不死探偵・冷堂紅葉

登録日:2023/11/23 Thu 10:41:00
更新日:2024/12/28 Sat 23:33:11
所要時間:約 6 分で読めます




私をした犯人を見つけて下さいね——探偵さん。


『不死探偵・冷堂紅葉』はGA文庫から出版されているライトノベルシリーズである。

著者:零雫
イラスト:美和野らぐ

既刊
01.君とのキスは密室で
02.君に遺す『希望』
以下続刊中


概要

2023年7月に第一巻が発売された。
ライトノベルではあるものの本格推理小説としても読める作品になっている。*1

学園内で生徒が殺されるというシビアなストーリーだが、ラノベらしい可愛いキャラの登場やお色気ラブコメ描写もあり重くなりすぎない雰囲気で読みやすい。
小説や映画の小ネタが広く用いられており、ミステリー好きならニヤリとできる場面も。

主人公とヒロインによる尊いラブコメ、事件の解決編における怒涛の伏線回収、 劇場版の少年探偵 を思い出す派手なアクションシーンが見所。

特殊設定ミステリーではあるが読者が推理できる設計になっており、物語の終盤で読者への挑戦状が挿入されるというのが最大の特徴。
読者は全ての情報が提示された上でフェアな推理を楽しむことができる。*2
2023年11月現在、ライトノベルとしては唯一wikipediaの 読者への挑戦 ページにも作品が記載されている。



評価

第15回GA文庫大賞 銀賞

アニメ化して欲しいライトノベルランキング 2023年上半期(1巻発売前) 14位 → 2023年下半期(2巻発売後) 4位 → 2024年上半期 2位 → 2024年下半期 1位

ラノベニュースオンラインアワード 1巻は新作部門・総合部門・新作総合部門・萌えた部門の4部門、2巻は総合部門・新作総合部門・萌えた部門・熱かった部門の4部門にそれぞれ入賞*3

このライトノベルがすごい!2024 総合新作部門8位文庫部門12位



あらすじ(公式サイトより引用)

七月■日。謎の美少女・冷堂紅葉が転校してきた夏の日、
クラスメイトが殺された。密室殺人だった。
「私達で事件を解決しましょう、天内くん」
「まるでミステリ小説の名探偵みたいだな」
廃部寸前の文学研究会に所属する俺・天内晴麻は、なぜか転校生に事件の調査を依頼される。
そして冷堂も殺された――はずだった。誰にも解かれることのない究極の密室で。
「私を殺した犯人を見つけて下さいね――探偵さん」
不死探偵と“普通”の相棒。再現不可能な殺人事件に挑む学園ミステリー、堂々開幕!

事件の真相に迫る時、君と最後の××をする。



登場人物

天内 晴麻(あまない はるま)

高校二年生。主人公。
「文学研究会」という本を読む部活に所属している、推理小説好きの男子生徒である。
転校初日の冷堂に学校を案内している最中、体育館でクラスメートの死体を発見する。
警察の事情聴取を終え、冷堂を家まで送ると玄関先で押し倒され……?
その後、冷堂から密室殺人の調査を依頼され事件を捜査する事になっていく。

人並みに胸が好きなのか、巨乳の女性を見る際などに「密だ…」と形容する癖がある。*4
自動二輪車の免許を持っているようで、カワサキのエリミネーターに跨りぶっ飛んだアクションを見せる。
剣道の有段者であり、竹刀を使って犯人と戦闘になる展開も。身体能力は平凡なため、素手の殴り合いでは敗北している。

+ 1巻序盤のネタバレ
キスをすることで時間を巻き戻すことができるという異能力を持っている。
制約が非常に多く、「人の死を認識するとそれより前に戻れない」「人の死以外でも戻る地点は勝手に更新される」「一度戻った地点よりも前の時間には戻れない」等がある。
詳細は不明だが、過去にこの異能力を使ったことにより母親が死亡しており、それ以来使用を控えていたらしい。

この異能力を免罪符にして使用して、ヒロインの冷堂とキスを繰り返して事件の真相に迫っていく。
二人がキスをするシーンは非常に初々しく、「殺人事件が起きているのにイチャイチャする」という展開を違和感なく描写できる秀逸な設定である。



冷堂 紅葉(れいどう もみじ)

天内のクラスに入ってきた転入生。ヒロイン。巨乳。
頭に×のカチューシャを付けた黒髪ロング黒タイツの敬語キャラ。スタイル抜群、胸はHカップ。

一見クールな人物かと思いきや、腹から轟音を鳴らす超ハラペコキャラ。
お腹を見られるのは死守するという乙女な一面があったりと、徐々にギャップが明らかになる。ドラマが好きという設定も。
本人は太っていると思い込んでいるらしいが、水着イラストを見る限りは肉付きのいいグラマラスな身体といった印象である。(主に胸と太もも
泣き虫なのか、作中では涙を流すシーンが多い。
属性てんこ盛りヒロイン。

転入してすぐ『体育館の密室殺人』に遭遇し、とある事情から天内と共に事件の調査を行う。
その際、彼女は文学研究会の部室で死体となって発見されるが…?

+ 1巻序盤のネタバレ
タイトルにもある通り彼女は不老不死の異能力を持っており、実年齢は24歳である。
文学研究会の密室においても死亡しておらず、彼女は翌日に完治して学校に復帰する。
しかし、その異常性が明るみに出てしまったことで彼女は…。

異能力者や異能力を使用した痕跡を匂いで察知するという特技を持っており、殺人事件の犯人が異能力者でないことを明言する役割を担っている。
天内の異能力の匂いが落ち着くようで、丸一日風呂に入っておらず高熱で汗をかいた天内の身体を嗅いでいたというとんでもないシーンがある。匂いフェチ

不死の異能力を持っているためにどの事件でもかなり惨い目に遭っており、肉体的にも精神的にも深いダメージを負っている。
「天内という存在で心を保っている」と天内本人から評されており、今後の彼に対する感情の動きからは目が離せない。

このライトノベルがすごい!2024では、女性キャラ部門で年齢と同じ24位にランクインした。
基本的にアニメ化・漫画化した作品のキャラクターが多くランクインする中、1巻しか発売されておらずCVも漫画も存在しない文庫のみの作品としては異例の順位である。




宮川 愛(みやがわ あい)

二年生の女子生徒で、バレー部に所属している。爆乳
のんびりした性格で、「●●だよ~」と常に語尾が伸びている。可愛い。
彼女のみ、冷堂のことを「ひやどうさん」と呼んでいる。

体育館で死体が発見された当日、水泳の授業中に下着を盗難されており、その下着が体育館の密室殺人の被害者が握っていたため事件の重要参考人になっている。*5
胸のサイズは作中最大のIカップ。愛だけに。下着の色はである。
事件発覚後ものほほんとした雰囲気で、若干アホの子っぽいところが見受けられる。
Hカップの冷堂とIカップの宮川、二人の胸が接触する挿絵は大変素晴らしい。
彼女のおっぱいは非常に重要な要素を担っているため、これから1巻を読む人がいるなら注目すべき部分である。


・カルバン・クレイン

二年生の男子生徒で、天内と同じく「文学研究会」に所属している。
金髪の外国人で、高身長で威圧感のある不良のような見た目。
しかしライトノベルを愛読していたり、口調は荒いが友達思いな一面が垣間見えている。
名前の由来はブランドの「Calvin Klein」からだと思われるが、関連性は不明。

人名を業界用語風に呼ぶ癖があり(寿司→シースー)、天内はナイアマ、冷堂はドーレーである。
やたら印象に残る呼び方故に、冷堂が可愛すぎる時には天内も「ドーレー可愛すぎだろ!」と心の中で真似をしている。
ただ、カルバンの視点で描かれる話では地の分でもこの呼び方が使用されるため若干読みづらい。

タイトルに「修羅場」という文字が入ったライトノベルを読んでいる描写がある。本作がGA文庫刊である事を考えると「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」だろうか?



塩江 蜜柑(しおのえ みかん)

二年生の女子生徒で、天内と同じく「文学研究会」に所属している。
パーカーを着た気さくな女の子で、推理小説が好き。冷堂に綾辻行人の「殺人方程式」をオススメしている。
登場時は「文学研究会の名探偵」を自称していた。

奥原というイケメンの彼氏持ち。
当のイケメン彼氏はあまり素行がよろしくないため、男を見る目はあまり良くないと言われている。
宮川、芦原とは親友。

作中で「向日葵の咲かない夏」を読んでいる描写がある。



芦原 伊代(あしはら いよ)

二年生の女子生徒で、水泳部に所属している。
一人称は「あーし」で見た目や言動はギャルそのものだが、頭の回転が早い。
宮川、塩江とは親友。
水泳の授業で宮川の下着が消失した際も持ち前の機転と行動力でその場にいた生徒の確認を行うなど、非常に友達思い。

天内とは事件の捜査を経て知り合い、関わっていくことになる。
相手の意図を鋭く察したり、逆に気遣ったりする場面も多く見られるためか天内からの評価も高め。

昨今のライトノベルではこういった『要領のいい優しいギャル』といったキャラ付けは珍しくないが、芦原の視点で描かれる話では読者の予想を超えた部分を見せている。



三鷹 ソラ(みたか   )

カルバン・クレインの従者であるメイド。メルセデス・マイバッハを運転して送迎している。
目つきが鋭く威圧感があり口調も粗いと、主人と似たような印象を与えている。
片腕だけ手袋をしていないのが特徴。
喫煙者であり、吸っている銘柄はウィンストン。副流煙をカルバンに吸わせないように配慮している。

天内、冷堂に続いて登場した異能力者であり、指を鳴らすことで発動する(手袋をしていないのはこのためだと思われる)
異能力の名前は『時の破壊』。これを受けた天内には「移動したはずが元の場所に戻っていた」という奇妙な現象が発生した。
詳細は不明だが、バトルになれば絶対に勝てないだろうと天内は評している。

犯人は異能力者ではない」と明言されているため、この作品において確実にシロであるキャラクターである。



・エレイン・ティリー

1巻の冷堂過去編に登場した少女。
異能力を持っており、それを使用して地下室にいる冷堂の父親を発見した。
それ以降は冷堂と共に孤児院で過ごしたとされている。

2巻では主人公達の通う青崎高校に姉妹で転校する。
冷堂と同じクラスになれなかった事に怒りつつ、昼休みや放課後は冷堂を連れ回して旧交を温めた。
コンクールで賞を取るほど美術の才能を持っており、青崎高校でも美術部に入部している。

+ 2巻序盤のネタバレ
異能力は透視。物を透かして見ることができる。
宮川の爆乳を透視したと思われるシーンでは、あまりの大きさに「え……デッッッ!?」と恐れ慄いている。

2巻で発生する美術部の密室殺人における被害者となる。
完璧に施錠された現場には、彼女が遺したと思われるダイイングメッセージが落ちていた...。



・メアリン・ティリー

エレインの双子の妹。彼女は異能力者ではない。
姉と違って日本語に不慣れなのかたどたどしい話し方をしており、自己紹介の際は苗字を漢字でどう書くかを訊ねている。

美術部の姉とは違い運動系の部活に入りたいと思っている。
天内をイケメン認定しており、かっこよすぎて死ぬというよくわからない発言をしている。

+ 2巻序盤のネタバレ
姉と同じく、2巻で発生する女子更衣室の密室殺人における被害者となる。
首を吊った状態で発見されるという凄惨な現場であった。

姉妹が転入してきた理由について、「確信ができたら話す」と冷堂に言っていたが、それが叶うことはなくなってしまった。





余談


1巻の内容から、おっぱいミステリーだと呼ばれることがある。

青崎有吾の「体育館の殺人」から影響を受けていると作者が公言しており、作中で登場人物が通う学校は「青崎高校」で作中で最初に発生する密室殺人も体育館。
そしてこの作品にも読者への挑戦状が存在する。






追記・修正は読者への挑戦が解けた人にお願いします。

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最終更新:2024年12月28日 23:33

*1 あとがきにて、作者も「ライトノベルで本格ミステリを書こう!という志で執筆に臨みました」と語っている。

*2 犯人は特殊な異能力を持たない人間であると明言されているため、普通の人間に可能な範囲のトリックが用いられている。

*3 2巻連続での4冠達成は史上初

*4 他にも冷堂の身体を見て「密ですね」というキャラがいるので、作中で共通の代名詞のようなものなのだろう

*5 つまり初登場時はノーブラである