魔族(ハーメルンのバイオリン弾き)

登録日:2024/05/16 (木曜日) 21:55:00
更新日:2025/02/11 Tue 05:30:27
所要時間:約 48 分で読めます


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※少年漫画のキャラです この世のすべての悪 まさに外道 やべーやつら エゴイスト チート チームワーク皆無 トラウマメーカー トラウマ製造機 ド外道 ハーメルン ハーメルンのバイオリン弾き パワハラの絶えぬ職場 マジキチ 世界征服 人類の敵 人食い 侵略者 倫理観ゼロ 共存不可能 千憶の絶望 外道だらけ 大魔王ケストラー 存在してはいけない生き物 実力至上主義 害獣 弱肉強食 快楽的殺人主義民族 悪の組織 悪意の塊 悪魔 戦闘民族 所要時間30分以上の項目 月刊少年ガンガン 楽器 残虐非道 渡辺道明 滅ぶべき存在 漫画 濃すぎるキャラクター性 生きている者の敵 生まれながらの悪 異種知性体 相互理解不可 笑顔の絶えない職場 純粋悪 絶対悪 聖杯 腐れ外道 自分が悪だと標榜して恥じない邪悪を通り越した極悪 邪悪 邪悪の権化 魔族 魔物 魔王 魔王軍 魔界 魔界軍王




“鳥”などではなく…

漆黒の闇でもなく…

あれこそ…

まさに…


千億の絶望────



この項目では漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』に登場する魔族を解説する。


概要

魔界と呼ばれる場所を故郷とし、全人類を駆逐して世界を支配し、魔族の国を建国すべく世界中で破壊と殺戮を繰り広げている作中の人類最大の怨敵。人類からは「千億の絶望」「この世の全ての悪」と恐れられる。
なお「魔物(モンスター)」の概念も登場したが、魔族も読み方はモンスターなので魔物と魔族の明確な区別は不明瞭。

価値観が極めて多様化した現在のサブカルチャーにおいて、時には人間と共存したり、理解し合ったり、友愛を育んだりする魔族はもはや珍しくないが、本作では極々一部を除いて

軒並み反吐の出る屑・ド外道・卑怯者・チンピラ・快楽殺人鬼しかいない残虐非道の悪意の化身

として描かれているのが大きな特徴で、少年バトル漫画で出てくる高潔な武人タイプのような敵キャラは存在しない。*1

作中では魔族の長である大魔王ケストラーの復活を宿願として暗躍しており、ケストラーの子であるハーメルへの干渉を繰り返した。
また同時に自分達に抵抗する人類国家に積極的に戦争を仕掛けて、全世界で破壊と殺戮の限りを尽くしている。


種族として

殺戮と破壊に喜びを見出し、弱者を軽んじ、力こそが絶対の実力至上主義の価値観が幅を利かせる種族であり、オーボウによれば「相手の弱身につけこみ欺き陥れウムをいわさず服従させること」が魔族の本質と語る。

彼等にとって人を殺すことは本能に等しい。
魔族は人間の苦しみ・恐怖・憎悪・血肉を糧として魔力を高めることができ、魔族にとって人を苦しめて殺すことは「食事」であり「魔力や快楽を得る手段」であり「娯楽」であり「文化」である。
人類を虫ケラ以下の下等生物扱いして見下し、遊び半分で人間を嬲り殺したりゲーム感覚で殺戮することは魔族にとってのごく当たり前の一般常識。人間に対する認識は一律「餌」に過ぎない。
実際侵略した人類の国の生き残りを狙った人間狩りゲームを軍王が率先して行って楽しんでおり、ケストラーも「人間をいっぱい殺せることは喜ばしい事」「殺すための連中(もの)」「殺人は魔族にとっての当然の権利(要約)」などと断言している。*2
後述のように初期のころは金品や食料の略奪を行っていた野良魔族もいるが、苦しみや殺戮に伴うおまけでしかないのだと思われる(まあ設定が固まっていなかっただけかもしれないが)。


逆に人殺しを忌諱したり人類に慈悲を向ける思想は異端中の異端であり「最低」と唾棄されるばかりか、空気が読めない奴或いは精神異常者と言わんばかりに白い目で見られる。
生物が持つ「番を得て子孫を増やす」といった概念も極めて希薄。結婚して子供まで作ったオーボウは「変わりもんだぜェ」とドラムに揶揄されるほど異端視されていた。
ケストラーも「想い」や「優しさ」といった概念は魔界に存在しないものとし、人殺しの快感が苦痛になることに対して逆に不満と嫌悪を向けていた。
とはいえ、そんな風評を黙らせられるだけの実力さえあれば迫害はされないため、オーボウが長らく魔界軍王の座に居れたのも単純にオーボウが圧倒的に強かったからに他ならない。


ちなみに美的感覚や味覚は人間と同質。
普通の人間が美しいと思えるものは素直に美しく感じるし、普通の人間が汚いと思うものは彼らもまた汚く感じることができる。
人間の血肉がこの上なく美味しいだけであって、人肉以外にも酒を趣向品として嗜む場合もある。
人の情愛に絆された結果改心し「人間の心」を得る者も極少数派だが現れた場合もあり、やたら人間臭い部分がよく現れているのも特徴である。
逆を言えばやたら人間臭いからこそ人間の苦しみを理解し、人間がより深く絶望して苦しませるための手法や発想を思いついて実行に移せるのかもしれない。


「魔力」と「寿命」

強大な力を持ち数千年の時を平気で生きる魔族だが、「魔族」という種の唯一にして最大の欠点として魔族の力である魔力=生命力であることが挙げられる*3
魔力の回復は自力では行えず、魔族ひいては魔力の源である大魔王ケストラーから魔力を供給される方法しかなく、ケストラーが封印されたパンドラの箱を開ける事に魔族が躍起になっているのもこのため。
余談だが、ケストラーから任意で魔力供給を遮断することも可能なので、魔族はケストラーに生殺与奪の権利を握られていることも意味している。
そして魔力は使えば使う程減る一方であるため、軍王クラスの強大な魔族は魔力消費が速い関係から、基本的に魔力を著しく消費する真の姿に長時間いるのは不可能。
よって、強い魔族ほど力を抑えた仮の姿で活動することを強いられるが*4、同時に強い魔族であるほど北の都から遠くへ長く離れられない状況に陥っており、北の方が魔族が蔓延っているのもそういう理由である。
そして自身の魔力を使い果たしたら最後、全身がヒビ割れ粉々になった末に塵に還ってしまう。この現象は「寿命」と呼ばれ、これが魔族にとっての明確な死となる。
逆を言えば安定した魔力供給がある限り魔族は魔力切れを起こさなくなり、魔族は永遠の命(=不死)を得ることを意味する。
なお、ケストラーの魔力供給以外にも古来より魔族に伝わる方法として「聖杯」という手段があり、相手が人間だろうと同じ魔族だろうと関係なく強い存在の血を飲むことで魔力を補充できる*5



エアシュテルベント

劇中世界の北部にある大陸。灰色の空と吹きすさぶ北風が特徴。
地理としては海に囲まれた島のような大陸であり、上から
  • 『絶望の大陸』エアシュテルベント大陸
  • 『死の大陸』フーネブレ大陸
  • 『魔の大陸』ドレント大陸
の順で北に近づいていく。ちなみに北に近づくにつれ大陸のサイズも小さくなっている。

北の都ハーメルンが近いこともあり北部は完全に魔族の支配圏。
生命の息吹がまともに感じられないほど荒れ果てた荒野や魔族に滅ぼされた国の廃墟があちこちに広がり、エアシュテルベントから人類のまともな文明圏は存在しなくなる。
一応人間が居住する村もあるにはあるがまともな食糧にはありつけず、常に人類は魔族に殺される恐怖に怯え、いたるところに磔にされて処刑された人間の骸が夥しく広がる悲惨な光景が広まっている。
エアシュテルベントに近い土地の人々からは「死者の赴く所」「魔族の巣」「地獄よりひでェ所」「この世の果ての始まり」などと恐れられ近づくことすら忌み嫌われていた。


北の都ハーメルン

北の果てにある第3の大陸「ドレント大陸」に建造された、ケストラーの座す魔族の本拠地。別名「絶望なる魔都」
空は常に暗雲が立ち込め、巨大な針山を連想させる膨大な数の尖塔が特徴的である広大な魔城が存在する。
地形等を見る限り、大陸を丸ごと魔族の本拠地に改造したようにも見え、街並みはどこか近未来のメガロポリスめいている。
ドレント大陸に上陸する前の段階であっても対岸から魔界軍の集中砲火を喰らうため、魔界軍本隊の攻撃と合わせてそもそも上陸自体が極めて困難である。


  • 死の牢
ハーメルンの魔城の中にある、世界中から大量に連行しててきた罪のない人間を捕らえるための収容所。*6
囚人達はまともな衣食も与えられず魔族に奴隷のようにこき使われ、虐待された末に玩具感覚で惨たらしく殺されていく地獄の生活を強いられる。
こうして捕らえられ虐げられ続けた人類は絶望の果てに「人間とは魔族に死を与えられる餌に過ぎない」という終末思想に染め上げられて生きる事や希望を持つことを諦め、魔族に理不尽に殺されることを無条件で受け入れてしまう。(ギータ曰く「調教」。)
また城内にはケストラーの玉座もあるため、ケストラーが食事を始めると巻き込まれて彼等も死ぬ。

ちなみに囚人の血はかなり不味いらしく、演技とはいえ囚人の血を飲んだギータはその後「あーまず…だいたい何喰って生きてきたんですか」「喉を潤す水代わりにもならないとは」とキレながら斬り殺して血を飲んだ囚人の死体を踏み躙っていた。


用語

  • 魔界軍王
ケストラー直属の部下で、魔界軍の各軍を束ねる魔族の将軍達。
冥法王ベースをリーダーとして概ね4人体制で軍を運営しており、その圧倒的強さから人類には恐怖の象徴として恐れられている。要は悪の四天王ポジション
部下からは厚い忠誠を誓われているが、軍王間での仲間意識の類は希薄である。
どの時代でも基本的に空気はギスギスムード。いつもお互いに憎み合いいがみ合い、日々陥れることを虎視眈々と狙い続ける殺伐とした関係で、繋がっているのもケストラーとベースによる力での支配に加え、利害関係の一致程度のものでしかない。

  • ギロチン
魔界軍団における格式高い処刑法。
見た目や仕組みは中世のギロチンそのものだが、あくまで殺し方のバリエーションの1つでしかないので人間に罪の有無は関係ない。
ギロチンによる処刑は魔族的には非常に名誉ある死に方として扱われ、人類はギロチンによる処刑に感謝を求められる。
劇中ではギロチンの刃を支える紐を処刑対象に敢えて持たせて心身を苦しめる悪趣味なやり方が登場した。


  • 灰色の丘
恨むんならこの弱っちいくせに オレたち魔族に歯向かった…こいつらにゆーんだなぁー!
魔族に逆らった野郎は皆こーなんだ…磔よぉーーー!!

魔族に逆らった人間や国家の軍人が、見せしめのために生きたまま十字架に磔にされて殺された末に白骨化した人間達の骸が地平線の彼方まで広がる地獄のような丘。
エアシュテルベントの真ん中あたりから発生し、北に近づけば近づくほど灰色の丘のような骸はその数を増していくため、サイザーによればこれらは珍しい光景ではないとのこと。
また丘の地面の下にはおびただしい数の人骨が埋もれている。
処刑対象は老若男女問わずであり、ただ杭を手足に打ち付けられた死体よりもモズの早贄のように脳天から串刺しにされた惨殺死体の方が多い。

当然魔族が処刑した人間を律儀に磔にするはずもなく、死体を磔にして十字架を立てる労働は全て死の牢の囚人たちの仕事。
「人間が魔族には向かったせいでお前らはこんな労働を強いられている(要約)」と魔族に罵られながら馬車馬の如く休みなしでこき使われ、作業効率が落ちれば鞭でしばかれ、仮にノルマを達成できなければ監督役の魔族の手により容赦なく殺されることになる。*7


  • 反魂の術
死者を蘇らせる呪法。
殺した人間の魂を抜き、その死体に術者の魔力の塊を埋め込むことで術者の意のままに動く操り人形に仕立て上げられる。
対象のスペックや技能をフル活用できるため、場合によっては強大な人間の力を丸ごと奪う事にもなる。
また術者の魂を影響をダイレクトに受けてしまうため、中盤この術の犠牲となったサイザーは術者であるヴォーカルの生き写しとばかりに殺戮を愉しみ暴走する残虐非道の性格と成り果てた。


  • 魔の冥界
オル・ゴールが語った死後の世界の概念。
魔族によって苦しめられて死んだ人間の魂は通常と違って成仏できず、死霊となって冥界に引きずり込まれ死後も永遠に苦しむ責め苦を受ける羽目になる。
死霊たちが味わう苦しみが魔族の餌となるので、よって魔族の被害者はたとえ死んでも安息が訪れることはない。
オル・ゴールが冥界の魂を管理していたのか、オル・ゴールの死に連動して冥界に縛られていた人々の魂は皆成仏することとなった。


キャラクター


大魔王

  • ケストラー
おまえたちは北へ私を倒しに来たのではない…
後継者になるためでもない…
聖杯(えさ)”になるために来たのだよ!!!


本作のラスボス
絶対的な力で魔族を支配する大魔王であり、主人公ハーメルとサイザーの父親。
「魔族の覇王」「殺戮と破壊の王」と呼ばれ、人類からも魔族からも恐れられる絶対的な存在。

名前は「オーケストラ」の捩り。
詳細は大魔王ケストラーを参照。


魔界軍団

「魔界軍」とも略されるケストラーを頂点とする魔族の正規軍。現在の総指揮官は冥法王ベース。
4つの軍団に戦力が分かれているのが大きな特徴で、兵隊は野良の魔族(魔物)とは比べものにならないほど強い。
そして軍を束ねる強大な魔族の将軍は「魔界軍王」の称号を与えられ、その強さから人類に恐れられる。
数十万もの兵隊と大隊規模・師団規模の大軍勢を多数擁する他、戦車や空中戦艦などの高度な機械兵器を保有しているが、魔族は基本的に兵器よりも自分の魔力と腕っぷしに絶対的な比重を置いているため、携行武器は概ね近接武器ばかりとなっている。

「軍」ということで統制こそ取れており上の者からの命令には服従するものの、魔族の性質上モブ兵士のような格下の魔物は上に立つ強者の気分次第で理不尽に命を奪われるピラミッド構造も特徴。
実力至上主義故の若干の悲壮感こそあるが、一度戦場に赴けば兵士たちは北斗の拳モヒカンの如きチンピラ感丸出しの残虐非道っぷりで殺戮と破壊を繰り返し、人類を虐げて魔族としての生を満喫する。
当初は4軍団に分かれていたが、人類との最終決戦を前に全軍が統合されたようで、様々な魔族の混成軍団となってハーメル一行及び人類と決戦を迎えた。

作者によればイメージ曲はホルストの組曲「惑星」の中の1曲「火星-戦争の神-」。


冥法軍

スケルトンなどアンデッド系の魔族で構成された軍隊。
十字架型の空中戦艦「皇帝の十字架(カイゼルクロイツ)」を戦力として有する。
他の軍とは異なり北の都を離れて部隊単位で戦場に赴くことはあまり無かったため、四大軍団の中でもモブ兵の扱いは最も地味。

  • 冥法王(ヘル・キング)ベース
まさに…“想い”という死の道を逝く…
巡礼者たち…だな………

CV:緒方賢一(ドラマCD・劇場版)/石塚運昇(テレビアニメ)

『冥法軍』及び魔界軍全体を束ねる魔界軍王No.1。
「地獄の王」「冥王」「ケストラーの右腕」「大魔王の懐刀」などの異名を持ち、ケストラー不在の状況下で魔族の指揮を執る最高指揮官。
また幼いハーメルの目の前でパンドラを水晶に閉じ込め連れ去った張本人で、ハーメルにとってはケストラーと並ぶ因縁の宿敵と呼んでいい存在。

ビジュアルは黒い軍帽を被り眼帯を付けた青ざめた顔の男の首を手に持つ黒い軍服を着込んだ青年*8であり、青ざめた顔の男の首が本体である。
首を持った青年は第一次スフォルツェンド大戦で戦死し、魂を抜かれたフルートの兄であるリュート王子を反魂の法で蘇生させた骸である。
しかし、第二次スフォルツェンド大戦では窮地に瀕したクラーリィ達をリュートが援護し、フルートの不幸を心中で嘆くなど完全にベースの制御下にあるというわけではなかった。

ケストラーに次ぐ実力を持つ冷酷な策謀家であると同時に強大な魔法・呪法の使い手で、生前のリュートの力をも悪用する形で戦う。
リュートの骸を得る以前のベースは寿命間近であったが、それでもリュートの全力の攻撃を苦も無くいなして完勝する高い戦闘力を持っていた。
また、冥界の支配者らしくリュートの攻撃で首以外が全て焼き尽くされて消滅しても特に何の支障もなく生存できるほどである。
欠点は現在のベースはあくまで首だけなので、リュートの様に依代となる存在がいなければ無力に等しいという点。

一人称は「ワシ」。最初に登場した時は「我輩」だった。
ケストラーに絶対の忠誠を誓う忠臣であり、性格は魔族の例に漏れず冷酷非情。
軍の規律に厳しく、命令に反した者や失敗した者には容赦なく制裁を科す冷徹な合理主義者で、依代としているリュートの骸も含めて人間のことは道具としか看做しておらず、人間を欺き殺すことにも何の躊躇いもない。
また、強大な力を持つ一方で合理主義な面が祟ったのか結構な堅物でもある。
ケストラーとは違い人の情や想い、献身といった概念を一切理解できず難色を示し、それらの感情を基にして魔族に抵抗し傷ついて苦しむ様を「絆という名の殉教の道」「無駄」と見下して冷笑していた。
ただし、我の強い魔族たちを束ねなければならない関係から軍王間の争いの仲裁など中間管理職的な気苦労もしており、鉄面皮な所が多いもののテンションが上がったり精神的に余裕がない時はコロコロ表情を変えるので案外表情豊か。
ベースの心象を反映してか、リュートの方も割と表情を変えることが多い。

最終決戦では彼が敷いた呪法を止めるべく挑んだクラーリィ及びフルートと対峙。
リュートの強大な力を駆使して一方的な戦いを繰り広げ、クラーリィらに随伴していた戦力のみならず、途中参戦したスフォルツェンド聖十字軍王家親衛隊(クルセイダーズ)をも片手間に蹂躙して壊滅させた。
更にフルートには母親のホルンが回復魔法の酷使によって寿命を擦り減らし使い切ってしまったため死亡したと明かして精神的な揺さぶりを仕掛け、クラーリィ本人の四肢も破壊するなど完全な優位に立つ。
終盤リュートの肉体を酷使しすぎた事でリュートの肉体に限界が来たと明かした上でフルートを新たなる肉体として奪う目論見を明かし、「この冥王の手足となり利用される運命にある」とスフォルツェンド王家を嘲笑いながらフルートを甚振るも、突如リュートの死体の一切の制御が効かなくなったことに動揺。
威厳を取り繕うこともできず、フルートがベースの眼帯に隠されていたリュートの魂を無防備な状態にし、ダメ押しとばかりに死したホルンの魂のサポートを受けたクラーリィの手によってリュートの魂を骸に戻されるという逆転の一手を受けたことで完全に形勢が逆転し、そのまま部下を一掃された挙句焼き尽くされ滅び去った。

馬鹿なあ 人間なぞ…
人間なぞ…魔族によって生かされている…生贄(えさ)のようなもの……
魔族…が人間を支配…して…ギャアアア!
冥王…が…この…め…
人間ごとき…に…

それでも残留思念の死霊となってしぶとく現世に居座り、ケストラーの前に行かんとしたハーメルとトロンの前に出現。
大魔王の手によって無惨に哀れに死んでいくと見苦しくも予言するが、ギータに「燃えカス」と吐き捨てられながら斬って捨てられ、ギータへの恨み節を言い切ることもできず今度こそ完全に消滅した。

名前は弦楽器の一種「ベース」から。


  • オル・ゴール
ハハハ どウダイ…!!
“苦しみ”を 笑顔に…
楽しくゆかいな… 狂気の世界へ…!!
これがボク…
地獄の道化師オル・ゴールの… 大サーカスだよ!!
あー楽しィ ハーハハハァ!

冥法軍No.2。
「死のオル・ゴール」「死神(ジョーカー)」「冥界の道化師(ピエロ)等といった数々の異名を持つベースの副官。
風貌は全身タイツで赤鼻の付いたピエロの仮面をかぶった道化師で、素顔は童顔の美少年。だが実はピエロの仮面が本体なため、肉体の外見は自在に変えられる。
大鎌に似た形状の巨大ハープから奏でる魔曲によって深い未練や怨念を持つ死者の魂を冥界から呼び出して操る死霊使い

名前の由来は機械仕掛けにより自で曲を演奏する楽器「オルゴール」から。
ちなみに口癖のモデルは『職業・殺し屋。』や『ゲッターロボダークネス』でおなじみ西川秀明先生。
詳細は個別項目を参照。


  • 幽騎兵団
冥法軍の一部隊で、ハーメルを抹殺するためにベースの命によって派遣され、人間の町で暇潰しに無力な人々を嬲りながら彼の訪れを待っていた。
作中で最初にハーメル一行と交戦した魔界軍団の正規部隊で、「これまでのような野良モンスターとは比べ物にならない」というオーボウの言葉どおり一度はハーメルを圧倒し、ライエルもピアノを弾く暇も与えずに手を貫いて抑え込み、彼らを捕えて処刑しようとする。
しかし、指揮官が「ベースの命でやってきた」旨を口にしたことでハーメルがベースに対する憎悪を募らせ、彼が魔族の力を振るったことで一瞬にして壊滅させられてしまった。
当時のハーメル一行を完封寸前にまでもっていくなど相当な強さを見せていたが、ギータによれば魔界軍団の中ではごく下位の兵下たちであるらしい。


  • タタラ
顔が骸骨になり右手がフックになった海賊のような魔物で、巨大なタコに乗って幽霊船団を率いるが船団諸共ポセイドンの前に敗れた。
ストーリー的にはオル・ゴール編の前座のような扱いの魔族。


CV;小宮和枝

劇場版で登場したアニメオリジナルの女魔族。
自らの顔を美しいと嘯く妙齢の女性だが、本性は巨大な半人半蛇の怪物。
石化魔法の使い手で、目を見た相手を石に変えることが可能。
古城を根城にして部下を率いてアンディファーナ国侵攻を指揮し、ベルリラ姫を魔法で猫に変えたりアンディファーナの兵士やハーメル一行のうちオーボウ、サイザー、ライエルを石化させたが、石化した仲間を投げまくって武器にするハーメルの外道戦術に翻弄され、最後は魔曲で強化されたフルートの「お母さんの愛のキック」で蹴り飛ばされ滅びる。
ベースの配下だったらしく、配下も冥法軍のスケルトン兵や骸骨顔のミノタウロスを運用していた。


幻竜軍

リザードマンやドラゴニュートの様な亜人やドラゴンなど、精強な竜族で構成された部隊。
鉄の帆船の中に巨大なドラゴンを入れて飛行させている空中戦艦の艦隊「竜王船団」を擁している。
ドラムに率いられ第二次スフォルツェンド大戦を引き起こすが、モブ兵に関してはオリン爺さんの作った「パンドラの洗濯機」や「パンドラの便器(使用済み)」に吸い込まれたりとギャグのノリに巻き込まれて軍が壊滅したりと扱いは中々に散々。

  • 幻竜王(ドラゴン・キング)ドラム
このドラム様と()りあおうなんてよおーー!!千年(はえ)えぜクズがぁ!
この大魔王ドラム様によぉーーー!!

CV:郷里大輔(ドラマCD)/梁田清之(テレビアニメ)

『幻竜軍』を束ねる魔界軍王No.2。
「竜族の王」の異名を持ち、ビジュアルは魔族の中でも一際大きく屈強な巨体を持ち、額から一本角の生えた薄緑色の肌の双頭の竜人。
緑色を基調とした頑強な鎧や首を覆う白いスカーフ、「竜」の文字がデカデカと書かれた腰の前掛けが特徴的。
詳細は個別項目を参照。

名前は複数種の打楽器の組み合わせである「ドラムセット」の捩り。


  • スティックス
お見事ですヨぉリュート王子 (わたくし)のスピードについてこれたのはあなたが初めてでス…!!
しかも人間ごときがあァ スバらしイィ

幻竜軍副官。
見た目は眼鏡をかけ長くとがった鼻と顎のインテリヤクザめいたハゲの中年男性の竜人。背中から長い首の竜の頭を生やしており、掌にも口がある。
ドラムを上回る機敏性(スピード)が武器で、スピードを生かした格闘戦が得意。本性は三ツ首の飛竜(ワイバーン)

一人称は(わたくし)で、慇懃無礼な振る舞いを取るがキレた言動はチンピラのそれ。
幻竜軍第3大隊を率いてトロンが産まれる前の頃のダル・セーニョ王国を襲撃し、ベースが作った耐魔法マントを身につけて有利に戦闘を運んだが、リュートの力の前に圧倒され、最後は「嚥餓哭喰魂」でかみ砕かれてドラムとベースに助けを懇願しながら死亡した。

名前の由来は恐らく打楽器を叩く棒「ドラムスティック」の捩り。

  • トラン、ペット
幻竜軍の斥候(スパイ)を務める竜族の2人組。
人間に擬態してスフォルツェンドに潜入していたが、トランは功を焦り白昼堂々ハーメル一行を襲撃した折クラーリィの手で瞬殺。
残るペットは命からがら逃げ延びてハーメル一行がスフォルツェンドに入ったことをドラムに報告して物語からフェードアウトした。

  • シンバル
ドラムが戦死した後北に帰れなかった残党の1人。
ハーメル一行への復讐として同じ敗残の仲間と徒党を組んでハーメルを襲ったがコル・ネットに一蹴された。


妖鳳軍

鳥人のような有翼の魔族で構成された部隊で、空中戦艦である「巨大戦艦ジーク」を擁する。
しかし、トップが度重なり魔界軍を離反するなど色んな意味で呪われた不遇の部隊。
最終的に部隊の生き残りは北の都の本隊に編入された様子。

  • 妖鳳王(ホーク・キング)サイザー
はやく北の都にこい…
パンドラは生きているぞ…おまえが来るのを待っている

声:佐久間レイ(ドラマCD・劇場版)/緒方恵美(テレビアニメ)

『妖鳳軍』を束ねる魔界軍王No.3。
「ハーメルンの赤い魔女」「空の女王」の異名を持つ魔界軍王の紅一点であり、大鎌を振るい九人のワルキューレを呼び出し華麗に戦う女戦士。
劇中ではオカリナ共々魔界軍を離反。勇者一行に加わった。
実は生粋の魔族ではなく、ハーメルと同じくケストラーの血を引くパンドラの娘で、関係としてはハーメルが双子の兄に当たる。
スーパーファミコンで登場したゲーム版ではラスボスを務めたりもしている。


名前の由来は「シンセサイザー」の捩り。
詳細はサイザーの項目を参照。


  • オカリナ
大丈夫…だからもう…泣かないで…ね…

CV:柊美冬

サイザーが連れている白いカラスで、サイザーの副官。
正体はオーボウの娘であり、本来の姿は空色のショートヘアとビキニアーマーが特徴のスタイル抜群で大学生位の外見年齢の美少女。
ハーメル曰く「ムッチムチセクシーなお姉ちゃん」「こげないやらしか恰好したおなごこの漫画始まって以来だぞ」
偵察を得意とするがサイザーの副官なだけあって戦闘力は本物。サイザーの飛行速度に追随できるだけのスピードを誇り、父オーボウの技である「鳳凰千破(ほうおうせんぱ)」も扱うことができる。

一人称は「私」
ハーメルにとってのオーボウと同じようにサイザーの育て親と言うべき存在で、幼いサイザーのたった1人の友達だった。
サイザーと出逢う前の元々の性格は不明だが、オーボウと同じく優しい性格へと軟化したであろうことが推察されており、本編の段階では魔族らしからぬ明るい笑顔の似合う溌溂とした性格となっている。
だがサイザーが母親に愛されていたのを知っていたがベースに脅迫されて言えず、サイザーに積年の孤独を抱えさせ殺戮を引き起こさせてしまった事に罪悪感も抱えていた。
魔族を裏切ったオーボウの娘である彼女が粛清されず、サイザーの養育という役目まで任された理由は不明だが、後の展開から考えると、サイザーを魔族の思想に染めないことでより苦しめるためのケストラーの意向だった可能性がある。

劇中中盤、反魂の法によりサイザーが黒い魔女と化してしまった際はサイザー救出のために尽力。
己の寿命が来ることも傷だらけになることも顧みずサイザーを助けようと己の身体と魔力を酷使し続け、ケルベロスとなったギータを鳳凰千破で退けた。…が、その一撃によって遂に寿命が訪れて肉体が崩壊。
それでもなお最後の最後で、同じく寿命が近づいていたサイザーの肉体を癒し、己の死よりもサイザーの身を案じながら笑顔でサイザーの幸せを祈りながら塵に還った。
彼女の死は絶望に暮れたサイザーの心の支えとなり、ライエルの存在と合わせて彼女の再起の一助となる。

余談ではあるがオーボウの妻(そしてオカリナの母)は粗野でわがままな姐御肌な性格でオーボウも頭が上がらない女性だったようだ。
逆に言えば魔族特有の残虐さは見受けられず、オーボウといかに出会いオカリナを設けたのか興味が尽きないところである。

名前は気鳴楽器の一種「オカリナ」から。


  • オーボウ
ハーメル…
おまえは 人間じゃよ…

CV:佐藤正治(ドラマCD・劇場版)/千葉繁(テレビアニメ)

主人公ハーメルと旅をする喋る黒カラスだが、正体は「空の提督」の異名を持つ初代妖鳳王(ホーク・キング)
真の姿は背中に1対の黒い大翼を備え軍服をきっちり着こなす屈強な肉体の老人。アニメだと原作の様な白髪ではなく黒髪でモノクルを付けスーツを着たダンディなおじさま。

性格は魔族としてはあり得ない無用な殺しを忌み嫌う異端の存在。
情に脆く無益な殺生も嫌い、冷酷非情に徹しきれない(魔族視点での)変わり者であり、魔界軍時代は殺戮を好む同胞とは相いれず孤独で虚しい日々を送っていたが、ケストラーの封印解除のための手段の捜索で疲れ果て傷ついた過程でパンドラに心身共に救われ、パンドラ一家に対するケストラーと仲間達の所業を目の当たりにしたことで魔族と完全に決別。
ケストラーに反旗を翻し、封印の行い方を伝えたことでケストラーの再封印のきっかけを作った。
その後は母のいなくなった孤独なハーメルを支えるべく、親代わりとしてハーメルを支え続けた。
まあ真の姿になるまで戦力外だったので、ハーメルからはロクな扱いをされてこなかったが…

軍属時代は序列2位でこそあったが実際は序列1位の冥法王ベースすら超える力の持ち主で、ケストラーを除けばヴォーカルと並び魔界最高の戦闘力を持つ猛者。
強力な竜巻を手から放ち全てを吹き飛ばす鳳凰千破(ほうおうせんぱ)を得意技とし、ドラムをワンパンで殴り倒しベースの封印術すら力任せで打ち砕く真の実力はあのケストラーをして「お前一人完全であれば魔族も半分はいらんだろうな」と言わしめるほど。*9
しかしその異端の性格から同族からの受けは悪く、「そこいらへん*10もう少し融通がきいたら魔界軍王の長になれたでしょーに」とギータには評され、「純粋な力だけなら最高だろうが魔族としては最低だ」とベースにも酷評されている。

ちなみに娘のオカリナがいることからわかるように妻帯者なのだが、嫁さんは本編に登場せず、消息は不明。
イメージイラストや設定は掲載されており、粗野でわがままな姉御肌の美女で、オーボウが頭の上がらない相手らしい。

名前は木管楽器の「オーボエ」の捩り。
ロックバンドで用いる楽器モチーフで統一されていた魔界軍王の中では独り浮いた名前である。


超獣軍

ミノタウロスや人狼(ワーウルフ)といった獣人系の魔物で構成された部隊。
戦力として大型戦車を擁しており陸戦部隊という趣が強い。
しかし、ギータ共々ドラムやピックに見下されており、軍での地位は低かったことがうかがえる。

  • 超獣王(ヴォーリア・キング)ギータ
おかしいですねェー誰かのために“剣”を振るとか───
“生きろ”…とか…
魔族から“死”を与えられるためだけの…あなたたちがぁーーー!

CV:二又一成(ドラマCD)/松山鷹志(テレビアニメ)

『超獣軍』を率いる魔界軍王No.4。
「魔界一の剣客」「獣の王」の異名を持つ、蹄を備えたドーベルマンや狼に似た犬の背中から西洋の騎士のような姿の上半身が生えた犬頭の獣人*11で、中には複数の刀剣を装備している。
普段からドラムにへつらいながらも険悪なサイザーとドラムの仲を笑顔で取り持ち、時には口先だけでなく剣で諌める調停役として振る舞うことも多い魔族屈指のコメディリリーフ。
トロンとは剣士繋がりで度々交戦することが多く因縁深かったが、実はトロンの母ショームを剣で焼いて惨殺したトロンにとっての最大の仇であった。
詳細は個別項目を参照。

名前は弦楽器の一種「ギター」の捩り。


  • マウス・ピース
CV:宇垣秀成(ドラマCD)/宮田浩徳(テレビアニメ)

「北の番人」の異名を持ちフィーネ山脈を根城とする巨大なタケノコ魔人タケノッコーンハリネズミの魔族。
ただハリネズミといったがビジュアルは首長竜に似ており顔もかなりトカゲっぽい。
山に擬態して地面に潜み、自分の背に乗った人間を針で串刺しにすることを好み、部下であろうと容赦なく串刺しにして処刑する冷酷な性格。
魔族に抵抗したD・Sの国民やトロンの両親を徹底的にこき下ろしあざ笑っていたが、ハーメルの魔曲の後押しを受けてはなったシーザー・スラッシュで致命傷を負い、虫の息になったところをサイザーに頭を割られ滅んだ。

名前の由来は金管楽器の「マウスピース」。


  • グスレ
超獣軍最強の精鋭部隊「王虎大隊」の軍団長大佐。
15年前の第一次スフォルツェンド大戦でも成果を挙げた歴戦の老軍人で超獣軍の切り札としてD・Sに派遣されたが、ヴォーカルによって理不尽に大隊諸共全滅させられた。

名前の由来は東ヨーロッパの弦楽器「グスレ」。


悪魔軍

悪魔系の魔族で構成された部隊。
第一次スフォルツェンド大戦でピックが戦死して以降は新たにリーダーが着任することはなかったようで、本編では軍で動くことは無かった辺り、軍そのものが解散の憂き目に逢って北の都の本隊と混合されている様子。

  • 悪魔王(エビルスマスター)ピック
ええ…とあなたの罪状は…その絶大な魔力を使い…  罪もなき尊き善良な魔族たちの生命(いのち)を数多く奪い去ってきました
この許しがたき事実はもはや明明白白 “極刑“を求刑します

『悪魔軍』を束ねる魔族。
法皇(ほうこう)の異名を持ち、軍王と明言こそされていないが他の軍王と共に行動するシーンも多く、地位としては軍王相当の強大な魔族。
中世貴族を彷彿とさせる衣装で着飾っており、左肩に弁護(ディフェンス)、右肩に告発(アッキュゼーション)、ヤギの角を生やした水色の髪の男の頭部である審判(ジャッジメント)の顔を持つ三面の怪人物。
魔界でも屈指の法力と魔導の知識を持ち、特に耐魔力は「悪魔である自分は魔界一」と豪語していた。
本性は三つの首を持つサバトの黒山羊。この時には両肩の顔も黒山羊化する。

一人称は「わたくし」。自称「魔界の法と秩序を司る法皇」「法廷を司る者」
両肩の顔と常に会話をしており、両肩の顔と共に魔族側を絶対の正義とした人類にとって理不尽な裁判を行うのを好む。
ニコニコした笑顔を浮かべて気取った言動で礼儀正しく振る舞うが、本性は非常にプライドが高く部下の命を駒としか思わない冷酷な性格。
ベースを尊敬して恭しい態度を取る礼儀正しさをもつが、逆にベース以外の魔族は自身と対等とすら思っておらず、触れられることは愚かベース以外の者に自分の名前を呼ばれることを毛嫌いし、部下すら癇癪で容赦なく殺す神経質な性格。
両肩の顔も同じく人間の存在は揃ってゴミクズ程度にしか思っておらず、人間を下賎な輩と蔑みつつ魔族に逆らい魔族を殺傷する人間は罪人扱いしている。
また魔族に逆らって犠牲になった人間の魂を判例集の本の中に閉じ込めた上で「陪審員(ジュリーマン)」と嘯いて意見も聞くが発言の自由は当然ながら皆無で、人間の助命といったピックの意にそぐわない発言をすれば容赦なく殺されてしまう。

15年前の第一次スフォルツェンド大戦にてスフォルツェンドを襲撃しており、肩書や経歴こそ強者であったが扱いとしてはリュートの噛ませであり、リュートvsベースの前座同然であった。
その前のケストラーが一時期覚醒した際には、罪悪感からパンドラを護るためにドラムをはじめとした魔族たちを次々圧倒するオーボウを前に、オル・ゴールとともに完全に震えあがっていた。
高い耐魔力を持つピックに対し、ピックの身体に直接呪文を書き込んで魔法を発動させたリュートの奇策で耐性を貫通されて瀕死状態になり、ベースに助けを懇願しながらも魔力と寿命ゆえに全力を出して戦えない事への口惜しさとリュートへの怒り、死への恐怖に苛まれ惨めに砕け散った。

死にた…くねぇ…本当の力が…出せればよおぉぉ~
死にたくねェヨ~!ぶっ殺してェェ…やったのに…

名前の由来はギターを演奏するための道具「ピック*12」。

  • 弁護(ディフェンス)
まったくどうかしてるよ 人間なんざ家畜の餌みたいなもんじゃないか
うす汚くて虫ケラみたいでクズでなんの価値もない

ピックの左肩にいる第2の顔。
ビジュアルはメガネをかけた長鼻で細身の顔のおっさん。
名前に反してギロチン処刑を好み、人間に情けなく敗北し重症を負った魔族を「ぶっ殺してやるのが法律心(リーガルマインド)というもの」と称して審判に処刑を提言する血生臭い言動が特徴。


  • 告発(アッキュゼーション)
虫ケラなんだから何匹殺したっていーじゃないか それを自分が傷つけてまで守るってんだからお笑いだねー
どーせ魔族にぶっ殺されるんだからさ

ピックの右肩にいる第3の顔。
ビジュアルはナマズ髭の太ったおっさん風。
フランクで爺くさい言動が特徴で、人間の悲鳴を好み弁護と共に軽々しく人間の死刑を求めるなど人間の命を軽んじる魔族らしい最低の人格。


  • クワイア=オルガン
空を飛べる…強くて…美しい女はここにもいる…

悪魔軍副軍団長。
禍々しいビキニアーマーを纏った赤みがかった茶髪の美女の上半身に、4足の鳥の足を備えた下半身を持つケンタウロスめいた異形のハーピー。武器は巨大な大斧。

サイザーの異名だった「空の女王」の肩書に強い執着を見せ、自分こそが真の空の女王だと自負した上でサイザーを敵視する高飛車でサディスティックな性格。
しかし実力はサイザーに及ばず、本気になったサイザーに圧倒されたことにブチ切れて醜悪な本性に変化したが「時空転送神聖門(ゴッド・ブレス・ゲート)」によって転移してきた人類軍の支援砲撃を受けて爆散し果てた。

名前は恐らくキリスト教の聖歌隊である「クワイア」と「パイプオルガン」の捩り。


配属先不明

  • 魔界軍特殊部隊
北の都での最終決戦を控えたハーメルたちを襲撃した魔族の集団。特殊部隊を名乗るだけあり、メンバー全員が人間への変身能力を持っている。
変身の精度は極めて高く、体格も性別も違うフルートやサイザーに完璧に成り代わっていた。後方攪乱などを行っていれば重大な脅威となったことだろう。
そんな彼らが作中で実施した作戦は、フルートやサイザー、ワルキューレ達に扮して温泉で乳繰り合い、覗きにきた男どもを討ち取るというもの。
同期のパッ○ラ隊が定期的に温泉に入っていたことで温泉ネタに飢えていたハーメルとトロンをまんまとおびき出すことに成功し、正体を明かして襲い掛かろうとするが、男の浪漫を踏みにじられて血涙を流すほど怒り狂った二人にボコボコにされた。

こんな頭の悪い作戦が実行された経緯は不明だが、当時既にケストラーが復活していたこと、人の心を弄ぶことが大好きな彼の性格を考慮すると、ケストラー直々の立案である可能性が浮上してくる。何やってんだ大魔王。

ちなみに、引き合いに出されたパッパラ隊では翌月さっそくこの回をネタにし返しており、ハーメルのコスプレをした中年男性熊本のハー○ルが登場。ハーメ○に倣ってしっと団の面々と共に女湯覗きを敢行するも、即座に成敗された。


  • アイリッシュ・ハーブ
北の都に在していた魔族。
巨大なガルーダを乗り回す神魔獣使いで、全身に甲冑を纏った騎士めいた姿を持つ。
クワイア=オルガンと共に襲撃し、同じ神魔獣使いのライエルを敵視して追い詰めるが、時空転送神聖門を介して駆けつけたファイフによって倒されている。

名前の由来はハープの一種である「アイリッシュハープ」。


その他

  • ヴォーカル
お前らバッカじゃねぇーかぁ!!人間って奴ぁよ!
ぶっ殺すもんじゃねェかよぉ!!
ブチ斬ってナブって…いい悲鳴きかせて…くれてよ
オモチャじゃんかよ!
ヒャハハハァ!

「魔族の中の魔族」「殺人鬼」「罪人」「魔界のリーサル・ウェポン」といった異名を持つ、500年前に大魔王ケストラーに反逆し、ハーメルンの奥に幽閉された罪人の魔族。
見た目はパンクロッカー風の服装を纏った紫色の短髪のワイルド系イケメン。一見人間に近いが側頭部には蝙蝠の翼が一対生え、腹には第二の口を隠し持つ。
人殺しだけが生き甲斐の変質的な殺人快楽主義者であり、劇中中盤で登場するとオル・ゴールと共に数々の胸糞展開や鬱展開を齎し、読者にもハーメル一行にも絶望を与えた中盤の鬱展開の元凶ともいえる人物。

名前の由来は歌手である「ボーカル」の捩り。ちなみに単行本のカバー裏で女体化したことがある。
詳細は個別項目を参照。

  • 野盗の魔物
記念すべき(?)漫画第1話の魔物。名前はなくぶっちゃければモブの魔物。
巨大なメイスを振り回す大柄なひげ面の鬼に似た姿。
金品や宝に執着を見せており、野盗として近隣の村で暴れ数百人を殺戮して金品や宝石を搾取していた。
劇中では傍若無人の振る舞いにキレたハーメルの奏でた『シューベルトの子守唄』により心を現れ改心。善性と母性に目覚めて、直前まで虐げていた少年ビオラの母親に扮してビオラを世話しようとするギャグ色全開のオチを迎えた。
なおその後ハーメルンでの最終決戦ではギャグパートの中でビオラ共々久々にハーメル一行の加勢のために登場。仮にも同胞の魔族に反旗を翻していた。
一応ビオラの母親を惨殺した仇であったのだが、意外にもビオラとの疑似親子関係は良好だった。


  • チューバ
CV:梁田清之(ドラマCD)

スタカット村の外れにある古城に居座って魔王として振舞っていた魔物。
見た目はトカゲみたいな頭の巨人で、蜥蜴王(リザードキング)の異名を持つ。
同じくトカゲの魔物を部下として従えており、部下に暴力・殺人・強盗を繰り返させてスタカット村からも食料を搾取しようとしていた。
未熟だった頃の昔のハーメルと戦ったことがあり、まだ音を聞かせて相手を戦意喪失させるしか攻撃方法が無かったハーメルへの対策として耳栓をすることで勝ち誇っていたが、フルートを操った攻撃で倒され耳栓が外れたことで敗北。
裸踊りをさせられた挙句全裸にされて磔にされるハメになった。
「ヒロインのフルートと初めて戦った」という意味では記念すべき最初の魔物でもある。

名前の由来は金管楽器の「チューバ」から。

読み切り版で連載版と同じ立ち位置で登場していたが、当時の名前は「ガーリック」だった。*13


  • バスーン
山間の町テヌートを支配していた虎に似た魔物。
酒を好み金銭に関心があったのか町の人間から上納金を徴収し圧政を敷くが、最終的にはマリオネット状態のフルートのチャイコフスキーパンチやチャイコフスキースープレックスによってボコボコにされて散った。

名前の由来は木管楽器の1つ「バスーン」。実はファゴットと名前の元ネタが丸被りしている。


  • ファゴット
多数のアンデッド系の魔物を従え、鉱山の町レガートを支配し強制労働を強いていた骸骨のような魔族。邪悪な神を守護していた修道士(モンク)の成れの果て。
不死軍王(スケルトンキング)の異名を持ち、一国の騎士団をたった1人で壊滅させたことがある武術の達人。
不死(スケルトン)魔族の中でも最強」というオーボウの触れ込みだけあってフルートのマリオネットも効かない最初期の魔物にしては強者だが。ハーメルの帽子に触れたことにより、激昂したハーメルに帽子を掴んだ手を握りつぶされた後殴り倒されて消滅した。
本人の言動から察するに、魔界軍王ともつながりがあった様子。


余談

設定を見るとあまりにもシリアスな敵なのだが、本作は深刻なシリアス展開中であろうと容赦なく不条理系ギャグをぶち込む作風故に、ギャグ展開に巻き込まれてシュールな姿や反応をさらす魔族も案外多い。
ファゴット戦までの最初期の魔族を除けば名前のないモブ魔族達が顕著であり、ネームドだとギータとオル・ゴールがよくギャグ展開に巻き込まれて弄られることが多かった。



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最終更新:2025年02月11日 05:30

*1 軍王時代のオーボウが一応そういうポジションに当て嵌まる。

*2 このような虐殺をしていては遠からず人類の絶滅は避けられず、娯楽はおろか食料を得られなくなるのは確実だがケストラーは当然のこと軍の指揮を執るベースもそのことについては考えて(心配)いる様子は見られない。たとえ餌であっても人間の種の存続や生命を考えることなど魔族のすべきことではないのだろう。もしくは絶滅後はオルゴールの魔の冥界がそれに代わるのかもしれない。

*3 人間が行使するのは「法力(ほうりき)」で、ホルンやフルートが扱う寿命を削る回復魔法を除けば法力はRPGのMPみたいなもの。

*4 ギータによれば弱い三下の魔族であれば特にそういった節約は気にしなくていい模様。

*5 後の演出だと単に相手の力をどんな形でも吸収すればいい感じになっている。

*6 オーボウによると故郷の魔界にも同じ仕組みの牢獄があったとのこと

*7 劇中では人類に先んじてケストラー討伐に赴いたグローリア帝国の兵士全員の死体の磔を1日で終わらせるよう強要されていた。

*8 ゲッターロボのブロッケン伯爵みたいなイメージ。

*9 ただ、オーボウによる全身全霊の攻撃をノーガードで受けながら、かすり傷一つ追わず余裕綽綽で宣った内容なので、本心かは怪しい面もある。

*10 人間狩りに興じて殺戮をエンジョイしない事

*11 ゲッターロボのゴーゴン大公みたいなイメージ。

*12 プレクトラムと呼ぶ場合もある

*13 読み切り版では登場人物の名前は楽器ではなく野菜モチーフだった