アンドリュー・フォーク(銀河英雄伝説)

登録日:2020/01/21 Tue 17:27:05
更新日:2020/02/24 Mon 20:17:21
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そうだ……私こそが……民主共和制の英雄なのだ……私こそが……。

ヤンめ……ヤン・ウェンリーめぇ……!


アンドリュー・フォークは『銀河英雄伝説』の登場人物。
自由惑星同盟に所属する軍人である。

劇中での多大な活躍(?)や迷言によって作品ファンはおろか各媒体で演じた役者にまで嫌われており、一周まわってネタキャラとしても扱われているという凄まじいキャラクター。
アニメにおいてOVA版では古谷徹が、Die Neue These版では神谷浩史が声を務める。
リボンズがティエリアに役を押し付けたわけではない。たぶん。


●目次

人物

宇宙暦770年・帝国暦461年生まれで初登場時は26歳。……にしてはちょっと老けた感じで血色が悪く陰気そうな風貌をしている。

士官学校を首席で卒業した秀才で、若くして准将の地位に就いているエリート。役職は作戦参謀。
ちなみに同期の次席は後にビュコックの副官となり、ヤン艦隊の幹部にも加わるスーン・スール。

首脳部の宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス元帥から高く評価されている人物であるが、その実像は「こんな奴が首席卒業か?」と首を傾げるような小物に過ぎない。

アッテンボローにも「嫌なヤツ」呼ばわりされていた非常に陰気かつ陰険であり、そのくせ無駄にプライドや虚栄心だけは異常なまでに高いという厄介な性格。

いずれ同盟軍の元帥となって頂点に立つ野心を抱いているのだが、本人が思うような才能は皆無で、総合作戦本部長のシドニー・シトレ元帥からの評価は極めて低いばかりか「こいつは危険だ」とはっきり言われる始末。

基本的には自分自身の出世欲しか頭にないエゴイストで他人のことなどお構いなしであり、目上の人間であろうが平気で嫌味を吐いて侮辱するのはもちろんのこと、自分の出世の邪魔になるような功績や能力を持つ人間を妬んで一方的に敵視するなど器量も低い。

そのくせに自分は安全な場所から前線で働いている人間に無茶な命令を平気で指示し、自分自身の才能を実績では示そうとせずに大言壮語な弁舌や空虚な演説によって認めさせようとする。
自分に反論する者には上記と同じくさりげなく貶めて封じ込めたりする下衆なことも平然と行う。

どちらかと言えば軍人より政治家に向いていると言えなくもないが、それでも結局はヤンが嫌う「安全な場所にいながら主戦論を唱える無能な政治家」と同レベル程度といったところだろう。

また極度にプライドを傷つけられたり、自分の望み通りにならず挫折感を味わったりするとヒステリーを起こすという幼児未満のメンタリティしか持っておらず、挙句の果てにはそれによって勝手に卒倒してしまったり逆ギレして暴走して周りの人間に危害を加えたりと、とてもではないがまともな精神を持ってはいない。
彼を診察した軍医はその精神性について「ワガママいっぱいに育って自我が異常拡大した幼児と同じ」とコメントしており、
私的なコネクションで軍幹部どころか国の議会にまで作戦案を持ち込めた点からして、上流家庭で相当に甘やかされて育ったのだろう。
こういった性格を踏まえると、士官学校の首席卒業もライバルを陥れたりして蹴落とした結果とも邪推できる。
ぶっちゃけ次席のスールの方が遥かに有能。彼がフォークの妬みの対象にならなかったのは幸いか。


劇中での活躍(?)


事の発端はヤン・ウェンリーイゼルローン要塞を無血攻略に成功したことに始まる。
このあまりに大きすぎる戦果は同盟市民を熱狂させて「さらなる勝利と戦果を!」といった声が高まっていた。
これに加えてこの時の最高評議会であるサンフォード政権の支持率が下がっており(イゼルローン要塞を攻略したのに支持されないとか、余程嫌われてたのか……)、次の選挙のためにより大きな成果を求めていた。

そんな時にシトレ本部長のライバルであるロボス派の軍人達も巻き返しを図ろうとしており、同じくヤンの功績を妬み勝手にライバル視するフォークが自分のコネによる私的なルートによってシトレからの決裁も得ずに最高評議会に帝国領侵攻の作戦案を持ち込んだ。
シトレははっきり出兵に反対していたのにそんなものを軍部からの作戦として認めるとかアホかよ……。

こうしてジョアン・レベロやホワン・ルイ、さらにはヨブ・トリューニヒトのみが作戦に反対して残るは賛成したことから3000万人もの将兵を動員する無謀な大遠征は決定してしまう。

そしてヤンやシトレら多くの主要提督達は渋々ながらも作戦会議を行うのだが、まだ具体的な行動計画が立案されておらずそんな計画を議会のアホ供はあっさり承認したのか……。、シトレ元帥は活発な提案や討論をするようにと告げた途端……


「作戦参謀フォーク准将であります! 今回の遠征は我が同盟開闢以来の壮挙であると信じます!」

「幕僚としてそれに参加させていただけるとは武人の名誉! これに過ぎたるはありません!」

……? だからどうした?
まだ発言の許可すら出てないのに勝手に喋りだすフォークだが、自分の立てた作戦を自画自賛してアピールするだけで中身のない言葉しか吐かなかった。
たった今、提案をしろと言われたばかりだろうが。
もちろん、シトレには無視されるしヤンに(愚挙の間違いじゃないのか?)と呆れられた。

続いて第10艦隊の名将、ウランフ提督が発言する。

「この作戦の戦略上の目的は何か?」

「敵軍と一戦するだけなのか、敵軍を壊滅させて和平交渉に持ち込むまで粘るのか」

「そもそも作戦自体が長期的なのか短期的なのか分からない」

と、実に真っ当な疑問を提示する。無気力なロボスはフォークに全部丸投げし、そのフォークの自信満々な回答はと言うと……。


「大軍をもって帝国領土の奥深くへと侵攻する。それだけで、帝国人の心胆を寒からしめることができましょう」

……? それは戦わないで退く=示威行動ということなのか?


「そうではありません。高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処することになろうかと思います」


……な、何を言ってるかまるで意味がわからんぞ!?
あまりに意味不明な内容にウランフも「抽象的すぎるからもっと具体的に話せ」と言うが、第5艦隊のビュコックが一声。

「要するに、行き当たりばったりということではないのかな?」

つまり作戦立案者であるフォーク自身も敵地に侵攻をして何をしたいのかまるで考えていなかったのだった。
フォークはビュコックの指摘にムッとしながらも、否定も肯定もせずに「他に何かあるか?」と話題を変えてしまう。……図星だな。

新アニメ版ではロボスがフォークを擁護するのだがその内容は「遠征自体が帝国の民衆に希望を与えて専制政治に対して打撃を与えられる」というものであり、やっぱり具体性が無いどころかつまるところ手段そのものが目的という無責任な発言でしかなかった。

次にヤンからの意見が上がり、「帝国領内への侵攻を今にした理由は?」と尋ねるが、これはビュコックら他の提督達にも分かりきったこと。最高評議会が選挙に勝って、政権を維持するためである。
ついでに言えば、自分の出世のため。むしろ、こっちが本音。

事実、フォークも作戦案を最高評議会に持ち込んだ際、政権維持のための方法があると説得していたのでこれもまた図星。
無論、そうとは答えられないフォークの回答は、


「戦いには機というものがあります。それに逆らえば運命そのものに逆らうことになります」

全く理由にもなってないが、「つまり現在こそが帝国に対して攻勢に出る機会だというのか?」とヤンが尋ねると、


「攻勢ではありません! 攻勢です!!」

「イゼルローンを橋頭保とし、ここから帝国領の奥深くへと侵攻する! さすれば帝国軍は狼狽し、成す所を知らないでしょう!」

「同盟軍の空前の大艦隊が長蛇の列を成し、自由惑星同盟正義の旗を掲げて進む所、勝利以外の何物もあり得ないのです!!」


……いや、だから何を根拠にして今攻めようとしているのか説明して欲しいと言っているのに、フォークは美辞麗句や精神論を並べ立てるだけに留まらず最初から勝った気分であり、まともな会話すらしようとしない。
実はもう半年ほど待って仕掛ければ帝国の内乱である「リップシュタット戦役」と重なり本当に“最高のタイミング”になったかもしれない。

ヤンは隊列が長くなると補給や連絡が困難になることや簡単に横から分断されるリスクが大きいことを語ってフォークの作戦の欠点を指摘するのだが……。


「何故、分断の危機のみ強調するのか小官には理解致しかねます」

「我が艦隊の中央に割り込んだ敵は前後から挟まれ、集中砲火を浴び惨敗すること疑いありません!」

「ヤン中将のおっしゃることは取るに足らない危険です」


俗に言う、「双頭の蛇」ということなのだろうか?
新アニメ版ではビュコックがヤンをフォローし、アスターテ会戦と同じで兵力を集中させず分散させると各個撃破されてしまう」と過去の失敗と反省を持ち出すのだが…。


「戦術的にはともかく、戦略的には先の戦いは敗北じゃない」

「我が軍は最終的に帝国軍を駆逐して侵攻を防いだ」

「そもそも今回の作戦は今までと意義が異なり、自分達は民衆を救済する解放軍なのである」


さりげなくビュコックを侮辱した上で屁理屈を述べて一蹴するばかりか自分達が「正義」であり「救世主」だと勝手に自称しだす。
それこそアスターテは実質的には惨敗だしヤンの戦術的勝利の結果なのだが、フォークはヤンの活躍は完全に無視していた。

補給担当のキャゼルヌは補給線が長すぎるとすぐ物資不足に陥ると危険性を訴えるのだが、ここでもロボスが「占領地から物資を出させれば良い」と、最初から略奪現地調達することを前提した発言をする上、それは無茶すぎると反論するキャゼルヌに「そこを何とかするのがお前の仕事だ」と、無理難題をこれまた無責任にも押し付けてきた。

フォークは対策や解決案も出さず「敵は弱い。自分たちは強い。自分の作戦が正しい。黙って従え」と言わんばかりにヤンら反対者を拒絶するが本人も負けじと「敵の指揮官は戦争の天才であるラインハルトになるだろうからもっと慎重になるべきだ」と意見を述べる。
ヤンとしてはもう戦略構想自体がまともじゃなく、議論は無意味だと理解していたが。

敵がラインハルトであるという話題になるとさすがに他の提督達の顔色も変わり、フォークの旗色が悪くなりかけるがそこに参謀長のグリーンヒルが「まだラインハルトは若いから失敗することもある」と参謀長とは思えない発言でフォークを擁護する。
いや、そこはヤンの方をフォローするべきなのに……。

グリーンヒルの横槍でますます調子に乗ったフォークは「ヤンの心配は予測に過ぎない」と断じるばかりか、「敵を過大評価して必要以上に恐れるのは武人として恥だし、それが味方の士気を削いで利敵行為になる」とはっきり侮蔑していた。

このあまりに失礼なフォークの言葉にビュコックがブチ切れるが、本人は全く反省の色もなく「一般論を言っただけ。個人に対する誹謗じゃない」と言い返していた。
いや、明らかにあなたの個人的な敵対心でしょうに。

ヤンもビュコックも「ダメだこりゃ」と反論する気が無くなり、ロボス以外の提督達も白けきってしまった。
しかし、そんな周りのことなど眼中になくお構いなしと言わんばかりにフォークは勝手に演説を続けていく。
この席にもしもロイエンタールがいて「黙れ下衆!」と言ったらヒステリーを起こして叩きだされただろう。

「そもそもこの遠征は専制政治の圧政に苦しむ銀河帝国250億の民衆を解放し救済する、崇高な大義を実現するためのものです」

「これに反対する者は結果として帝国に味方する者と言わざるを得ません。小官の言う所は誤っておりましょうか!?」

「たとえ敵に地の利あり、あるいは想像を絶する新兵器があろうともそれを理由として怯むわけにはいきません!」

「我々が解放軍として大義に基づいて行動すれば帝国の民衆は歓呼して我々を迎え、進んで協力するに違いないのです!!」

「さすれば、この戦いは……(以下略)


……もうお分かりだろう。フォークの立てた侵攻作戦とは作戦の「さ」の字もないような本人の薄っぺらいエゴイズムに満ちた願望と誇大妄想の塊でしかなかったのだ。
敵に勝利する、という戦果のことしか考えておらず最終目標はおろかその過程さえも全く無いお粗末にすら値しないレベルである。

まさしく、「ぼくがかんがえたさいきょうのさくせん」


フォーク的には

高度な柔軟性で臨機応変に対応 → お前らが自分達で考えて敵に勝って私を喜ばせればいい

帝国の民衆は歓迎して協力するに違いない → 我々は英雄なのだから賞賛されて当たり前だ

と、いうものだったのだろう。無茶も大概にして欲しい……。

こうして作戦会議とは名ばかりな、フォークのロマンチズムのみに満ちた演説が虚しく響き続ける一人舞台だけに終わってしまったのであった。



そして肝心の侵攻作戦では何をしていたかと言うと、前線での活動はヤンやビュコックら主要な提督達に任せきりで司令部である後方のイゼルローン要塞にて上司である参謀長のグリーンヒル大将を差し置いてロボスと共にふんぞり返っているだけだった。

遠征軍は帝国軍の反撃もなく次々と惑星を占領下に収めていき、作戦は順調に進んでいるかに見えた。
道原かつみ版ではこの時のフォークの心境が明確にされており、「英雄の名は私にこそふさわしい!」とすっかり自惚れきっていた。

実際は、この時の帝国軍はラインハルトによる焦土作戦によって占領される惑星からは食料や物資が取り上げられており、同盟軍は自分達の物資を民衆に提供せざるを得なくなっていた。

おまけにフォークの占領政策自体が無策無計画であり、占領地をどんどん広げていったためにその供給量は瞬く間に増大し、イゼルローン要塞の貯蔵と生産能力では対応できなくなってしまう。

補給担当である後方支援のスペシャリスト、キャゼルヌは元々無茶な出兵にもかかわらず3000万の将兵を飢えさせない補給計画をしっかり立てていたのだが、さらに5000万人もの民衆が増えた為に前線でのヤンと同じく敵の作戦に危機感を覚えてロボスに直談判を行う。

しかし、ロボスは相変わらず無気力・無責任な対応しかせずフォークも「敵は補給部隊を襲って補給線を絶つ」とキャゼルヌの意図を一応察してはいたのだが、「最前線までは我が軍の占領下にあるから何も心配はない」とこれまた楽観論と敵を過小評価し、新アニメ版ではロボスでさえ「お前の臆病に付き合っている暇はない」とまともに取り合わず、この期に及んで危険な前線よりも安全な後方である自分達の保身を考えて補給部隊の護衛も30隻にも満たない数しか用意しなかった。

しかし政治家たちが激論の末に送り出した追加の補給部隊はラインハルト旗下の全兵力の3割も使った大軍勢に抑えられてしまう。
その上、補給計画が失敗したことを棚に上げて無責任にも「必要な物資は現地調達せよ」と略奪まで行わせて責任を押し付けてくる始末。
さらに道原版では物資が足りなくなったことから占領地で暴動が起きると、


「何故私の作戦の足を引っ張る!?」

「何故私の予定通りにしない!?」

「役立たずめ!」

と、逆ギレしていた。
そもそもあなたの立てた作戦に予定すらないでしょうに。

その後、全軍撤退を決めたヤンやウランフからの話を聞き入れてロボス元帥に面談を申し入れてきたビュコックに呼ばれてないのに応対し、「お前を呼んだ覚えは無いから早くロボスを呼べ」と言われても、


「ロボスへの進言は全て自分を通してもらう」

「どれほど地位が高くても規則には従え」


勝手に自分が決めたルールを押し付け、あまつさえそのまま通信を切ろうとしていた。
恐らくフォークとしては戦果以外は聞く耳を持たないつもりだったらしい。

仕方なくビュコックはその場で用件を伝えて撤退をすべきだと進言するのだが、


「ヤン中将はともかく、勇敢をもってなるビュコック提督までが戦わずして撤退を主張するとは意外ですなぁ?」

「小官なら撤退などしません。帝国軍を一撃に屠り去る好機だというのに何を恐れていらっしゃるのです?」


何とこの場では関係ないはずのヤンを引き合いに出して侮辱した挙句、ビュコックにまで堂々と嫌味をぶつけてきたのである。
さらに道原版ではこの時の心情が描かれており、


「味方のくせにみんな私の邪魔をしようとする……!」

「私が名声を得るのがそんなに妬ましいか!?」


こんな時に至っても自分を一方的な被害者としか考えていないのだった。

ビュコックはご立派なフォークの意気込みに対して「それじゃあ代わってやるからお前がイゼルローンから前線まで来い」と皮肉をぶつけるが、


「……できもしないことを仰らないでください」


たった今、口にした大言壮語はどこへやら、前線に出るのは嫌だと気まずそうにフォークは答える。
このあまりに自分勝手な発言にとうとうビュコックの堪忍袋の緒が切れ、


「不可能なことを言い立てるのは貴官の方だ! それも安全な場所から動かずにな!」

「小官を侮辱なさるんですか……!?」


フォーク自身もついにキレ始めるが、老害なロボスと違い百戦錬磨の古強者であるビュコックは全く動じない。


「貴官は自己の才能を示すのに弁舌ではなく、実績をもってすべきだろう」

「他人に命令するようなことが自分にはできるかどうか、やってみたらどうだ!」


ぐうの音も出ない正論で叱り飛ばされてプライドを傷つけられたフォークは突如、(道原版では悲鳴さえ上げて)卒倒してしまう。
何事かとビュコックも呆然とするがヤマムラ軍医(道原版では女性)は挫折感が異常な興奮を引き起こして転換性ヒステリーによる神経盲目を発症したと宣告した。
実はこれが俗に言う「火病」と呼ばれる症状である。

で、その病気を取り除くにはどうすれば良いのか軍医曰く、

●逆らってはいけない
●挫折感や敗北感を与えてはいけない
●誰もが彼の言うことに従い、あらゆることが彼の望み通りにしなければならない
●提督方が非礼を謝罪し、粉骨砕身して彼の作戦を実行して勝利を得て彼が賞賛の的となる
●ぶっちゃけ、善悪関係無しに自我と欲望を満足させることが重要

と、いうもの。これにはビュコックも「チョコレートを欲しがって泣き喚く子供かよ」と呆れ果ててしまった。
結論として治療にはフォークが辞めてしまえば済むこと。ごもっともです。

こうして病院送りにされて予備役となったフォークであったが、最終的にラインハルトの総反撃によって遠征軍は壊滅的な打撃を受け、散々憎んでいたヤンやビュコックの奮闘によって辛うじて全滅は免れ、無残に撤退したのであった。
ちなみに結局、ロボスへの面会は本人が昼寝をしていたので無駄な時間を浪費するだけになりました。

しかし、この無謀な遠征によって同盟軍は動員者3000万人中2000万人以上の戦死・行方不明及び投降20万隻もあった艦艇の8割以上を喪失、到底回復し得ない致命的な戦力低下を招いてしまったのである。

ロボスが辞任したために後ろ盾を失い、この最悪の事態を引き起こしたフォーク自身も同僚達からも遠慮なく罵倒され、「アムリッツァで2000万人の将兵を殺した低能」という悪名を残したのだった。


その後、病院から抜け出した彼は新しく本部長に就任していたクブルスリーに現役復帰を願い出てきた。
しかしその方法は統合作戦本部で移動中にアポなしで呼び止めて立ち話を行うという、無礼極まりない行為。
少し怪訝な顔をしつつも対応したクブルスリーはぐう聖である。

病気は治ったと主張するフォークに対してクブルスリーは「人事部に行って正式な手続きをしなさい」と至極全うな対応。
しかし、それでもしつこく食い下がるフォークはロボスのようにクブルスリーの権限で今すぐ何とかしてくれと頼み込むが……。
前にどんなに地位が高くても規則は守れ、と言ったのはどこの誰だっただろうか? まさにおまいうである。


「君は何か勘違いをしているのではないかね?」

「私の権限は手順を守らせるためにあるのであって破らせるためにあるのではない」

「まず君は守るべき手順を守ることから始めることだ。そんなことでは復帰したところで協調を欠くだけで、君にとっても周りにとっても不幸なことになるだけだろう」

「悪いことは言わんから出直しなさい」


あまりに身勝手な懇願に対してもクブルスリーは毅然と諭すように、フォークにぐうの音も出ない正論を叩きつけたのだった。
だが正論は時に悪手となる。元々エゴイストの極みだった上にそもそも病気自体も治っていないってか治しようがない狂人のフォークには全く意味がなく、またヒステリーを起こして逆ギレした彼は隠し持っていたレーザー銃でクブルスリーに重傷を負わせてしまう。

結果、アムリッツァの愚行に続いて有能な軍人をまたも失い、自由惑星同盟は凋落の一途を辿っていくことを余儀なくされた。

実はこの時フォークは裏でクーデター勢力、救国軍事会議に参加しておりクーデターの前に本部を弱体化させるためにクブルスリーを暗殺しようとしていた。会議のメンバーの多くは殺せなかったことに使えない奴と非難してたが、最低限の仕事はこなしたと評価する者もいた。
事実、誰もバックに誰かいるとは考えず狂人がやらかした最悪の行動として処理された。クーデターが起こると考えていたビュコックでさえ、自分が言ったことが遠因と思い多少後味の悪さを感じただけで裏があると勘を働かせることはなかった。こういうところで上手くいってしまうあたり本当に同盟にとって疫病神である。
なお、自白剤など非合法な取り調べ対策にフォーク一人で実行したと暗示をかけておいたのだが、フォークの幼稚な精神だったからこそ容易かつ強固な暗示をかけられたという。
会議のメンバーはフォークは精神病院で狂人で生涯を終えるだろうと予想していた。そのことに対して同情する者はいなかった。そもそも彼らが行動を起こしたのは、フォークのやらかした帝国領侵攻作戦が原因なのだから。
フォークのやらかしを後押ししたのは救国軍事会議のトップなんだからとんだおまいうである

これだけのことをしでかしておきながらフォークは救国軍事会議の予想通り銃殺刑にされることはなく精神病院送りにされて事実上の永久牢獄入りにされることとなり、軍人生命はおろかその生涯すら終わった
……わけではなかった。


……数年後、もはや誰からも存在すら忘れ去られ自由惑星同盟も滅亡し、皇帝となったラインハルトがイゼルローン要塞に立て籠もったヤンと決着をつけようとしていた頃、フォークが押し込められていた精神病院が焼失するという事件が発生。

犠牲者の中にはフォーク自身も含まれていた……かと思いきや、密かに地球教団によって拉致されており、大主教のド・ヴィリエは未だ狂人のままでいたフォークを洗脳してヤンを抹殺するように仕向けた。

憎きヤンを殺して自分が英雄になるという妄執に憑りつかれたフォークは武装商船を強奪してラインハルトとの会談に向かおうとしていたヤンたちを襲撃。
だが、それは地球教によるヤンを確実に抹殺するためのであり、帝国軍に偽装した本命の暗殺者たちをヤンの元に送り込むために逆にフォークの武装商船を撃墜した。


「何故だあああああああぁぁぁっ!?」

そして、地球教の計画通りに油断したヤンは暗殺されてしまうことに……。
最初から最後まで、自分の汚いプライドのために味方の足を引っ張って迷惑をかけるどころか、害悪しかもたらさないどうしようもない輩として生涯を終えるのだった。


能力

作戦参謀を務めているというだけあって、一応それなりに作戦立案能力はあり、第六次イゼルローン要塞攻略戦ではヤンにも「悪くはない」と評される作戦を立てている。
ただし、これは作戦参謀でもない前線指揮官のウィレム・ホーランドが考え付くような程度のレベルであり、最終的には失敗に終わっている。

救国軍事会議によるクーデター決行前の作戦会議ではヤンの元にスパイを送り込むという策を出しており、全員一致で即採用されるなどアムリッツァの愚行ばかり取り上げられて完全無能扱いされているが、ヒラの参謀としてなら決して無能ではなく凡庸といったほどの力量は有していた。
ヤン艦隊副参謀長のパトリチェフ曰く「答えのある問題を解決させるなら手際よくやれただろう」とコメントしている。

しかし、前途のように本人の異常なまでのプライドの高さやヤンへの対抗心から高望みをした結果、正常な思考や判断力を失ってあの頓珍漢な作戦を立案してしまい、結果的に同盟を滅亡させる要因を作ってしまった。

また、ロボスのような実力者に取り入るのも上手く、それによって生まれたコネを利用して自分の思い通りにする等、迷惑極まりない行為も平然と行う。

どの道、軍人としての才能はシトレ元帥が言うように本人が思っているほど高くはなく、所詮はコネだけで伸し上がり実力者の後ろ盾があって威張っているような低能に過ぎない。

その辺を考慮してか、ゲーム系でのステータスは内政系ステータスである「運用」はむしろ優秀である反面戦闘系ステータスは軒並み低く、実況動画では、「コスモだけ燃やしててください」とか言われる。


評価

作中目線でも読者目線でも、まっとうに評価すべき点が見当たらない人物。一部では「自信と行動力はすごい」と皮肉を込めて言われてたり
口先だけの同盟の悪役キャラと言う意味では、ヨブ・トリューニヒトという似たキャラもいるが、あちらは少なくとも先見の明はあり(具体的な行動には出ていないので結局役には立ってないが)、良くも悪くも怪物染みた生命力で何度でも返り咲くだけの政治的能力とカリスマ性も備えているためフォークよりはまだファンがいる。
しかし、より根深い問題はどうであれ、こんなやつが重要ポジションについて、明らかに無謀な計画を誰も止められない同盟軍の状況がおかしいという声もある。

戦果を望む同盟市民の声と支持率のために軍事行動を起こす政治家。
明らかにおかしい作戦計画に乗っかる司令部。
無気力な司令官、敵側の情報不足、占領後の見通しの甘さ、補給の軽視などなど…

失敗と多大な犠牲を予見した真っ当な人物も、厳しいことを言うなら結局はこの無謀な計画を阻止できず、止めるどころか踏み台にするやつまで出る始末。

フォークの無能ぶりを差し引いても、他の人物たちに非がなかったとは言い難い。
アムリッツァ会戦の失敗の責は一個人に権限を集中させた組織それ自体の罪も考えるべきなのかもしれない。


だからといってフォーク個人の能力と人格的問題は擁護しようがないのだが。




主な関係者

◆ロイヤル・サンフォード
最高評議会議長。
「政界の力学がもたらす低級なゲームのすえ、漁夫の利をえた」人物で、人望が無く精彩を欠くため、一周まわって逆に議長に選出された。
ところがやらせてみてビックリ、次の選挙に勝つことだけを目的にフォークが発案した帝国領侵攻作戦の実行を決定し、アムリッツァの悲劇を引き起こした。
当時はトリューニヒトは閣僚の一人に過ぎず、フォークに至っては多数の参謀の一人に過ぎなかった事を考えると、彼こそが自由惑星同盟滅亡の真の元凶と言える。
帝国領侵攻作戦の失敗の責任を取って辞任し、その後は登場しない。


◆コーネリア・ウィンザー
最高評議会議員の一人で情報交通委員長。当時の同盟最高評議会で唯一の女性議員であり、作中通しても珍しい女性の大人物である。
前任者の贈収賄事件により帝国領侵攻作戦の出征を決める議会のわずか一週間前に議員の一員となった新参者であるが、トリューニヒト同様の主戦派で最高評議会議長の座を狙う野心家。
原作地の文で「40代前半の、優雅で知的な美しさをもつ優雅で魅力的な女性で、声には音楽的なひびきがある」と評されており、レベロが警戒している。
しかし、トリューニヒトのような先見の明*1は皆無な上に、「犠牲が大きすぎる」と帝国領への侵攻を反対するホワン・ルイやジョアン・レベロに対して「どれだけ犠牲が多くとも、たとえ全国民が死んでも成すべき崇高な大義がある」と、トリューニヒトでさえ言わないような過激な主戦論を口にする、ある意味ではトリューニヒト以上に危険な存在。
ジェシカ「あなたはどこにいますか?国民に犠牲の必要を説くあなたはどこにいますか?」
彼女の安っぽいヒロイズムと支持率上昇を狙う政治家たちの野心が合わさって帝国領侵攻への採決を強行させることになり、無謀な出征は決まってしまった。

しかし、いざ侵攻作戦が始まるとラインハルトの焦土作戦と遠征軍の無思慮な占領地拡大により、ひたすら支出ばかりが増えて浪費していく最悪な状況となってしまった。
追加物資の検討会議に「軍は何をしているのか」「サンフォード議長が余計なことを言ったから…」と責任転嫁の怒りと恨みが渦巻く状態で参加。
「もはや撤兵するしかないと」内心では考えつつも、自らの野心と責任追及を恐れる保身を優先して「せめて少しでも軍事的成果をあげてもらおう」と遠征継続に賛成した。
結局、帝国領侵攻作戦は得るもののない大失敗に終わり責任を取って辞職。
道原版においては責任を追及してくるマスコミに対して「人命以上に尊重するべきものがあるのが分からないの?」「自分なりに責任は取ったんだから満足でしょう?」と、この期に及んで逆ギレして逃げ出す醜態を見せつけた。

その後はサンフォードと同様に一切登場しない
後にオーベルシュタインの草刈りと呼ばれる政治犯の逮捕があり、さらにはその政治犯が収監されたラグプール刑務所で暴動事件が起きているが、どちらにも彼女やサンフォードの名は出てこない。
天寿を全うした、作中に名前がないだけで上述の逮捕や暴動に巻き込まれた、病や戦死遺族の襲撃を受けて早々に死亡した、あるいは民衆の追求を逃れてどこかに落ち延びた、などなど想像の余地がありそうな部分である。


◆ラザール・ロボス
宇宙艦隊司令長官を務めるピザデブなボケ老人初老の元帥。
若い頃は有能だったとされるが、老いてなお現役で活躍し続けるビュコックと真逆で完全に老害と化しており、参謀のグリーンヒルのサポートが無ければまともに指揮もできず、余計な訓令を出しては味方にいらぬ被害を出すなど既に軍人としては役立たずである。

実績も能力も上なグリーンヒルよりも自分に取り入る低能なフォークを溺愛するというアホなことをしでかし、
結果として彼の言いなりになって完全に傀儡同然と化してしまっていた。

帝国領侵攻作戦でも同様に本人は無気力でフォークに何もかも丸投げした結果、司令部ではフォークが我が物顔で好き放題に振舞い、当の本人も味方が危機に陥っているのに知らん顔で敵襲以外は起こすなと昼寝を決め込み、挙句の果てには帝国軍の反撃でもはや惨敗であるにも関わらず無責任にもグリーンヒルの撤退進言を拒んで無意味な会戦を指示する等、とことんまで味方の邪魔ばかりして最悪の結果を招いた。


◆ドワイト・グリーンヒル
統合作戦本部次長兼宇宙艦隊総参謀長で、フレデリカの父。
本来は良識的な軍人の一人としてヤンを含め数多くの軍人達からも信頼される有能な人物。

……なのだが、無能なフォークや無責任なロボスと同様に実際はアムリッツァの大敗の元凶の一人。
良くも悪くも真面目過ぎる性格で、しかも人を正しく評価したり裏を読む識見が欠けており、かつては幕僚として自分の元に置いていたヤンが不真面目な態度をしていたのもあったがそれだけで評価を落として一時的に麾下から外してしまったほど。

帝国領侵攻作戦でも作戦会議では慎重論を述べるヤンをフォローするどころか、逆に敵の失敗を期待することを前提した発言をしてフォークを擁護するという、参謀長とは思えないようなアホなことをしてしまう。
慎重論を打ち消すのは士気高揚のために必ずしも悪いことではないが、それを対策を練る形ではなく敵のミスを期待する発言の形で行ったのは軍議中の発言としてあまりにもお粗末であろう。
司令部で好き勝手にするフォークを上司として諫めたり先輩としてフォローすることもしなかったためにさらに増長させた上、ロボスの無責任な訓令や無謀な命令にも愚直に従い、全軍撤退を具申してきたビュコックにもお役所仕事のような対応しかしなかったために呆れられ、彼からの信用も失ってしまった。

作戦前の会議で「ローエングラム伯にも若さゆえの過ちがあるだろう」と敵指揮官の若さを侮る発言をしていたら自軍のバカ者若者と老指揮官がセットで盛大にやらかしたのは皮肉としか言いようがない。
侵攻作戦後は統合作戦本部次官から査閲部長へ左遷となるが、グリーンヒルは後にまた誤った人物を信用し活躍の機会を与えてしまうことになる…


◆グレドウィン・スコット
帝国領侵攻作戦でイゼルローンから占領惑星に物資を運ぶ輸送艦隊の司令を務めた人物。
同盟政府が必死の思いで送り出した補給部隊であったがスコットは護衛任務を楽観視しており、補給担当のキャゼルヌの心配する声を聞き流してイゼルローン出発後は艦橋を離れて個室で三次元チェスを楽しんでいた。
チェックをかけるタイミングで敵襲が入るも「前線で何かあったのか?」と間抜けな発言をして部下から呆れられる始末。
知らせを受け慌てて状況を把握しその圧倒的大軍に驚愕するが、キルヒアイスが指揮する4万隻を相手に護衛艦がたったの26隻ではどうすることもできなかった。その後護衛艦は全滅とあるので戦死したものと思われる。
フォークと合わせて同盟軍の末期ぶりと司令部の侵攻作戦楽観を象徴する人物の一人。

後にヤンはこのキルヒアイス艦隊と戦闘に入り、ケンプ艦隊との連戦かつ4倍の戦力差がありながらも1割の損害*2でどうにか撤退に成功している。
しかし低速の輸送艦隊を守りきるのは至難の業。キルヒアイス率いる4万隻が相手では、仮にヤンやビュコックが1個艦隊1万隻*3で護衛していたとしても物資は諦めざるをえなかったであろう。
だからといってスコットの無警戒楽観ぶりが許されるわけではないが。


◆ウィレム・ホーランド
外伝に登場する人物。ロボス元帥麾下の軍人で、救国軍事会議が擁していた第11艦隊の前任の司令官。
第六次イゼルローン要塞攻略戦では彼が立案した作戦とフォークの作戦が似ていたという理由から採用された経緯があり、アッテンボローからは「作戦の内容じゃなくて、提案者の名前で決まるのかよ?」と呆れられた。

フォークと似たり寄ったり、というか脳筋にしたような人物で極めて自信過剰で自己中な性格。
自分を勝手に「ブルース・アッシュビーの再来」とのたまって英雄視したり、ビュコックやウランフといった先任の名将達にも礼節を尽くさず逆にはっきりと侮辱するなどフォーク以上に尊大な男。

第三次ティアマト会戦では先覚者的戦術と、いうよりただ無秩序に暴れ回っているだけに等しい。で帝国軍を翻弄していたがビュコックからの後退命令も全く聞き入れず自分勝手に進撃を続けた結果、後方で機を窺っていたラインハルトの反撃で一瞬にして自分の旗艦もろとも艦隊を総崩れにされた。ざまあ
彼に付き合わされた11艦隊の生き残りは辛うじてビュコックとウランフによって救助されたので、フォークのように同盟全体に迷惑をかけることはなかったのが幸い。

協調性もなく勝手に自滅したアホでしかなかったものの「敵陣を抜けて帝都オーディンを直接攻略する」と一応、目標を立てていた点だけはフォークよりわずかにマシかもしれない。


◆ド・ヴィリエ
地球教団の大主教。
回廊決戦が始まる直前、フォークが押し込まれていた精神病院から彼を拉致してヤン暗殺のための刺客として送り込んだ。

……のではなく、本命の暗殺者たちを送り込むための囮として使い捨てにされて良いように利用されただけで、
ド・ヴィリエ本人からも「実力もないのに栄光を望んだ愚か者は、忘れ去れるよりは悪名を残した方が遥かにマシ」と吐き棄てられた。


余談


作品及び諸々のキャラのファンからは嫌われているのはもちろんのこと、
上記のようにOVAアニメで声を担当した古谷氏も「自分が今まで演じて来た役の中でも特にイヤな奴で嫌い」と笑っていいともに出演した際にコメントしている。
また舞台版に出演が決まったと喜んでいた演者もフォークを演じることになると知った時には「何だ、フォークかよ……」と愚痴をこぼしたとか。

ちなみに古谷氏は新アニメ版ではフレーゲル男爵を演じている。
こちらも相当に無能な嫌われ役であり、人物としてフォークとどちらがマシかは微妙。2人の差は大局に影響を与えたか否か程度。

あまりに極端なキャラ造形なので、銀英伝を早めに畳むために作られたキャラと言われることもあるが、
当初はシリーズ化の構想を持ちつつも最悪1巻打ち切りでも形になるよう作られたそうなので、その想定は間違いと言える。



追記・修正は高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変によろしくお願いします。

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