ゴッドハンド輝

登録日:2023/11/28 Tue 18:47:03
更新日:2024/06/01 Sat 08:08:35
所要時間:約 7 分で読めます








オレは運命をねじ伏せたい・・・・!!

このオレの手で!!





◇概要

『ゴッドハンド輝』は山本航暉が週刊少年マガジンで連載していた医療漫画。公式略称は「ゴッ輝」。
コミックスは全62巻と、同じくマガジンで連載された『スーパードクターK』を越える長期連載*1となった。

「ゴッドハンド(奇跡の手)」と呼ばれる神に等しい高度な医療技術を持つ医師を目指す、「絶対的天運」を持つ新米外科医・真東輝(テル)の成長を描いていく。
医療漫画らしく様々な病気や困難な手術に立ち向かっていくのが基本だが、心臓手術の難しさを描いたり基礎的な技術やインフォームドコンセントの重要性、医療漫画でも触れられる機会の少ない形成外科を描いたりと、とにかく多彩な描写が多い。
後半の「四瑛会編」では院内派閥の対立、時期会長を決める選挙戦に巻き込まれていくなど『白い巨塔』のような展開も描かれた。

初期の読み切り版では研修医を終えたばかりのテルが人工心肺を使って手術するなど非現実的な描写があったが、連載版では比較的現実的な描写に収まるようになっている。

2009年にはドラマ化されている。基本的にはスタンダードな医療ものなのもあって設定変更は一部だが、その一部に大胆な変更も含まれている。
当初は主題歌にONE OK ROCKの「Around ザ world 少年」が起用される予定で、同バンドにとっても初の大型タイアップとなるはずだったのだが、放送直前のメンバーの不祥事の影響を受けて別の曲に差し替えられた。なお、同曲は現在に至るまで商品化されておらず、ライブでも披露された事がない幻の曲となっている。
なお意外にも?アニメ化は未経験である。

2020年にはCOVID-19を題材にした短期集中連載版『ゴッドハンド輝 〜沈黙のコロナ2020〜』が連載された。
最終回からの続編となっているが、最終巻に掲載されていたアフターストーリーとは設定が異なっているため、実質パラレルワールド


◇あらすじ

神々の座す処(ヴァルハラ)」と呼ばれる、天才医師たちを集めた安田記念病院に新米医師として赴任してきた真東輝。
未熟でドジながらも患者への想いだけは人一倍の彼は、研修医時代から担当した患者が誰一人死んでいないという「絶対的天運」を持っていた。
テルはヴァルハラの外科部長である指導医・北見や天才外科医である院長・安田、ライバルの四宮といった仲間たちと共に、様々な奇跡を起こしていく。


◇登場人物

主要人物

安田記念病院

外科

・真東輝
演:平岡祐太
本作の主人公。父方の遺伝で童顔なうえ、身長160cm強とかなり小柄。前髪に入れたメッシュと胸に残った手形が特徴の新米医師。通称「テル先生」。
明るく、真っすぐな性格のドジっ子で、患者からも気軽に接しやすいため人気がある。患者との「二人三脚の医療」を目指している。
腕は未熟だが緊急時の嗅覚・閃きに優れており、的確に重傷者を探し出す鋭さを持ち、「パァァァァン」という擬音と共に解決策を閃く。
反面、予定手術で平均時間を大幅に超過するなどの難点を抱えていた。
しかし、先輩医師たちの指導や精神的成長で才能が開花していき、特に四宮の登場後は圧倒的な成長速度を見せるようになる。
基礎的な技術に強く、予定手術の時間超過も頭の中のマニュアルを逐一確認しながら丁寧に行っていたためであり、後に克服する。
担当患者が誰一人死んでいないという奇跡のような天運を持つが、本人や安田は「未熟な証」と考えている。

実は子供の頃に起きた天下航空機事故の唯一の生存者で、一時心肺停止になったが父親の心臓マッサージで蘇生するも父を目の前で亡くしたという過去を持つ。胸の手形もその時のもの。
この経験から飛行機やバイクなどの風を感じる乗り物が苦手。父親の死後は叔母の家に引き取られて育ち、父親のような医者になるべく勉強に励んできた。


・北見柊一
演:別所哲也
ヴァルハラの外科部長でテルの指導医。
医者ながら肩まである長髪が特徴のイケメン。以前、髪を短くしたら女性患者が激減したため散髪する時は院長の判断が必要になってしまった。
「氷のメス」と呼ばれる圧倒的な技術とクールさを兼ね備えた天才外科医。専門は心臓外科。
自他ともに厳しい性格で笑顔を見せることは稀だが、心中ではテル同様に患者のことを想って接している。
女性の影がまったくなく、ストイックに医療だけを追い求めており、新しい医療を学ぶため出かけることも多い。

中学生時代に左肘の関節がぐしゃぐしゃになる事故に遭うが、その時出会った同級生の瀬川菜緒のお蔭でリハビリに耐え、両利きになった過去を持つ。
また、この時に菜緒の隠された病気を探し出した経験が医者を目指す決め手となった。
後に結婚した菜緒と再会し、彼女の夫の重複癌の手術を担当することになる。


・四宮慧
かつて北見が勤めていたT大病院から移籍してきた若手医師。
テルと同い年ながら「北見の再来」と言われるほどの腕前を持ち、ヴァルハラに来たのも北見に憧れていたため。
当初は技術ばかりを追いかけていたが、少年ピアニストの桂木尊流の境遇に自分を重ね、触れ合う内に患者を想う心を手に入れる。
テルにとっての最大のライバルで、いつもケンカしているが手術の際は最高のコンビネーションを見せる相棒でもある。
当初は綾乃に気があったが、後に飲み友達となった佐野令以子と婚約する。

実家は関西に多大な勢力を持つ大病院「四瑛会」を経営しており、三人の兄と妹がいる。圧倒的な技術も子供の頃からの英才教育によるもの。
後に四瑛会の会長選挙に巻き込まれ、彼を連れ戻すためにテルが四瑛会に国内留学することになる。

ドラマ版では登場せず、妹の梢が慧の要素を引き継いだキャラクターとして登場して実質的なヒロインとなっていた。
よくある女性キャラ追加の変化球な形といったところか。


・片岡貢
演:小林隆
ヴァルハラの外科医で四宮の指導医。
かつては北見の指導医をしていた名医で、北見の将来性を買って外科部長に推薦したという経緯を持つ。
技術ばかり見ていた四宮に大切な物を教えるなど、適格な指導をする。
患者から慕われており、彼が献血車を担当する際には元患者たちが列をなすため、わざわざ日本赤十字社から直接指名されるほど。
おやじマジックが得意で、子供の注射の時に気をそらすために使ったりも。よく生え際を気にしている。


内科

・森実継
内科部長のダンディなおじさん。テルのフォローをしていることが多い。


麻酔科

・岩永修
「スリープマスター」の異名を持つ、院内の術式における重要人物。
中盤までヴァルハラ唯一の麻酔科医だったが、韮崎と水島の加入により麻酔科部長となった。
当然それまで多忙な生活を送っていたので、一時期妻子と別居していたというかなりかわいそうな人。


・韮崎洋平
色黒の麻酔科医。テルとも仲が良いが、水島の出番が増えてから急激に出番を減らしているかわいそうな人2号。


・水島胡美
女性の麻酔科医。女性ということもあってか看護婦たちと仲が良く、一緒に加入した韮崎の出番が減っていくのに対して逆にどんどん出番が増えていった。
ヴァルハラ内の噂の発信源になっていることも多い。


看護師
・佐倉綾乃
演:村川絵梨
本作のヒロイン。安田記念病院で働く看護師。
美人で優しいため多数の男性から好意を抱かれている。
何かとテルに接しているうちに相思相愛となり、中盤で正式に恋人になった。
「沈黙のコロナ2020」ではテルと結婚するも、新婚旅行で乗った客船でコロナ患者が発生して閉じ込められた上*2、自身もコロナに感染してしまう。
さらに妊娠も発覚し、母子感染が疑われる危険な状況となるが…。


・田井静江
器械出しのスペシャリストという縁の下の力持ちで、ぐるぐる眼鏡をしている。
眼鏡の理由は手術着をしていると描き分けができないというメタ的なもの。髪が見えないし口元もマスクで隠れてたらそりゃあねえ…


経営陣
・安田潤司
演:渡部篤郎
安田記念病院の院長。派閥などに左右されず、ただひたすらに理想の医療を実現できる場所としてヴァルハラを作り上げた。
スキンヘッドで眼鏡をしているため一見するとヤクザにしか見えないが、気さくなため患者からの評判も良い。
「黄金の左手」と呼ばれる天才外科医で、作中では当時日本で実績のなかった胎児手術を成功させるなどの腕を見せる。
北見を自分の後継者として育てている。
妻子がおり、妻とは北見をスカウトに行った際に知り合った。

アメリカ留学時代にテルの父と出会っており、ヴァルハラを創設したのは日本で働けないテルの父に活躍の場を作るためという意味合いもあった。
このためテルの成長を父親のように見守っている。


・皇稜斗
演:髙嶋政宏
IT界の若き帝王と呼ばれる実業家。
妻が妊娠していた子供が完全気道閉塞で死産になるところを安田の子宮内胎児手術で救ってもらう。
この時、KZ病院による買収騒動で揺れていたヴァルハラを救い、理事長に就任。
VR技術を使った手術シミュレーションシステム「レーベン」や独自の電子カルテを開発し、医療機器に携わる。


その他

・四宮蓮
演:要潤
慧の兄の一人で四瑛会に勤める天才外科医。
激しい音楽をかけながら踊るように手術するという独特のスタイルを持つ。
それでいて圧倒的な技術を持っており、北見とは互いにライバル視する関係。

四瑛会編では慧を拉致して実家に連れ戻し、四瑛会の会長選挙に巻き込む。四瑛会編のラスボス
実は幼少期にテルの父親による心臓手術を受けており、慧の拉致もテルを手に入れるための手段に過ぎない。


・真東光介
演:寺脇康文
テルの実父。アメリカで「ドクターイースト」の異名を持っていた超天才外科医。故人。
作中最強クラスの腕前の持ち主で、当時は症例の少なかったバチスタ手術を成功させたり、手術跡を消し去る「無縫」の腕前を持つ。
かつては日本の病院に勤めていたが、四宮たちの父の策略で日本を追い出されたという経緯を持つ。
当初はテルの母親とは離婚してテルを引き取ったと言われていたが、終盤で真実は異なっていたことが判明する。



追記・修正はパァァァンと閃いてからお願いします。


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最終更新:2024年06月01日 08:08

*1 『Doctor K』への改題後を含めても上。別雑誌連載の『K2』も含めたシリーズとしてはあちらの方が長い。

*2 現実に起きたダイヤモンド・プリンセス号新型コロナウイルス感染症事例を元にしている。