スマートファルコン(競走馬)

登録日:2024/01/22 Mon 04:03:52
更新日:2025/04/11 Fri 08:45:47
所要時間:約 6 分で読めます





スマートファルコン(Smart Falcon)とは日本の元競走馬
メディアミックス作品『ウマ娘 プリティーダービー』にも登場しているが、そちらでの扱いは当該項目参照。
スマートファルコン(ウマ娘 プリティーダービー)


目次

【データ】

誕生:2005年4月4日
父:ゴールドアリュール
母:ケイシュウハーブ
母父:ミシシッピアン
調教師:小崎憲(栗東)
主戦騎手:岩田康誠→武豊
馬主:大川徹
生産者:岡田スタッド
産地:静内町
セリ取引価格:-
獲得賞金:9億9073万6000円(6,048万円(中央)/9億3,025万円(地方))
通算成績:34戦23勝 [23-4-1-6]
主な勝鞍:10・11'JBCクラシック,10・11'東京大賞典,11'帝王賞,12'川崎記念

【誕生】

2005年4月4日生まれの栗毛の牡馬。父はゴールドアリュール。母はケイシュウハープ。
10歳上の半兄に東京大賞典・大阿蘇大賞典(荒尾競馬)馬ワールドクリーク(父マジックミラー)がいる。

父のゴールドアリュールはサンデーサイレンス産駒のダート部門の最高傑作であり、種牡馬としてもコパノリッキーやエスポワールシチーなど綺羅星の如くダートのGⅠ級馬を量産した名馬。
ダートの名馬を輩出した母馬を持つスマートファルコンは、ゴールドアリュールの初年度産駒であり、スマートファルコンと同期同父のエスポワールシチーの活躍によって種牡馬としてのゴールドアリュールの人気が急上昇。
ゴールドアリュールは以降ダート界のレジェンドを多数輩出する大種牡馬となった。

【戦歴】

2007年10月28日に東京競馬場の2歳新馬戦ダート1600mでデビュー。
デビュー戦で初勝利を飾り、続く二戦目こそ2着だったものの、三戦目の2歳500万下を勝利しOP馬入り。2歳時をダートで3戦2勝で終える。

翌年は3歳クラシック三冠を目標に芝に転向。
初戦となったジュニアCで怒涛の追い込み勝ちを決めるが、続く共同通信杯は後方からよく脚を伸ばしたものの7着にとどまり、アーリントンCは10着。
皐月賞にも出走こそしたものの17着から5馬身離されての18着と最下位に終わる。
以降は芝に見切りをつけたのか一向に中央のレースには出ずに地方のダートレースを転戦。
5歳の春までに重賞を10勝しているが、一部からは「ドサ回り」「地方荒らし」とも揶揄された。

そして久々G1*1出走となった帝王賞で6着に敗れた後、長らく主戦ジョッキーを務めた岩田騎手が落馬事故で負傷してしまい離脱。これを機に武豊へ乗り替わりとなった。

乗り替わり初戦の日本テレビ盃では好位から競馬を進めてフリオーソの3着に敗れるものの、その後出走したJBCクラシックでは、1000mを58秒1というハイペースで逃げながら、上り3ハロンで最速タイムを叩き出し、前走で敗れたフリオーソを7馬身引き離すという圧倒的な競馬を見せつけてG1初勝利を飾った。

その後も、JBCクラシックを連覇、帝王賞、かつて兄が勝った東京大賞典(なお2回目の2011年時はG1認定)も連覇するなど勝ちを積み重ねる。
その圧倒的な強さは馬券の倍率に如実に表れており、武豊に乗り替わって以降のほとんどのレースで単勝1.2倍以下、そのうち3回は1.0倍の元返しになっている。
特に2011年にはJpn1二つ、G1一つを含む5戦5勝で年間無敗を成し遂げた。なおそんな無双状態でも頑なに中央G1には出なかった*2

「相手が弱かったのでは?」と思われるかもしれないが、そんなことはない。
対戦相手には同父でダートG1/Jpn1を9勝した当時のダート最強格エスポワールシチー、史上最多の中央ダートG1四勝を挙げ、ドバイワールドカップでも2着になったトランセンド、地方所属馬の史上最高獲得賞金記録保持者フリオーソなど、文句なしの強豪がひしめいていたのである。
しかもそんな馬を相手に圧倒的な差を見せつけるのだから恐ろしい。
2010年JBCクラシックでは2着フリオーソに7馬身差、2011年帝王賞では2着エスポワールシチーに9馬身差もの大勝を収めている。

またタイムの面でもとんでもない成績を残しており、2010年東京大賞典の2分0秒4*3、2011年帝王賞の2分1秒1、2012年川崎記念の2分10秒7は現在に至るまで抜かれていない記録。
それどころか2010年東京大賞典のレコードはダート2000mの日本記録でもある。
この年のスマートファルコンは前半1000mの平均ペースが大体61~2秒ぐらいの中呼吸するように60秒台、時には60秒を普通に切るペースで前半から吹っ飛ばした挙句、
直線で追いすがる後続を一方的に突き放してちぎり捨てていたのだから、砂のサイレンススズカの異名はネタでもなんでもなく戦法や勝ち方から見たただの事実であった。

ここまで来たら世界に行くしかない、と2012年にはダートレースの最高峰、ドバイワールドカップに出走。かつてワールドクリークが挑むもドバイミレニアムに敗れた無念を、弟が晴らせるか…
……と思ったら、ゲートにまさかの突進。顔をぶつけた上にスタートも足を滑らせたことで出遅れるなど逃げ馬としては致命的なミス*4もあり、見せ場なく10着と大敗。
帰国後は体調が戻らなかったほか、復帰を見据えての調教中に腱鞘炎を発症し引退した。

通算34戦23勝(23-4-1-6)、獲得賞金は9億9073万6000円。
この23勝のうち19勝は重賞*5であり、さらにそのうちはG1/Jpn1競走6つを含む重賞9連勝という、「皇帝」シンボリルドルフ「世紀末覇王」テイエムオペラオーさえ超えるトンデモな記録を打ち立てた。

【引退後】

引退後は種牡馬入り。
種牡馬としての成績はやや振るわないものの、2021年には産駒初のJRA重賞馬オーヴェルニュ*6を輩出している。

そんな中で2018年産で2023年2024年黒船賞(JpnIII)連覇などの実績があったシャマル*7が雨で不良馬場となった2024年かしわ記念で逃げ切りJpnⅠ初制覇。スマートファルコン産駒、主戦の川須栄彦騎手、馬主の金山敏也氏にとってもJpnⅠ初制覇となった。

また何故かやたら口元がゆるいことが多く、引退後の本馬を見に行った人が取った写真や動画だと馬房から顔を出している際、高確率で口をだらーんと半開きにしている事が多かったそうな。

【創作作品での登場】

地方の交流重賞ばかりに出走し中央競馬にはほぼ出走しなくなったのでドサ回りなどと揶揄されたからか、
ウイニングライブのセンターを目指す自称ウマドルというアイドル志望キャラになった。那珂ちゃんみたいだ
同じく逃げで名を馳せたサイレンススズカミホノブルボンと共に*8「逃げ切りシスターズ」というユニットを組んでいる。
コミカルなネタ要素の数々とアイドルらしい可愛らしさ、そしてそのノリのままレースでは絶対強者という多面性の持ち主。

アプリ開始時点までに存在したウマ娘では数少ないダート専門*9であり、育成実装もダート勢の先陣を切る形*10となっていた。
そういった事情とキャラ付けのせいもあってか、育成シナリオでは「芝に比べて人気の劣るダートを盛り上げる」という要素が強調されていた。
後に3人ずつ新規登場したダートウマ娘も、第一弾がコパノリッキーら近い後輩世代、第二弾がトランセンドら前後世代のライバルとなっていて、彼女らとの関わりが必然的に描かれることで格の高さが増している。

題材が基本的に中央重賞であることが災いして出番がかなり少なく、引退直前の2011年後半・2012年初頭になってやっとエスポワールシチーのライバルとして少しだが登場して根岸ステークス前に久しぶりに中央に顔を見せた際警備員から地方馬と勘違いされた。


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最終更新:2025年04月11日 08:45

*1 厳密にはJpn1。国際規格ではG1とは認められないものの日本国内ではG1に相当する重賞

*2 後に「パワーがあまりなく中央の坂が苦手だった」と陣営からのコメントがある

*3 なおこの年の皐月賞(勝ち馬ヴィクトワールピサ)の2分0秒8よりも早いタイム。一概には比較できないが、一般的にダートよりも芝のほうが好タイムが出る

*4 この原因は「日本競馬と欧米競馬だとスタートタイミングが欧米の方が遅い為、スタート巧者のファルコンが自分から日本のタイミングで行こうとしたらまだ開いてなかった」ためとの事

*5 交流重賞を含む。2021年に名古屋競馬のカツゲキキトキトに抜かれるまで、平地重賞最多記録

*6 母父タニノギムレット

*7 母父アグネスデジタル

*8 媒体によってはアイネスフウジンやマルゼンスキーも参加している

*9 オグリキャップのような「ダートもいける」系は多数いたが、ダート主戦場となるとあとはハルウララとシンコウウインディという寂しい面子。

*10 初期実装でハルウララがいたにはいたが。