ドバイミレニアム(競走馬)

登録日:2022/09/29 (木) 23:32:00
更新日:2024/01/30 Tue 03:07:10
所要時間:約 19 分で読めます





Dubai Millennium(ドバイミレニアム)とは、イギリスで生産・調教された元競走馬・種牡馬。
二度目の千年紀(ミレニアム)に終わりを告げる2000年度ドバイワールドカップ覇者にして、わずか1世代しか産駒を残せぬまま逝った悲運の早逝馬だが、その1世代が極大規模の花火を打ち上げた大種牡馬でもある。
名は体を表すっつっても限度ありすぎじゃござーませんこと?



データ

生誕:1996年3月20日
死没:2001年4月29日(5歳没)
父:シーキングザゴールド
母:コロラドダンサー
母父:シャリーフダンサー
生産国:イギリス
生産者:シェイク・モハメド殿下(ドバイ)*1
馬主:シェイク・モハメド殿下→ゴドルフィン
調教師:デヴィッド・R・ローダー(イギリス)→サイード・ビン・スルール(ドバイ)
主戦騎手:ランフランコ・デットーリ*2
生涯成績:10戦9勝[9-0-0-1]
獲得賞金:4,452,047ドル(フラン、ポンドはドル換算)
主な勝鞍:'99年ジャック・ル・マロワ賞(仏GⅠ)、'99年クイーンエリザベス2世ステークス(英GⅠ)、'00年ドバイワールドカップ(ドバイGⅠ)、'00年プリンスオブウェールズステークス(英GⅠ)



血統背景

父シーキングザゴールドはミスタープロスペクター直仔。勝鞍は日本風に言えばJpnⅠ的なローカルGⅠで、金探してるのに掘り当てるのは銀ばっかなシルコレ系だったが、産駒がバカスカ金やら石油を掘り当てまくった種牡馬入り後に逆襲系。
親父と子孫達がド派手過ぎて微妙に影が薄くなってる感は否めないが、こいつ自身も十分一流種牡馬を名乗れるだけの実績を挙げている。
日本に輸入された産駒としてはアオシマバクシンオーのお気に入りシーキングザパールやマイネルラヴ、ゴールドティアラあたりが有名。また母父としても優秀な成績を挙げており、これまた日本ではゴルトブリッツやローブデコルテの母父として有名。

母コロラドダンサーは名牝フォールアスペン*3の娘。10戦3勝で繁殖入りしているが、勝鞍はGⅡを含むまずまずのもの。
母父シャリーフダンサーは、アイルランドダービーで英ダービー馬ティーノソとジョッケクルブ賞(仏ダービー)馬カーリアンをまとめてねじ伏せた実力馬。4000万ドルとかいうあたおかシンジケートが組まれたため愛ダービー後にそのまま引退したが、シンジケート額からすれば産駒成績は爆死ぎみ。

なお、5代内インブリードはネイティヴダンサー*4とトムフール*5の4×5とウォーアドミラル*6の5×5。地味にマンノウォー系のクロス持ちだったりする。
マンノウォーとミスプロとネイティヴダンサーの因子がスクラム組んでヒャッハーした結果がコヤツなのだろうか……?



生涯

誕生〜デビューまで

モハメド殿下所有のダルハムホールスタッド*7で誕生。ゴドルフィン所属馬としてローダー調教師のもとで鍛えられることとなる。
当初はヤゼール(白いガゼル)という名でデビューする予定だったのだが、2歳時に調教を視察に来た殿下がヤゼール(仮)の動きにわからされて一目惚れ。

「ちょっとこの子凄すぎ……凄すぎじゃない?(即落ち2コマ)」
「これはもうこの子が2年後(ミレニアム)のドバイワールドカップを勝つ、はっきりわかんだね(確信)」
「だからドバイミレニアムに改名しなきゃ(使命感)」

というわけでドバイミレニアムと改名され、デビューを待つことになった。
この手の皮算用的ネーミングは当然ながら大爆死フラグ……なんだけどなぁ……


2歳〜3歳前半〜王者の胎動、唯一の挫折〜

1998年10月の未勝利戦で、ゴドルフィンが誇るゴッドレアジョッキー、ランフランコ・デットーリを鞍上にデビュー。ほぼ終始馬なりのまま、最後に直線軽く追っただけで2着に5馬身差つける圧勝劇を演じた。
なお、このレースには後に名スプリンターとして名を馳せるインディアンロッジも出走してたのだが、12馬身彼方の6着と完璧にわからされてしまっていた。
2歳時はこの1戦のみで休養に入り、モハメド殿下直属の名伯楽、サイード・ビン・スルール師のもとに転厩。ドバイで越冬し、3歳春の大目標たるエプソムダービー制覇に備えた。ローダー師は育成調教担当ですねわかります(白目)

3歳初戦に選んだ条件戦は後続に9馬身差つける蹂躙で乙。中1週で臨んだリステッド戦は、10ハロンへの距離延長で着差を落としつつも3馬身半差完勝。
そんなわけでエプソムダービーに凸したわけだが、ここまで断然の1番人気。しかも距離適性不足説や「速すぎて12ハロンはスタミナ保たないんじゃね?」「血統的にタフすぎるエプソムの芝はアカンだろ」などと、不安要素盛々でこれなのだから恐れ入る。
なお、距離適性不安はフラグとして無事炸裂し、タッテナムコーナー*8で早くも失速からの末脚不発で9着撃沈。勝ったオースには9馬身以上差がついていた。

この敗戦を受け、陣営はクラシックディスタンスを放棄。マイル〜インターミディエイト戦線へ舵を切った。


3歳後半〜覚醒する王者の疾走〜

まずは仏GⅠのジャック・ル・マロワ賞を目標に、ステップレースとしてユジェーヌ・アダム賞に出走。馬なりで快調に進み、残り2ハロンで追い出して後続を振り落とす3馬身差完勝。
初古馬対決となったジャック・ル・マロワ賞では、5頭立てながら強豪揃いの仏陣営を相手に、不良馬場をものともせず2馬身半差逃げ切ってGⅠ初勝利。
これにはデットーリ騎手も「これぞ真の王者の走り」とニッコリ。モハメド殿下?ドバイミレニアムにメロメロでベタ褒めですがなにか。

続いてイギリスに戻り、英国秋のマイル戦線総決算・クイーンエリザベス2世ステークスに参戦。
本来なら秋のマイル王決定戦として名だたるマイラーが集うこのレースだが、今回ばかりはこいつに恐れをなしたか出走回避が相次ぎ、わずか4頭立てに。メンツそのものは悪くないのだが、この馬の本業たるマイルで勝てるかと言うと……ムリダナ(・×・)
というわけで2番手追走から残り2ハロンで逃げ馬をかわすと、あとは馬なりのまま後続を6馬身ちぎり捨てて圧勝。適正距離のマイルではワンチャン狙いすらノーチャンということを満天下にわからせた。

これにはモハメド殿下も「彼はゴドルフィンで管理した中でも最高の馬。これはもう来年のドバイWCは私の愛馬しか勝たん」とウッキウキでベタ褒め。
こんだけ馬主が浮かれポンチになったら、普通はフラグの多重展開で爆発炎上大轟沈するのがお約束なのだが……てかここまでダート童貞なんだけどそこは気にしないので?

この勝利を最後に3歳シーズンを終え、休養とダート適応調教の日々を重ねることとなる。


4歳春・ドバイワールドカップ〜告げよ千年紀の終わりを、掲げよ新時代の訪れを〜

ドバイWCに挑む前のダート実戦テストとして、同コースで開催されるマクトゥームチャレンジラウンド3*9に出走。
初のダート戦ということで戸惑ったか、珍しく3番手に控えるが、残り2ハロンで先頭に立つと一気に後続を振り落とし、4馬身半差完勝。ついでにコースレコードを1秒も縮めて各陣営を戦慄させた

ダートにあっさり適応し本番への目処が立ったところで、いよいよドバイWCである。
アメリカからはダートハンデ戦線の雄ベーレンズ、香港からは7歳にしてダート初参戦の老雄インディジェナス、日本からは東京大賞典を制したワールドクリークなど、多くの国から賞金と名誉を求めて実力馬が参戦。超一流とまでは言い難くとも、決して見劣りしないメンツである。
しかしその中でも、これまでに見せた絶対的な強さから、ブックメーカーはドバイミレニアムを1番人気に推した。ダート童貞捨てたの前走なんだが

ゲートが開いてスタートが切られると、抜群の好スタートからそのままハナを奪って馬なりで疾走。そのまま直線向くと、追いかける先行勢が揃って垂れるのを後目に追うまでもなく離す一方
中団から猛烈な追い上げを見せたべーレンズが突っ込んでくるも、時既に遅し。ラスト1ハロン時点でデットーリ騎手が振り返ってガッツポする余裕とともに、影すら踏ませぬ完全封殺で6馬身ぶっちぎって格の違いを見せつけた。
ついでに前走で叩き出したコースレコードをさらに更新し、レースレコードとコースレコードをまとめて書き換えてみせた。
動画観れば理解してもらえるだろうが、もう圧倒的すぎて他の馬が駄馬にしか見えない。仮にも出走馬は世界各国から集ったGⅠ馬ばかりなのにだ。それほどまでに圧倒的、もはや暴力的なまでに隔絶した走りである。
かつて見たビジョンが現実となったモハメド殿下は、感極まって涙ぐみながら「我が馬主人生でこれほどの馬は唯一無二」と絶賛し、鞍上デットーリ騎手も「私がこれまで乗った中では最高の馬」と全力でベタ褒め。
その名の通り旧き千年紀に終わりを告げ、芝でもダートでもマイル〜インターミディエイトで絶対的な強さを見せつけたドバイミレニアムの評価はいやが上にも高まった。まだ引退すら見えてないのに繁殖牝馬のアップを始める生産者までいたとか、いなかったとか。


4歳夏〜王者の帰還、果たされなかった禁断のマッチレース〜

ドバイWC後欧州に帰還し、プリンスオブウェールズステークスに出走。
ここでライバルと目されたのは、英仏のマイル戦線を荒らしまくりGⅠ4連勝と絶好調の同世代馬センダワール。同じ芝レースのイスパーン賞から臨戦ということでセンダワールが1番人気に推され、ダートからの転戦となるドバイミレニアムは生涯唯一の2番人気に甘んじた。
「たかが勢いがあるだけでこのUMAより推されるとかマ????」と思うだろうが、それだけではない。レース3週前にデットーリ騎手が搭乗した小型ジェット機の事故に巻き込まれ、足の骨を折る大怪我を負っていたのだ。命にこそ別状なかったが、たかだか3週間で足が治るわけもない。
陣営は米ダートの大魔王シガー*10の鞍上としてその全力を引き出した名手ジェリー・ベイリー*11に鞍上を託し、POWステークスを迎えることとなる。

さて、不安要素が重なる中本番に挑んだドバイミレニアムだったが。

ドバイミレニアム「は?お前ら、俺の今までの走り見て何もわかってなかったわけ?ならわからせてやる、目ぇかっ開いてよぉーく見てろ!」

スタートからハナを奪うと、自身をマークするセンダワールを引き連れて先頭を進撃。残り4ハロンから徐々に加速して同期のライバルをスタミナ勝負ですり潰し、2着に8馬身差つける完全封殺で全頭まとめて蹂躙。わかってなかった競馬ファンや各陣営に改めて王者の格の違いをわからせた。
なお、レース後のインタビューでは「(シガーと比べてどうよ?という質問に)どっちもすごく印象的なんだけど、この馬は芝ダート両方でこう(他馬を圧倒&完封&蹂躙)でしょ?この点で匹敵する馬いないんじゃない?」と大魔王の側近すらわからされていた。
モハメド殿下?そりゃもう歓喜絶頂でビクンビクンのメロメロでしたがなにか。

その後、クールモアの当代筆頭・モンジュー*12陣営から「アイリッシュチャンピオンステークスで世代最強を賭けて()ろうぜ!」と挑戦状を叩きつけられるも謝絶。
なお、ゴドルフィンさんサイドは「ただのレースで戦るのもつまらんだろ?どうせならもっと派手にいこう、600万ドルこっちが出すからタイマンで戦らないか」とマッチレースを提案する形で逆撃かました模様。
クールモアさんサイドもノリノリで応じたものの、ドバイミレニアムが調教中の右後脚大腿骨骨折により競走能力喪失し引退したため、史上空前にして禁断のマッチレースは夢と消えた。
これにより秋の大目標・BCクラシック強襲も露と消えた。ジャイアンツコーズウェイやティズナウを向こうにバチバチに戦りあうドバイミレニアムという夢の大レース……実に惜しかった。
運命の神ってどうしてこう無駄なところで頭おかしいお大尽なのに、もっと夢を見ていたい馬に限って理不尽に無慈悲裁定かましやがるわけ?


種牡馬時代

折れた大腿骨にボルト3本ぶち込んでどうにか繋ぎ直し、しかし走れなくなったため生まれ故郷ダルハムホールスタッドで種牡馬入りしたドバイミレニアム。
ミスプロ系をベースに往年の名血馬のクロスを持ち、しかも絶対的戦績で同世代や古馬を圧倒し続けた超絶名馬。期待されないはずがなかった。
実際、初手から種付け料を強気の価格設定(10万ポンド。資料によっては15万とも)したにもかかわらず、初年度から金を持て余した生産者たちが殺到。世界各地から名牝82頭が彼のもとに集った。

が、運命の神はまたしても無慈悲だった。この馬から競走能力を奪うだけでは飽き足らず、種牡馬としての生すら奪ったのだ。
供用初年度の繁殖シーズン終了後、急性グラスシックネス*13により自律神経症を患い、さらに幾度となく疝痛を起こしたことで小腸閉塞を併発。モハメド殿下も費用を惜しまず3度の手術を手配し復活に賭けるも、その甲斐なく4月29日に安楽死処置。
初年度出生産駒わずか56頭のみを残し、先に逝った先達のもとへ殴り込んでしまった。

なお、運命の神はクソほど無慈悲だったが競馬の神は彼を見捨てなかった。
残された56頭のうちステークスウィナーはわずかに5頭。10年あるうちの1年でコレなら「わずかに」と言うほどではないがコイツには1年しかないのだ。
そしてその5頭のうち唯一のGⅠウィナーであったドバウィがGⅠ3勝の実績を引っさげ繁殖入り。
ここまでなら競馬の神にも最後の慈悲があったという程度だろうが、このドバウィが初年度からいきなりGⅠ馬マクフィを輩出。のっけからジャック・ル・マロワ賞父子3代制覇という偉業をぶちかます。
そのマクフィもこれまた初年度からGⅠ馬メイクビリーヴを、さらにメイクビリーヴがまたしても初年度からGⅠ馬ミシュリフを輩出。ドバイミレニアム種牡馬入りから玄孫のGⅠ勝ちまで19年という異次元の最速レコードを叩き出した。RTAかよ。
20世紀最強種牡馬ノーザンダンサーでさえ目標を「玄孫のGⅠ勝利(中間の成績不問)」と大幅に緩和したうえで最速25年だというのにこいつらときたら……

ついでにドバウィにしろマクフィにしろ一発屋などでは断じてなく、GⅠ馬を複数輩出し世界に偉大なる父祖の血を播種。ノーザンダンサー系の天下になってる欧州を代表するミスプロ系サイアーラインとして系譜を広げている。
マクフィは2017年より日本で供用されているので、日本でドバイミレニアム系のGⅠ馬が爆誕するのもそう遠い日のことではないだろう。

なお初年度産駒56頭中、ステークスウィナー5頭重賞馬3頭うちGⅠ馬1頭というのは控えめに言っても決して高打率ではなく、仮に彼が天寿を全うできていたとして、血統樹を書き換えるほどの無双はしなかったという見方が強い。
とはいえ盛大に一発出てる以上、母数が増えればやべーやつら顕現率が上がって大ヒットになった可能性はあるが。


代表産駒

  • ドバウィ
ここまで言ってる通りコイツしか挙げようのない代表産駒。
現役中は愛2000ギニー、愛ナショナルステークス*14、そしてジャック・ル・マロワ賞父子制覇とGⅠ3勝。その実績を買われ、ドバイミレニアムの血を残すため数多の切なる願いとともに種牡馬入り。
かーらーのーマクフィ爆誕により初年度からクラシックGⅠ馬を送り出すと、その後も精虫のヒャッハーぶりは衰えることなく、まるで早逝した父の鬱憤をもまとめて晴らすかのように種牡馬無双顕現。

現在はガリレオ*15と並び称され、欧州種牡馬界最強のマジチンツートップとして君臨中。息子たちも優秀どころが続々と後継種牡馬として参陣しており、その牙城崩壊は当分先と見られている。
というか親父の玄孫までGⅠ馬連続輩出RTAかましてるため、彼にせよ息子や孫にせよ腰を振るたびにやべーやつ顕現率が加速度的に増えていくという状況である。
そのうちドバイミレニアム系が確立されるのではなかろうか。てかぶっちゃけもう確立してるよね


追記・修正は千年紀終焉と新時代到来を高らかに掲げ……るのは向こう980年無理なので普通にどうぞ。

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最終更新:2024年01月30日 03:07

*1 通称。本名はムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム。ドバイを統べるアール・マクトゥーム家の一員にしてドバイ副大統領兼首相。無敵厩舎兼競走馬生産複合体ゴドルフィンを統べる世界最強カッコガチのオーナーブリーダーにして、ドバイワールドカップの創設者でもある競馬界の超絶VIP。ついでに自身も名うてのエンデュランス騎手と、なんかもう競馬に全振りした余力でドバイ統治してるレベルでやべーお方である

*2 2022年時点で現役最強とも謳われるレジェンドジョッキー。数多の名馬を駆り、凱旋門賞6勝を筆頭に数々のGⅠレースを制してきたリアルチート。ゴドルフィン専属は2012年時点で解消されているが、現在もかつて駆った名馬の子らで多くの大舞台を制し続けている。また、社台ファームの吉田照哉総帥が「デットーリが乗ると5馬身違う」と感嘆するほど、馬のポテンシャルを極限まで引き出すことに定評がある

*3 競走馬登録された産駒13頭中、GⅠ馬4頭含む重賞馬9頭、勝ち上がれなかった産駒わずか1頭という絶対名馬産むママン。産駒筆頭は米国GⅠを3勝した以上に種牡馬として大成したティンバーカントリー。それ以外で子孫の有名どころとしては本馬の他にレジネッタやインテロ、リブチェスターなど

*4 ミスタープロスペクターやノーザンダンサーの直系祖父。モノクロテレビでの競馬中継に映える芦毛の馬体から“グレイゴースト”“グレイファントム”と称された米国式芦毛の怪物。産駒もかなりの活躍を見せたが、それ以上に孫の代が競走馬ないし種牡馬もしくは両方としてヒャッハーすることが多い。ノーザンダンサー然りミスプロ然りオグリキャップ然り

*5 生涯成績30戦21勝、史上2頭目のニューヨークハンデキャップ三冠を達成するなど活躍した超強豪馬。熱発をこじらせ米国三冠を棒に振ったが、クラシック戦線復帰以後は一度も掲示板を外さないままに多くの勝ち星を挙げた。種付け意欲がめっちゃ薄く種牡馬入り後は関係者が苦労させられたそうだが、ティムタムとバックパサー、特に後者を輩出したため元は取れてるのではなかろうか

*6 マンノウォー直仔にして26戦21勝の成績を挙げた超強豪馬。種牡馬としてはフィリーサイアーのケがあり、後継種牡馬が成功しなかったこともあって父系は断絶済。ただし母父としてバックパサーやアイアンリージなどを輩出しており、牝系経由で血統への影響力は今なお残っている

*7 ダンシングブレーヴが種牡馬としてスタッドインしてた牧場。ぶっちゃけ欧州の競馬ファン的にはダンシングブレーヴ日本輸出の戦犯としても有名。当時のダンシングブレーヴを放出したのが悪い判断ではなかったのは確かなのだが、放出翌年に欧州に残した産駒がヒャッハーしちゃったので、その……

*8 エプソム競馬場の馬蹄型コースにおける最終コーナー。下り坂になって直線に接続されており、ここを通った直線のラスト1ハロンでエグい急坂が待ち構える

*9 当時リステッド、2012年以降はGⅠに格付けされている。2001年にGⅡに格付けされ、2010年にウオッカとレッドディザイアが参戦し、オリビエ・ペリエ騎手の調整ミスによる斤量超過を乗り越えレッドディザイアが勝利した

*10 米国三冠馬サイテーション以来となるダート16連勝をしてのけた当時の米国最強馬。父系が芝向きということで米競馬の裏街道芝戦線を走るも、4歳中頃まで鳴かず飛ばずの凡馬扱いだった。が、裏街道からダートに復帰し、ジェリー・ベイリー騎手をいつぞや以来の鞍上に迎えると覚醒。まさに「我ニ追イツク優駿ナシ」を地で行く無双っぷりで、ドバイワールドカップとブリーダーズカップクラシックを含む歴代2頭目の16連勝を達成。しかし札束タワー高さ比べの果てにクールモアで種牡馬入りするも、謎の無精子症で産駒を残せず、早々に功労馬入り。レース中の予後不良でもないのに産駒を残せないという事実が各方面に与えた衝撃はとんでもなかったが、それでもファンや関係者に愛されながら穏やかな余生を送り、2014年10月に24歳で死去

*11 エクリプス賞最優秀騎手賞最多受賞7回、BCシリーズ15勝、うちBCクラシックが3連覇5勝、ニューヨークハンデキャップ三冠などの華々しい記録に彩られたレジェンドジョッキー。大魔王シガーの側近としてその才能を引き出し、シガーの次代米国最強馬スキップアウェイの競技馬生晩年には彼の主戦騎手も担った。日本においてはクロフネが後続を蹂躙したジャパンカップダートに参戦した、リドパレスの鞍上として有名。2006年1月半ばに騎手引退後は競馬中継の解説者として活躍中

*12 エルコンドルパサーの野望と日本競馬の夢を叩き潰した1999年度凱旋門賞馬。ドバイミレニアムやセンダワール、ファンタスティックライトとは同期の間柄。4歳夏までヒャッハーしたが、秋以降急激に失速し勝てぬまま引退。種牡馬としてもモティヴェイターやハリケーンランを輩出するなど活躍、モティヴェイター産駒の歴史的名牝トレヴがオルフェーヴルの凱旋門賞制覇を目前で阻止&翌年も連覇するなどしたが、現在はキャメロットに父系存続がかかっている状態。なお、日本馬にとって憎き仇敵であり最大級のライバルの血が牝系から覚醒したのがパンサラッサとタイトルホルダーだったりする。モンジューはそれぞれの母父と母父父に当たるのだ

*13 牧草からの細菌感染により、神経系破壊と消化器麻痺を引き起こす病気。あえて言わずとも奇病のたぐいである。どうも飼い葉から感染したようだ

*14 現在のヴィンセント・オブライエンナショナルステークス。アイルランドで数々の名馬を育て上げた名伯楽ヴィンセント・オブライエン師を称え、彼の死後2009年に現在のレース名に改名された

*15 世界最強マイラーフランケルを出した時点でリアルチートだというのに、それ以外にも多くのやべーやつらをホイホイ送り出しているサドラーズウェルズ後継筆頭にして、ノーザンダンサー系の当代欧州最強種牡馬。母父としてもやはりリアルチート級の活躍を見せている。何食ったらこんなチートマジチンになるの?