【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう

登録日:2023/12/21 (木) 07:29:57
更新日:2025/01/13 Mon 17:14:52
所要時間:約 6 分で読めます





チンピラお嬢様、爆誕ですわ!




概要

『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう』とは2023年6月2日からカクヨムで連載している小説。
ガガガ文庫より書籍化されている。既刊3巻。
著者は『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』で有名な赤城大空(ドラゴンタニシ)
イラストは福きつね。

2022年頃よりカクヨムの現代ファンタジーの中心となっている「現実にダンジョンとレベル制度ができた世界での話」の一角ではあったが、
他の作品の面倒を見てもらっていた担当がお優雅に頭を焼かれて緊急出版となったという、あまり例のない流れで書籍化された。
ガガガ文庫は本の中に「再来月の出版予定」の折込が入っているが、あまりにも緊急すぎて入れ込めなかったほどの速度である。
これには筆者本人も「刊行予定から作品名が消えるならまだしも途中からいきなり生えてくるなんてことあるんだ…」と驚いたほどである。

2024年1月24日には年間総合1位を獲得した。
作者曰く、この獲得した時点では日間・週間・月間で総合1位になったことがなかったので、「カリンお嬢様みたいなトンチキ挙動」とのこと。

書籍版3巻あとがき、及びガ報、カクヨムの近況ノートにてコミカライズ化が決定とアナウンスされている。
作画担当は「聖剣の刀鍛冶」や「ファイアーエムブレム 覇者の剣」を担当した山田孝太郎。

『このライトノベルがすごい!2025』にて文庫部門10位、新作部門6位に選ばれた。

あらすじ

「はぁ、今日も視聴者0、登録者3……。向いてないのかしら、わたくし……」

ドレス姿でダンジョン攻略するお嬢様系配信者、山田カリン(16)。
しかし動画は伸びず、一年たっても底辺をさまよっている。

そんなある日、カリンはダンジョン下層で妙な男を発見する。

「そんじゃいまから爆破すっからな~」
その手には国が禁じる危険物質が――

「なにやってんだてめぇオラアアアアアアア!」
「ぐはぁぁぁっ!?」

迷惑系配信者をボコったカリンは、チンピラお嬢様として人気に火が付いて……!?
おハーブすぎるダンジョン無双バズ、開幕ですわ!
(公式より引用)

主な登場人物

  • 山田カリン
本作の主人公であるエセお嬢様。16歳。『チンピラお嬢様』『フィストファックお嬢様』『ジェノサイドお嬢様』等のうれしくない異名を持つ。
幼い頃に見たアニメ『ダンジョンアライブ』の「鬼龍院セツナ」というお嬢様キャラに憧れ、彼女のようになるためにダンジョン配信者になった。
セツナがダンジョンでもドレスで優雅に攻略していたため、カリンお嬢様もそのような格好をしている。
……が、そのため視聴者にフェイク動画扱いされ1年間鳴かず飛ばずだったが、後述の迷惑配信者をボコってからバズってしまい、大人気配信者になった。
幼い頃に両親を亡くしたため苦学生であり、『ダンジョンアライブ』も原作の漫画を持っておらず*1
スパチャで億単位の収入があっても探知機を壊して値段を心配するなど根は貧乏性である。あと口の悪さも底辺で、焦ると危ないセリフが出る。
そのため収益化記念配信ではとんでもない粗食*2をごちそうと言い放って視聴者をドン引きさせていた他、
愛用の紅茶はリプトンである*3*4

一方で戦闘力は桁違いであり、視聴者や国から国家転覆級と目されている。
レベルは「日本最上位クラスである2900の男を一方的にボコす」という行為から3000は余裕で超えているとされるが、真冬の入れ知恵にて非公表だった。
そしてスキルの方も「殴った時の反動を更に相手に叩き込む」《無反動砲》がカンストと目されている他、後述の《神匠》以外にも普通の細工系スキルも一流職人を凌駕しているレベル。
他にもダンジョンの1フロア全体を透視できるレベルの探知系スキルや毒・視覚妨害耐性もカンスト級で、取得スキル数が多すぎて検知器が壊れるほど。
ほぼ全方位にスキが無いが対幻覚スキルだけは「自分が幻覚に掛かっているのが分かる」ぐらいしか持っていなかった。
ので後日配信で耐性スキルを取得しに行く配信をやったが、その流れでうっかり自分のレベルが4000を超えている(=国際的にも国家転覆級)事をバラした。
視聴者からは戦闘系と生産系スキルの両立から「大谷翔平が成績を維持しながら藤井聡太並の成績を上げる」と称されるほど。

その結果は通常の超一流の探索者がパーティーを組んで、それでも大苦戦する深層をソロで突破するほどである。
しかしカリンお嬢様は自分の実力に無自覚。
才能はあると思っているが、基準が深淵を超える奈落をソロで行動するセツナ様のため、トップ探索者に片足を踏み込んだくらいにしか思っていない。
というも彼女のダンジョン知識はダンジョンアライブで学んだものであり、
さらにネット知識で痛い目にあってからは視聴者の話を軽く受け流すようになったため、正しい知識が身に着けていないのだ。

彼女のファンの事は『カリン党』と呼ばれる。下記のファンネームのせいで別の意味に見えるとネタにされている。

  • 影狼砕牙
迷惑系ダンジョン配信者の男性。レベル1000。
ダンジョン庁のアドバイザーをしているトップクラン『ブラックタイガー』に所属している。
若手最強とネットで評されている実力者だが、同時に性格が終わっていると評判。
実力は深層には及ばないが、下層ならソロ攻略が出来るほど強い。実際手加減されていたとはいえカリンお嬢様にボコボコにされても生き残ったほど。
ネット上の愛称は「ゲロ*5」「お吐瀉物様」。ファンネームは「スカベンジャー」「スカトロー」と呼ばれているらしい。

  • 佐々木真冬
カリンお嬢様の親友。高校でのクラスメイト。クール系美人。
頭が良く*6ネットに強いのでカリンお嬢様の配信業のアドバイザーをしている。
実はかつて『毒蜘蛛』と呼ばれ、非合法にダンジョンに突っ込まれてレベルを上げさせられた孤児。獲物は糸状の何か。
公安所属だったがダンジョン内で後遺症を伴う重症を負ってしまい、現在は公安の予備役という名前の引退者。
一応当時の実力は残っているものの、超短時間しかその実力を発揮できない状況。
公安所属時代のコネを用いて警察へカリンと穂乃花を紹介したりと、色々とカリンのトンチキをカバーしている。

  • 神代穂乃花
『ブラックシェル』というクラン所属の女性。17歳。レベル30。
数年前に父親を亡くし、一年前に母親が過労で倒れたため家族を養うために高校を休学。
固定給が出るクランへの仮入団制度を利用し探索者への道を進み始めた。
しかし所属した『ブラックシェル』がブラックすぎて寝不足で倒れる寸前。
さらに『神匠』スキル所持者であり、そのスキルの有用性が判明したため、そのスキルを鍛えるために、
本来なら100以上でも危険な下層へ連れてこられたうえ、強力な魔物を前に連れて来た連中に囮として置き去りにされてしまった。*7
それを哀れんだカリンお嬢様の手によって『神匠』スキルを鍛えさせられることになる。
結果としてダンジョンボア位なら笑いながら蹴り殺す新たなお嬢様候補が誕生することに。
その流れでレベルは150ぐらいまで上がっている。
真冬の裏工作もあって現在は警察の特殊機関である「対探課」所属。
例のブーツがなくともレベル200の相手を完封しているので、対探課に入ってから更にレベルが上がっている模様。
カリンお嬢様レベルネタバレ回にて400まで上がっている事が確認されている。

  • 四条光姫
トップクラン『ホワイトナイト』所属。17歳。レベル900→950。
代々将軍家の剣術指南役を務めた武家名家の跡取り娘。つまり正真正銘のお嬢様
所作も言葉遣いも本物。
実はカリンお嬢様の大ファンであり、彼女がうっかりニコ動的動画サイトのダンアラの該当回に面白がってコメントしてしまい、『フィストファックお嬢様』と呼ばれる事になった元凶。
カリン様にその原因を明かした後は重度の限界オタクとなっていて、
カリンお嬢様の配信を解説するミラー配信を行っているものの、解説になっていないと評判。

用語

  • ダンジョン
数十年前に突如として世界各地に出現した謎の存在。中にはモンスターが住んでいる。
現在では探索者という職業が出来るほどで、ダンジョン配信者も配信サイトでは人気ジャンル。
ダンジョンは下の階層にいくほどモンスターの実力が強くなっていき、上層・中層・下層・深層・深淵・奈落と分けられている。
ダンジョンによって規模も様々で下層どまりのところもあれば、深淵以降があるとされるダンジョンも存在している。
そしてそれら階層にも上層第1層といったように細かく分けられており、中層最深部以降は階層と階層の間にフロアボスが出現するようになる。
このボスはどういう理屈か不明ながらも下りの時にしか出現せず、上りの時には出現しない。なので行く時に比べ帰宅時は比較的安全。
下層以降になるとモンスターに近代兵器では決定打を与えられずに過去には軍隊が壊滅した歴史もあった。
このこともあって攻略にはダメージを通せる魔力を込めやすい剣などの武器または素手が使用されている。

探索者側の位置づけとしては「上層~中層:初心者~中級者」「下層:ベテラン探索者」「深層:国家最高クラスの超一流」といったところ。
レベルは「超一流:2000~」、「国家最強級:3000~」「国家転覆級:4000~」。
このうち表社会で公表されているのは国家最強級までで、国家転覆級は国がご機嫌取りしながら存在を隠しており、ネットでは都市伝説扱い。

ダンジョン素材は資源として有用で、さらにダンジョン内でレベルを得た人間は超人になれる事から優秀な探索者を排出すること=国力となっている。
そのため命の危険があろうとも国はダンジョン配信を認めている(見た人を誘導するため)。
もちろん攻略やレア素材ドロップの情報は貴重なため高値で取引されており、深層ともなると億単位の情報料が飛び交うことも。
そして深淵以降の情報は国家間のバランスにも関わるレベルのため完全に秘匿状態。
なお、配信しながらの探索は集中の阻害や情報漏洩もあるため、深層以降で配信する色々な意味で頭のネジが飛んだ探索者などいない。普通は。
ちなみにレベルを得た人間は公式のスポーツに参加できない。そのため探索者になろうとする人間は案外少ない。

  • 素材換金
ダンジョン内にいるモンスターを倒すと稀に落とす素材を換金する事。探索者の収入源。
しかし未成年はダンジョンで手に入れた素材をダンジョン外に持ち出すのは禁止されている。なので換金も出来ない。
というのも未成年換金を許可すると、貧困層が子供をダンジョンに送り込む事が予測されるからである。なので一律禁止されている。もし成人とパーティーを組んでいても換金不可。
しかしカリンお嬢様が深層以降まで潜って強力なモンスターを殺しレアアイテムをドロップしても持ち帰れないのは何百億もの損失であり、国はこの法律を緩和させるべきか頭を悩ませている。
なお、未成年のダンジョン配信の収益化については認められている。
というのも、そこを禁止すると探索者になろうとする未成年が減るため、このような法律になっているのだ。

ちなみに未成年が素材を持ち帰ることは禁止だが、剣などの素材では無いアイテムを持ち帰るのは禁止されていない。
これは入り口の検知器が「ダンジョン産素材を加工した武器等」と「ダンジョン内でドロップアイテムを加工した物」の区別が付かないため両方に反応してしまうのが原因。
未成年だからと検知器で反応したものすべてを没収してしまうと、金で買った武器でも没収となってしまうためである。
故に自分で素材を回収してその場で自分で加工する分には、(売買しないのであれば)未成年であっても「素材は持ち出してない、完成品は持ち出せる」になる事から合法(脱法)。
カリンお嬢様の家具は自作だが、こういった仕組みでダンジョンから持ち帰っている事にしていた。
当たり前だがダンジョン内で加工するという事は常にモンスターに襲われるという事であり、この方法を思いついても普通はやらない。

  • 神匠
カリンお嬢様が所有しているユニークスキル。国内でも数十人くらいしかいない。
加工系のスキルであり、極めれば上限と拡張性が他の加工スキルとは一線を画す能力を持つが、カリンお嬢様がこのスキルの有用性を世間に見せるまで、クソ外れスキルと思われていた。

他のスキルはスキルレベルを上げる事で加工できる素材のレベルも上がっているが、このスキルは最初から下層以降の素材も加工できる。
しかし裏返せば上層・中層の素材は加工できないのである
このスキルを得る人間は生産職が多数なため、必然的に自分一人では素材を得られないので、素材を購入しないといけないが、下層の素材はバカ高い。
つまり買うにしろ取って来てもらうにしろ、このスキルを育てるには莫大なお金がかかるのだ。
そのうえ、このスキルで作ったアイテムは製作者本人しか使用できないというお排泄物仕様縛りがあるのだ。
この制限のせいでスキルレベル上げの際に生じる無数の失敗作を売るという手段が取れない。
つまりパーティーやクランがお金や危険を犯してまで下層素材を集めて来てもそれを使用出来ず売れないので元手の回収も無理。
有効利用しようとしたらスキル使用者を生産職から戦闘職に切り替えるしかない。結果ハズレ扱いとして誰からも必要とされなかった。
というか有用性が周知された後も、「運用に下層素材が必須」という根本的な問題点はまったく解消されていないため、ハズレ扱いでこそなくなったものの、
「ポテンシャルは高いが実用までのハードルも高い浪漫スキル」の域は出ておらず、カリンお嬢様以外で実用化できたのは公的組織としての強みと押収品の下層素材をフル活用した「対探課」だけという状況にある。

カリンお嬢様の場合は「下層へ素材を取りに行ける実力」「ソロなので自分が使えばいい」という理由で『神匠』を有効活用できた。
また「作った武器防具を糧に更に下層に潜って高ランクの物を作る」という永久ループがカリンお嬢様の強さの理由の一つと真冬は推測している。

余談だがカリンお嬢様は神匠を使っている間に神匠ではない普通の加工系スキルが生えてきたために、上中層の素材でも加工可能になっている。
ただそのスキルレベルと魔力の高さのせいで、普通の加工方法では考えられないような加工方法で変な物を制作している。ミノタウロスの頭に叩きつけて無傷の額縁とか。

  • ダンジョンアライブ
週刊少年漫画誌で連載していた漫画および、そのアニメ作品。作者:もちもちたまご。
カリンお嬢様の存在により各販売サイトでランキング上位になるほど、再ブレイク中。
新装版の帯コメントをカリンお嬢様が書くなど、再ブレイク後はよくコラボしている。

  • 鬼龍院セツナ
『ダンジョンアライブ』におけるお嬢様であり、カリンの憧れの人物。CV:菊之丞ミカ。
作中でも大人気キャラであると同時に、作中最強レベルの探索者のようだ。
ダンジョン内でもドレス姿で優雅に、それも拳を武器にしている人物らしく、その実力は奈落にソロで挑むレベルらしい。

余談

Web掲載時は『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』というタイトルだった。
書籍化に当たり長いので、書籍版は『けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?』がサブタイトル扱いに。
一応公式略称は『お嬢様バズ』なのだが、バズの部分がサブタイ扱いの部分なのでちょっとわかりにくいかも。



追記・修正はダンジョンにドレス姿で攻略してからお願いしますわ!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう
  • 赤城大空
  • ドラゴンタニシ
  • 福きつね
  • YouTuber
  • ダンジョン
  • 現代ダンジョン
  • ダンジョン配信
  • エセお嬢様
  • フィストファックお嬢様
  • 無双系
  • カクヨム
  • ガガガ文庫
  • 良作
  • 山田孝太郎
最終更新:2025年01月13日 17:14

*1 後にスパチャ収入で買った

*2 スキルのお陰でそれでも平気な模様。

*3 こちらは後に記念として5年分贈呈されたので、余計に切り替えられなくなったが。

*4 リプトンより日東紅茶の方が安いという事が判明したため、書籍版ではそっちに変更されるとアナウンスされている。

*5 か「ゲロ」うから取られていると思われる。

*6 中学模試では全国で上位レベルの得点を出したことがあり、本人曰く「別に底辺高校でも東大に入れる自信はある」。

*7 一応クランマスターはメンバーが採ってきた下層素材で練習させるつもりだったが、「役立たず」のために下層まで赴くことに腹を立てたメンバーが反発して無理やり同行させた。なお、後述の通り未成年者とパーティーを組むと素材を持って帰れなくなるので完全に浅慮な自暴自棄である。