

ちなみにリットに対しては最初の頃は遠慮していたところはあったが、一緒に暮らしているうちに恋心を自覚。
今では完全に夫婦ではないかと呼べる間柄になっている。(これにより多数の読者とアニメ視聴者が壁殴りを始めたとか始めなかったとか

リーズリット・オブ・ロガーヴィア/リット
CV:高尾奏音
本作のメインヒロイン
ロガーヴィア王国の第2王女。加護は「スピリットスカウト」。つまりは精霊遣い。
ギデオンが勇者パーティーにいた頃に出会っている。当時は公告が魔王軍に攻め込まれた際、シサンダンにより師を失い、精神的にも疲弊していたが、ギデオンの説得を受け再起して魔王軍を撃退することに成功した。
当時は心に余裕がなかったため(本人談)、プライドの高さが目立ってしまい、ギデオンに対しても当たりがきつかった。
ただこの頃からギデオンに好意を抱いていたとされており、素直になれなかった自分を後悔していた様子。

ゾルタンではリットと名前を改め、Bランク冒険者として活躍していた。
これは王位継承権をめぐり、自分を担ごうとする勢力の存在に嫌気がさし、騒動が落ち着くまでは自由に暮らしたいという意思があってのことという。
そんな中でギデオン(レッド)と再会し、一緒に薬草店を経営することになる。
王女時代と違い、レッドに対しては素直に接しておりスキンシップも多い。抱き着くことは日常的で膝枕で眠ったり入浴したりそれ以上も…。もはや夫婦の領域で気持ちが通じ合っている。リア充爆発しろ)レッドの作る料理が好きで、毎日楽しみにしている模様。
一方でなかなか積極的になれないレッドに苦笑しながら「ヘタレ…」とつぶやく場面も。

ルーティ・ラグナソン/ルーティ・ルール
CV:大空直美
本作のもう一人のヒロイン
レッドの妹である。「勇者」の加護を持つ人類最強の存在である。
「勇者」の加護は規格外の戦闘能力を与えることから、その辺のザコ敵などは瞬殺可能。スキルは「完全耐性」。ある種チートのようなスキルだが、それと引き換えに感情を失ってしまい、「勇者という加護の入れ物」という扱いになってしまっており、同情する点は多い。
幼い頃、自身を守ってくれた兄を慕っており、加護により感情を失う状態になっても、その思い出のおかげで彼女は兄に恋する感情を持つことが出来ている。

とあることがきっかけで悪魔の加護を摂取したことにより、勇者の加護を弱めることに成功。
一時的に加護から解放されたことをきっかけに、悪魔の加護を定期的に入手できるよう、その薬を探す旅を開始。
ゾルタンにたどり着いた際、兄のギデオンと再会する。兄と再会したことをきっかけに自身も勇者としてではなく、一人の少女としてゾルタンに住むことを決意する。

その後、自身を追ってきたパーティーメンバーやシサンダンと戦うことになるが、これを退けることに成功する。
その際、勇者の加護を支配する新たな加護「シン」の力によって、完全に加護の力から解放されることが出来た。

やや浮世離れした言動が目立ち、レッドやティセを驚かしてしまうことも多いが、
これまで普通の女の子として過ごしてきた経験がないためということもあって致し方なしかと思われる。
ゾルタンの生活で本来の彼女がやりたいことを見出していくことが本作のテーマにもつながる。

(勇者パーティー)


アレス・スロア
CV:八代拓
勇者パーティーの一員で「賢者」の加護を持っている。
勇者パーティーにおける地位向上と、没落した実家の復興のため、自身がギデオンに代わって勇者の隣に並び立つことを目論み、その一環としてギデオンを戦力外通告することによって追放した。
賢者の加護には『他人の加護を鑑定する』能力があるがもともと性格に難があるアレスはこれにより加護の性質で人を区別するという悪癖が染みついている。ギデオンのことは軽蔑しているし勇者の加護を持つルーティにしても「勇者の加護がすごい、だから自分は彼女を導き人々が加護に相応しい評価や境遇が得られる世界を作るべし」という独善的な態度で接していてルーティ個人の感情には目もくれない。
プライドが高く自身の失敗を頑なに認めない性格でいざというときに失敗をやらかしやすく、精神的余裕がなくなると癇癪を起こし周囲を逆恨みするというおおよそ『賢者』という肩書とはかけ離れた短慮な人物。その上自己中心的なためギデオン追放の原因について仲間たちが薄々勘付いているのも相まって信頼度は低い。

ギデオン追放後は自身がリーダー格になろうと奮闘するが上述した信頼度の低さもあり、物事がうまくいかない日々が続き意気消沈する。
これに追い打ちをかけるように、ルーティがパーティーを離脱したことも相まって、精神的に追い詰められた結果、シサンダンに付け込まれる格好になってしまい、レッド抹殺を企むが仲間に支援されたレッドに斬られて生涯を閉じることになった。

やらかしてきたことは完全に自業自得で同情の余地はないのだが、ある意味では加護という呪いの最大の被害者でもある。強過ぎる我と加護の方向性、没落貴族という生まれが悪魔合体してしまい、更に勇者パーティのメンバーは全員が性格的に反りが合わない(まぁ合うほうがおかしいくらいには、アレスは自己中心的な人物ではあるが)と、最悪の方向性を持ってトチ狂ってしまった面もある。

ヤランドララ
CV:雨宮天
勇者パーティーの一員で「木の歌い手」の加護を持つハイエルフである。
性格は明るい元気少女。ギデオンとは信頼関係を築いており、抱き着くなど恋人のようなスキンシップも行う。その結果リーズリットが嫉妬してしまうことになる。
ただ、もう愛する人と別れるようなつらい体験をしたくないという理由でギデオンと恋愛関係になるつもりはないという。
そうした事情も相まって、リーズリットのギデオンへの気持ちを察して彼女にエールを送っている。

ダナン・ラボー
CV:三宅健太
勇者パーティーの一員で「武闘家」の加護を持つ。
豪快な性格で、自身も認める単純思考な性格。
ギデオンとは当初はそりが合わないと反発していたが、兵法家の彼の能力は認めており、何かとバラバラになりそうなパーティーをまとめていた彼のことを信頼していた。

後にギデオンを探すためにパーティーを離脱する。彼を探して旅をしている途中、復活したシサンダンに右腕を奪われてしまう。
ギデオンと再会した際には彼の協力者になった。暑苦しいところはあるがいい奴ポジションであることに間違いない。(いわゆる劇場版ジャイアンポジション

テオドラ・ディフィーロ
CV:内田彩
勇者パーティーの一員で「クルセイダー」の加護を持っている。
加護が示す役割に従うことを是としており、アレスと共にルーティを連れ戻そうとするが返り討ちにあう。

ティセ・ガーランド
CV:釘宮理恵
ギデオンがパーティーに抜けた後にメンバー入りした暗殺者。「アサシン」のスキルを持っている。
暗殺者としての訓練として表情を出さないように心掛けているが、実は小心者である。
ルーティに対しても最初は恐れ多すぎて汗でシャツが濡れてしまうレベルで緊張していた様子。今ではよき友人として接している。(しかし、ルーティの規格外の行動に魂が抜けてしまいそうになっている)

お風呂とおでんが好き。おでんには辛子が絶対に必要であるなど、好きなものに対するこだわりが強い。
うげうげさん」という小さな蜘蛛の相棒がいる。「うげうげ“さん”」までが名前らしい。

(ゾルタン)


アルベール
CV:天﨑滉平
ゾルタンのBランク冒険者。
自分の名前を残すことに執着する「ザ・チャンピオン」の加護を持っている。
自身の加護の影響もあり、ゾルタンでくすぶっている現状に不満を抱いており、勇者パーティーに入ることをもくろんでいる。

より強い力を得ようとリットと手を組もうと狙うが当の彼女は冒険者稼業を辞めてしまった。これにより、関係者であるレッドと恨んでいる節がある。後に力を得ようと村で起きた騒動の中で様々暗躍することになる。

ゾルタンを出て以降は勇者パーティーに合流し、主にテオドラに付いて動いていた。が、ゾルタンでルーティをめぐる戦いに参加したことで、自分が憧れた加護や英雄の負の側面を目の当たりにし、レッドたちにルーティと敵対行動をとったテオドラへの許しを請い以降は徐々に更生してゆく。

ゴンズ
CV:山中真尋
レッドの近所に住むハーフエルフの腕利き大工。レッドの店を建築してくれた。

タンタ
CV:芹澤優
ゴンズの甥。病気になった際、レッドが薬草を探してくれたことで命を取り留めた。レッドの店のデザインは彼によるもの。

アル
CV:木下玲奈
タンタの友人のハーフエルフ。武器の扱いに長けた「ウェポンマスター」の加護を授かる。当初は加護に対して懐疑的であったが、レッドとリットに特訓してもらい、自信を持つようになる。

ニューマン
CV:魚建
ゾルタンにある診療所の医師。レッドの理解者で彼が販売している薬草の世話になっている。

メグリア
CV:東山奈央
ゾルタンの冒険者ギルドの受付嬢。


ゴドウィン
CV:岩澤俊樹
モノクルをかけた「錬金術師」の加護を持つ盗賊ギルド員。麻薬騒動後は刑務所に収監されていたが、悪魔の加護の調合法を知っていたため、ルーティによって脱獄させられる。

自他ともに認める小悪党だが、小悪党なりの矜持はあり「正義はおろか悪の風上にもおけぬ、悪を称する事すらも許されぬ外道であるアレス・スロアの存在は許されるものではない」とレッドたちに助太刀する。

(魔王軍)


シサンダン
CV:興津和幸
6本の腕を持つアスラデーモンで魔王軍の将軍。
自身が食らった人物に成りすますことが可能である。ロガーヴィアでの戦いでルーティたちに討ち取られたが、魔王によって復活を果たす。ゾルタンに潜伏し、勇者パーティーの人間関係を利用して暗躍する。


【加護】


この作品の世界においては、至高神デミスによって、一部を除く全ての生き物に対して「加護」が与えられる。
生物はこの加護によってスキルなどの恩恵を得られる一方で、与えられた加護に相応しい生き方を半ば宿命づけられる、強制力を持ったシステムという側面を持っている。
加護の持ち主の精神も加護の方向性に引っ張られやすくなるので、持ってる加護の種類やその人物の環境によってはそれこそ身を持ち崩すような呪いのような物になってしまっている。
この作品では住民の多くが加護を肯定し享受している中、自身の加護を盲信するあまり暴走する者、望まぬ加護によって人生を「縛られてしまう」ことに抗う者の存在が、キーポイントのひとつとなっている。


【テレビアニメ版】


第1期は2021年秋にTOKYO MXやAT-Xなどで放送された。全13話で原作の4巻までの内容がアニメ化された。レッドとリットのイチャラブ模様に関しては割と大胆な描写も用意されている。

第2期は2024年冬に放送。

製作はスタジオフラッグ

(主題歌・1期)


OP:「息を吸う ここで吸う 生きてく」
ゆいにしおによる第1期オープニングテーマ
タイトルの歌詞がスローライフ生活の様子をうまく表現している主題歌である。
ED:「みんなおなじ」
JYOCHOによる第1期エンディングテーマ。牧歌的な雰囲気を出しつつ、本作の作風にマッチしている。

(主題歌・2期)


OP:「routine life」
ゆいにしおによる第2期オープニングテーマ。
主人公ルーティの第二の人生と私達の生活も重ね合わせた曲となっている。
ED:「導き、捧げて」
JYOCHOによる第2期エンディングテーマ。
ルーティの新たな人生と共にルーティとヴァンにメインがあたる話となるが、導き手のレッドが好きという理由から、今作のタイトルを決めた。

追記・修正はパーティー追放後にスローライフ生活を決めたときにお願いします。


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最終更新:2024年10月03日 02:02