ギータ(ハーメルンのバイオリン弾き)

登録日:2024/08/18 Sun 12:29:00
更新日:2025/06/03 Tue 03:12:06
所要時間:約 5 分で読めます





しかしよかった…何せこいつらときたら
生きることをあきらめている連中ですから

なんの悲鳴もあげない

それに比べて…あなたは…
実に…

イイ悲鳴をあげる…


ギータとは漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』の登場人物。


CV:二又一成(ドラマCD)/松山鷹志(テレビアニメ)

概要

通称超獣王(ウォーリア・キング)ギータ」
魔界軍団の中でもミノタウロスや人狼(ワーウルフ)といった獣人系の魔物で構成された軍隊『超獣軍』を率いる魔界軍王No.4。
「魔界一の剣客」「獣の王」の異名を持つ、蹄を備えたドーベルマンや狼に似た犬の背中から犬の頭を持つ西洋の騎士のような姿の上半身*1が生えた異形のの獣人。
金色の甲冑を身に着け、背中には複数の刀剣を装備している。

軍王の末席に座して普段からドラムにへつらいながらも険悪なサイザーとドラムの仲を笑顔で取り持ち、時には口先だけでなく剣でも諌める調停役として振る舞うことが多い。
だが魔王軍の中ではコミカルな態度や言動、強者にへつらう平身低頭な場面が多く、そのユニークなビジュアル故にハーメル一行に「チ○ポ丸出し(しかもすごく大きい)」とネタにされたり犬扱いされたりと魔族随一のコメディリリーフ。

トロンとは剣士繋がりで度々交戦することが多く因縁深かったが、実はトロンの母ショームを剣で焼いて惨殺したトロンにとっての最大の仇であった。


人物

一人称「私」*2
多弁かつ常に丁寧語でねちっこく喋る慇懃無礼な性格だが、その本性は異様に執念深く狡猾なねちっこい野心家。
目的を果たすためならどんなに生き恥や無様を晒しても構わない臥薪嘗胆を地で行くバイタリティの塊で、普段は強者の腰巾着としてへつらいつつ、いざ自身を見下していた相手が弱れば隙を狙って嬉々として剣で斬り殺し報復や下克上を目論もうとする卑劣漢である。

魔族らしい冷酷非道さもきっちり完備しており、人の命を奪う事には何の躊躇もなく扱いとしてはゴミクズ同然。
人間を試し切りで無造作に殺す事にも弱者をいたぶるのにも何の躊躇も抱かず、「人間は魔族に死を与えられるもの」「滅ぶだけのもの」「虫ケラ」と見做して小馬鹿にする。


そして剣客を標榜するが、そもそも剣に拘る理由がコンプレックスと劣等感からくるフラストレーションの発散であり、

だからわりと…力ある者に馬鹿にされてきました…
そういう奴らにへツらってきもしました
ですがね そういう奴らも…

この剣一つでその威厳や虚勢が悲鳴や泣きごとに変わる…
それがねたまらなく好きなんです

威張り散らしてる野郎どもが恨みつらみを吐き捨てる…
ベースやドラムなんかもねェー ハハハァ
もがき苦しむ様が最高なんですヨー!!

と自慢げに語り、他者を剣で嬲って相手の悲鳴や泣き言を聞きながらいたぶり殺すことを好んでいる最低最悪の剣士。
一応剣客としての最低限のプライドや矜持はあるのか、自身に立ち向かったトロンを見込みアリと判断して剣士としての成長を期待する一面もあった。
だがそれもあくまで「ネチネチいたぶって楽しめる殺し甲斐のある相手」という意味合いでしかなく、勝利や任務達成のためなら躊躇いなく卑劣な人質戦法を取る辺り、よくある武人精神・騎士道精神は全くの無縁である。


その執念深さと生き汚さはオーボウにも危険視されていたのか、最終決戦で最後まで生き残った姿を見たオーボウは「やはりな…おまえが最後に残ると思ったよ」と冷たく言い放っている。


能力

本人によれば元々強力な魔力を持つ性質の魔族では無く、それ故にトロンと互角かそれ以上の卓越した剣技とコレクションとして集めた魔剣・妖刀の特殊効果を使って戦う技巧派の魔剣使い。
だが非力とはいえあくまでそれは軍王4人の中では非力というだけの話。
  • サイザーとドラムの喧嘩を剣だけで容易く諌める
  • ハーメルやライエルが属する魔曲使いの弱点を熟知した上で攻撃を仕掛ける
  • 本気のオカリナを呆気なく斬り重傷を与える
  • ヴォーカルが寿命寸前の満身創痍だったとはいえヴォーカルを無傷で圧倒して致命傷を与える
などちょくちょく活躍しており、腐っても軍王である。

加えて魔力を持つ者の血を舐めるとその者の能力を得る能力を隠し持っており、「あらゆる獣を超える王」を自負するこの能力で成り上がりを狙っていた。
また腕っぷしの強さ以上にヘラヘラと情けない振る舞いの裏で相手を陥れる謀を巡らせる知恵者でもあり、謀略家・前線指揮官として技量も高い。

本性は冥府の門を守護し亡者の魂を喰らう地獄の番犬ケルベロス。ただし原典とは異なり双頭なので厳密にはオルトロスに近い。
だがドラム、サイザー、ヴォーカルの血を呑んだ結果巨大な貪獣(キマイラ)に変貌。強大な魔力によりドラムの竜やサイザーの翼をコピーした事によって中盤ではあのサイザーが慄くレベルの存在となっていた。


使用武器

ギータが搔き集めてきたコレクションの一部。
いずれも使いこなせば城1つ簡単に落とせるシロモノばかりらしい。

  • 飢狼(きろう)の剣
刀身が巨大な狼の頭に変化し、敵を食い千切る生きた魔剣。
剣を手放すと制御が外れ刀身がドンドン狼そのものへと変化し続けて凶暴性も増し、敵に襲い掛かる極めて獰猛な武器でもある。

  • 氷槍剣
刀身が巨大かつ鋭利な氷の棘となって敵を串刺しにする魔剣。

  • 雷王剣(ライトニングブレード)
ビジュアルは西洋剣風。
刀身から電撃を放ち、雷の斬撃を放つことができる。

  • 超重皇剣(ちょうじゅうおうけん)
刀身から重力波の様なものを発して相手を地に叩き落とし圧し潰す魔剣。

元々はダル・セーニョ王国に伝わる伝説の宝剣。
鍔に聖なる者の魂を封じた宝石(ルビー)を嵌めこむことで力を発揮し、軽く一振りするだけで地平線の果てまで大地を割るほど剣圧を発するが、宝石が無ければ何も斬れないナマクラになってしまう難儀な剣。
当初はパンドラの箱を開けるために用いようとしたがヴォーカルに取り上げられ一時紛失。ヴォーカル暗殺後は再び取り戻し、サイザー討伐の際のメイン武器として用いたが、宝石に封じたサイザーの魂をライエルに取り戻されたことで再び力を失いそのままフェードアウトした。

  • 揺光氷星剣(アルカイド)
放つ刃風に触れた物全てを凍らせ水晶に閉じ込める効果を持つ魔剣。
捕らわれの身となったパンドラもこれによって水晶に封じられた姿にされた。

  • 妖刀「緋炎(ひえん)
ギータのコレクションの中では珍しい日本刀
刀身から炎を発することができる妖刀であり、トロンの母親を焼き殺した元凶の刀。


活躍

劇中では初期から北の都から離れられないベースに代わって刺客や前線指揮官として働き、ベースにも秘密で少しずつ強者の血を取り込んで力を付けていたが、その成果もケストラーに見抜かれ聖杯扱いで捕食されあやうく死にかけている。
最終決戦では魔界軍王最後の1人になるまで生き残りトロン・ボーンと対峙。
死の牢に捕らえられていた人間を片手間に殺しまくりながら戦い、只管トロンを嘲笑う非道な戦闘スタイルでトロンの逆鱗を逆撫でしつつ多彩な魔剣妖刀で圧倒するも、母親を殺された小さな子供の奇襲で背中を刺されたことで形勢が逆転。
牢の中の人間達の反乱を招いてしまい、激高した隙を突かれトロンが愛剣を全て取り戻されてしまう。

ギータあ!我がD・S(ダル・セーニョ)の名にかけて──
貴様を討つ!

人間めがぁぁぁ!
餌の分際でェー!殺されるだけの分際でぇー!

怒り狂いながら襲い掛かるも、トロンの放った三刀流仕様のシーザー・スラッシュの一撃で首を刎ねられ胴を斬り刻まれて敗北した。

だが実は下半身の犬が無傷だったためギリギリで生き残り、大魔王ケストラーの血痕の血を舐め最強に…といういい所でコル・ネットの「聖母殺人伝説(ジェノサイド・エクストリーム)」の犠牲になって死ぬケストラー戦のシリアスの反動と言わんばかりのギャグ展開全開のオチを迎えた。


余談

  • 名前は弦楽器の一種「ギター」の捩り。
  • ハーメル一行が弱らせたドラムやヴォーカルなど、名だたる魔族へのトドメは彼が務めることが多く、人類側からすると逆MVPな側面がある。
  • 巻末おまけでは、シンデレラギータとなって他の軍王家族にいびられながらも舞踏会に出席して最終的にハーメル王子の伴侶になるというギャグ短編あり。結局は夢オチで終わったが、本編最終巻でケストラーの力を奪い取るという展開を微妙に示唆していたものとも言えなくもないかもしれない……

追記修正よろしくお願いします。


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最終更新:2025年06月03日 03:12

*1 例えるなら鎧を着こんだアヌビスみたいな感じ

*2 ちなみに最初期は「拙者」だった。